アルティメット惑星封鎖機構によるコーラル焼却RTA 作:サンドフード
「まずは、肩慣らしの軽いミッションからだ、621。べリウス南部のグリッド135で、ベイラム関連会社である大豊核心工業集団のMT部隊と、アーキバスのMT部隊が衝突するという情報が得られた。
企業の戦力を削るために、双方の部隊をすべて殲滅する。数は多いが、所詮はMTだ。封鎖機構のシミュレータで訓練した通りにやればいい」
今の封鎖機構の主力はHCとLCで、ACはやや型落ち感はあるが、過去には主力運用されていた時期もありシミュレータは残っていた。HCやLCを投入しては封鎖機構の関与が一発でバレてしまうため、ACは必然的な選択肢だった。
封鎖機構の支援があるため、兵装や弾薬は無尽蔵に手に入る。それこそ星内では手に入らないような最新鋭のパーツさえ。
MT同士が争う戦場に、621の乗るACがアサルトブーストで高速に乱入する。
レーザーライフルと垂直プラズマミサイルの乱射で、MTもヘリも、場にいるすべてが苦も無く落とされていく。
『何だ、AC!? どこの所属だ!?』
『該当情報なし、所属不明のACが乱入してきました!』
『くそっ、撃て撃て!』
『何なんだコイツ、強すぎる!』
『うあああああ!』
もともと乱戦状態だった戦場は、乱入者によってさらなる大混乱に陥った。
高速で縦横無尽に動き回る621を、まともに照準できるものさえほとんどいない。
双方の部隊が全滅するのに、ほんの数分しかかからなかった。
その様子を、じっと観察していたものがある。
ステルスMT『ゴースト』が、戦域から少し外れたところに身を潜めていた。
所属不明の無人機であるそれは、ノイズ混じりの音声を発した。
『あのACは、いったい…』
「実機の動きには慣れてきたようだな、621。三つ巴のバランスを取って潰し合わせるために、しばらくは戦力で劣る解放戦線に肩入れする機会が多くなるだろう。
今回、解放戦線の支配するベリウス南部のガリア多重ダムをベイラムが襲撃するという情報が得られた。これを撃退して、解放戦線に恩を売る。
なお、ベイラムの専属AC部隊である、レッドガン部隊から複数名がアサインされているという情報もある。あわよくばこれらの撃破も狙うが、無理に深追いはしなくていい。
今回の敵はACが複数だ。油断するなよ」
621が戦域に近づいた時には、すでに襲撃は始まっていた。
やはり解放戦線は苦戦しているようで、すでにMTは多数撃破され、唯一のACもかなり押されている状況だった。
ウォルターが防衛側に通信を呼びかける。
「聞こえるか、解放戦線の部隊。こちら未登録の独立傭兵『リンクス』。苦境のようだが、よければ手を貸すぞ?」
『独立傭兵!? 誰だか分らんが、正直ありがたい! 報酬後払いでいいなら、手を貸してもらえるか!』
了解、の返答と共に621がレッドガン部隊に吶喊する。
『何だコイツは! 新手か?』
『何体出てこようと同じだ! ぶっ飛ばしてやるよ!』
レッドガンのACが火器を斉射するが621には当たらない。
『チイッ、すばしっこいな! グッ!?』
621が放ったミサイルが、2脚のACに連続着弾する。そして、
瞬間、クイックブーストで急接近する621にそのACは反応できない。
『んな…!』
そして、最大チャージしたパイルバンカーが機体に炸裂した。
一撃でアーマーが抜かれ、機体が破損する。
『バカな! 一撃だと!?』
システムエラーで行動不能になる2脚ACに一瞥もせず、もう一体のタンク型ACに攻撃を加える。
『がっ、ぐ、クソ!』
タンク型ACは攻撃も回避も精彩に欠ける。
それは、先ほど見せられたチャージパイルの一撃を過剰に警戒せざるを得ないという理由があった。
その隙を、621は的確に突いていく。
『クソッ、何なんだコイツは。おい、生きているか、イグアス!?』
『ああ、クソ、クソ、どうなってやがる!』
『それだけ元気がありゃあ、大丈夫そうだな!』
カラ元気を出すが、戦況は苦しい。タンク型ACの攻撃はろくに当たらず、一方アーマーは徐々に削られていた。
その時、レッドガン部隊総長である
『生きているか
『こちら
『こちらでもモニタしている! 残念だがそいつは貴様らの手に負える存在ではなさそうだ! 無駄な損失を増やすな!
『了解! 覚えてやがれこのクソ乱入者!』
わめくイグアスを命令通り引き摺りながら、
621も、指示通り無理には追わない。
撤退を確認して、解放戦線から連絡が入った。
『おお、凄まじい腕だな。独立傭兵『リンクス』だったか。貴兄の応援に感謝する。正直、危ないところだった。約束通り、報酬は支払おう。
今時未登録とは珍しいな。詮索はしないが、またいずれ仕事を頼んでも構わないか?』
「ああ、問題ない。受けられるかどうかは、その時々次第だが」
ウォルターがそう答える。
これで、正体不明の独立傭兵『リンクス』の噂がある程度広がるだろう。暴れ回っても、各勢力はどこの勢力が手を回したのか分からず混乱し、疑心暗鬼に陥る。
未登録の怪し過ぎる相手に、企業は依頼を頼んでこないだろうというのも、好都合だった。
そうやって勢力争いを続けさせ、戦力を漸減させていくのがウォルターと『パンドラ』の策だ。細かい裁量は、ウォルターに一任されている。
「仕事は終わりだ、621。帰って、休め」
621はほとんど塩試合しかしないと思います。
RTAなので(魔法の言葉)。
あと、そこまでゲームシステム準拠はせず、見栄え重視で。