お詫びします。あと今回特に戦闘は有りませんが、フラグは立てときました。それと前回の圧倒的な文字数の無さを反省し、今回こそは2000文字突破したいと思いますので宜しくお願いします。
第3話 違和感
『ライダーは共存出来ない。最後の一人まで戦い続けなければならない。戦え………戦え………………』
「はっ!」
男は突如、眠りから目覚める。
そしてたった今まで自分が見ていた夢を振り返ってみるが、それが何を意味するのかは分からない。
窓を開けてみる。
東にある太陽は真東の地平線と東西の境界の間の4分の3もしくはそれ以上の位置に来ていた。
完全に——————————
「遅刻だァァァァァァァァァァ!」
まだ静かな建物に響くドタバタとした音。
その音を聞き付けた二人の女性————10代くらいの若い女性と40代くらいのおばさん————が料理の仕込みをしながら何時も通りの気配を呆れた様な顔で感じ取る。
「遅刻遅刻ーーーーーー!」
何時もの如く会社に遅刻し、今日も相変わらずドタバタしている金髪の男はここ"TEA「花鶏」"の住み込みアルバイトもとい居候———————城戸真司である。
その時、足首を細い物で掴まれた様な感触がした。
しかし、遅刻の事でドタバタしていた真司は足下を見る余裕などなかった。
「うわっ!」
勢いよく転ぶ真司。
「真司君、大丈夫!?」
「目の前に何にも無いのに滑って転ぶなんて、こりゃ今日はあんたの身に何か悪いことが起こるかもね。あたしの勘に間違いはないわ」
目の前で転んだ真司に声をかけているのは店の手伝いをしている神崎結衣、その後ろで状況を俯瞰し、真司に忠告しているのは、「あたしの勘に間違いはないわ」が口癖(大抵外れる)の「花鶏」の店長兼オーナー、そしてかなりの変人である結衣の叔母、神崎沙奈子である。
「ねぇねぇ、真司ちゃん、昨日私一人で夜なべで頑張ってブレンドした紅茶飲んでかない?」「い、いや、いいよ、そんなことより蓮は?」
「えーとね、さっき食材の買い出しに出たわよ。それより真司ちゃん、このコーヒー、お店で出そうと思うんだけど」
「いや、いいってば」
「いやいや、そんなこと言わずにさ」
「行って来まーす!」
バタン!
「真司君、行っちゃったね。」
「はあ………こりゃあこれから発せられてるオーラが相当気に入らなかったんだろうね……………自信作だったんだけどなあ………………あたしの勘に間違いはないわ……………………」
この時の沙奈子の勘は珍しく当たっていた。
いや、当たっていたというより、当たるより先に物事が起きていたと言った方が正しいのかもしれない。
冬の朝の弱い日差しが差し込む窓ガラスに、八本の脚を持つ蜘蛛の様な怪物が映っている事に気づいた者は誰一人として居なかった。
そして当然、沙奈子の勘が当たっていると気付く者も居る筈が無かった。
花鶏を出て、赤いバイクを走らせる真司。
「くっそぉ、蓮の奴、隣で寝てる奴くらい起こせよ………………」
理不尽と言えなくもない愚痴とともに、彼の口から出て来た「蓮」という名前は、相部屋で住み込みアルバイト(もとい居候)仲間—————————秋山蓮の事である。
話は真司が転んだ時に戻るが、実を言うと、自分が足を掴まれた時、耳の中にはものすごい『違和感』を覚える様な金切り音が聞こえていた。
その音は、バイクで花鶏を離れるまでずっと続いていた。
だがその音には、懐かしささえ感じることはないが、何処か聞き慣れている音の様な気がした。
「気のせいか…」
心中でそう呟くと、真司は少しだけバイクのスピードを上げ、今日も遅刻している会社へと急ぐのであった。
—————————数十分後、都内某所。
此処はモバイルネットニュース配信会社・OREジャーナル。
今日も社員と社長を含めた4人が、記事を書いたり、パソコンの整備をしていた。
まだ姿が見えない一人を除いては。
「う〜ん、最近皆のいい写真撮れてないな〜」
「う〜ん、このパソコン何て名前にしようかな〜」
「編集長、例の件の記事の取材に行って来ます。」
「おう、行ってらっしゃい。それと令子、あのバカなにしてんのか知らねえか。」
「し、知りませんよ。あんなバカ。」
そういうと、その女性記者はそそくさと部屋を出て行った。
そして女性記者とすれ違いざまに、階段を駆け上がって息を切らしたのだろう、しかし意気揚々とした雰囲気を纏う金髪の男(バカ)が現れた。
ここでOREジャーナルの面々について紹介しよう。
OREジャーナルのブログに載せるメンバーのいい写真が撮れず悩んでいるのはシステム担当・嶋田奈々子。
パソコンに名前を付けようとしていい名前が浮かばず悩んでいるのは見習い記者・浅野めぐみ。
見習いとすれ違いで記事の取材に出て行ったのはベテラン記者・桃井令子。
令子を送り出し、記事をチェックしているのは編集長兼社長・大久保大介。
そして、たった今出社して来たのは他でもない———————————————————
「はい、城戸真司只今出社しましたー!」
「あ、真司君写真撮るね〜。ハイ、チーズ」
「真司、お前な、また遅刻だぞ。まあそんな事はどうでもいいから、とっとと取材行け」
もっとも、まだ見習い記者だが。
「え、先輩!凄え金色の蟹って」
「いいからとっとと取材行って来い真司!」
「わ、分かりました!」
令子と同じくそそくさと出て行く真司。
「あ〜また真司君のいい写真撮れなかった〜……………」
「う〜ん、パソコンの名前ど〜しよっかな〜……………」
その頃、花鶏。
店内のカウンターでは、結衣、沙奈子、そして若い男が着々と開店の準備を進めていた。
「蓮、料理の方はどう?」
「仕込みは上々。あとはポトフの仕上げだけだ。」
「ありがとう、蓮。」
結衣の隣に居るのは、真司とともに花鶏のアルバイトとして働くウエイター兼シェフの秋山蓮。
彼はシェフとして着々と料理の準備を進めていた。
しかし、彼も真司と同じものを感じていた。
耳の奥の『違和感』を。
書き終えまして筆者です。なかなか大変でしたが、何とか頑張って2300文字突破しました。次の投稿は未定です。あと、日記の方も更新するので、よければそちらも。