「ギャギャー!!」
「っと《はらわた撃ち/Gut Shot》*1!」
既に
消費に対して余り威力の無い呪文だが
「「「ギギギ!」」」
「おっと今度は複数お出ましか。
"火の雨、降り注ぐ矢、空を燃やす"
「《猛火の斉射/Blazing Volley》*3」
足下の"山"*4から赤マナを抽出して呪文を唱える。矢先が赤熱した矢が大量に生成され、目に付くゴブリンたちを貫いていく。
「グギギ……!」
「少し大きいな、ホブゴブリンってところか」
先ほどの叫び声を聞きつけて援軍に来たか。多元宇宙*6のゴブリンたちほどじゃないけど、ここのゴブリンは多少結束や頭がある世界*7みたいだ。熊*8ほどの体格と装備している防具的に2/3*9ってところかな。
「グギャギャ!!」
「もう1体居るのか……付近に"沼"*10はなさそうだし、"山"の
"離れられぬ林の都。甘受する平穏"
"大地に根ざし、拡大し、やがては都の一部となる"
「《森の女人像/Sylvan Caryatid》*11」
周囲の"森"から緑マナ、そして自身から追加の
「グギギギ……!!」
ホブゴブリンがこちらに殴りかかるがそれは"森の女人像"で防ぐ。その力では女人像を超えられないだろう。
「グギャガ!!」
「そっちはこれだ。《稲妻/Lightning Bolt》*12」
飛びかかってきた攻撃してきたホブゴブリンに、手持ちの"イゼットのロケット"*13より抽出した赤マナで呪文を
本来"稲妻"は俺の手に余る呪文だが、なんとか習得することが出来た。ストックは一つしか出来ないから大切に使いたかったが、あいにく手持ちの
あとは女人像に足止めしてもらっているほうだな。女人像は
"幾千の時の流れ、怒りと排他の忘却"
「《炎の斬りつけ/Flame Slash》*15」
女人像を倒せないでいるホブゴブリンに対して、俺が横薙ぎに振るった腕から炎の斬撃が放たれる。ホブゴブリンは断末魔を上げる暇も無く炎に切り裂かれ全身が燃え尽きる。こんな山の森の中で炎を使うと燃え移りそうなものだが、"土地破壊"*16ではないので大丈夫みたいだ。某龍球Zも地形が一番頑丈説があったし、そういうものなのだろうか*17。
「……もう増援*18はなさそうだな。こっちも
「なんと!ゴブリンどころかホブゴブリンまで……しかも2体も居たのですか!」
依頼主の村長は心底想定外という風に驚いた。先ほどのホブゴブリンを2/3と例えたが、この世界の人間は基本的に1/1と思っていい。あの防具がある限り生半可な攻撃は通らないだろうし、力もあちらの方が圧倒的に上だ。だから3人がかりで装備を付けてかかってやっと1人倒せるかどうか*19といったところなのだ。まあ、こちらには呪文がある。実際、俺本体はおそらく1/1、ないしは0/1くらいだろう。
「ええ、流石に少し消耗したので一度こちらへ戻ってきました」
「いえいえ、我々でしたら生還するだけでも精一杯、それどころか討伐もされているとは……流石は大魔術師様です」
「大魔術師……そんな大層なモノではありませんよ」
流石に
「とにかく今夜はゆっくりお休みください」
「はい、そうさせていただこうと思います」
俺がこちらの世界へ転生?転移?して数年が経っている。森の中に飛ばされ最初は混乱していたものの、近くに落ちていた《願い/Wish》*22のカードを手に取ると、"多元宇宙"に存在する並行世界の自分の呪文を知覚できた。それで俺はMtG、マジック:ザ・ギャザリングの呪文を使えるようになった。
とはいえ、《願い/Wish》の能力は
ちなみに俺の
呪文のコストに関してだが、自前の
これらの
また、
「……さて、ゴブリンの巣穴*28まで来たわけだが」
流石に無防備に飛び込んでも自分の呪文にも
"自然、定命、形あるモノは永遠の中で等しく消える"
"形合うまで鉄を打て、合わねば全て無に帰せ"
"幾年の積層も、崩れ落ちるは須臾の時"
"繋がれた炎は雌伏の時を経て、今反逆の狼煙を上げる"
「《破砕/Demolish》*29」
破壊の光が迸る。光線が大地を走り"巣穴に
「――よし、こんなもんかな。っといっても、4マナ相当の呪文はやっぱり反動も隙も大きいな……」
今の呪文で手持ちの"イゼットのロケット"、"マナ晶洞石"*30、"山"、"森"から魔力を使用した。自分の魔力を消費していないとはいえ、行使するのは自分だから当然負荷がかかる。実際、今は反動で
ただ、こういった対軍、対城などに関しては、その後の戦闘を考えなければとても強力だ。できれば魔力効率の良い呪文を覚えたいところだが今の実力では「
「……完了報告して今日は休もう」
MtGの呪文が使えるんだ、異世界を周りながら呪文を学ぶのも楽しいだろうと思い早数年。最初はどうなることかとも思ったがこの世界も案外、悪くない。いずれは全ての呪文を使いこなせるようになるという目標も出来たし、それはそれとしてこの世界にも独自の呪文があるらしいから、それを探求するのもよし。それに多元宇宙の世界には世界を渡る方法*32もあったし、元の世界にもいつか戻れるかもしれない。
とりあえずは、そんな感じで今日を生きている。
ゴリゴリにルビ振るの楽しい。