アルティメット惑星封鎖機構によるコーラル焼却RTA 作:サンドフード
『やあビジター、久しぶりだね。追い詰められた企業は、とうとう手を組んだ。アーキバスとベイラムの混成精鋭部隊で、アイスワームの撃破を狙っている。
アイスワームは2層のシールドを持っていて、プライマリシールドは強力なだけで普通のパルスシールドだ。だが、セカンダリシールドにはコーラルシールド技術が適用されている。こいつはエネルギー兵器にはめっぽう強い。破るには、超強力な
うちが封鎖機構と繋がっていることは、まだ企業には知られていない。だからRaDから売り込みをかけて、うちのオーバードレールキャノンを投入することになった。射手はうちのシステム担当、チャティが務めるよ。
ただし、エネルギー供給量が足りなくて、今回は2発しか撃てない。こいつは、実際にアイスワームに通用するかのテストも兼ねてる。
そして、アーキバスはプライマリシールドを破るための新兵器を投入する。あんたが乱入して、このスタンニードルランチャーを鹵獲できれば、本番が楽になるはずだ。
状況はリアルタイムで送るから、タイミングを見て、うまいことやりな』
混成精鋭部隊の構成は、遠隔での総指揮官に
アイスワームの特性上、大規模MT部隊との相性は最悪なため、ACのみの少数精鋭である。実際、宇宙港を襲撃したMT部隊は全滅させられている。代わりに、封鎖機構の各拠点に陽動をかける手はずとなっていた。
『なあ、あんたのところの1番は出てこないのかい』
『彼は人型の兵器以外には興味を示しません。困ったものですが、無理に連れ出したところで役には立ちません。本当に、困ったものです』
『無駄口はいい! とっとと手を動かせ! 地表への出現地点を予測しろ!』
ミシガンの苦言に、スタンニードルランチャーを構えながらスネイルは嫌味で返す。
『やかましい
そして、スタンニードルランチャーが発射され、アイスワームの頭部に命中した。
『プライマリシールド消失!』
『やりやがったか、あの野郎!』
『この程度、当然のことです』
『よし、次だ! 外すなよゲスト!』
その声に、チャティが答える。
『軌道予測は得意分野だ……エネルギー充填100%、発射する』
遠方から飛来したレールキャノンの弾が、アイスワームの頭部を貫いた。
『わずかに芯を外したな、だが有効だ……弾道補正係数を修正する』
『セカンダリシールド消失! 今ですイグアス!』
『ようし、食らいなこのイモムシが!』
各ACの集中砲火が、アイスワームの頭部に集中する。
しばらくしてアイスワームは身をよじり、シールドが復活する。そしてまた、地に潜る。
『思ったより復旧が早い。あと1発で間に合うか?』
『やるしかあるまい。各員、次はさらに火力を集中しろ!』
そこで、アイスワームが何かを放出した。
『子機まであるのか! 厄介な!』
『V2以外は散会して子機を排除しろ!』
『友軍機とは距離を一定に保ちなさい! まとめてやられぬよう!』
そして、子機が概ね片付いた頃。
621が、乱入した。
『なっ、HC? 封鎖機構に嗅ぎつけられたか!』
『アイスワームを、守ろうというのか?』
そのHCを見て、一人だけ異なる反応を示す。
『この動き……てめえ、野良猫なのかっ!? 封鎖機構の犬だったとはな! 犬なのか猫なのか、はっきりしやがれ!』
『慣用句に文句を言っても仕方ありません。それよりも注意してくださいイグアス。HC機体にあの『リンクス』が搭乗しているのだとすれば、それは極めて脅威です』
『分かってるよそんなことは! 誰よりもな!』
イグアスは叫び、621に突撃する。
『コイツは俺が引き付ける! その間にアイスワームをやれ!』
『ええい、やむをえん、他に選択肢もないか! G5! 役立たずではないと証明してみせろ! V2! とっとと次弾を当てろ!』
『言われずとも!』
そしてスタンニードルランチャーが、再度アイスワームに命中する。
『私はヴェスパー! アーキバスです!』
『いいぞ! 次弾装填は済んでいるな?』
『ああ、エネルギー充填中だ……80%、90%』
アイスワームが、姿を現す。
『第2射、発射』
今度は中心を捉え、アイスワームの頭部を貫通する。
