ウマ娘忍たまダービー   作:223系新快速

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第4話 くの一なれど…の段

忍術学園に帰ってきた土井先生が、今日の出来事を山田先生に話している。

 

山田先生「成程、きり丸のアルバイトでそんなことがあったのですか。」

土井先生「できればうちのは組に欲しいですが…。」

山田先生「まあ、まずくの一教室に配属されるでしょうなあ。」

 

 

学園長と、老人の山本シナ先生、そしてウマ娘3人が話している。

 

学園長「そなた達3人は、くの一教室への配属となる。」

デジタル「あのー、年齢は考慮されるのでしょうか?」

学園長「男子であれば、年齢と実力に応じて一年生から六年生まで分かれるが、くの一は人数が少ないので、全員纏めて行う。」

デジタル「山本シナ先生が一人で!?凄いですね。」

山本先生「生徒の人数が10人程度だから出来ることです。」

学園長「それで、これがくの一の制服とくの一の友じゃ。なくすでないぞ。」

デジタル「はい。忍者にとって情報とは、命の次に大事なもの。不肖アグネスデジタル、全身全霊を賭けて全うします。」

ファイン「ファインモーション、頑張るね。」

クリスエス「シンボリクリスエス、忍者の知識を得るというミ…、任務、遂行する...。」

 

なおクリスエスは、英単語が出る癖を修正している。この時代、外来語は、内容は分からずとも外来語であることそのものは分かり、見た目も相まって南蛮のスパイという疑惑を持たれやすいからである。

それは名前も同じで、カタカナだと日本人ではないと疑われるため、漢字を使う。それぞれ愛麗數碼(アグネスデジタル)美妙姿勢(ファインモーション)象徴吉兆(シンボリクリスエス)となった。

 

 

翌日、学園長が全校集会を行う。

 

学園長「生徒の諸君、既に2日前の騒動の際に見た者もいると思うが、この学園に編入生が3人来た。」

 

それを聞いて騒めく生徒達。2日前の乱入者の正体が分かるからである。

 

学園長「静かに。それでは、自己紹介を行ってもらう。」

デジタル「愛麗數碼(アグネスデジタル)です。趣味は、絵を描くことと、古文書を読んで知識を蓄え、今の自分に生かすことです。」

ファイン「美妙姿勢(ファインモーション)だよ。楽しい経験をいっぱいしたいな。」

クリスエス「象徴吉兆(シンボリクリスエス)だ...。この学園でも私の任務を遂行する...。」

学園長「3人は、くの一教室に加わってもらう。では、解散。」

 

 

若い山本シナ先生が、授業を進める。

 

山本先生「さあ、学園長の紹介にもあったように、今日から3人がこのくの一教室に加わるわ。」

ユキ「私ユキ。」

トモミ「トモミよ。」

シゲ「おシゲでしゅ。」

ユキ「分からないことがあったら、何でも私達に聞いてね。」

「「「はい。」」」

山本先生「さ、1時間目はマラソンよ。」

「「「えーっ。」」」

ユキ「そんなあ、編入生が来たんですし、今日くらいいいじゃないですか。」

山本先生「駄目です。しっかりとこなさないと、補習になりますよ。」

「「「はーい。」」」

 

くの一達は渋々走り出す。だがデジタル達は、なぜそんなにマラソンを嫌うのかが分からない。ウマ娘にとって、走るのを嫌うということは、理解出来ない感情だ。

 

デジタル「皆さん、そんなにマラソンが嫌なのですか?」

ユキ「ええそうよ、裏山まで片道5里、往復10里(約40km)もある道のりを、全力で走らないといけないの。」

トモミ「しかも、サボったり時間に遅れたりすると、裏々山、裏々々山と延長されるのよ。」

ファイン「それで、時間に遅れるというのは?」

シゲ「2時(4時間)以内に走り切らないと駄目でしゅ。平地でも簡単じゃないのに、山地だからなお一層厳しいでしゅ。おまけに進級するほど、制限時間も厳しいでしゅ。」

デジタル「…、取り敢えず、行きは様子見ですね。」

ファイン「うん、帰りは余裕があったら飛ばそう。」

 

 

そして、裏山の山頂に着く。

 

ユキ「毎度毎度、マラソンはきついわ。」

トモミ「忍術学園の嫌いな授業ランキング不動のワースト1なだけはあるわね。」

山本先生「ほら、いつまでもばてていないで走りなさい。もう駆けだせる子がいるわよ。」

シゲ「だ、誰でしゅか。」

山本先生「あの3人よ。ほら、あんなにぴんぴんしているわ。」

 

3人からすれば、ランニングなどで何十kmも走るのである。山道とはいえ、20kmくらいどうってことはない。

 

