つまり、強さ以外で一級と特級を分ける指標は無く、特級の強さもピンキリ。そして宿儺は特級でも最上位。
四級〜三級の呪霊を何体か食べさせると、喰蛇は三級上位*1の強さになった。
本来、呪霊操術は取り込んだ呪霊を成長させることは出来ず、取り込まれた呪霊の能力は取り込まれた時点で止まる。
なら、何故呪霊操術で使役する呪霊を一体に絞り、取り込む時点で四級以下の雑魚に限定するのか?
その答えは単純。
縛りと恩恵の内訳は以下の通り。
| 使役する呪霊の数の制限 | 下記恩恵の強化 |
| 使役する呪霊と命の共有 | 呪霊の成長可化 |
| 使役呪霊の初期階級制限 | 成長促進、術式付与 |
| 呪具と術式の併用を禁ず | 術式強化 |
| 上記に反した場合死亡 | 身体能力等総合強化 |
この中で特に重要なのは、二つ目と三つ目。
二つ目は言うまでもないだろうが、三つ目は実質的に極ノ番による術式の抽出や複数の呪霊の使役を使えない俺にとって、
付与される術式は『摂食進化』。呪霊を食べることで、その呪力、技能、性質、そして
極ノ番『うずまき』を術式に落とし込み、複数の術式を保有する特級呪霊を人工的に作り出す。それが俺の呪霊操術の本質。
「そろそろいい時間だね。帰ろうか」
「ろくな呪霊が居なかったな⋯⋯。次からは一人で行け」
「辛辣だね」
宿禰はお気に召さなかったらしい。自分で着いてきたくせに。
「帳を下ろす必要が無いのは良いんだけど、呪霊の格が低くて成長もゆっくりになっちゃうしね。早いとこ一級認定が欲しいよ」
「一級⋯⋯?」
どこか納得が行っていない様子の宿禰。
特級と言わなかったことが気になるんだろう。
「特級は将来なるだろうからね。まだ六歳だし、今は特別一級でいいよ。どうせ高専に行ったら特級認定されるんだし」
「高専の忌庫には多くの特級呪物が保管されているんだったか?」
「そうだね。御三家にもあるだろうけど、高専はもっと多いと思うよ」
呪物なんて何が気になるんだろう。
食べさせてもそんなに恩恵ないんだよね、呪物って。
前世で実験したんだけど、呪物は呪霊に食べさせるより、呪物の受肉体を食べさせた方が恩恵が大きい。
呪物単品だと術式や呪力の取り込みが上手くいかないらしく、ただただ呪物を消費するだけとなった。
普通の呪霊の場合、呪物を取り込むとその格に応じて強化される*2。しかし、俺の使役呪霊は何か違うのか、これといった強化も無かった。
だから、前世では死刑を言い渡された罪人に受肉させ、その受肉体を呪霊に食べさせた。
あの時はどんな奴だったっけ⋯⋯? 受肉した
平将門とか長屋王も食べさせた気がしなくも無いような⋯⋯。
「宿禰、もし君が受肉体になったら養分にしてあげるね」
「ハッ、分を弁えろ痴れ者が」
「出来ればそこそこ使える術式のやつになってね?」
「それが遺言でいいか?」
口が悪いなぁ⋯⋯。
まあ、まだ勝ち目ないだろうから今はやらないで欲しい。二十年後くらいならやってもいいよ?
「戻ったよ。歓迎しな?」
「お帰りなさいませ。宿禰様、殲景様」
十歳になった。
俺も宿禰も特別一級術師に認定され、日本中を飛び回る日々である。小学生だろって? こちとら御三家やぞ。国民の三大義務なんぞ二大義務*3と化してるわ。
喰蛇も一級上位になり、そろそろ特級呪霊の捕食にも手が届きそうな今日この頃。まだちょっと怖いからやめて欲しいけどね。
「次の任務はー⋯⋯三日後に熱海? 観光していい?」
あ、そうそう。加茂の当主が変わったんよ。
原作の当主だと思うんだけど、名前知らんのよね。多分
ちなみに、今までで一番のクソ任務は真冬の北海道で熊の産土神呪霊と戦った時。一級でも上位の呪霊だったし、凍死しそうなほど寒いし、視界悪いしで死ぬかと思った。
あんな任務は宿禰にやらせておけ。なんで俺にやらせるんだ俺に。術式的にも俺より宿禰の方が向いてただろうが。
「もう十歳かぁ⋯⋯。早⋯⋯十歳? 今年1999年? ノストラダムスの大予言で特級呪霊出るじゃん絶対」
「あと一ヶ月で文月です。殲景様」
チェン〇ーマンでもノストラダムスの大予言やってたからね。多分この世界でも特級呪霊出るよ。特級仮想怨霊『恐怖の大王』。あるいは『アンゴルモアの大王』。
一ヶ月で特級とかキツいっす⋯⋯。一級まで三年半かかったんですけど⋯⋯? 前世で特級相当になったの十三くらいだぞ!?
今回だって前世より早いペースなのに、あと一ヶ月!?
無茶やて工藤。
「別に殲景様が戦う必要は無いのでは?」
「だって欲しいじゃん。恐怖の大王の術式」
実際に産まれてみないとわかんないけどさ。多分特級になると思うんだよね。テレビとかでも散々煽ってるし。
「養分にも丁度良いと思うんだよね。そろそろ特級に届きそうだしさ」
「五条の抱き合わせに負けず劣らず、殲景様も大概ですね」
「将来的には超えるよ。俺の目標は指二十本分の完全体宿儺に圧勝することだからね」
「無下限と六眼の抱き合わせに⋯⋯ですか?」
「調子乗ってる甘党クズに⋯⋯ね」
ちなみに会ったことは無い。宿禰はあるらしいけど、俺その時任務だったんだよね。
宿禰曰く、強いけど越えられない壁では無いらしい。
本人には言わなかったらしいけど。
「なぁ、その調子乗ってる甘党クズって俺の事?」
「文句あんのか甘党クズ⋯⋯五条悟!?」
「お前ら兄弟、揃いも揃って俺の事嫌いすぎだろ」
「甘党クズと白髪クズと六眼クズどれがいい? オススメはクズ」
「⋯⋯何、喧嘩売ってんの?」
「買ってくれんのか? デッキ出せよ」
俺と五条悟はプレイマットとデッキを取り出した。
「「最初はグー、ジャンケンポン!!」」
「っしゃ勝った!」
「くっ⋯⋯先攻は譲ってやる」
突然始まった御三家同士の
エキスパートルールで行われた決闘の勝者は──
「──俺の勝ちだ。六眼で呪力は見えても、ドローカードまでは見えなかったみたいだね」
「いや、エクゾディア揃えただけじゃねーか!」
そう、初期手札はエクゾディアと右足、強欲な壺三枚の五枚。そして後攻の俺はドローカードで天使の施しを引き、強欲な壺三枚で六枚ドロー。引いたカードは右足、左足、天使の施し二枚、光の護封剣、死者蘇生。天使の施しで三枚引き、右腕、左腕、落とし穴。右足と天使の施しを一枚ずつ捨て、手札をオープンして終了。
一分に満たない酷い後攻ワンキルだった⋯⋯。
「ドロー力強すぎるだろ! 武藤〇戯か!?」
「いやぁ⋯⋯それほどでも」
「褒めてねえよ!!」
非常に残念な話だが、これが後の特級術師である。
現代最強の術師である五条悟に(デュエルで)勝ちました。これは間違いなく最強の主人公。