次の日の雷門中学。今日は俺の初試合となる尾刈斗中との練習試合に挑むことになる。
マネージャーから聞いた話だと呪いを使うサッカーチームだというが呪いなんてものが存在するとは思えない。そう考えているがこのよくわからない超次元サッカーならあり得るんじゃないかとむりくり思わせてくる。
なにより尾刈斗中の監督は豪炎寺にしか興味がなく俺達をイラつかせてきた。染岡が食ってかかろうとしたところを円堂が納めるのと同時に豪炎寺の
「雷門中のストライカーは1人じゃないということを教えてやろう」
という言葉に試合に染岡も集中し始めた。
そして調整も終わり試合が始まる。初試合の俺にとってはワクワクが止まらない。
「よーし!みんな行くぞ!勝とうぜ!」
円堂の掛け声と審判のホイッスルと共に試合が始める。
さっそく速攻として豪炎寺から染岡にボールが渡ると染岡がそのまま攻め上がった。
「いくぜ!俺の必殺技!『ドラゴンクラッシュ』!」
青色の竜が咆哮を放ちながらゴールに目掛けて飛んでいく。
「何!?」
キーパーが驚いているからかそのままゴールへと抵抗もせず突き刺さった。
『ピーッ!』
ホイッスルが鳴り響き雷門が先制したことを証明した。
「ヨシ!」
染岡がガッツポーズを取り自身の存在を示した。
「ナイスシュート染岡!」
円堂の称賛の言葉に豪炎寺も同意し
「流石だ。いいシュートだ。」
染岡も自分がストライカーとして通用することに自信を持ち、やる気満々の目が染岡を輝かせている。
「くくく。豪炎寺君以外にもあんなシュートが打てる選手がいただなんてね…なめんじゃねえぞカスども!お前らやっちまいな!」
なんと丁寧な言葉を使っていた尾刈斗中の監督が豹変した。
「あれって二重人格ってやつ?」
「いや、ただ皮被ってただけだろ」
風丸と若干引き気味になりながら監督におびえた。
そのままプレー再開となり再度相手からボールを奪おうとするとなにか尾刈斗中の監督が言い始めた。
『ゴーストロック!』
尾刈斗中の必殺技が出たと思った瞬間足が突然動かなくなった。無理やり動かそうにもなぜか動かない。その隙に相手が攻め上がりとうとうゴール前まで行ってしまった。
「くらえ!『ファントムシュート』!」
掛け声とともに蹴りだすと紫色のオーラを放ったボールが分裂し最後に一つになって円堂に襲い掛かる。円堂もゴーストロックによって動けなくなっていてそのままゴールへと入ってしまった。
これで1対1、同点に持ち込まれて戦況は五分五分かと思ったが動けなくなるゴーストロックによってみんな焦りが出てきている。
しかし染岡はそんなことも関係なしといった様でまた染岡がゴールへと走っていった。
俺が染岡にパスし再度ドラゴンクラッシュを打つが…
「『ゆがむ空間』」
まっすぐゴールに入ったと誰しもが思った。だがシュートは尾刈斗中のキーパーに吸い込まれるように手の中に納まった。
「どういうことだ…?」
あの染岡が感情移入し過ぎでシュートの加減を間違えるはずがない。
「染岡、大丈夫か?」
気になり声をかけるがシュートを防がれたことにイライラしながら
「大丈夫に決まってんだろ!少し調整をミスっただけだ!」
そのままポジションに戻るが何か不可解だ。その違和感に気づいたのか豪炎寺も考えてるようだ。
「豪炎寺、さっきの染岡のシュートだけどさ」
「竜咲も気づいたか。染岡のシュートは何も問題がなかった。だが、なぜかわからないが蹴りだした瞬間から力が入っていないように見えた。」
「うーん…。キーパー技の『ゆがむ空間』か流石に空間をゆがますことができるなら帝国サッカーも俺達みたいに尾刈斗中サッカー部を潰す可能性だってある。辻褄がなかなか合わないな。」
「ああ、それに俺たちの動きを止めた『ゴーストロック』。あれも不可解すぎるやはり呪いなのか…?」
募る疑問は拭えず、またゴーストロックを使われ円堂はゴールを許してしまった。
そして前半はシュートをしてもゴールを逸れる状態が続いた。
「前半終了!ハーフタイムに入ります」
「点数は2対1か。勝つためにはゆがむ空間とゴーストロックを攻略しないといけないな…」
考えても全く検討がつかない状況だ。
「やっぱり呪いなんすよ!足が動かなくなるのも絶対呪いっす!」
壁山がビビって逃げようとするも宍戸と風丸に押さえつけられた。
「んなわけないだろ。」
風丸の冷静なツッコミにも落ち着くことはできずに体が震えているようだ。
「じゃあなんで動けないんすか!」
「わからない…。でも何か秘密が絶対あるはずだ!」
円堂も困惑しているのか具体的ななにかがわからないよう…?
