意外にも続いたよ
青年剣士率いる一党は、あなたと別れた後、これからの展望や夢について語り合い、和気あいあいとしながら目的地であるゴブリンの住処を目指していた。
「いつか俺の剣で竜だって倒してみせる!」
「はいはい、いつか、ね」
「はぁ、馬鹿らしい……」
「あ、あはは……」
若者らしい、向う見ずな望みを語りながら歩む彼らは、僅かながらとはいえ、一党の中で絆を感じ始めていた。
そんな彼らの前に、ぽっかりと空いた洞窟が姿を現した。依頼の情報と照らし合わせてみると、どうやらここが小鬼の住処で間違いないようだ。辺りを見渡しても、これといって特徴もないただの洞窟のようで、奥を覗き込むと少し下り坂になっているようだった。内部は太陽の光が届かず、漆黒の闇が冒険者達を待ち構えている。
「……よし、いよいよだな。みんな、気を引き締めていこうぜ」
一応の頭目である青年剣士が、緊張した面持ちで全員に発破をかけ、自身を先頭に洞窟の中へと進み始める。
あらかじめ持参していた松明に火をつけ、暗闇を照らしながら、慎重に歩き続ける。
洞窟の中は意外にも静かなもので、一党が歩く度に響く靴音と服の擦れる音しか聞こえない。しばらくの間、重い緊張感が一党の間に漂う。松明の明かりは、一定の範囲を明るく照らすが、そこから外は全くもって何も見えなくなる。地上の夜とは異なり、完全な闇が一党の周りを取り囲んでいる。
少しばかりの恐怖感を感じつつ、さらに歩き続けると、青年剣士がおかしなことに気がつき、立ち止まる。先頭を歩く者が歩みを止めたことにより、後列三人も自然と足を止めることになる。瞬間、辺りを完全な静寂が包み込む。
「なぁ、この洞窟……」
「うん。なんか、変……」
認識が一致したことにより、自分の思い込みでは無いことが明らかになる。自分たち、つまり一党以外から全く音が聞こえないのだ。ここにはゴブリン退治のために来たのだが、目標であるゴブリンに至っては、姿どころか足跡すら見当たらない。いや、それ以前にこの洞窟には、何者かが住んでいたと言えるような痕跡が一切見当たらない。冒険者になりたての四人で構成された一党であっても、それは気づくことが出来た。
青年剣士としては、この冒険で切った張ったの大活躍をするつもりだったが、現実とのギャップに困惑していた。それと同時に疑惑が頭に浮かんでくる。もしや、依頼の目的地はここではない? ゴブリンの巣窟は他にあるのか?
そこまで考えたところで、背後から大きなため息が聞こえた。
「……この洞窟がおかしいってことはわかったわ。で? どうするの?」
声を発したのは女魔術師だった。その言葉は、一応の
女魔術師の言を受けて青年剣士は一党全員を見渡した。女神官は未だ不安げに、女武闘家は強い意志を持った目を、女魔術師はこちらの判断を待っている。
この状況、どう動くべきか。青年剣士は悩んだ結果、決断した。
「進もう。この洞窟は、俺たちが思っているよりもずっと広いのかもしれない」
頭目が決めれば一党は従うのみ。四人は再び足を動かし始めた。
「……」
歩き始めて早数十分。一党は言葉を交わすことなく洞窟の奥を目指した。しかし、歩いても歩いても洞窟の終わりは見えず、ゴブリンとも出会わない。松明の長さが半分程短くなった辺りで、青年剣士は己の判断を後悔し始めた。
あれからいくら歩いても洞窟内の景色は一切変わらず、細く続く道を見続けた。横道などが存在しないか壁面を見ても、そういったものは何一つなく、ただひたすらに長いトンネルが続くだけであった。変わらない景色は精神を疲弊させる。進んでいる実感が得られない中で警戒し続けることは難しく、時々は放心していることさえあった。
一党内の士気が著しく低下していることは、四人全員が理解していた。女神官と女魔術師に至っては、凹凸の激しい地面にスタミナを奪われ、既に肉体的な疲れが見え始めている。
