いやー最高の気分ですよ、テスト明けで自由の身になった次の日にシャーレの当番なんですから、テンションは上がりますよね。
まぁ多分先生のテンションは今の私より高いんだろうけど…
学生証をかざして入室の許可をもらう、あのとき以来、服に学生証を入れるためだけのポケットをつけた…これスズミの案ね。
まぁ内ポケットなんで見た目に変化はなし、いつも通りの制服だ。
入室の許可をロビーですませたのであとは執務室に行くだけ。シャーレのエレベーターの匂いなんか好きなんだよね…良く分からないけど。
そして執務室の前に来たわけだけど…なーんか毎回緊張するんだよねぇ…いい加減慣れろっつーの。
扉をノックして部屋に入る。
「失礼します、本日の当番に来ました」
「おっ!ヒューちゃんよくきたねー!」
「いや…来ますよそりゃ…」
「結構久しぶり?どうスズミは元閃光弾ポイポイ投げてない?」
そういえば前の当番から結構たってたのか…
スズミは…うーん2人でパトロールなんて頻繁にやらないからなぁ…
ここは濁そう…
「あぁ…減りましたよ…前よりは…」
知らないけど…多分絶対減ってない。多分注意しても減らないもん。
「そっかぁ…スズミも成長したねぇ」
「あはは…」
なんかスミマセン…
「えーと…今日は何をすれば?」
「あっ!そうだったね、じゃあこの書類をお願いできる?」
「了解です」
書類か…正直嫌いだけど…まぁできないって訳じゃないからな。
と言うか…先生の机に置いてある書類の量よ、前に来た時も多いなとは思ってたけど更に増えてる…
「先生…なんか書類増えましたね」
「そうなんだよー来たばっかりのころは全然だったのにさ最近は色んな所から要請がね」
「これ…一日で終わるんですか?」
「無理だよーだから毎日徹夜だよ!でもこれがあるから大丈夫!」
そう言って先生は冷蔵庫の方に行き何かを取り出した。
取り出したものは『妖怪MAX』…所謂エナジードリンクと言うやつだ。
凄い、冷蔵庫にはエナドリしか入ってない…ユウカさん、これは無駄遣いにはならないんですか?
「先生…何徹目ですか」
「ひーふーみー覚えてないや!」
そう言って先生は缶のプルタブを開け、妖怪MAXを喉に流し込んだ。すごい美味しそうに飲むじゃん。CMかよ。
「あの…倒れないでくださいよ?カフェインの取りすぎもあんま良くないし…」
「大丈夫大丈夫!カフェインは全てを解決するってキヴォトス全史にも書いてあったしね」
「初耳なんですけど…」
どうやら重症だ…なるほど寝てないから昼夜の区別がつかないから通常状態が深夜テンションなのか。
てか、連邦生徒会は何をしているんだか…仕事量の調節とかさ。
やっぱ無能説は正しかった?いやぁ…あんまりネットを鵜呑みにしたくないんだけどなぁ。
「はぁ…とにかく今は書類を終わらせないと…はい終わった分です」
「早いねー、いやぁ感謝だよ!」
「次は何を?」
「いやヒューちゃんのお仕事は終わり、残りはちょっと見せられない書類だからね」
「あっはい、了解です」
そりゃそうだ。私は一般生徒、シャーレは生徒会の下部組織だし見せられないような物があるのは当たり前か…どうせ政治系の事なんだろうなー。
それに他校の話とかもあるだろうし…下手に突っ込んだら首が飛ぶかもしれない…やめておこう。
「じゃあ…何してたらいいですかね?」
「お話相手になってくれたらいいかなーなんかヒマだし?」
ヒマ?この状況をヒマって…やっぱ逝っちゃってるんじゃないか?それか超人か…
まぁ断る意味もないし…
私はそこらへんに置いてあった椅子を先生の隣に置き、それに座った。結構柔らかい。
「じゃ、何からはなそっか!」
「なんか取り調べを受けてる気分です」
「えーそんな事しないよーヒューちゃんさー」
そう言い急に頭を撫でできた。先生の特徴として突然撫でてくるが挙げられる…ホント脈略もなしにやってくるから下手な奇襲攻撃よりも心臓に悪い。
まぁイヤではないが、なんか素振りぐらいしてくれ。
「先生って距離感がたまにバグリますよね…」
「そっかね?あんま分からないな…でもよく言われるかも」
まさかの自覚なし!うーんこれは酷い。なんか知らないけどいつか後ろから刺されそうなんだよね。
まぁどうせ注意しても意味ないからなぁ…
「まぁ、いいです…あ、最近はどうですか?お金の方は…」
