月の少年と新緑のラルゴ   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。



第3話 体験? 見学! 剣道部

「「はあ……」」

 

同時に溜息を吐く燐子と美咲。

 

「奥沢さん。さっきはその……す……すみませんでした……せっかく……色々教えてくれたのに……」

「いやほんと、謝るような事じゃないですって」

 

謝る燐子に対し、気にしてないですよと答える美咲。

 

「そもそも紗夜先輩と水無月先輩が凄すぎるっていうか……いえ、別に負け惜しみとかじゃないですよ。あたし経験者なのに、何も出来なくて悔しいとか全然思ってませんからっ」

「……え……? は……はい……あの、でも……わたし、本当に何も出来なくて……一度も……当てられなかったので……」

「……(どうしよう。僕も自重……すればよかった……だって紗夜ちゃん、容赦ないんだもん……)」

 

実は悔しいと思ってた美咲、余計に気を落としてる燐子を見た悠里は、自重すればよかったと軽く後悔していた。

 

……だって紗夜が強すぎるんだもんと思いながら。

 

「やっぱり、わたし、運動は……向いてないのかもしれません……」

「白金さん、そう気を落とさないでください。運動部はテニス部だけではありませんし……()()()を見てから判断してもいいと思いますよ」

「つ、次……? まだ……見るんですか……?」

「…もしかして、紗夜ちゃんが話してた、あの先生?」

 

そういえば、テニス部に相談してた時、紗夜が教員の先生と話してるのを悠里は思い出した。

 

「はい。実は、相談をしている時、偶然剣道部の顧問の先生が通りかかって……剣道部にもぜひと言ってくださったので」

「け……剣道部……」

「…燐子ちゃんが竹刀を乱れ打ちする未来しか見えない」

「……(じー)」

 

なんと剣道部の顧問の先生だったらしい。悠里が燐子に言うと、彼女の目が『そういう問題じゃないよ……』と訴えている気がした。

 

「剣道部は体験ではなく、見学でお願いしておきましたので、安心してください」

「け……見学だけ……? それなら、なんとか……」

「良かったね。燐子ちゃん」

「うん……」

 

見学だけと聞いて、安心する燐子。

 

「おおー……鮮やかな手際」

「うん。紗夜ちゃんって、すっごく頼りになるよね」

「ハロハピにも、あれくらい頼りになる人がいれば……いや、贅沢は言ってられないか。花音さんがいてくれるだけで、十分助かってるし」

「あ、あはは……」

 

そんな3人の様子を見ながら、自身達が所属してるバンドについて言う美咲。苦笑いする花音。

 

「奥沢さん、突然お願いしてしまって、ありがとうございました」

「えっと、あの……あ、ありがとう……ございました」

「花音ちゃんも一緒に来てくれてありがと……」

 

美咲と花音にお礼を言う紗夜と燐子、悠里。

 

「いえ、とんでもない。燐子先輩。その……頑張りすぎない程度に、頑張ってくださいね」

「入りたいって思える部活に出会えるといいね」

「は、はい……ありがとうございます……」

 

そう言って燐子は改めてお礼を言い、紗夜と悠里と一緒にテニスコートを後にした。

 

「ところで花音さん」

「? なあに?」

「水無月先輩って、花音さんのジャージは着れなくはないって言ってましたよね? ……あれって、()()()()()()って意味ですよね?」

「……」

 

3人が姿が見えなくなったタイミングで、美咲は花音に気になった事を訊ねる。それは悠里が花音のジャージは着れなくはない云々のアレである。

 

美咲の憶測だが、あの会話には更に意味がありそうだなと思ったからだ。

 

「……美咲ちゃん? あんまり深掘りはいけないと思うな♪」

「は、はい……(えっ……花音さんの目が笑ってない……!? もしかしてこれ以上の事を聞いたら、あたしの命がないの!?)」

 

花音の表情は笑顔……なのだが、何故か圧があった。それを察した美咲はこれ以上の事を聞くのを止めるのであった。

 

 

 

 

『ヤーーーーッ!』

 

体育館前に着くと、部員の勇ましい声が聞こえてきた。

 

「さすがは剣道部。体育館に入る前から、勇ましい声が聞こえてきますね」

「…扉が空いてたら、外まで響いてそうだね……」

「……っ……な、なんで……こんなところに……きちゃったのかな……今なら……まだ……や、やっぱり……家に……」

 

来たのはいいが、燐子はやっぱり家に帰ろうか迷ってるようだ……

 

「サヨさん! リンコさん! ユーリさん!」

 

すると剣道着を着たイヴに声を掛けられた。

 

「次はケンドー部の見学なんですね。これは気を引き締めないと!」

「…茶道部の次は、剣道部なんだね?」

「はいっ! バンドの練習や撮影などもあるのですが、できる限り、お稽古にも出るようにしているんですっ」

「なるほど。では、部活に出られる日は大忙しですね」

「そうなんです」

 

悠里と紗夜の質問に、華道部にも入っているので、放課後はテンテコマイで!と答えるイヴ。

 

「本当は、華道部にもぜひ見学に来てもらいたかったんですが……残念なことに、今日はお休みなんです」

「そうなんですか。確かに、若宮さんが花を生ける姿を見られないのは残念ですね」

 

どうやら華道部は休みらしい。

 

「そ……そんなにたくさん……大変じゃ、ないですか?」

「大丈夫ですっ! こう見えて、結構パワフルなんですよっ!」

 

それに毎回、どの部でも新しい発見があるので、とても楽しいんですと嬉しそうに燐子に答えるイヴ。

 

「新しい事を学ぶのって、すごくワクワクしませんか? なんというか、こう……今の自分より、ほんの少しだけ成長できる感じ、というか」

「今の自分より……成長……?」

「はいっ。新しい事を知るという事は、『知らなかった自分』から、『知っている自分』に変わる……つまり、成長しているって事だと思うんです!」

 

この前読んだ本に『ほんの少しの変化。その積み重ねが、やがて大きな歴史を創る』と書いてあったと付け足しながら。

 

「ほんの少しの……積み重ね……」

「素晴らしい考えだと思います。日々気を抜かず、尽力するのは大切な事ですよね」

「…同時に奥深い言葉でもある」

「はいっ! なので、今日も全力です!」

 

じっくりと見ていってくださいっ♪と3人に言うイヴ。

 

「ありがとうございます。では白金さん……白金さん?」

「今の自分より……ほんの少しのだけ……」

「大丈夫ですか? 体調が優れないなら、剣道部の見学は……」

「え……あ、あの……いえ…………大丈夫です」

 

体調が悪いのかと紗夜が訊くと燐子は大丈夫だと答えた。

 

「そうですか……? それなら、いいんですけど」

「……(燐子ちゃん、今の紗夜ちゃんの質問で、はいって言えば、帰れたのに。気になる事でもあるのかな……)」

 

おそらく本人も自分と同じ事を思ってるんじゃないか?と考える悠里であった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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