走る閃光弾と駆けるバヨネット   作:スラバヤサトゥ

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主人公は結構ぬけてるところがあります…


落とし物探し

先生がキヴォトスに来て数週間が経った。先生の影響なのかトリニティの治安も大分良くなってきた気がする、こんな短期間で目に見えるような違いがあるなんて驚きだ。

でも完全に犯罪やらがなくなった訳じゃない…いっつも通り不良の相手をする、そこは変わらない。けど、余裕が出てきたのは確かだ…この日常がいつ崩れるかは分からないだから私はこの余裕を思う存分楽しむ事としたのだが…

 

はい、全然余裕ないです。

 

いや…あのね、普通にピンチです。いやまぁ自分が悪いんですけどね…

 

え?なんでピンチなのかって?

 

学生証を入れてていたサイフをなくしました…最悪サイフと現金はいい…でも本当に学生証を無くすのはヤバイ。あれが無かったらトリニティの生徒って認められないし、鉄道にも乗れないし…色々とまずいのよ…

いやぁ…本当にどうしましょうって事で…

 

「しゅじゅみぃ~たすけてぇ…」

 

ガチ泣きでスズミの足に抱き着く…プライドなんて物はないし、羞恥心も今は存在しない。

 

「あっ、あのヒューさん落ち着いてください…というか恥ずかしいですよ…こんな広場の真ん中で…って鼻水をスカートにつけるのはっ…」

 

スズミは困惑している、そりゃそうだ出会った瞬間友人が自分の足に抱き着いてきたのだ、困惑を通り越してほぼ恐怖だろう。

とりあえずスズミはヒューを落ち着かせて、近くのカフェに入った。

 

 

「はい、ご注文のレモンティーとミルクティーになります、ごゆっくりどうぞ♪」

 

「ありがとうございます……でヒューさん…なにがあったんですか?」

 

「あ、あはは…くだらないことだから大丈夫だよ…」

 

「大丈夫ならあんな風に私に抱き着いて来ないですし、あんなに泣かなかないですよね…」

 

やばい、今になってすっごい恥ずかしさとスズミに対する申し訳なさがこみ上げてきた…

 

「わ、笑わない…?」

 

我ながら図々しい

 

「笑いませんよ、絶対にです」

 

スズミ、その目はやめてくれ、まぶし過ぎます。

 

「じ、実はね…」

 

そうして私はスズミに事情を話した…話してる間、スズミは前述した通り笑わず真面目に聞いてくれた…私は本当にすばらしい友人を持てて幸せだよ…まぁ今その素晴らしい友人を困らせてる訳だから…申し訳ない。

それでまぁ…話を終えたとたん…スズミはいきなりレモンティーをいっきに飲み干し、こう言った…

 

「事情はすべて理解しました…時間はありません、今から探しに行きましょう!」

 

「え…?いっ良いの?手伝ってもらっちゃって…スズミも忙しいだろうに…」

 

「もちろんです、ヒューさんのピンチは私のピンチですから、それに学生証を紛失するのは流石にまずいですよ、最悪評価にも関わってきますしね」

 

「し、しゅじゅみ~」

 

「あぁ…また泣かないでくださいって…」

 

 

さっそく探そうとカフェを出たはいい物の…いくあては特に決まっていなかった。

 

「で…どこから探すのさ」

 

「ヒューさんの部屋からですね」

 

「いや、まって」

 

「はい?」

 

「私の部屋には確実に無い、断言できるもん」

 

絶対にない、だって朝に学生証で自販機を使ったからだ、鮮明に覚えているから断言できる。とは言ったもののスズミは疑惑の目を向けてきた。

 

「それ、本当ですか?」

 

「ぜ、絶対だよ、神に誓えるもん!」

 

スズミは呆れたようにため息をついたが信じてくれた。

 

「…ではまずその自販機に行ってみましょうか」

 

「了解!」

 

 

15分くらいあるいて到着したのは、寮の近くにある赤い自動販売機、キヴォトスのどこにでもある何の変哲もない自販機だ。

その自販機の周りを手分けして探す…がサイフはなかった。覚悟はしてたけどそう簡単には見つからないよね…うん…

 

「まぁヒューさんの行動順に場所を変えて探すしかないみたいですね…次はどこに?」

 

「えーと…飲み物買ってからは…そのまま教室に直行したかな…普通に授業だし」

 

「確かに…8時半にはヒューさんは既に教室にいましたからね、とりあえず行ってみましょう、この時間なら全然教室も空いているはずですし」

 

 

次の捜索場所は教室、まぁいつも勉強するところだね…一応、高校生だし…

 

 

校舎に入り階段を駆け上る、放課後だが人は多い、まぁ部活動の時間だし当たり前っちゃ当たり前か…

しばらくして教室の前に着き、扉をあける。部屋の中にはまだクラスメイトが数人のいた。

 

「あら?スズミさんにヒューさん、珍しいですねこのような時間に教室に入ってくるなんて」

 

「あはは…ちょっと探し物でね…」

 

言えない…学生証を入れたサイフを無くしちゃったので探しにきました~なんて言えない…

 

「ヒューさんがサイフを無くしてしまったので一緒に探しているところです」

 

え?スズミさん?