「なあ、ゴーストロックをするときあっちの監督が何かしてなかったか?」
ふと疑問になり発言をするとみんな俺の方を向いた。
「ほんとか?夏希」
「ああ、なんかまー、まれーと見たいな」
「なんだそれ、呪文か何かか?」
染岡からも苛立ちが募るのか突っ込まれた。
「いや、俺にもわかんねえよ。ただ、あの監督なにかをしてるのには変わらないはずだ。なにかきっかけでもあれば…。」
「まれーと…なんかマーマレード見たいっすね。」
涎をたらし始める壁山に風丸と宍戸もため息をついた。
「お前なぁ…」
飽きれる俺に円堂はまぁまぁと窘めてチームに気合を入れさせる。
「答えは試合をしてれば見えてくるはずだ!後半はもっとシュートを決めていくフォーメーションにしよう!頼んだぞ!豪炎寺!染岡!」
「ああ、今度こそ決めてやる!」
俺が決めて勝利をしてやるといった勢いの染岡に、なにか引っかかりを覚えてるのか沈黙する豪炎寺だった。
「さあ後半だ!」
キックオフすると豪炎寺が少林にバックパスをした。
「おい豪炎寺!」
染岡の怒号に対して豪炎寺は何も言わない。
「なんでファイアトルネードを打ちにいかないんだよ豪炎寺‼」
円堂も疑問が募るばかりか豪炎寺のプレーに文句を言っている。
何か見つけた様子ではなかった。つまり探ろうとしているのか?
「どうしたんだ豪炎寺、俺でよければ力貸すぞ。」
「竜咲、闇雲に向かっていっても勝てない。まだ、早いと思うんだ。」
その言葉に染岡は怒りの頂点が達したのか「…っこの腰抜けめ!」と言い放ち少林と共にゴールへ向かおうとするがディフェンスに止められてしまう。
「豪炎寺、なにかはわからないが染岡がこのまま動き回れば正体をつかんだとしてもバテて満足なシュートが打てなく…満足な…?」
満足なシュートが打てない?前半の時に決めたドラゴンクラッシュよりもそのあとのシュートが弱くなっている…?まさか
「豪炎寺、確かめたいことがある。時間はそれほどかからせないから一回だけ俺にシュートを打たせてくれ。」
「…わかった。何か気づいたのか?」
「いいや、俺のシュートでただ確かめたいことがあるだけだ。多分止められると思うからカバーをしてほしいんだ。何言ってるかわからないかもしれないが一回だけでいい、頼む」
豪炎寺はまっすぐに俺を見た。それが信じていいものなのか考えているみたいだ。
どのくらいの時間が経ったのか、実際にはそこまで時間は経っていないが豪炎寺の見据える目が俺に覚悟をみせているかのように感じた。
「わかった。お前を信じる。」
「!ありがとう」
染岡も何とかしようと頑張っているんだ。あいつがシュートを満足にできようサポートする‼
「染岡!俺にボールをくれ!」
「竜咲⁉いやここは俺が決める!決めねえとダメなんだ!」
「わかってる!お前もストライカーだ!だから一回だけでいい!確かめさせてくれ!」
その言葉に染岡も理解してくれたのかボールを俺に渡してくれた。
「染岡!豪炎寺!しっかり見ててくれよ!『火竜の咆哮』!」
異世界の魔導士が使うドラゴンの炎がまっすぐゴールに向かう。しかし
「『ゆがむ空間』」
またしても止められてしまった。
だが、
「2人ともわかったぞ!ゆがむ空間の弱点!」
「マジかよ!どうやるんだ!?」
「答えは簡単だ。真正面から撃たなければいい。」
「はぁ!?意味わかんねえよ!」
「だからぁ!正面から撃たなければ簡単にゴールを決められるんだって!」
言葉足らずなのか染岡は理解できていないようだ。
「おい!言い合いしてる暇はないぞ!」
