MtGの呪文と共に旅する異世界ファンタジー   作:レアブルー

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忘却の輪/Oblivion Ring

自然が生い茂る森の中、俺とスズナは"カード"を構えた集団と相対していた。

 

「その少女を渡して貰おうか」

「"札狩り"、こんなところまで来ておったか……!」

「小娘、その力は貴様には過ぎた力だ。我が教団に捧げよ」

「ふん、渡せるものなら渡したいわ!だが生憎命を捧げるつもりは毛頭ないでな!」

「獣人ごときが生意気な口を……。男、貴様も小娘の仲間か?」

「どちらにしろ大人しく返すつもりはないんだろう?これが目当てだろうしな」

「!?貴様も"札持ち"か!では貴様の札も狩らせてもらうとしよう」

 

事前に『探索』の魔法で正面の二人以外に側面に二人回りこもうとしているのは感知している。

側面攻撃*1は流石に厄介だから囲まれる前に対応したいところだ。

 

「喰らえ!」

 

正面の男の1人が手に持ったカードをかざすと空から稲妻が噴き出るようにこちらへ放たれた。

 

「《払拭/Dispel》*2

 

それを確認しきる前に食い気味にカードを切る。詠唱が無い、それすなわち無詠唱(インスタント)呪文だ。

たまーに瞬速呪文の場合があるが、今回は状況的に稲妻系統のようだからとりあえず払拭をきらせて貰った。

 

「俺の呪文がかき消された……?貴様、打ち消しのカードか!」

「なら俺が行く!」

 

そういうともう1人の男がカードから短刀を創出してこちらに――速い!速攻付与の装備品か!

 

「妾もおるのだぞ!風よ!」

 

スズナの腕から放たれた白霧を纏った風が男を捕らえる、が勢いを殺しきれていない。

 

「その程度のそよ風では止められんぞ!」

「なら追加だ!《魔女跡追いの激情/Witchstalker Frenzy》*3!」

 

虚空から現れた大きな顔を持つ狼が男に食らいつく。流石に合計7点もの火力を受けては体力(タフネス)が持たなかったようでこちらに届く前に倒れた。

 

"白き激情、醜き残骸へと燃え盛れ"

「《石術の連射/Lithomantic Barrage》*4!」

 

"燃えよ灼熱、一つ残らず全て黒灰"

"記録するにあたわず、ただ全て焼き殺すのみ"

「《紅蓮地獄/Pyroclasm》*5!」

 

「っと、そっちはダメだな。《否認/Negate》」

 

さらに二人の男たちが詠唱(ソーサリー)呪文を放つ。

飛び散る火を纏った石術は打ち消せないので予め召喚しておいた《森の女人像/Sylvan Caryatid》で受け、周囲一面を火の海にするAoE*6は打ち消しだ。というか味方もいるのに躊躇なくいったな。仲間意識はあってないようなものなのかもしれない。

 

「ち!これもダメか」

「ならば囲んで叩くぞ!」

「正直それが一番青使いは嫌なんだよな。《濃霧/Fog》*7

 

濃霧が辺りを覆う。こちらに向かって突撃してきた2人は一瞬こちらを見失い。こちらをとらえる(戦闘ダメージをあたえる)ことは出来なかった。

 

「クソ!貴様、何枚札を所持しているんだ!」

「言うわけないだろ、っとそろそろ残留魔力(墓地)も肥えたことだし、探査4《残忍な切断/Murderous Cut》*8

 

虚空から鋭い刃を持つ二振りの短刀が突撃してきた二人を刻む。……これ単体除去なんだけど、もしかして二人で一体みたいな人たちだった?

 

「くそ、ここまでか!」

「おっと、一人だけ逃げようとは薄情なやつじゃの」

「くっ……」

 

突撃した全ての集団が倒され、後ろから指示を出していたリーダー格であろう人物が逃げ出そうとしていたところをスズナが回り込む。

 

「これだけの精鋭が全滅とは……!」

「通用しないことがわかったら、今後俺たちに関わらないことだな」

「そうじゃの、妾も悪戯にけが人をだしとうはない」

「わ、わかった。今後お前らとは関わらない、約束する」

「よし、とは流石に俺でもならないな」

 

"知識からの解放、取りつかれた夢を破却せよ"

「《思考囲い/Thoughtseize》*9

 

「ぁぁ──」

「何をしておるのじゃ?」

「どうせある程度かなわないとわかっても人数を増やしてまた襲撃されそうなので。俺らと出会った記憶をなんとなく消してるんですよ」

「なんだか曖昧な言い方じゃな」

「正直扱いが難しくて感覚的にしかできないんですよね」

「大丈夫なのか……?」

「たぶん大丈夫じゃない寄りですが襲撃相手なので良しです」

「うーむ……」

 

