アルティメット惑星封鎖機構によるコーラル焼却RTA   作:サンドフード

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新型兵器鹵獲~アイスワーム撃破

 

『やあビジター、久しぶりだね。追い詰められた企業は、とうとう手を組んだ。アーキバスとベイラムの混成精鋭部隊で、アイスワームの撃破を狙っている。

 アイスワームは2層のシールドを持っていて、プライマリシールドは強力なだけで普通のパルスシールドだ。だが、セカンダリシールドにはコーラルシールド技術が適用されている。こいつはエネルギー兵器にはめっぽう強い。破るには、超強力な物理(キネティック)攻撃手段が必要だ。

 うちが封鎖機構と繋がっていることは、まだ企業には知られていない。だからRaDから売り込みをかけて、うちのオーバードレールキャノンを投入することになった。射手はうちのシステム担当、チャティが務めるよ。

 ただし、エネルギー供給量が足りなくて、今回は2発しか撃てない。こいつは、実際にアイスワームに通用するかのテストも兼ねてる。()()では、バートラム旧宇宙港から電力をもらえる手はずになっている。

 そして、アーキバスはプライマリシールドを破るための新兵器を投入する。あんたが乱入して、このスタンニードルランチャーを鹵獲できれば、本番が楽になるはずだ。

 状況はリアルタイムで送るから、タイミングを見て、うまいことやりな』

 

 

 混成精鋭部隊の構成は、遠隔での総指揮官にG(ガンズ)1 ミシガンを置き、現地指揮官及びスタンニードルランチャー発射役にV.(ヴェスパー)II スネイル、他サポートとしてV.(ヴェスパー)VI メーテルリンク、G(ガンズ)3 五花海、G(ガンズ)5 イグアスがアサインされている。加えて外部招聘戦力として、オーバードレールキャノンの射手、RaDのチャティが追加される。

 アイスワームの特性上、大規模MT部隊との相性は最悪なため、ACのみの少数精鋭である。実際、宇宙港を襲撃したMT部隊は全滅させられている。代わりに、封鎖機構の各拠点に陽動をかける手はずとなっていた。

 

『なあ、あんたのところの1番は出てこないのかい』

『彼は人型の兵器以外には興味を示しません。困ったものですが、無理に連れ出したところで役には立ちません。本当に、困ったものです』

『無駄口はいい! とっとと手を動かせ! 地表への出現地点を予測しろ!』

 

 ミシガンの苦言に、スタンニードルランチャーを構えながらスネイルは嫌味で返す。

 

『やかましい老頭(ロートル)だ。言われるまでも、ない!』

 

 そして、スタンニードルランチャーが発射され、アイスワームの頭部に命中した。

 

『プライマリシールド消失!』

『やりやがったか、あの野郎!』

『この程度、当然のことです』

『よし、次だ! 外すなよゲスト!』

 

 その声に、チャティが答える。

 

『軌道予測は得意分野だ……エネルギー充填100%、発射する』

 

 遠方から飛来したレールキャノンの弾が、アイスワームの頭部を貫いた。

 

『わずかに芯を外したな、だが有効だ……弾道補正係数を修正する』

『セカンダリシールド消失! 今ですイグアス!』

『ようし、食らいなこのイモムシが!』

 

 各ACの集中砲火が、アイスワームの頭部に集中する。

 しばらくしてアイスワームは身をよじり、シールドが復活する。そしてまた、地に潜る。

 

『思ったより復旧が早い。あと1発で間に合うか?』

『やるしかあるまい。各員、次はさらに火力を集中しろ!』

 

 そこで、アイスワームが何かを放出した。

 

『子機まであるのか! 厄介な!』

『V2以外は散会して子機を排除しろ!』

『友軍機とは距離を一定に保ちなさい! まとめてやられぬよう!』

 

 そして、子機が概ね片付いた頃。

 

〈 メインシステム、戦闘モード起動 〉

 

 621が、乱入した。

 

『なっ、HC? 封鎖機構に嗅ぎつけられたか!』

『アイスワームを、守ろうというのか?』

 

 そのHCを見て、一人だけ異なる反応を示す。

 

『この動き……てめえ、野良猫なのかっ!? 封鎖機構の犬だったとはな! 犬なのか猫なのか、はっきりしやがれ!』

『慣用句に文句を言っても仕方ありません。それよりも注意してくださいイグアス。HC機体にあの『リンクス』が搭乗しているのだとすれば、それは極めて脅威です』

『分かってるよそんなことは! 誰よりもな!』

 

 イグアスは叫び、621に突撃する。

 

『コイツは俺が引き付ける! その間にアイスワームをやれ!』

『ええい、やむをえん、他に選択肢もないか! G5! 役立たずではないと証明してみせろ! V2! とっとと次弾を当てろ!』

『言われずとも!』

 

 そしてスタンニードルランチャーが、再度アイスワームに命中する。

 

『私はヴェスパー! アーキバスです!』

『いいぞ! 次弾装填は済んでいるな?』

『ああ、エネルギー充填中だ……80%、90%』

 