そんな、一党としては限りなく最悪に近いコンディションで歩き続ける中、先頭を歩く青年剣士が何かに気づいた。何か、この道の先にキラリと光るものが見えた気がした。
「……ぁ、れは」
久々に声を出したのどは酷くしゃがれていて、変な音を鳴らした。そういえば、街を発ってから水分補給をしていなかった。
のどの渇きを無視して青年剣士は走り出した。
果たして、僅かに輝くそれにたどり着いた青年剣士が見たものは。
「い、し?」
それを見た青年剣士は、思わずその場にへたりこんでしまう。それと同時に、背後から3人の足音が聞こえてくる。
「ちょっと、いきなり、走り出すなんて、ゴホッ、何してんの!?」
「何か、ハァ、あったん、ですか!?」
息を切らして剣士の後を追ってきた三人が到着した。そして、尻もちをついたまま動かない彼を見て何事かと思案する。問いかけてみても答えない様子を不審に思った女武闘家が、地面に落ちている松明を拾い上げると、認めたくは無い現実が浮かび上がった。それは岩壁に埋まる、人間の頭一つ分くらいの大きさの鈍い輝きを放つ鉱石だった。それが
一党の眼前には、周りと変わらない岩壁がそびえ立っていた。つまりは、終点。
突如として訪れた冒険の終わりに、しばらくの間、一党は言葉を発することはできなかった。一党を支配するのはかつてないほどの虚無感と疲労。特に、ここまで進む決断を下した青年剣士は、頭目として多大な責任が重くのしかかるのを感じていた。
そんな中、ただ一人、女魔術師だけはその目に光を宿していた。彼女は壁面から突出している鉱石から目を離せなかった。なぜなら、彼女が保有する蓄積した知識の中で、この外見的特徴にあてはまる鉱石は存在しないからだ。
もちろん、学院で学んだとはいえ、彼女自身は採掘士などではないため、本職の
そしてその違和感は至極真っ当なものである。なぜなら、この世界のいかなる採掘師も、この鉱石を知るはずは無いのだから。この鉱石は本来この世界に存在するものではなく、遙か遠い世界、イルヴァのノースティリスにおいて、大地の神によって生み出される、大地の結晶と呼ばれる物であるからだ。
もちろんそんなことは知る由もない女魔術師が、その鉱石に近づいてみると、松明の明かりを反射しているのに加えて、それはほのかに光を放っているようだった。そして何より驚くべきことは、鉱石の内部がまるで生きているように胎動しているのが見て取れた。
なんだこの鉱石は。これは普通ではない。警戒心を強めながらも、恐る恐るその鉱石に触れてみる。
普通の
「地鳴り!?」
ズズン、と。洞窟内部が大きく振動した。
突然の事態に驚いた四人はその場に釘付けになってしまった。青年剣士も弾かれたように立ち上がりはしたが、その場から動けない。縦に揺れたかと思えば、次の瞬間には横に揺れており、一瞬の間、浮遊感のような感覚も感じた。天井からパラパラと土の欠片が降り注ぐ。
しばらくの間立ちすくんでいた彼らだったが、ふと気がつくと、地鳴りは既に収まっていた。
何が起こったのかは分からないが、とりあえず想定していたこのまま生き埋めになるという最悪の事態にはならずに済んだようだった。
「な、何だったんだ。今のは」
青年剣士が大きくため息をついて言った。
「あの鉱石に触れた瞬間に起こったような気がしたけど……」
そう言いながら鉱石に再び目を向けた女魔術師は、あっと驚きの声をあげる。今度は何事かとそちらを見れば、驚くのも無理は無い。なんと、そこにあったはずの奇妙な鉱石が跡形もなく消え去っていたのだ。辺りを見渡しても鉱石は見つからず、本当に忽然と消えてしまったようだった。
「一体、何が起こったのでしょう……?」
「……とりあえず、さ。出ようぜ、外に。なんかどっと疲れた……」
「……そうね、考えるのは後にしましょう」
立て続けに発生する予想外の事態に疲弊した一党は、一度洞窟の外へ出ることで意見が合致した。
「これは、どういうこと……?」
「俺が知るかよ……」