ユキ「う、嘘…。」

トモミ「信じられない体力だわ。」

デジタル「あ、あのー、山本シナ先生、質問良いですか?」

山本先生「何かしら數碼(デジタル)。」

デジタル「この後って、来た道を戻るだけですか?」

山本先生「ええそうよ。」

デジタル「じゃあ、本気を出して走っていいですか?」

山本先生「いいわよ。」

 

それを聞いた3人は頷き、物凄い勢いで山を駆け降りる。

 

ユキ「う、嘘…。」

トモミ「なんであんなに速く走れるの!?」

シゲ「何かズルしてませんか?」

山本先生「ズルじゃないわ。あの3人は、先生でも追いつかないのよ。」

「「「ええーっ!?」」」

山本先生「さっ、分かったら行くわよ。」

「「「そんなーっ。」」」

 

 

ファイン「いっちばーん!」

クリスエス「二番だ。」

デジタル「うう、三番でした…。」

ファイン「やっぱり、坂を下るのは、この中では私が一番かな(決意の直滑降持ち)。」

 

そこへ、山本シナ先生が追いつく。

 

山本先生「流石ね。じゃあ、次の授業に移ってもいいわよ。」

デジタル「次は何ですか。」

山本先生「手裏剣よ。」

ファイン「手裏剣かあ。」

クリスエス「前に打ったことがあるが...、まるで的に当たらなかった...。」

山本先生「じゃあ、まずは打ってみて。それで駄目なところを教えるわ。」

 

4人は手裏剣練習場へ移動する。

 

ファイン「こうして、打つ!」

クリスエス「フッ!」

 

ファインが四方手裏剣を、クリスエスが棒手裏剣を打つ。だが、ファインは飛ばず、クリスエスは明後日の方向に飛ぶ。

 

山本先生「そうね、まず、吉兆(クリスエス)は棒手裏剣よりも八方手裏剣から始めるべきね。棒手裏剣は、当たる部分が少ないし、回転していくうちに思いがけない方向に飛びやすいわ。」

クリスエス「承知した。」

 

クリスエスが八方手裏剣を投げると、先程よりも的の近くに飛ぶ。

 

山本先生「その調子よ、続けていけば当たるわ。」

クリスエス「承知した。」

山本先生「それで、美妙(ファイン)の方は、もっと上半身、特に腕の筋肉を鍛える必要があるわね。」

ファイン「つまり力不足、と?」

山本先生「そうよ。忍者は下半身を鍛えがちだけど、それだと上半身との体のバランスが崩れて、怪我をしやすくなるわ。」

ファイン「はーい。」

山本先生「じゃあ最後に數碼(デジタル)だけど…。」

デジタル「あの、一度手本を見せてもらえませんか?出来れば全部。」

山本先生「ええ、良いわよ。」

 

山本シナ先生が各種手裏剣を打つ。その様子をデジタルはじっくり目に焼き付ける。

 

デジタル「では、デジタル行きます!」

 

シュッ シュッ シュッ

 

投げられた手裏剣は全て的に当たる。

 

山本先生「凄いじゃない。初見でここまで出来るなんて。」

デジタル「まだです。練習では百発百中にしておかないと、本番では当たりません。」

山本先生「そうね。でも、今日はここまでにしておきましょうか。」

デジタル「え?」

山本先生「実は、この後の本来の授業は、教科だったのよ。でも、貴方達が早く終わって、やる気がありそうだったから、追加で授業をしたの。もうそろそろ他の皆も帰ってくるから、教科の準備をする必要があるわね。」

「「「分かりました。」」」

 

 

教科の時間は、年寄りの山本シナ先生が担当する。しかし、ファインとクリスエスは高等部、デジタルは中等部ながらも豊富な知識がある。そのため、忍者の知識は兎も角、数学や歴史となると、復習にしかならない。

 

ユキ「うーん、今日の内容、難しかったわ。」

トモミ「ちゃんと復習しないと、補習になっちゃう。」

デジタル「…。」

ファイン「どうしたの、デジタルちゃん。」

デジタル「ファインさん、クリスエスさん、このままだと、私達だけ進み過ぎて、周りから浮いてしまう可能性があります。」

クリスエス「それは私も感じた...。迅速に対処すべきだと思う...。」

 

3人は、山本シナ先生に相談する。

 

山本先生「確かに、私も今日一日の授業でそう感じました。学園長に相談します。」




デジタル、ファインの漢字表記は競走馬をそのまま持ってきていますが、クリスエスは吉兆で、これだけでは流石に無理があるので、シンボリの漢字表記「象徴」を付け足しました。
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