先生の金遣いの荒さとういうか、趣味のためなら身を削る姿勢と言うか…まぁシャーレ参加生徒間では有名な話だが…
改善されたのだろうか。
「あっ!そうそうまた積みプラが増えたんだよね!」
「また、買ったんですか…」
「5000円以内だからセーフだよ」
「あっ…はい」
積みプラ…積んだプラモデルの略だったかな…買ったプラモデルを作らないで、棚に積んでおく事らしい、前にコレクションを見せてもらったけど…凄かった。
まぁ先生は作る余裕がないんだろうけどさ…なんか老後の楽しみとか何とか。
その後もテキトーでくだらない話を続けていった。
「うーーーん…のびー」
「お疲れ様です…先生」
「お疲れー」
「まぁ私は話してただけですが…」
「うんん、ヒューちゃんと会話できたからいつもより苦痛なく仕事できたよー」
「さいですか」
溜まっていた書類の3分の2ぐらい終わらせたところで先生は体を伸ばしちょっと休憩という事になった。
せっかくなんでお茶を入れてあげることに、まぁティーパックだけどね…そもそもシャーレにちゃんとしたティーセットも茶葉もないから仕方ない。
「はい、お茶です」
「おーベリーさんくす!」
そう言ってカップを先生に渡す。
飲み方は綺麗だけど、一口で半分くらい飲んじゃったよ…
「いやーあったかいお茶がしみるねぇ!さっきから冷えたエナドリしか飲んでなかったからさ」
「飲み過ぎですよ…もう3本も消費してるじゃないですか…」
「大丈夫大丈夫、これより飲む人知ってるもん」
「それ中毒じゃ?」
先生がお茶を飲み終わりカップを置いたところで、先生は体を震わせた。
うーん別にこの部屋は特段寒い感じじゃないし…
あっ…なるほど。
「ちょっとお花を摘みにトイレに行ってくるね!」
「それお花を摘むがトイレで相殺されてませんか…?」
「うーん…おっと確かに!」
先生は笑いながら部屋を出て行った…うーん高テンションは変わらないか…お茶を飲めばリラックスして変わるかなって思ったけどあんま意味なかった。
やっぱ高級なお茶じゃないと意味ないのかな。
「うーんヒマだな…」
そう言いつつ、辺りを見回す…キレイに整えられたシャーレの部室…前に来た時と変わった所はなさそう…
っと…キレイじゃない所があった…先生の机だ…空き缶と書類とスナック菓子の袋が散乱している…
「せっかくだし片付けるか、整えられてる方が効率が上がるって聞くし」
まずは溜まった缶をか片付けるために空き缶を持ちあげた。
「ん?なんじゃこりゃ…」
空き缶をどけたら出てきたのはなんか錠剤が入った瓶…明らかにヤバそう…
「ラベルは…無いし、賞味期限やら製造会社もない」
ちょっと開けてみて確認することに。
「匂いは…あっ直接嗅いじゃだめか…危ない危ない」
昔にならったように手で仰いで匂いを嗅ぐ…
「無臭…か」
これは…そういう物か。半分ぐらいは消費されてる…先生のテンションが高いのはこれが原因?
カフェインじゃなくてこの錠剤のせい…
噂を信じるのは個人的に好きではないが…ブラックマーケットで先生が目撃されたって聞いた事あるし…裏社会ではそーいうのが出回ってるのも知っている。
実際にパトロール中にそーいう生徒が暴れているのを鎮圧した事もあった。
「いやでも…先生の目は普通だしなぁ…少し隈はあるけど」
「多分合法なビタミン剤的なヤツだよ、うん」
「と言うか、先生はあったときからテンション高かったから…そーいう性格なんだよ」
ヤバイ…なんか汗が…気持ち悪いしハンカチで拭おう。
先生は流石に違法な物には手を出さないはずだ…でも例えビタミン剤とかそういうのでもコイツに頼らないとやっていけいないのか。
「ヒューちゃんただいまーってなんでそんな暗い顔してるのさ」
「先生…大人って辛いんだね…」
「えっ?まぁ確かに辛いときはあるよ?でも生徒のみんながいるから頑張れちゃうんだよねー!」
凄いや…尊敬するよ先生。割とガチに。
「あっそれ!」
「え?」
先生は私の手を指さしてきた…あっ…ヤバイヤバイ…勝手に触った事がばれちゃう。
笑顔で近づいてくる先生が怖い。
「あの…すみませ…
「いやーありがと!探してたんだよね、このラムネ!」
「ふぇ?ら、らむね?」
「うん、百鬼夜行のある老舗駄菓子屋の手作り限定ラムネ!どっか行っちゃってさ…どこにあったの?」
はい、私は大馬鹿です。ラムネだよ!考えてみれば形でわかるし、もっとちゃんと匂いを嗅げば分かる事じゃんか!
