ぽっかり穴を開けてしまい1週間の停学処分を食らった俺と母親は学校に呼ばれみっちり怒られてしまった。
「ごめん母さん。俺後輩やサッカー部を馬鹿にしたやつを許せなかった。」
母に頭を下げて謝ると少し困った顔をしていたが
「夏希のその友達のために怒れることはとてもいいことよ。でもそのあとに自分がどんなことをしたかによって周りの友達にも影響しちゃうこともあるんだからね。怒ってもいいけどそのあとのことを考えなさいね。」
まったくもってその通りだった。俺のせいなのかはわからないがあの後円堂から話を聞いたが突然練習試合をすることが決まり、負けたら廃部というとんでもないことを言われてしまったのだ。
それも相手は40年無敗の帝国学園だ。
しかし部員は8人しかいない。そのためには部員をあと3人は集めないといけないと思って気合を入れたが、試合は3日後。つまり停学中の俺は練習試合にも部員集めも参加することができないのだ。
円堂に謝罪をすると
「気にするなって!俺達を信じろ!」
なんでそんなに信頼するかって?あいつの根性や勇気を認めているからかな。
試合終了した円堂から
「勝ったぜ!今日すげーやつが来たんだ!」
と大興奮で電話が来たので廃部は免れたようだ。
そして1週間の停学処分が終了した。
けど俺は朝から体が重く感じていたため停学明け早々欠席をしたのだ。
朝のうちからしっかり休んだのか、それとも杞憂だったのか午後には体調も良くなり円堂から今日の練習場所を教えてもらい河川敷まで足を運んだ。
河川敷につくといつものメンバーと一緒に新しく入った部員たちがいた。どれも学校で見たやつらだ。しかし1人だけ、円堂と話している立ち上がった特徴的な髪をしたやつがいた。学校でも見たことがないその少年から発せられた言葉で理解をする。
「円堂…俺やるよ。」
どうやらこいつが円堂の言っていた「すげーやつ」ってことなんだろうな。
そんなことを思っていると2年のFW、染岡に
「エースストライカーの座は渡さねえ」
と宣戦布告を受けていた。
俺の足音に気づいたのか後ろを向いた円堂は俺を見つけて手を振っている。
「おーい!夏希ー!」
少しぎこちないながらも河川敷のコートまでいく。近くまで行くと「すげーやつ」が誰なのかが判明した。
木戸川清修サッカー部のエースストライカー『豪炎寺修也』だった。
「円堂の言っていた「すげーやつ」が豪炎寺だったのかぁ…」
「びっくりしただろ!?今日から豪炎寺も雷門サッカー部の一員になったんだ!あっ豪炎寺、こいつが夏希だよ!」
「そうか、知っているとは思うが今日から入部した豪炎寺修也だ。ポジションはFW。」
「よろしく豪炎寺。今日からってことは転校してきたんだな。俺は竜咲夏希。MFをやっている。そんで染岡、なんか自身たっぷりだけど何かいいことあったのか?」
話が降られるとこちらを向く染岡は「ニッ」と笑い
「ああ!俺だけのシュートを編み出したぜ!その名も…ドラゴンクラッシュだ!」
「『ドラゴンクラッシュ』か、響きがよくていいな!俺にも見せてくれよ!豪炎寺も!お前のシュートが見てみたいな。」
「フッ、いいだろう。」
豪炎寺と染岡はゴール前に立つ円堂へ自身の必殺技をぶつける。
「まずは俺からだ!行くぜ円堂‼『ドラゴンクラッシュ』!」
気を溜めて蹴りだすシュートに青色のドラゴンが出現しボールとともにゴールへと向かう。円堂は両手で止めるがすぐに円堂ごとゴールネットに突き刺さった。
「すげえじゃんか染岡!これがお前の必殺技か!」
「へへ!豪炎寺!お前には負けねえぞ!」
指をさして豪炎寺に高々と宣言をする染岡だったが
「人に指さすな。『ベシッ』」
頭をはたき染岡を止める。
「いてえじゃねえか竜咲‼…わりぃ」
「わかればいい。次は豪炎寺だな!いいシュートを期待してるぞ!」
「いくぞ円堂!『ファイヤートルネード』!」
空高く飛び上がり足に炎を纏った豪炎寺が超回転でシュートを繰り出した。
「ぐわぁ!」
両手を構えて止めようとする円堂をノンタイムでゴールネットに突き刺さった。
「いつつ…流石豪炎寺だな!染岡にも負けてないいいシュートだった!」
「フン、やるじゃねえか。」
「お前のシュートもなかなかだったぞ。」
お互いを認めたのか染岡と豪炎寺は拳を合わせた。うん。いいチームに育ってるな。
「おーい!夏希ー!お前も久々にシュートしてみろよ!お前のシュートまた受けてみたい!」
今度は俺の番か。1週間ぶりの練習に心を躍らせつつ受け取ったボールを地面に置く。
「いくぞ円堂!『火竜の咆哮』!」
つま先に一点集中をした気が火花となりボールに触れた瞬間に一線の真っ赤な炎がドラゴンのブレスのようにゴールまで飛ぶ。
「さすが夏希!俺も完成したんだ!じいちゃんの技が!『ゴッドハンド』!」
円堂は手に気を溜めて上に突き出すと黄色の巨大な手が出現する。それは神の様なそんなオーラを纏っていた。
俺の必殺技は円堂の『ゴッドハンド』により綺麗に手へと収まった。
「くっそー!負けたぁ!!」
「へへ!じいちゃんの技は最強なんだ!今回は俺の勝ちだな!」
そんなやり取りをしていると1年たちが俺の方へと飛んできた。
『竜咲さん!お帰りー!!』
「お前ら!く、苦しい!離れろ―!!」
もみくちゃにされて俺は朝風邪ひいたことを思い出しただろうか、そのままなすすべなく抱き着かれた。
「あれが竜咲か。円堂に『ゴッドハンド』を出させるなんてな。」
「あいつはもともとFW素質があったらしいんだが、よく暴走するやつなんだよ。だから克服するために試合や選手を見て視野を広げるっていう名目でMFになってるんだ。」
「暴走気味か、後輩のために馬鹿にしたやつを怒ったそうだな。」
「まぁ暴走する原因は自分じゃなくて仲間のために暴走するからな。だから俺たちは円堂と同じように信じてるんだ。」
「明日は尾刈斗中との試合だ。勝つぞ。」
「おう!」