スズミと栄養バーの概念…結構メジャーだと勝手に思っております。
パトロールも一息つき、公園のベンチで休憩中、私は隣で栄養バーをほおばるスズミを薄めで眺めていた…
そんな私の視線に気づいたのか、いったん食べるのをやめ、スズミから声をかけてきた。
「えっと…どうかしました?」
「いやぁ、昔っから食べてるよねそれ…」
「このバーの事ですか?これ一本で一日分の栄養がとれるんですよ、凄いと思いませんか?」
「凄いっちゃ凄いけど…」
すました顔でバーのパッケージを見せてくる…たしかに『これ一本で一日分の栄養!』と書いてある…『一食分』じゃなくて『一日分』なのか…色々とヤバイ物が入ってそうなんだよなぁ…
栄養バーが悪いとは言わないさ…食べ過ぎると太るとは聞くけど、スズミはパトロールで結構動くかそんな事はないと思う…ってか実際にスズミはスタイル良いし。
でもそれだけだとねぇ…
「ちゃんとしたメシも食わないと…ヤバイんじゃない?」
「手っ取り早く済ませられるから、好きなんですけどね…一年生の時からずっと食べてますが、とくに体に異変もなかったので大丈夫かと」
そう言って、またバーを食べ始めるスズミ…いやぁ…そのね、若いうちにそーいう物をほぼ毎日食べてると色々と取り返しのつかない事になるんじゃないかなーと素人ながら思うわけですよ。
やっぱ改善させた方がいい気がしてきた。
「スズミ…ちゃんとした物をたべよう」
「ちゃんとした物って…バーもちゃんとした食べ物ですよ」
「
「はぁ…わかりました…なんとかします…」
セリナの名前を出せば何とかなるんですよ、苗字の方を使うと無駄に圧力が増すからおススメ、でも流石に使いすぎると効果はなくなるし…本人から怒られるから乱発はだめ、ここって時に使うんだ…私はこれを『セリナ砲』って呼称してる…バレたら確実に終わる、良いねぇ…痺れるねぇ。
余計なお世話かもしれないけどさ…スズミにはできるだけ健康でいて欲しいんだよね、まぁ病気になるスズミを想像できないっちゃできないけどさ。
私は最近、甘い物を食べ過ぎてこのペースだと糖尿病なるって言われたから、なんか健康に関心があるというか…
「あのさ聞くけど…晩飯もバーって事はないよね?」
「流石に、それはないですよ…冷食をちゃんと食べてますから」
「冷食…」
「ダメですか?」
「自炊は?」
わざとらしく目をそらすスズミさん…おっとぉ、これはこれは面白くなってきたじゃないの。
「正直に言ってしまうと…面倒くさいってのが大きいですね…前まではしてたんですが、疲れて帰る日が多くなって…だらしない理由ですみません…」
「結構暗い時間までパトロールしてるもんね、スズミ…えと、お金の方は?」
「金欠で、みたいな理由はありませんが…」
「なるほどねー」
スズミ、バイトとかしてないはずなんだけどなぁ…正式な部活じゃないからお金も出ないし…賞金首でも狩ってるのか?
「よしっ決めた!」
「はい?」
「スズミはバーを食べ続けていい…でも晩飯は私が作ったものを食べるって事で!」
「え…その、ヒューさんって料理できたんですね」
「酷くない?てか何回か食べた事あるでしょ!」
なんか既視感が…ってあれだ、先生に勉強教えられるんですねって言ったのと似てる気がする。
あーなるほどね…こんな気持ちなのか、悔しいねこれ。すまんかった、先生。
「ありがたい話ですけど…ヒューさんにメリットありますか?それ」
「ふっふっふ…スズミのお金でちゃんとしたメシが食える…それがメリットさ」
「ゲスいですね…もしかして金欠ですか?」
そっと目をそらす…あはは…いやぁ、学生ってそんなもんじゃんか、ゴミみたいな言い訳だけど。
あのバイクを買っちゃって…お金が飛んだんですよ…計画のない消費は私の得意分野なんで。
『金欠なんですね…』と微笑みながら哀れみの目で見てくるスズミさん…感情がぐちょぐちょになるわ!
「いや…スズミにちゃんとしたメシを食ってほしいのは本当だよ!これは嘘じゃない」
「ふふっまぁお互いWINWINって事で、ヒューさんの料理を食べたいですし」
「スズミ…なんて優しいんだ…クソっ…」
「ヒューさん、言葉遣いに気をつけてください…」
ほぼ一方的なワガママみたいな感じだけど…スズミも楽しそう…だしいいかな?
「よしっ、今日何食べたい?」
「えーと…シェフのおすすめで」
「あ、そういうの無しで」
「私のお金で、作るんですよ…酷くないですか?」
結局、無難にカレーという事になった。
「うーん…料理の勉強でもしようかな?」
ヒューちゃんの得意料理はドリアらしい…です、美味しいですよねドリア。