 

「えっ?サイフをですか?それはまぁ…大変ですね…心中お察します」

 

「あら…ヒューさん、おサイフを…お気の毒に…」

 

「あ、あはは…」

 

はっず!いや、はっず!その哀れみの目でみないでくれ!

 

「はい、しかもどうやら、その中には学生証も入っているようで」

 

言ったぁ…言っちゃったよスズミさんや…いや全然スズミは悪くないし、むしろ自分の方が悪いんだけども…

 

「えぇっ⁈大事件じゃないですか!」

 

「学生証って結構、犯罪に利用される事が多いですし…しかもヒューさんはまぁまぁな有名人ですから…まずいかもしれませんよ…」

 

学生証を使って犯罪をし、私に罪を擦り付けることができるのか…まずいな…なによりまずいのが自警団のイメージを下げてしまうかもしれない事…そうなったらスズミも…

まずいまずいまずいまずい…

 

とにかく自分の机の中とロッカーを探す。クラスメイトにも手伝ってもらい探したが…成果は0だった…

 

「終わった…あはは…私の人生やり残ししかないのに…」

 

「ま、まだ終わってないですよ大丈夫ですから…」

 

「そっか…人生ってのは終わりたいときに終了できないのか…人生はまだまだ続いていく…つらみ…」

 

「なんでそんな、国の敗戦を聞いた国民みたいな顔をしてるのですか…希望はまだありますから!」

 

「お二人方のいう通りです、ヒューさん諦めないで次をあたりましょう」

 

皆から激励の言葉をもらい、何とか立ちなおした…そして教室を後にし次の場所に向かうことにした。クラスメイトの二人は随伴出来ないと事なので見つけ次第連絡するとの事…ありがたや…

 

「えーとヒューさん…次に訪れた場所は?」

 

「うーん…確か聖堂かなー祈りを捧げに少しよった程度だけど」

 

「聖堂ですか、よし、早速行きましょう!」

 

二人は聖堂を、目指し足を進めた。

 

 

大聖堂…トリニティでも屈指の大きさを誇る建築物であり、その歴史も長い。トリニティの派閥の一つである、シスターフッドの本拠地である。

でかい建物だが、正直、ミサの時しか人が集まらない。しかもこの時間だとシスターさんぐらいしかいない。

 

ヒュー自身、熱心な信仰者という訳ではない、というか宗教に関しての知識は表面を撫でた程度しかない。彼女は主に祈りを捧げたらいい事が有るだろう適なノリで祈りをささげているに過ぎないのだ。

 

 

「いやぁ…流石に聖堂は広いし探すの大変かもな…」

 

「でもそこまで奥にはいってないですよね?そう考えれば範囲はそこまで広くないはずです」

 

「それもそっかぁ…」

 

そんな会話をしてベンチの下などを探していると、声をかけられた。

 

「あの…そんなにベンチの下を見て、どうかなさいましたか?」

 

あーすみませんって…聞いた事がある声だなって…もしかして…

 

「あー…ちょっと探しもので…騒がせちゃってごめんなさいね、マリーちゃん」

 

「えっ…あっヒューさんってスズミさんもご一緒でしたか!すみません、怪しい人だと疑ってしまいました…」

 

「いえ…ことらこそ…何も言わずに行動してしまって…」

 

スズミとマリーちゃんがペコペコし合っている真面目だなぁって…あぁ伊落マリーちゃん…シスターフッドに所属しているシスターさん…まぁシスターだから当たり前なんだけど…

1年生からの知り合いで聖堂で祈っているときに知り合ったって感じ…すっごい優しい人です…いやホント。怒ってるところとか見たことないもん、というか銃を使っているところさえ見たことがない。

いい匂いがする…まるで変態じゃないか私。

 

「えーと…さっきおっしゃっていた、探し物とは?」

 

「いやーねぇ…はずかしい話なんですけど…サイフとそれに入った学生証をさがしてまして…」

 

「えぇ⁈どちらとも大事なものじゃないですか…私も探すのを手伝わせていただきます」

 

