夜中の更新ですが………よければどうぞ。
不鮮明な鏡像はやがて集合し、その型をなしてゆく。
戸惑う真司と蓮。
「これが……仮面ライダー………」
その身には、赤い龍と紺色の蝙蝠の2つの鎧————————————————「仮面ライダー」の姿が具現した。
「真司君と蓮、遅いね……」
「う〜ん………ま、いいでしょ。まだ準備終わってないしね。ささ、準備準備。」
「なんだろう、この胸騒ぎ………叔母さん、ちょっと私探してくる!」
「あ、ちょ、ちょっと待つんだよ!優衣!優衣!!」
叔母の制止を振り切り、外の闇の中へと消えて行く優衣。
「はぁ…全くあの子はお転婆なのに心配性なんだから困ったもんだねぇ、もうすぐ二十歳だっていうのに。……ま、そこがあの子のいいとこでもあるんだけどねぇ…………」
(この姿になったはいいが、あの怪物は鏡の中だ…………どうする?)
『鏡の中へ入れ。』
「鏡の中?」
『鏡に入り、倒したモンスターは、貴様らの味方をする「契約モンスター」の餌となる。その餌を定期的に与えなければ、モンスターはそれを契約破棄とみなし、貴様らを即座に喰らおうとするだろう。』
「とにかく入らなければ……急ぐぞ、城戸」
「あっ、待てって……蓮の奴、行っちまったな………あああ、しょうがねぇ!!!」
龍の様な赤い鎧が次第に近付き、その顔が視界を覆う時―――――――――――――
「は、入れた……………」
「それにしてもここは……………」
まるで鏡張りの様な細長い空間が無機質に光を反射し、傍にはタイヤが付いた見慣れないマシンが2つ、佇んでいる。
マシンに近づいたその時、いきなりの機械音と共に、マシン前部のスクリーンが開き始め、赤い座席シートが徐々に露わになっていく。
「の、乗れってことか………?」
2つの鎧を乗せたマシンは、彼方から指す光の方向へ向かった。
僅かに照らされる街灯。
街は静まり返り、その中で優衣は走り続けていた。
「早く2人を連れ戻さないと…………」
『早く帰れ。こんな時間に外をほつき歩くとは、いい度胸だな。』
(……………!!!!!)「だ、誰なのあなた!一体どこにいるの!?」
『お前は今、決して逃れることのできない現実に近づこうとしている。一度近づけば、それだけで目を背けたくなるような現実だ。だが、それはやがて食い止められるだろう。いや、必ず……………』
「……………何が言いたいの?どういうこと?全く意味が分からない!」
『お前が知る必要は無い。後悔したくなければ、今すぐ帰れ。辛い現実に近づきたくなければ、今すぐ引き返せ……………!!!』
「何を言ってるの………?とにかく私は引き返さないわ!早く2人を探さないと……………!!!!!」
そう言い放ち、優衣は再び暗闇の中をがむしゃらに走って行くのだった。
『全く手間のかかる……………』
鏡を突き抜けた龍騎—————真司とナイト—————蓮が見た光景。
それは、自分達がいた部屋とほぼ変わらない、そのままの光景に思えた。
だが、何かがおかしい。
——————————部屋中の全ての物の配置が逆になっている。
『シャアアアアアアアア!!!!!!!!!!!』
そして部屋の隅には、雄叫びを上げる蜘蛛の怪物。
「う、うわあ、どうすればいいんだよ!」
「落ち着け、城戸。戦うんだ!」
「でも、どうやって!?」
「………………………………」
「ああああもういい!戦いながら確かめる!」
(くっそ!勢いでタンカ切っちゃったけど、どうすればいいんだ!?)
「くっ……………………!!!!!」
「あっ………蓮!」
銃弾の様に素早い糸がナイトの首を捉え、音がなるほどの恐ろしい力で締め上げていく。
「くああああ………………………」
(何か俺に、出来る事は……………!!!!)
ふと左腕を見た龍騎。
そこには、先程の赤い龍の頭部と表した思しき装身具がある。
(……………………………ハッ!)