一党はまたもや混乱の渦中にいた。これから地上に戻るうえで、またあの長いトンネルを歩くのかとげんなりしていたところで、少し戻った先にあったのは、無限に続くかのような変わらない一本道などではなく、なんと横に広がる空間だった。
一本道を通ってきたはずが、引き返してみたら道が消え、別の空間に繋がっていた。現実とは思えない、
女神官は震える手で錫杖を握りながら、動揺を抑えるために信仰する地母神に捧げる祝詞を唱えた。普段の自分であれば、このような状況に陥ったらその場に立ちすくみただ泣くことしかできないと思うが、不思議と小さな明かりが体を包んでいるように感じられ、まだその手足と口を動かすことができる。
「い、いと慈悲深き地母神よ、闇に迷う我らを、どうかお導きください……」
その声は洞窟内に虚しく響き、より一層不安を感じさせた。
「GE.」
しかし、応えるものはいた。神仏などではなく、卑しく地に潜み、絶える事のない欲に突き動かされる者達が。
「!! 今の声は!?」
一党の中で最も耳聡い女武闘家が、その声を聞きとることに成功した。瞬時に周囲を警戒する彼女を見て、他三人も疲弊した体に鞭を打ち、厳に警戒する。
しかし、何かが近くにいるという、その意識だけが存在する中で冷静さを保つことは余程難しい。特に視界が確保出来ていない暗闇の中では。
松明を握る青年剣士の手は僅かに震え、頬には数滴の汗が流れる。僅かな光源により、僅かに照らされた広間に目を凝らし、獲物を求める猛禽のように動き出すものがないか注視する。
そして、再び音が聞こえた。
不運であったのはその音がどこから響いたものか、女武闘家には瞬時に判断できなかったことと、
「GEGAAA!!!」
それと同時に、カツン、と背後から音がした。
「えっ?」
女神官が背後に圧力を感じた。細い何かが押し付けられているような。振り向けば、それがいた。刃渡りの短いナイフをこちらに突き出しているゴブリンが。
「!! 後ろだ!!」
叫んだ青年剣士が女神官の背後に駆け出す。それは仲間を助けるため。仲間を守るため。英雄に近づくため。その思いは普段以上の力を彼に与える。彼は渾身の力を込めて剣を振るった。ゴブリンと言えど怪物。少女を守るその様は、いささか相手が小物にすぎる気がしたが、立派な英雄譚と似通っていた。そして、嗚呼、何たることだろう。その焦りと緊張の狭間で下した判断は、
彼はあろうことか、剣を
「!!!」
大きく横に振るった刃は、何故か硬直しているゴブリンの首に、狙い通り深々とくい込んだ。間違いなく
(!?)
速度の乗った剣先は、女神官が声を出す暇もなく首元に到達した。青年剣士は、その一瞬の光景を見て、自分の最悪な判断ミスを理解したと同時に、剣を握る手の力が急速に抜けるのを感じた。
(し、まっー)
そして
カキン、と
また音がした。
辺りが暗くなりつつある、辺境の街。
ある者は店仕舞いをして明日に備え、ある者は酒場へと向かい今日の働きを労う。そんなありふれた光景が街のあちこちで見られる時間帯。
多くの冒険者たちは、仕留めた獲物や達成した依頼を語り草に、自らが今日見せた輝かしい活躍を自慢し合う。彼らの心の中には、勇敢さと冷静さを兼ね備えた自分自身への賞賛が深く刻まれている。
新参者の彼らが語る言葉は、熟れた果実のように甘く、そして古強者達が語る言葉は強靭な意志の象徴である。彼らの冒険譚は、聞き手たちに生きる勇気と信念を与え、彼らがまだ見ぬ未来に向かって進むための道しるべとなる。
そして、彼らの言葉の響きは、まるで美しく洗練された音楽のように響き渡る。その構文は、緻密で洗練されたものであり、魅力的なリズムと調和を持ち合わせている。
それらを吟遊詩人が紡ぐ旋律に乗せては、まるで魔法のように心を掴み、聞き手たちを彼らの世界に引き込む。そして、その世界は、勇気と希望に満ちた、輝かしい未来を約束しているように感じられる。