あぁ…先生を疑った自分を殴り散らかしたい…いやでも良かった…やっぱ先生は清廉潔白ってやつだ…
「えーとヒューちゃん?」
「え?あっ…先生の机を片付けようと缶をどかしたらその陰に隠れてました、いじっしゃってスミマセン」
「いやー全然!ありがとねーこれ限定品でさ、次に買えるのは来年らしくてねー半分も残した状態で無くしちゃったから悔しかったのよ」
「そうなんですか…」
「そんな暗い顔しないでよ!お礼に一粒あげる」
先生からラムネを貰い、さっきの事を一緒に飲み込む気で口に放りこんだ。
「美味しい…」
「でしょ、すごいよねー私も驚いたもん」
下に乗せた瞬間に溶けて、口全体にラムネの爽やかな味が広がった…ってなんで食レポなんかしてるんだ私は…
「さーせん…なんかヤバイ薬かと思っちゃいました…一瞬」
「あー確かに、見た目がねぇ…まぁ安心してよ流石に教職がそんな事したら一大事だし、やる気もないからね!」
「疑っちゃってすんません…」
「大丈夫大丈夫!気にしないでよ、私も悪いし」
これに関しては先生に全く非がないと思います。うん。
「でも良かったです、なんか先生が闇市で目撃されたとか噂が立ってたんで…」
「えっ…あーうん。あはは…そんな事しないよー」
なんか先生の動きが一瞬、硬直した気が…あと急に眼をそらしたし…
これ以上は触れないでおこう。
「あーそうだ仕事に戻りましょうねっ、ね?やっぱ手伝いますから!」
「あーうん!そうだね!えーとじゃあこれお願いね」
その後はちょっと微妙な空気のまま仕事をした。
マジでこーいう空気が苦手過ぎる…胃が痛い…やっぱ胃痛薬買おうかな…
正直、この年で胃痛薬を飲むのは負けだと思ってる自分がいたけど…変なプライドは捨てた方が楽なのかも。
「よーし…これで今日の分は終わり!お疲れー」
まだ、私の視界には積みあがった書類が見えるんですけど…まぁ先生基準だと終わったって事なのだろう…
またいれてきたお茶を先生に渡す。
「お疲れ様です…はいお茶です」
「何回もゴメンねーうん、ヒューちゃんのいれたお茶はうまい!」
「ティーパックですよそれ」
料理は作り手で味が変わるのは分かるけど…ティーパックって人によって味が変わる物なのかな?
それってプラシーボ効果って奴なんじゃ…
じゃあ、カップ麺も人によって変わるってコト?…今度スズミと試そうかな…
いや、でもなぁ…絶対嫌な顔されそうな気がする…どうだろ、案外のってくれるかなぁ。
「あーもうこんな時間ですね…そろそろ帰らないと」
「そうかな?門限でもあるの?」
「いや、パトロールをしないといけないんで、最近ちょっと物騒なんですよ」
「おはー大変だねぇ…」
「いえ、自分からやってる活動なんで、もう生活の一部ですよ」
まぁ誰かがやんないといけないからね…大変っちゃぁ大変だけど。
それでトリニティの治安が少しでも良くなれば無問題かな。
なんか自分で言ってて恥ずかしくなるけど…
「よしっ!こんなもんかな…」
とりあえず戻る為に荷物をまとめるって言っても、ポシェットにスマホとペンケース入れてきただけだから、そこまで多くない。
相変わらず、汚いポシェットだ…森の中を匍匐前進でもしたのかってぐらい汚い。洗濯しないとなぁ。
「じゃあ先生、今日はありがとうございました、ちゃんと寝てくださいね」
「あはは…久々に寝るなーってちょっと待って!渡したいものが」
「はい?」
そう言って、先生は机の引き出しを漁り始めた…机の中も汚い…あれかな、周りが散らかってないと落ち着かないタイプの人なのかな。
正直これに関しては言い訳にしか聞こえない感じはするけど。
そうして取り出したのは、音楽フェスのチケット…えとこれを私に?しかもペアチケ…
まぁ音楽は嫌いじゃないけども。
「これさ、懸賞で当たっちゃってね行く暇もないからさ、スズミと行ってきなよ、例の曲を作った人もでるらしいよ!」
例の曲…あぁ…あの処刑用BGMね。例の曲で通じるのなんなのさ。
「あ、ありがとうございます…でもなんで行けない事分かってるのに応募したんですか…」
「どうしてもね…雑誌見てると無性に応募したくなっちゃうんだよ!」
「なんとなく理解できるのが」
「でしょ!」
現在帰路についてます…まだ空は明るい。
結局だがチケットはまぁ…ここはありがたく貰う事にした…そして感想を聞かせてほしいとの事…
大丈夫かな、例の曲が流れたら感想どころの騒ぎじゃなくなりそうだけど…
「気にしすぎかな…よし、パトロールを終えてからスズミに連絡だ」
先生には感謝しきれないなぁ…
でもあの高テンションがデフォルトか…うん。
まぁ飲み込んでおこう。
実際に私も積みプラ増えました。懺悔懺悔。
主人公ちゃんは先生に対しては大体は敬語。たまに砕けます。
まぁ普通の高校生ですね。