『命中した。エネルギー残量、ゼロ。再充電には48時間必要だ』
『かかれ!』
アイオスワームへの攻撃が続く中、イグアスと621の戦いも続いていた。
イグアスのリニアライフルを、621はシールドではじく。返しのミサイルを、イグアスはギリギリで躱した。
『シールドが厄介ですね。あまり有効打を与えられていません』
『わあってる。だが、引き付けて時間を稼ぐのが最優先だ。アイスワームが片付きゃあ、後は皆で袋叩きにできる』
『そうですね……イグアス! アイスワームに異変が!』
再起動したアイスワームが、蓄積したダメージにより暴走状態に入る。放出したコーラルパルスにより、数機が吹き飛ばされた。
一瞬だけ気を取られたイグアスに、シールドバッシュとアサルトアーマーが叩き込まれた。イグアスの動きが、少しの間完全に止まる。
そして、イグアスはこの場面でも、
暴走したアイスワームが、イグアスの方に突進してきたのだ。ボーリングビットに巻き込まれるのだけはギリギリで防いだが、機体が激しく跳ね飛ばされる。
『イグアス!』
破損した機体の破片をまき散らし、地面をバウンドしながら、イグアスは戦域の外まで跳ね飛ばされた。
他のメンバーも、暴走したアイスワームに動揺している。
その隙を見逃さず、621はスネイルに向けて突進した。
『なっ、貴様!』
そして、621の右手の武器がスネイルに振り下ろされる。だが、機体は破壊されない。
『これは……
激しい放電で、スネイルのACが一時的にダウンする。
イグアスが善戦できていたのは、621が攻撃力の高い武装を使っていなかったからという、残酷な現実があった。
『くそ、動きなさい『オープンフェイス』!』
621が武器を持ち替える。これまで使っていなかった武装に。
それは、RaD謹製チェーンソー。
『やめろ! 私は企業だぞ!』
武装だけを無理に引き剝がせば、電子系統にダメージを与える可能性がある。だから、
チェーンソーは、ACの腕部、脚部、そしてブースターを破壊した。
他のメンバーが我に返り、救援に向かう頃には、スタンニードルランチャーとその
ACでは、HCのブースター連続飛行には追い付けない。
『……やむを得ん、作戦は失敗だ! 残存メンバーは撤退しろ!』
暴走するアイスワームだけが、その場には残された。
『
アイスワームの動きによって、ウォッチポイント・アルファの存在を気取られてしまいましたが、同時にアイスワームが稼いだ時間によって、防衛の準備が整いました。
企業が戦力の立て直しを図る前に、こちらでアイスワームを撃破し、ウォッチポイント・アルファに防衛線を敷いて残りの戦力を誘引します。
あなた方には、鹵獲したスタンニードルランチャーを用いての、プライマリシールドの破壊をお願いしたい。
よい結果を、お待ちしております』
暴走を続けるアイスワームに、621だけが近づいていく。
『暴走したのは、かえって好都合だったかも知れないね。自己修復機能が正常に働いていない。ダメージは蓄積したままだ。ただ、プライマリシールドの出力が上がっているから2発必要になるよ。それさえ破ってもらえりゃ、あとはこっちの仕事だ』
カーラの通信を耳に、スタンニードルランチャーを構える。
動き回るアイスワームに、あっさりと1発目を命中させる。
『エネルギー供給ライン、グリーン。いつでも撃てるぞ、ビジター』
そして2発目も、苦も無く命中した。
「プライマリシールド消失。いいぞ、621」
『エネルギー充填100%、発射する』
過たず、オーバードレールキャノンの砲弾がアイスワームを貫いた。
そして。
『衛星砲、発射』
今度は上から、極太のレーザーがアイスワームを貫く。
ダメ押しで、621も砲とミサイルを叩き込んだ。
「爆発するぞ、退避しろ621」
アイスワームがコーラルの光を放ちながら、大爆発を起こす。
その向こうにあるのは、ウォッチポイント・アルファ。
最後の戦いが、近づいていた。
これにて、Chapter3終了です。
書き溜めが尽きてきたので、連続更新は中断して数日後にChapter4開始します。
また、週末には蒼き鋼のアルペジオ二次も再開しますので、そちらもよろしく。