 アイスワームが、姿を現す。

 

『第2射、発射』

 

 今度は中心を捉え、アイスワームの頭部を貫通する。

 

『命中した。エネルギー残量、ゼロ。再充電には48時間必要だ』

『かかれ!』

 

 アイオスワームへの攻撃が続く中、イグアスと621の戦いも続いていた。

 イグアスのリニアライフルを、621はシールドではじく。返しのミサイルを、イグアスはギリギリで躱した。

 

『シールドが厄介ですね。あまり有効打を与えられていません』

『わあってる。だが、引き付けて時間を稼ぐのが最優先だ。アイスワームが片付きゃあ、後は皆で袋叩きにできる』

『そうですね……イグアス! アイスワームに異変が!』

 

 再起動したアイスワームが、蓄積したダメージにより暴走状態に入る。放出したコーラルパルスにより、数機が吹き飛ばされた。

 一瞬だけ気を取られたイグアスに、シールドバッシュとアサルトアーマーが叩き込まれた。イグアスの動きが、少しの間完全に止まる。

 

 そして、イグアスはこの場面でも、()()()()()()()()

 

 暴走したアイスワームが、イグアスの方に突進してきたのだ。ボーリングビットに巻き込まれるのだけはギリギリで防いだが、機体が激しく跳ね飛ばされる。

 

『イグアス!』

 

 破損した機体の破片をまき散らし、地面をバウンドしながら、イグアスは戦域の外まで跳ね飛ばされた。

 他のメンバーも、暴走したアイスワームに動揺している。

 

 その隙を見逃さず、621はスネイルに向けて突進した。

 

『なっ、貴様!』

 

 そして、621の右手の武器がスネイルに振り下ろされる。だが、機体は破壊されない。

 

『これは……()()()()()()、だと!』

 

 激しい放電で、スネイルのACが一時的にダウンする。

 イグアスが善戦できていたのは、621が攻撃力の高い武装を使っていなかったからという、残酷な現実があった。

 

『くそ、動きなさい『オープンフェイス』!』

 

 621が武器を持ち替える。これまで使っていなかった武装に。

 それは、RaD謹製チェーンソー。

 

『やめろ! 私は企業だぞ!』

 

 武装だけを無理に引き剝がせば、電子系統にダメージを与える可能性がある。だから、()()()()()()()()

 チェーンソーは、ACの腕部、脚部、そしてブースターを破壊した。

 他のメンバーが我に返り、救援に向かう頃には、スタンニードルランチャーとその()()()を抱えた621のHCは、すでに戦域離脱方向に飛び始めていた。

 

 ACでは、HCのブースター連続飛行には追い付けない。

 

『……やむを得ん、作戦は失敗だ! 残存メンバーは撤退しろ!』

 

 暴走するアイスワームだけが、その場には残された。

 

 

* * * *

 

 

V.(ヴェスパー)II スネイルの捕獲、お見事でした。本人は情報を抽出した後、適切に処置いたしました。

 アイスワームの動きによって、ウォッチポイント・アルファの存在を気取られてしまいましたが、同時にアイスワームが稼いだ時間によって、防衛の準備が整いました。

 企業が戦力の立て直しを図る前に、こちらでアイスワームを撃破し、ウォッチポイント・アルファに防衛線を敷いて残りの戦力を誘引します。

 あなた方には、鹵獲したスタンニードルランチャーを用いての、プライマリシールドの破壊をお願いしたい。

 よい結果を、お待ちしております』

 

 

〈 メインシステム、戦闘モード起動 〉

 

 暴走を続けるアイスワームに、621だけが近づいていく。

 

『暴走したのは、かえって好都合だったかも知れないね。自己修復機能が正常に働いていない。ダメージは蓄積したままだ。ただ、プライマリシールドの出力が上がっているから2発必要になるよ。それさえ破ってもらえりゃ、あとはこっちの仕事だ』

 

 カーラの通信を耳に、スタンニードルランチャーを構える。

 動き回るアイスワームに、あっさりと1発目を命中させる。

 

『エネルギー供給ライン、グリーン。いつでも撃てるぞ、ビジター』

 

 そして2発目も、苦も無く命中した。

 

「プライマリシールド消失。いいぞ、621」

『エネルギー充填100%、発射する』

 

 過たず、オーバードレールキャノンの砲弾がアイスワームを貫いた。

 そして。

 

『衛星砲、発射』

 

 今度は上から、極太のレーザーがアイスワームを貫く。

 ダメ押しで、621も砲とミサイルを叩き込んだ。

 

「爆発するぞ、退避しろ621」

 

 アイスワームがコーラルの光を放ちながら、大爆発を起こす。

 その向こうにあるのは、ウォッチポイント・アルファ。

 

 最後の戦いが、近づいていた。

 




これにて、Chapter3終了です。

書き溜めが尽きてきたので、連続更新は中断して数日後にChapter4開始します。
また、週末には蒼き鋼のアルペジオ二次も再開しますので、そちらもよろしく。

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