スズナは複雑そうな表情を浮かべているが、こちらも命がかかっているので仕方がないということにしておいてほしい。これが使いこなせれば今後の襲撃対策や事後処理が一気に楽になるのだ。

 

「よし、これで大丈夫そうですね」

「こやつはなんか痙攣して大丈夫じゃなさそうじゃが」

「こっちも襲われたのでお相子ですよ」

「そうか…?」

 

そうかもしれんの……とやや強引にスズナには納得してもらいその場を後にする。

旅をしているとどこかしらか俺たちの情報を聞きつけたのか、札狩りの集団に襲われるようになった。あまりにもしつこいのでこうやって裏工作を試してはいるが、結果はそこそこのようだ。今回は特に人数が多い上に、持っている札も有用なものが多かったから危なかった。もう少し物量があれば先に手持ちの魔力石(マナソース)が切れていたかもしれない。

 

「そういえば、名此。おぬしはよくそんなに呪文を打って疲弊せんのじゃな」

「ああ、私の場合、こういう魔力石(マナソース)や土地から魔力(マナ)を抽出しているので、私自身の消耗はあまりないんですよ」

「ほー便利なもんじゃな。妾もできたりするのじゃろうか」

「んー、どうなんでしょうか。私も感覚的というか固有の能力によるものみたいなものですからね」

「まあ現状そこまで困ってるわけでもなし、良い良い。名此のように多彩な札を持ってるわけでもあるまいしの」

 

こちらの世界の住人は基本的に魔力(マナ)を利用せずに、自身で魔力(マナ)を生み出せるようだ。さながら《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》*10のように。ただ俺にはそういった能力はないようで全てをほかの魔力(マナ)元に頼る必要がある。ただ、"イゼットのロケット"などの魔力石(マナソース)は他でも一部で使われているようだが、土地から魔力(マナ)を抽出しているのは聞いたことがないそうだ。スズナが聞いたことないだけの可能性もあるが……。

 

「とりあえずこやつらの持ち物を拝借させてもらうとするかの」

「……そっち(窃盗)は躊躇しないんですね」

「何を言っておる、正当な戦果じゃぞ。命を取らぬのだから対価は貰わねばの」

「せいとう……?」

 

そうかな?……そうかも……

*1
側面攻撃を持たないクリーチャーがこのクリーチャーをブロックするたび、ターン終了時まで、ブロックしているクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。キーワード能力の一つ。側面攻撃持ちには効かない仕様。分かりにくいという理由で最近はほぼ実装されていない。

*2
インスタント呪文1つを対象とし、それを打ち消す。便利な1マナ呪文。限定的なため主にサイドボードに採用される。一番良く見るのは統率者か?

*3
この呪文を唱えるためのコストは、このターンに攻撃したクリーチャー1体につき{1}少なくなる。

クリーチャー1体を対象とする。魔女跡追いの激情はそれに5点のダメージを与える。便利な軽減呪文。こちらがアタックする場合もブロック指定前で唱えることで軽いコストで除去が打てる。もちろん受けにも便利。

*4
この呪文は打ち消されない。

クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。石術の連射はそれに1点のダメージを与える。それが白や青なら、代わりに5点のダメージを与える。色限定があるとはいえ最軽量で打ち消せないPWにも効く5点呪文。一時期は3テフェリーや何でも鹿に変える"ヤツ"を倒すためによく見かけた(なお、+2スタートの場合……)

*5
紅蓮地獄は各クリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与える。シンプルかつ最強の全体火力。これがある環境では部族デッキがことごとく死に絶え、モダンでも入れられな……なんでスタンに再録されているんですか?

*6
Area of Effect、範囲効果、全体火力の意で使われる

*7
このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。コンボの時間稼ぎなどで使用される呪文。戦闘ダメージのみながら、1ターン確実に生き残れるということでこのカードの名を冠するデッキがあるほど。

*8
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、(1)を支払う。)

クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。これまた便利な探査呪文。軽量呪文を多用する場合、本来高コストのインスタント確殺呪文を最軽量で唱えられる

*9
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは手札を公開する。あなたはその中から土地でないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。あなたは2点のライフを失う。最軽量にして最強のピーピングハンデス呪文。開幕フェッチショック囲いで失う5点を補って有り余る力を放つ、黒使いの挨拶。

*10
(T):(緑)を加える。代表的な1マナのマナクリ。緑単で3ターン目にあほ見たいなスタッツのクリーチャーを出すのはやめて




お久しぶりです。なぜか冬になると少し創作欲が沸くんですよね。
最近MTGアリーナで復帰して主にタイムレスをしてます。
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