アビドス第三章プロローグ読みました?読みましたよね?
あのぉ…非常に言い難いですが…ユメ先輩の汚ねぇ泣き顔…正直、好きです。
雨上がりのトリニティ…夏特有のムシムシとした感じに雨の湿気が合わさり非常に不快な気候になっている。
そんな中、ぐったりとした雰囲気の女子高生二人が夜の街を歩いていた。
「えーと…なんか色々つき合わせちゃってゴメンっす、人を手伝うのは好きだし慣れてるんすけどねー手伝われる側になるとは…」
「いや、大丈夫…これより酷い事なんてざらにあるから…」
「普段どんな生活してるんすか…」
「ナパームのガソリン臭みたいな生活…かな」
「マジで何言ってるか分からないっす」
「『デデンデッデデンデン』で調べてみな…」
「触れないでおくっす…」
現在会話しているこの糸目の娘は『
「はぁ…今日は早めに寝た方が良いかな〜」
「かなり動いたから、ぐっすりいけそうっすね」
次々スマホにくる要請に顔を青くして汗をかいているイチカをみて『まぁ大変そうだし手伝うよ』って事でお手伝いをしたわけ。
自警団はどうしたって言われるとまぁ…トリニティの治安を回復してるならいいでしょって事で。
それで一日中走り回って、くたくたって事…ちかれた…
「いやぁ…疲れたねぇ」
「そうっすねー久しぶりっすよこんなに疲れたのは…いやぁヒっさんがいなかったら正直やばかったっす」
「ハスミ先輩やツルギ委員長も出払ってたみたいだしね…」
「そうっすねぇ…あーあ、ヒっさんが正実メンバーならもっと楽だし、遠慮なく頼れるんすけどねぇ」
そんな事を言い、ニヤニヤしながらジト目でみてくるイチカ…多分まぁ、ジョークだと思うが…2割ぐらい本音に聞こえるんだよなぁ…
「お前さんなら色々知ってるでしょうが…」
「ふっ…ヒっさんはスズミさんにべったりっすもんね」
「それ以上言ったら、ラリアット三回だよ」
「ゴメンゴメンっす…ご飯奢るから許してほしいっす」
「メシか…いいよ、今日は晩飯作らなくていい日だし」
なんかスズミがレイサと外食してくるとか言ってたからな…あの2人が仲が良いってのは知ってたけど、いままでメシ食ってくるとかは無かったから驚きだ…ま、そん事もあるよね!
「晩飯を作らなくていい日?どゆことっすか?」
「あーこの前からスズミの部屋にいって晩飯を作る事になってさ、スズミの食生活改善的な?今日は後輩と外食してくるらしいから、作らなくていいんだよねー」
「ヒっさん家庭的っすね…そこまでいってるとは…ふーん」
「なんだその目は『あら意外~♪』とか思っただろ」
「思ってないっすよ…てか私そんなキャラじゃないし…で何食べるんすか?アホみたいに高い物以外ならなんでも良いっすよ」
「何が良いかな〜」
ファストフード?ファミレス?ラーメンも良いな。何にしようか脳内会議をしながら道を歩いている時、あるポスターが目に入った…そのポスターにはポップなフォントでこう書いてあった。
「ゴールドマグロ…?」
「マグロ?寿司って事すか?ここら辺に寿司屋ってあったけ…調べるっす」
「いや、あのポスターの事だよ」
そう言い、ポスター近づいてみる…流石にインパクトが強すぎて…
ふむふむ…説明を読むと、とても珍しいとされるゴールドマグロが一般公開されているとの事、ゴールドマグロとか初耳なんだが。
ははっ…入場料がいい値段するねぇ。そんな感じでポスターに見入っていると、イチカが覗きに混んできた。
「あぁ、ゴールドマグロを展示するって言うアクアリウムの告知っすね〜後輩たちが話しているのを小耳に挟んだっす」
「美味いのかな…金属の味がしそうだけど」
「いや、流石にコレを食べる気には…相当な物好きか、とにかく珍しい味を求める人しか食べようとしないんじゃ…おぉ、ここから近いっすね。」
「えと、見たいの?マグロ」
「うーん…見たいか見たくないかって言われると見たいんで…」
なんかその場のノリと勢いだけで、マグロを見る事になった。
アクアリウムはここから2キロぐらいなのでかなり近い。
まぁ、パーっとマグロを見てメシを食いに行けば良いだろう、時間には余裕あるしね。
ちょいと移動して、アクアリウム前の広場…夜だけど結構人がいる、少し並ぶかな?みんなマグロを見に来たって思うと笑えてくる、まぁ私もマグロを見に来たんで人の事を言えないんですが。
「ヒっさん、なにぼーっとしてるんすか…はい、これチケットっす」
「あぁ…ゴメンゴメン、ありがと…ってそれパンフレット?」
「そうっすね…これ読んでると、正直マグロよりカニとかの方が見たいっすね!」
「なんでカニ?」
二人でパンフレットを読みながら海の生き物の話題で盛り上がり列に並んでると事件は起こった。
ドガァァァァァン!