彼らの語る言葉は、まさに冒険の精神そのものであり、その輝きは、決して褪せることはないだろう。
しかし、それらの輝かしい冒険譚がほんのひと握りにしか語ることを許されないこともまた事実である。
ちょうど青年剣士の一党もまた、活躍を夢見て、そして夢破れた者の目をしている。
頭目である青年剣士は、冒険者ギルドに到着しテーブル席についたところで今回の冒険を振り返り、自らの不足を余すところなく実感した。命のやり取りをするには覚悟も、知識も、冷静さも、何もかもが足りていなかった。あのゴブリンスレイヤーと名乗る銀等級の冒険者と洞窟の中で偶然出会わなければ、自分は再び日の明かりを見ることは出来なかっただろう。いや、それだけではない。今隣で小刻みに震えている女神官を見る。
何よりも恐ろしいのは、自分はその手で仲間の命を奪うところだったということだ。
ゴブリンと相対したとき、ただ目の前の敵を殺すことに一心を置いた自分は振り抜いた刃がどこに向かうかなど、考えもしなかった。いや、それ以前にあの状況で剣を横に薙ぐなど阿呆のすることだった。己の馬鹿さ加減によって味方を殺すことになるなど、冒険に出発する前には考えもしなかった。結果的には女神官は無事であったものの、あの
あの瞬間、間違いなく剣は女神官の首元へ向かったはずだった。ほんの一瞬のことだったとはいえ、確かに青年剣士はそれを見た。そして肌を切り裂く寸前、何か硬いものに弾かれたように剣が跳ね返されたのだ。その時は何が起こったのか確認する余裕などなかったが、落ち着いて考えてみればあまりにもおかしい。その直後にやってきたゴブリンスレイヤーは、「武器の長さに救われたな」と言っていたが、それは違う。剣は壁面に阻まれることなく女神官へと向かった。あの時、自分が知覚できない何かが起こっていたはずだ。それこそ奇跡のような何かが。
「その、本当に、すまなかった。俺はもう少しで君のことを……」
「あ、あの。もう、大丈夫ですから。気を取り直してください……」
帰りの道程で何度も口にした謝罪ではあるが、いくらしようとも罪悪感は胸にこびり付く。まるであの時起きなかった惨劇がそのまま心の中で再現されたように。
青年剣士は底辺まで沈んだ気持ちのまま、ひとつ気になっていたことを聞いた。
「君は神官だよな? もしかしてあのとき、何か奇跡を使っていたりしたのか? 身を守るとか、傷を癒すとか……」
青年剣士は奇跡を見た事がない。故に女神官が何ができるのかを知らない。一党に誘ったのも、神に仕えているのだから何か凄いことが出来るのだろう、などという、とんでもなく浅はかな考えによるものだった。今にして思えば、何ができるか分からない人物を一党に招いたのも愚かであった。これでは彼女はただ巻き込まれただけではないか。
青年剣士がまたもや自己嫌悪に陥っているところ、女神官は小さく首を横に振った。
「いいえ。確かに私は
女神官の返答に目を見開く青年剣士。まさに自分が想像していたような奇跡を使えることにも驚いたが、それ以上にあの現象が女神官の理解の埒外にあることに驚いた。であればあれは本当に一体何だったのか。こう言っては失礼だが、いっそ口からでまかせでも、神様が我々を救ってくださったとでも言って欲しかった。
しかし、次の女神官の発言に更なる驚愕を味わうことになる。
「でも、私も気になっていたことがあって。おかしいと思っていたんです。その前から」
「……? それってどういう……」
多分ですけど、と女神官が話し始める。
「私、一度ゴブリンに刺されたんです」
「は? 」
「え?」
その言葉が発せられてから、一党の間の空気がピンと張り詰めた。
女武闘家は飲みかけていた冷水の入ったコップを床に落とし、女魔術師は普段は見せないであろう口を開けた表情で固まり、青年剣士は何を言ったのか理解できないといった顔をしている。
その状態が数秒続いた後、最初に口を開いたのは──
