宿儺と相討ちになったら宿儺が増えた   作:新菜 椎葉

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 夏油は高専入学時一級でしたが、特級と表記してしまっていたので訂正とともにお詫び申し上げます。
 五条は明確に表記されていないため、入学時から特級だったという扱いにします。


京都府立呪術高等専門学校

 今日から呪術高専京都校に通うことになりました。

 アンゴルモアの恐怖の大王? 特級に近い一級呪霊だったよ。そこら中に似たような呪霊が大量発生して、術師も結構死んだ。

 特級は東奔西走の大忙しで、特別一級の俺らも移動時間=休憩の繁忙期だった。一体の強力な特級呪霊が出てくると思ってただけに、肩透かしを食らった気分だったよ。俺が煽ってたせいで宿禰も不機嫌になるし、許せねえよアンゴルモアの大王。

 事態収拾後は兄弟喧嘩が領域使うようなガチバトルに発展したし、もうちょっとで死ぬかと思った。生きてるけど。

 

「東京校行きたかったなー」

「戦力が集中しすぎるのでダメですって何回言わせるんですか、殲景様。というか同じ代に三人も特級術師が居るとか豊作通り越しておかしいですよね?」

「黄金世代ってやつかね? あるいは地獄の世代」

京都校(こちら)は貴様と俺の二人、東京校(あちら)は五条悟とあと一人と虫。確か、一人は貴様と同じ呪霊操術の使い手だったか?」

「夏油くんねー⋯⋯間違っちゃいないんだよ? 面制圧、物量、対応能力としては正しい選択だし、なんならあっちが正道でこっちは邪道だから」

 

 でもなー⋯⋯あのやり方じゃ強さの天井が低いし、悟や宿儺、宿禰みたいな突出した個を相手にするには不足なんだよね。

 メタが効く相手には有効なんだけど、群を真正面から叩き潰せるような個には通じない。実際、それがわかってたから原作で祈本里香を求めたわけだし、それができなかったから悟に負けた。

 呪術廻戦じゃないけど、Fate/Zeroで王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)に負けたのも同じ理屈だしね⋯⋯。

 やっぱ無限の群より究極の一、最強の個なんだこの世界。

 ゴリラ廻戦は伊達じゃないね。

 

「呪術って、実は正規運用するより非正規運用した方が強いこともあるよね」

「それは修羅の道ですし、燃え盛る有刺鉄線の上を平然と裸足で歩けるような一摘みの天才の理屈ですね」

「命と苦難を比較して、命を優先しただけだよ」

 

 死ななきゃ反転術式で復活できるからね、俺ら。⋯⋯まあ、俺に関しては何故か産まれ変わってるけど。

 羂索が何かしたんかな? あいつもそのうち消さないとなぁ⋯⋯。

 あ、高専着いた。

 

「おん? どうしたのおじいちゃん、出迎え?」

「老人の肉は固くて好まん。失せろ」

「入学早々悪いが任務が出ておる」

「⋯⋯学校生活は?」

「特級を遊ばせておく余裕なぞない。東京校は知らんがな」

「クソジジイどもが⋯⋯どこだよ任務地」

「面白い呪霊なんだろうな?」

「加茂宿禰、任務地はアメリカのラスベガス付近。対象は特級呪霊。加茂殲景、任務地はギリシア。対象は同じく特級呪霊」

 

 ギリシアで特級呪霊⋯⋯?

 てかラスベガスとか人口密集地じゃん。

 

「任務書は?」

「補助監督に渡してある。移動中に確認しろ」

「へーい」

「特級か⋯⋯少しは骨のあるやつであることを願っておこう」

 

 どうせだし特級呪霊の任務優先的に割り振ってもらお。

 インド、ギリシア、エジプトは特に優先して欲しい。

 日本でも八岐大蛇の呪霊とか出ないかな⋯⋯水害に対する恐れとかそんな感じで。

 

「おじいちゃん、上層部に特級呪霊の任務は優先的に受けるって言っといて」

 

 宿禰は一足先に居なくなってた。暇してたんだね⋯⋯。

 

 

 

 そんなわけでやって来ましたギリシア南西部。

 ナフプリオ北西の山間部だね。言われてもわかんねえよ。

 

「闇より出でて闇より黒く、その汚れを禊ぎ祓え」

 

 補助監督が帳を下ろしたのを確認し、山の中を捜索していく。

 数分ほど歩き回り、本当にこの場所で合っているのかと疑い始めた頃、突然周囲の景色が変わった。

 吐き気を催すほどの臭気、泥濘となった足場、徐々に強まる全身の痛み⋯⋯毒を持った生得領域!

 すぐさま反転術式で回復し、喰蛇を──

 

「──下!」

 

 咄嗟に跳び退き、ギリギリの所で顎を躱す。

 地形ごと飲み込む巨大な蛇の呪霊。人間なんて一口で丸呑みにされるだろう。もう少しで被害者に仲間入りするところだった。

 呪霊は頭部と首だけを出しており、尻尾は見えない。万里ノ鎖のような無限に伸びる術式か?

 いや、それだと毒を持つことに説明がつかない。ギリシアという土地を考えれば、こいつの正体は一つ。

 

「ヒュドラの呪霊⋯⋯か。ってことは⋯⋯」

 

 次々に襲いかかってくる蛇の頭。猛毒を持った巨大な多頭蛇の呪霊ってわけ。

 喰蛇出しても多勢に無勢、的増やして死ぬのも馬鹿らしい。

 なら、残った手札を切るだけ。

 

術式反転『(まとい)

『拡張術式〈生成(なまな)り〉』

 

 通常の呪霊操術の反転は知らないが、俺の術式反転は()()()()()()()()()()術式だ。

 そして、性質上どんどん強くなる呪霊を身に纏えば、それだけ体にかかる負担も大きくなる。

 それを制御するために四つの段階に分け、拡張術式として設定した一つ。それが〈生成り〉。

 〈生成り〉は四段階で最も出力が低いが、肉体に負担がかからない程度。継戦能力が最も高い偵察用の形態。

 名前通り生成りの能面を被り、二尺三寸*1の刀を持った姿になる。

 この能面と刀は喰蛇が変化した姿で、段階ごとに装備が増えていく。呪霊だから縛りには抵触してない。

 

「術式寄越せよ。なあ強い術式だ!! 汎用性に長けた強術式だろう!! 使える術式だろお前!」

*1
約70cm




 ここまで盛大なタイトル詐欺を見たことがあるだろうか⋯⋯
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