「いや…そんな手間をかけさせるn…「手伝います!」アッアリガトウゴザイマス」

 

その後三人で探したが…結局見つかることはなかった。

まずいな…一瞬目の前が暗くなったぞ…

 

「はぁ…終わった…」

 

「終わってないですから、終わってないですから!、主はヒューさんを見捨てません、絶対に見つかりますって!」

 

「あははぁ…マリーちゃん…ありがとねぇ…」

 

結局、サイフは見つからずそのまま聖堂を後にした。

 

 

「えーと…ヒューさん、落ち込んでいるところすみませんが…次に行った場所を…」

 

「あぁ…えーと、指をセリナに見てもらったから…救護騎士団本部かな…」

 

「なるほど…あ、もしかしてまた説教をうけましたね?」

 

スズミはそう言ってくるが、その通りである。私はセリナに会うと絶対に説教を受ける、無謀な突撃は控えろとかグローブをして指を守れだとか…いやまぁ守らない私が悪いんだけどさ…

 

「そー言うスズミもよく説教されてるでしょ…私知ってるんだからね…」

 

そう私が言うと急に眼を泳がすスズミ。彼女もまたセリナにお世話になっている一人である、ケガもそうだが特に食生活の事に関して特にだ。なんか栄養バーばっかり食ってるかららしい。

 

「ご…ゴホン!とにかく行きますよ」

 

「人の事は言えないねぇ」

 

「私はサイフも学生証も無くした事はないですけど?」

 

「…すみません」

 

 

 

「えっとーサイフはみてないですねぇ…」

 

「はい、終わりました終わりました、残念、無念、また来世」

 

「終わってないですから!…そう言って銃剣で腹を切ろうとしないでください!」

 

「でぃすいず、ヒャッキヤコーハラキリ…」

 

百鬼夜行自治区に古くから伝わる自決方法それがハラキリだ。

 

「あぁあーあー、止めて!スズミさん手伝ってください!」

 

その後、落ち着くため紅茶をもらった…流石、団長が紅茶好きなだけある、おいしい。ってそんな事考えている場合じゃない…ここにもないなんて…

 

「と、とりあえず落とし物コーナーを確認してみましょうよ」

 

「あの…そこになかったら…」

 

目をそらすセリナさん

 

「助けてくだざい!天使、女神、セリナさまぁぁぁ!」

 

「ちょっ…足に抱き着かないでくださいっ!あぁスズミさん、どうにかしてくださいって!」

 

スズミは少し考える仕草をしてから口を開いた。

 

「えーとまぁ慣れるしかないです…多分ヒューさんの本能かと」

 

「なんでそんなに冷静なんですか…!」

 

「流石、スズミさん、扱いになれてますね!」

 

「まぁ…長いつきあいですから…って、どうもハナエさん」

 

「どうもです!なんか聞いたことのある叫び声が聞こえたので来ちゃいました!」

 

「まぁ、こんな時は…」

 

バコン! スズミは思いっきりヒューの頭を叩いた。その行為にセリナとハナエは共に仰天していた。

 

「あっスズミ…」

 

叩かれて正気を取り戻すヒュー。その光景にさらに困惑する二人。

 

「叩けば治ります。まぁ最終手段ですけどね、〈人とテレビは叩けば治る〉有名な言葉です。」

 

「そんな言葉しりませんよ…!誰の言葉ですかそれ…」

 

「なるほど…私のしらない救護方法です!」

 

「ハナエちゃん?そんな救護方法ありませんからね?絶対に患者さんにやっちゃだめですからね?」

 

「えっ?でもミネ団長もそんな感じじゃね?」

 

「それは…って否定できないのが悔しいですね…というかサイフの話はどうなったんですか…頭を叩かれて忘れちゃったんですか!というかいつまで足にくっついてるんですか!」

 

ボケというのかなんというのか、突っ込みが多すぎて疲労困憊になるセリナさんであった。

 

 

 

「ガチめに終わったかも…」

 

「ひ、ヒューさん…」

 

結局、落とし物コーナーにもサイフは無く、スタート地点の広場に戻ってきてしまった。

もう日は暮はじめ、あたりは暗くなりはじめていた。

 

「まずいですね…この暗さでは、なかなかに捜索は困難ですよ…」

 

「はぁ…みんなからの発見の連絡はないし…誰かに拾われちゃったな…」

 

「…今日はいったん休憩して、明日捜索を再開してみては…って、あ…」

 

「うん、明日はシャーレで任務、学生証ないとシャーレに入れないし、電車にものれないから移動が…」

 

せっかくの任務に「学生証をなくしたので参加できません」は流石にダサすぎる…それに先生に迷惑かけちゃうよ…

 

「わかりました、いったん部屋に戻って懐中電灯を持ってきますそれから再開しましょう」

 

「す、スズミ…どうしてそんなに良くしてくれるの…」

 

「私はヒューさんの友人であり相棒ですから、助けるのは当たり前の行為です」

 

いや…かっこよすぎだろこの人。い、いっけめーん…なにその綺麗な目、聖人やんけ。

 

「ありがとうございます…深く深く感謝します」

 

「あ、あはは…」

 

先輩方ー!!!!!!!!