「刺されたのならもっと早く言え。死ぬぞ」
ゴブリンという単語を聞きつけたのか、依頼の報告を終え、いつの間にか傍に来ていたゴブリンスレイヤーだった。そして彼は続く言葉でこう言った。
「解毒の奇跡を授かっていたのなら、なぜ言わなかった」
「へっ?」
「それとも解毒薬を持参していたのか」
「いや、あの、その前に話を」
有無を言わせぬ気迫で女神官に迫るゴブリンスレイヤー。一方女神官は彼が何の話をしているのかさっぱり分からず混乱している。その様子を唖然と見ていた一党の他3人は、彼の言葉にハッとして女神官を問いただした。
「あ、あんた!刺されたってどういうこと!?」
「帰り道では無傷だって言ってたじゃない!」
「刺され、た?あの時、間に合ってなかった?」
女子2人は女神官に食ってかかり、青年1人は更に落ち込んでいる。それに対して女神官は物理的に周囲を囲まれた状態で言葉を一斉に浴びせられすっかり萎縮してしまった。
「あ、あのぅ。まずは私の話を……」
その声は段々と小さくなり、とうとう俯いてしまった。その様子を見た女魔術師は我慢ならんといった様子で立ち上がり、女神官の隣で直接こう言った。
「〜っ!あーもうまどろっこしいわね!いいから服を脱いで刺されたってところ見せなさい!奇跡が使えないなら手当してあげるから!あんたも手伝いなさい!」
「合点承知!」
「ふぇっ!?服を、ぬ、脱ぐって……ここでですか!?」
あまりにも唐突に脱衣を要求された女神官は顔を赤くし、来ているローブをぎゅっと抑える。それに構わず女魔術師と女武闘家の2人が両脇から襲いかかり、自らの貞操の危機を感じた女神官はたまらず悲鳴をあげた。
その一部始終を見ていた受付嬢から「ここは公共の場ですよ」という制止の声がかかり、ようやく事態は落ち着いた。
「───ですから!私は無傷で何も問題ありません!」
今なお顔を赤くしながら言う女神官。それに対して一党の面々は難しい顔を浮かべている。
「背中に何かが当たった感覚がして……」
「振り向いたらゴブリンがナイフを突き出していて……」
「んでもって、傷は負っていない、と」
女神官が体験した不自然な現象。その説明を聞いた3人はなんとも言えず押し黙る。
そんな中ゴブリンの専門家であるこの男が言った。
「獲物の背後を取った状態でミスをするほど奴らは甘くない。むしろ確実に殺そうとして力が入る」
「じゃあ、ゴブリンの腕力が足りてなかったとかではない?」
「そうだ。いくら奴らが粗悪な刃を持っていたとしても、背後から刺せば子供ほどの筋力でも簡単に人は殺せる。それこそ鎧でも着ていない限りはな」
「一度だけじゃなく、二度も……」
「ふむ……お前は指輪の類は装備しているか?」
「指輪……ですか?いえ、華美な装飾は戒められているので。そういったものは……」
「では
聞きなれない単語がゴブリンスレイヤーから発せられる。そこで女神官と青年剣士の両名は、頭の中でそれぞれ引っかかりを覚えた。女神官が考えたのは、行きの道程で出会った一人の旅人が別れ際に自分たちに唱えていた言葉。青年剣士は洞窟内で女神官が己を落ち着かせるために唱えた祝詞を思い出していた。
再び思考の海に沈む一党。しかし次第に、今考えても答えは出ないという結論に至り、今日はそこでお開きとなった。
ゴブリンスレイヤーは依頼の報酬の受け取りを拒否し、報酬は一党の内で分配することになった。女魔術師はギルドの職員に洞窟内の構造が変化したことを詳しく伝えるよう求められていたため受付へ。女武闘家と青年剣士は二人分の報酬で宿をとりに。女神官も今日の出来事を思い返しながらギルドの2階へと上がり、思いもよらなかった出来事が連続した冒険者1日目という日を終えることにした。
・大地の結晶
ノースティリスにおいて大量に産出される鉱物。
大地の神オパートスの力が込められているとか。
・聖なる盾の魔法
バリア。
きっと続かないよ