突然、アクアリウムの入場ゲートが爆発した…途端に混乱状態になる現場。叫び声も聞こえる…どうしてこうも運がないのか。
「なっ…テロか?」
「分かんないっす…って、誰か出てくるっす!」
イチカが言った通り、煙の中から誰かが出てくる…中にいた客が逃げてきたのだろうか…とっとにかく、救護…って、まずい例の団長になりかけた…でもとりあえず、自警団としての行動を!
「イチカ!中の人達を助けよう」
「おっけーっす!でも、まさかもう一仕事する事になるとは思ってもなかったっすよ」
ホントだよ…完全に気を抜いてたから、結構動揺してる。
まずは出てくる人を保護する事からだ。年の為、ライフルにクリップを詰め、いつでも撃てるようにしておく。
「大丈夫ですか!…って…」
「おっと、これは…ヤバイっすね」
もくもくと上がる煙中から出てきたのは、ただの客ではなく…
「ゲホッゲホ!…ちょっとは後先を考えて爆破しないさいよ!」
「まぁ細かい事はいいじゃないですか〜☆」
「ぜんっぜん細かくない!」
「言い合ってる場合じゃないよ!は、早く逃げないと!だってトリニティのほぼど真ん中でしょここ!」
「イズミさんの言う通りですわ…この混乱に紛れて、早く脱出を…ってあら?」
一連の会話が終わった所で、どうやら自分達に気づいたらしい。
知ってる顔の四人組…お前らかよ…って思ったけどそうか…珍しいマグロ…こいつらが現れる条件は揃ってる。
「やぁ、久しぶりだね…
「あら、お久しぶりですわヒューさん」
「はぁ…ド派手にやってくれたね…観光だったら普通に歓迎するけど、爆破するのはいただけないな…目的はマグロかな?」
「はい、そうですわ…とても珍しいゴールドマグロをただ展示して終わりだなんて…許せませんわ」
美食の為なら、他の自治区での破壊活動も躊躇しない…ネジが数本どころか数十本は抜けてやがる…食に対する思いが色んな意味でヤバいのだろう…悔しいけど、前にオススメされた定食屋は当たりだったし、舌の信頼度はピカイチなんだよなぁ…
とにかく、マグロを回収してコイツらをゲヘナ風紀委員に…できるだけ大事にはしたくないけど、爆発はあったし…てか正実のイチカがここにいるから無理だな、確実に大事に発展する。
物理的な被害も凄いが、政治的な問題の方が酷そうだ…トリニティとゲヘナの仲はあれだし…茶会の人の頭痛が痛くなりそうだなぁ…
最近耳にした『エデン条約』にも響くんじゃないか?
「ね、ねぇ…ハルナ、ヒューの隣りの黒セーラーってもしかして…」
「ん?私の事っすか?正義実現委員会のイチカっす」
「正義実現委員会…⁈なっ…ウチで言う風紀委員って事じゃない!逃げないと!」
「あら~これは大変ですね~☆」
イチカはいつもの穏やかな表情だが、何かとオーラを感じる…殺る気だよこの人、もうセーフティ外してるし。
でもまぁ…逃がすと面倒くさいから…ここで沈めておかないとヤバいな。
腰に下げていた銃剣を取り出し、ライフルの先に着剣する…そのまま突貫できる姿勢を保つ。
「イチカ」
「いつでもいけるっすよ!」
「これは…正面突破するしか無さそうですね」
「あぁ!もうどうしてぇ!だから正面ゲートから出る嫌だって言ったのに!」
美食研究会…ただ美味いメシを食ってるだけの奴らじゃない…マジガチの戦闘集団だ…警戒して相手しないとすぐにやられる…
ズキャーン
「痛っ!」
「よそ見はいけませんよ!」
「ヒリヒリする…流石の威力と命中率だよホント!」
ハルナが撃った弾丸をモロに腹にくらった。ちょっとした防弾素材を腹に仕込んでるから一撃でダウンは免れたけど…やっぱ痛い。
スナイパーライフでスコープを覗かずに命中させるなんて…やっぱこの人強いよ…移動したところに確実に当ててくる、偏差射撃*1の上手さには脱帽だ。
でもここには遮蔽物なんてものは存在しない、私が一番得意とする環境だが、数的劣勢には変わりない…ここは一撃でもってくしかない…相手が凸なら自分も凸だ。
ダッシュとスライディングを駆使しながら接近する。
「イズミさん、援護射撃をお願いします」
「りょうかーい!これでもくらえー!」