まるで記憶が飛び込んでくる、そんな不思議な感覚。
何故かは分からないが、どこか見慣れていた様な気がする。
「そうだ、これは———————————————————」
『SWORD VENT』
「うおおおおおおおお!」
装身具にデッキから取り出したカードを装填して、青龍刀の様な武器・ドラグセイバーを召喚し、跳躍する龍騎。
「ハッ!」
掛け声とともに、ナイトの首を締めていた糸を叩き斬ったのだった。
丸腰だった龍騎に驚きの色を隠せず、動揺する怪物。
『シャアッ!?』
「うおおおおおおおお!」
龍騎が力を込めて放った斬撃は、怪物を吹き飛ばし、壁を突き抜けて屋外にまで退かせたのだった。
穴の空いた壁から飛び降り、怪物を追う龍騎。
(こんな所であいつに助けられるなんてな………仮ができたか。)
「真司くんはどうあれ、蓮はこの中にいるの…………………?」
今優衣が来ているこの清明院大学、蓮は一年前の夏に恋人が重傷を負った場所だと。
(蓮は帰りが遅い事はよくあるけど、あの時の蓮の目、何時もと違って尋常じゃなかった………いや、まさかね…………………)
「うわっ!」
吹き飛ばされる龍騎。
先程は渾身の一撃のお陰で気にならなかったが、八本脚の上に上半身がある身体のせいで、攻撃もすぐにいなされる。
攻撃が通らない――――――――――――――――――
『NASTY VENT』
耳がおかしくなりそうな高い音と共に、昏倒する蜘蛛の怪物。
「おりゃっ!」
怪物に突き刺した槍状の武器・ウイングランサーを引き抜き、ナイトは龍騎の元へと退く。
「早く立て!やられるぞ!」
「い、言われなくても分かってるしそんな事!」
「このままじゃ俺らの体力が持たん!どうする、城戸!?」
「…………ちょっと待てって、考えさせろよ!」
「来るぞ!」
ナイトが言い終わるか言い終わらないかのうちに、2人の身体が宙に舞い、地面に叩きつけられた。
「それじゃあ、取り敢えずっと!ん……!?蓮、これじゃないか?」
龍騎の手には、デッキと同じ紋章が描かれているカードがあった。
「このカードでイケるのか?」
「なんだか凄そうだからな。取り敢えず、やってみようぜ!」
「はぁ…………全く、お前って奴は。」
左腕の召喚機・ドラグバイザーと剣型の召喚機・ダークバイザーにカードを装填する二人のライダー。
そのカードには、「FINAL VENT」の文字が刻まれていた。
『『FINAL VENT』』
龍騎は龍型モンスター・ドラグレッダーに、ナイトは蝙蝠型モンスター・ダークウイングに包まれて上昇していく。
「「ハァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」」
赤い豪炎の勢いを乗せて放つ「ドラゴンライダーキック」、青い閃影に包まれながら放つ「飛翔斬」が蜘蛛の怪物の腹部に命中した。
『シャアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
背後で聞こえる爆発音。
「マジか、倒しちまったのか!?」
だが、それと同時に、2人の体にも変化が起こった。
「体が………煤けてる…………?」
『その灰化現象はこの「ミラーワールド」において消滅へのカウントダウンを意味する。消滅を免れたければどこかの鏡面から脱出することだ。ミラーワールド内に留まった際はこの現象に注意しろ。』
「お前は………誰なんだ?何でそんな風に色々知ってて、しかも俺らに教えてくれるんだよ?」
『ライダーについて教えることはライダーを戦いへ導く者として当然の努めだ。だが、今は長々と話している暇は無い。早く脱出しろ!』
灰化は激しさを増していき、さらに煤け始める2人の体。
「…………………これで帰れるな……俺たちの家に」
「ああ………そうだな……………」
しかし、そこには既にもう一つの影が現れていた。
「2人共、こんな所で何してたの………………?」
「ええっ!ゆ、優衣ちゃん!?え、えーとその……………詳しくは蓮に聞いてみたら?」
「いや、俺は知らんぞ、待て、城戸ーーーーーーーー!」
「こらー!待ちなさーい!」
いきさつはどうあれ、その夜沙奈子を含めた4人が、幸せな一夜を過ごした事は言うまでもない。
筆者でございまし。
今回は遂に戦闘シーンでしたね。
正直今回あんまり上手く書けなかった感があるんですけど、期待してくださるのであれば………………………
次回もご期待下さい。