豪炎寺の言葉に気づくと尾刈斗中メンバーが自陣まで入り込んできていた。
「『ゴーストロック』!」
すぐにボールを取り返そうとするとまたしても足が動かなくなってしまった。
だが、
「ゴロゴロゴロ…ドッカーン!!」
大きい声が円堂から放たれる、その瞬間から足が動くようになった。だが円堂がファントムシュートに間に合わない。
「だったら…『熱血パンチ』!」
火の灯った拳でシュートをパンチングで止めた。
「わかったぞ!ゴーストロックの正体!あれはただの催眠術だ!頭の中がぐちゃぐちゃになっていたところにあの監督の呪文をすることによって動けなくされていたんだ!」
円堂のその言葉に全員が気づき、ボールが渡る。
「そういうことか…!竜咲!俺にボールをくれ!今度こそ!」
「頼むぞ!」
染岡にパスを渡す。気づいてくれたのかわからないが…。
染岡はそのままゴールへ向かっていくがキーパーはゆがむ空間を放ち始めた。
「染岡!竜咲の言っていることはあれも催眠術ということだ。三半規管がブレてまたシュートが弱くなるぞ!」
よしっ、豪炎寺には伝わっていたか!
「そういうことか…!お前らすげえぜ…!」
ばらされたことに焦りを感じたのかDF陣が染岡を止めに入る。だが
「やらせねえよ!行け染岡!」
俺があいつらのシュートを邪魔させないようにブロックに入る。
「おう!豪炎寺ィ!!」
染岡の大声に豪炎寺もシュートの体制を作り始める。
「『ドラゴンクラッシュ』!」
染岡のシュートは上へと飛んでいく。そのシュートを豪炎寺が
「『ファイアトルネード』!」
炎を纏ったドラゴンが上空から降り注いでいく。上の方からのシュートにゆがむ空間は通じず、キーパーもろともゴールネットへとたたきつけられた。
「ゴール!!雷門同点!」
これで2対2となったがこの得点は得たものがはるかに大きく、試合が再開しても止めることはできなかった。
「竜咲!決めろ!」
俺にパスを回してきた豪炎寺のボールをしっかりととらえる。
「じゃあ俺も新必殺技と行くか!『火竜の鉤爪』!」
オーバーヘッドのモーションで上から蹴り込む。キックと同時ではなく蹴った後に炎で作られた竜が放たれ、勢いよくゴールへと突き刺さった。
そして3対2で雷門の勝利となった。
「よっしゃー!これでフットボールフロンティアに出場できるぞ!」
円堂は大喜びで壁山達と勝利をかみしめている。
「竜咲、豪炎寺」
染岡に声を掛けられ振り返ると染岡はポリポリと顔をかき
「ありがとな。お前らのおかげで俺も雷門のストライカーになれた。」
突拍子もない感謝に俺は少し照れ、豪炎寺は当然だとでも言うように「フッ」と笑った。
「俺達はチームだ。俺と染岡2人で雷門のストライカーだからな。」
豪炎寺も染岡を認め握手をする。よかったな染岡。
「あの染岡くんと豪炎寺くんの技、『ドラゴントルネード』と名付けましょう。」
突然出てきた目金が提案をすると
「いい!それいいじゃん目金!なあ!」
円堂が気に入ったのか薦めてくる。
「いいな、俺たちの必殺技、ドラゴントルネード。」
だが、その言葉に1年たちが反応した。
「でも竜咲先輩の必殺技も炎のドラゴンですよね?いいんですか?」
「別に俺は気にしないぞ?いいじゃんかドラゴントルネード。ファイアトルネードとドラゴンクラッシュが合わさったって。それに考えてみろよ。ファイアクラッシュってなんか変じゃね?」
「確かに…」
「と、いうわけで染岡、豪炎寺の技はドラゴントルネードだ!」
さて、ここからフットボールフロンティアに出場だ。絶対優勝するぞ。