援護射撃と言いつつもほぼ全力射撃…普通ならこんなのに飛び込むなんて悪手だが…こちとら弾幕の中を突撃するのには慣れてるしんでね!ちょっとやそっとの被弾なんか気にしないのさ…って言いつつできるだけ当たらないようにジグザグに走る。
「痛くもかゆくもないってのは嘘だけど!こんくらいでは屈しないぞ!」
「えぇ!ワンマガジン分撃ったのに!」
バカみたいに接近し、銃床でイズミをぶん殴る…ゴンッという鈍い音が響く。申し訳ないがイズミさにはちょいと寝てて貰おうか。
「次は…ハルナァ!」
「ふふっ、相変わらず荒々しい戦い方ですこと」
荒々しい…確かに上品さのかけらもないスタイルだけど…戦場に上品さなんて求めても仕方ないさ、今実力じゃ両立なんて無理だし。
「次弾を早くっ…てこんな時にジャムが…!」
よしっ…その隙に急接近。この間合いなら私の得意分野だ、相手がショットガンやらSMGならマズイが今回は長物。白兵戦に持ち込めば有利だ。
発泡しながらの突撃…射撃するたびに反動で押し戻される感覚が少しクセになる。そして一つのクリップを撃ち尽くした瞬間…
「…ここだっ!」
「うっ…下方から来ますか!」
限界まで姿勢を低くし、そこから敵の腑目掛けて渾身のひとつきを放つ…がギリギリで避けられ、目標を失った銃剣がハルナの上着を貫通した。
私はというと、かなり無理についたのでそのままバランスを取り損ねてしまった。
「ジュンコさん!今ですわ!」
「おっけーくらいなさい!」
ズガガガガガガ
二丁のアサルトライフルが爆音と共に火を噴く。元々連射力が高い銃を二つ同時の発射するので、相当な火力だ。まともに喰らえば気絶に怪我で救護のお世話になってしまうだろう。
流石にそれはいただけないので受け身でなんとか避ける…が、足と背中に数発貰ってしまった
「7,92ミリ弾…流石に痛い…」
「ふっふーん!この前のお返しよ!」
「大丈夫っすか、ヒっさん!」
「ズキズキする…」
流石に被弾しすぎて、体に限界が来たのだろうか…地面に突っ伏した状態から戻れない。
湿布張らなきゃ…
「皆さん!マグロは持ちましたか?今ですフウカさんを回収して逃げましょう!」
「おっけー!イズミ、起きなさい!」
「うぇーん、痛いよぉ」
「ではまたいつか~」
「ヒューさん、次は平和的に会いましょう、では機嫌よう!」
に、逃げられた…次は平和的にねぇ…怖いな。
痛みに耐えながらイチカに支えてもらい立ち上がる。
「イチカ…君は大丈夫なの?」
「金髪のグレランが痛かったっすけどまぁなんとか大丈夫っす!」
「元気だねぇ…体中痛いよ…というか追いかけなくていいの?正実としては捕まえないといけないんじゃ」
「流石に負傷者を道端に置いていくのはできないっすよ、それにもうハスミ先輩に連絡を入れてあるんで大丈夫っす、どうやらシャーレの先生がなんとかするらしいっすよ」
イチカは綺麗なグッドポーズを披露する。先生か…補習部でトリニティにいたからって感じかな?
美食研はゲヘナの生徒達だ、先生が担当した方が政治的な問題もできるだけ小さくできるはず…一番の適任かも。
「おっ…救急車のサイレンっすね…まぁ流石に通報はするっすよねぇ…ヒっさんも救護騎士団のおs…」
「嫌だ!」
「えぇ…足がプルプルしてるっすよ、それにまだ私の肩につかまりっぱなしじゃないすか…」
「とっ…とにかく!騎士団は嫌だ!セリナが怖い!そしてメシを奢って貰ってない!」
「それ本人が聞いたらどうなるのやら…それにヒっさんもさっきの人達みいたに食にうるさいっすね」
その後、事情聴取を受け、怪我を何とか隠し通した…かったけど、結局セリナにバレて治療するハメになってしまった。そりゃそうだ、足は震えてるし、腕に傷はあるし、服と髪がボロボロだったからね…
で、メシはと言うとイチカからは、
『まぁ…今度奢るっす!』と言われた…彼女の事だし…忘れるって事はないだろう。
「うぅ…ハラ減ったなぁ…って痛だっ!」
「はぁ…ヒューさん、無理な突撃は控えてって何回も言いましたよね…」
「ゴメンナサイ…」
この日はかなり濃い一日となった。
美食研もイチカも好きっす。