 

この聞き覚えのあるクソでかボイス…もしかして…あ、走ってくる…あのコットンキャンディみたいな特徴的な髪。

 

「宇沢レイサ!本日のパトロールを完遂いたしました!…ってなんですかこの空気…」

 

「あぁ…おつかれレイサちゃん…」 「お疲れ様ですレイサさん」

 

宇沢レイサちゃん…自警団に所属してくれてる一年生の後輩である。一年生だけどた正義感は人一倍あるし、そして行動力と声量もすごい。

なぜこんな空気なのかを説明するため、彼女に今までの事を話した。

 

「そ、それは一大事です!!!!私も捜索に協力します!」

 

「ありがとね…色々ゴメン」

 

こんなダメダメ先輩で申し訳ない。

 

「大丈夫です!あっまず探す前にやらないといけない事が…」

 

レイサちゃんは何かを思いだしたようで、カバンを漁り始めた。そして中から何かを取り出し空高く掲げた。

 

「このサイフを交番へ届けにいってから、捜索を開始します!」

 

ん?サイフ?

 

レイサちゃんが掲げたのは紺色の地味なサイフ…

 

 

 

それ私のサイフだ!

 

「えっ?」 「えぇっ⁈」

 

 

 

「あっだぁぁぁぁぁ、よがっだぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「まさか、レイサさんが持っているとは…」

 

「いやぁ…なんかすみません…私が持っていたせいでこんな事に…」

 

そう言って少ししょんぼりするレイサちゃん、そんな顔しないでくれ、マジで私が悪いし、レイサちゃんが持ってた方が安全だったし…

最大限の感謝をレイサちゃんに伝えると腰に手を当ててドヤ顔を披露してくれた、かわいい。

 

「あの、レイサさんサイフはどこに落ちていたんです?」

 

スズミはレイサに疑問をぶつける、私も気になる、いったいどこで落としていたのやら…

 

「ハイ!ここから少し行ったところにある自販機の前に落ちていました!」

 

それを聞いた途端スズミはこっちをジトーっと見てきた。

 

「あはは…まさか最初っから落としていたとはね…でもレイサちゃん、拾ってくれていた人にこんな事を言うのは失礼なんだけどさ…」

 

「ハイ!なんでしょうか!」

 

「サイフの中身をみて連絡してほしかったなーなんて…へへ」

 

中に学生証はあるし電話番号も入っているしなんならレイサちゃんとはモモトークも交換している。

 

「それはですね…人のサイフの中身を勝手にみるのはいけない事かと思いまして…」

 

聞いた私がバカでした、なにこのコ…めっちゃ良いコだよ…なんで私の周りには優れている人しかいないんだ…私じゃ釣り合わないよ…

 

「まぁ…とりあえず見つかりましたし…この話はこれにて終了って事でいいのでは?まぁヒューさんには改善してほしいですけども」

 

いやホントすみません…スズミに関しては午後のスケジュール完全に潰しちゃったし…何かお礼を…って、あ

 

「よし…ねぇ二人とも?お腹はすいてる?」

 

「えぇ…まぁ結構歩きまわりましたし…」

 

「わ、私もです!」

 

そりゃそうだほとんどずっと動いていた訳だし、たぶんレイサちゃんの事だしずっと走ってただろし

 

「よしっじゃ私のおごりで何か食べよう!落とし物探しのお礼だよ!」

 

「えっ…じゃ先輩の部屋でピザパーティしましょう!」

 

「私は良いですけど…他に協力してくれた方は…?」

 

「それは…また今度にお礼はするさ…恩を仇で返すような事は絶対しないからね」

 

「なんかサイフ見つかって調子のってません?」

 

「なんのことだか聞こえな~い」

 

「待ってください先輩方ー!!!」

 

 

その後、三人でピザを楽しんだ。そしてセリナにサイフの管理方法について説教されたのはまた別のお話。

 

 




なんか優しいトリ二ティ人しかいませんねぇ…
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