彼は自分の顔が嫌いだった。彼の顔は醜いものではないが、喧嘩を売っているよう目をしていたという。人はそんな彼を迫害した。彼は耐えられなくなり、死に場所を探した。そして山奥に入ったその時だった。
『魔力…魔力…』
『…?』
『魔力魔力魔力魔力ーーーー!!!』
突如、魔力と叫ぶ謎の人物に体当たりされ、一緒に飛ばされる。彼が最後に見たのは、目の前に迫ったトラックだった。
◇
「まさか前世のシェロがそこにいたなんてね」
「死に場所を探していたとはいえ、こんな形で死ぬとは思っていなかったがな」
シドとシェロは前世の事を思い出しており、シェロはトラックの運転手に申し訳ないと思っていた。すると2人の姉であるクレアがやってくる。
「シェロ!あんたまた紙袋なんか被って!」
「うるせえな、俺の勝手だろ」
シェロは日頃から紙袋を被って顔を隠す癖があった。何故そういうことをするのか、それはふと自分の顔を鏡で見たときに自分の顔が醜く見えたからである*1。それから彼は前世のトラウマから顔を隠さないと人前に出れない状態なっているのだ。
◇
とある廃村の一軒家、そこにはアルファ達七陰が暮らしていた。すると、ドアがノックされる。アルファがドアを開けるとそこにはシェロがいた。
「シェロ、来てくれたのね」
「あぁ、最近はどうだ?なんか不自由なこととかあるか?」
「大丈夫よ、あなたが心配するようなことはないわ」
「そうか」
シェロは七陰達の様子を見に、よく廃村に来ていた。するとアルファがシェロに前から聞きたかったことを打ち明ける。
「シェロ、あなたはどうしていつも顔を隠しているの?」
アルファがそれを口に出した瞬間、他の七陰達も一斉にシェロの方を向く。
「俺は、お前らが思っているような面じゃない」
「それって師匠はブサイクってことなのです?」
「デルタ!」
デルタのド直球過ぎる発言にアルファは彼女を注意する。するとシェロは溜息をつきながら上を向く。
「ブサイク…か。そうかもな…」
「シェロ、私達はあなたがどんな顔だろうと気にしないわ」
アルファはシェロにそう言うが、彼はそれでも顔を見せる気になれないようだった。その時だった。
ガシャーン!!
「「「!?」」」
「なんだ!?」
突如窓ガラスが割られ、シェロは外を見てみる。そこにはジャマト達が群がっていた。
「あれは…!?」
アルファ達が驚いていると、シェロが飛び出し、ジャマト達と交戦する。
「こいつらには指一本触れさせん!!」
シェロは剣に魔力を込める。すると、魔力のオーラがシェロを包み込み、周囲の住宅の窓ガラスが割れる。
「この魔力…、主様とはまた違う強力な…」
ガンマがシェロの強力な魔力に驚いていると、アルファが叫ぶ。
「待ってシェロ!こんなにも魔力を込めたらあなたの体が!」
「アルファ様…?」
一方、シェロとは遅れて廃村に向っているシドは強力な魔力を感知する。
「この強力な魔力…、シェロだね…」
シドはまるで急ぐかのように走り出した。
(シェロ、君は無茶ばかりするね。まあそこが君らしいんだけどね)
◇
「シェロ!これ以上はもう…!」
「アルファ様、どういうことですか?いったい彼は…」
ベータは何故アルファがシェロを止めようとしているのか聞く。するとアルファは話し出した。
「…彼の魔力は、底知れぬ強大な力があるの。だけどその魔力に彼の体が耐えられない。下手すれば命に関わるかもしれない...!」
「「「!!」」」
すると、シェロは突然糸が切れたかのように倒れかけた。どうやら体の限界が近いようだ。
「シェロ!私達もいくわ!」
アルファ達七陰がシェロの前に立つ。そしてジャマト達と戦闘を始めた。しかし、ベータ、ガンマ、イータなどの一部の七陰はまだ戦闘慣れしておらず、ジャマトに押され気味だった。シェロは体に鞭を打つように再び立ち上がり、剣を振るい、七陰達を助ける。その瞬間、シェロは吐血した。
「師匠!血が出ているのです!」
「無茶だよ師匠!」
「無理は禁物…」
デルタ、ゼータ、イータも彼を止めようとするが、シェロは止まらない。すると黒いスライムがシェロの体に巻き付いた。
「全く無茶ばかりするね、シェロは」
「シャドウ!」
シェロにスライムを巻きつけたのはシドだった。
「なんだよシド、これは何の真似だ?」
「君は魔力が強力過ぎて体を壊しちゃうんだから、無理せずにここは僕に任せてよ」
シドはスライムソードでジャマト達を斬り伏せた。するとジャマトの一体が黄色の箱を落とした。
「ん?なんだこれ?箱?」
シドはその箱を開けてみようとするがびくともしない。
「開かないね…」
すると、シドに向って斧が飛んで来た。シドはそれを躱すが、地面に突き刺さった瞬間、斧が爆発し、シドは吹っ飛ばされた。
「シャドウ様!」
「主様!」
七陰達が心配するがシドは何事もなかったかのように立ち上がる。
「へえ、面白いね、爆発する斧なんて」
シドの見る先には、ウツボカズラのようなジャマト、ルークジャマトがいた。
「ワスビルクビトケチャ!!」
「へえ、僕とやる気?いいよ、相手に──」
「待てシド、俺がやる」
シドがルークジャマトの相手をしようとした瞬間、シェロが止める。
「シェロ、無理しないでって言ったじゃん」
「シド、お前が持っている箱、多分俺しか使えない」
「ん?どういうこと?」
シドが疑問に思っていると、シェロはシドが持っている箱をあっさりと開けた。これにはシドも目を見開く。箱の中にあったのはデザイアドライバーとシローのIDコア、そしてスパイダーフォンだった。シェロはそれを取り出し、装着する。
DESIRE DRIVER
ENTRY
シェロは、仮面ライダーシロー エントリーフォームへと姿を変えた。そしてルークジャマトの間合いに一瞬で入り、拳を叩き込んだ。
「ジャ…!?」
ルークジャマトはふっ飛ばされ、木に激突する。するとシローはあることに気が付く。
「体が…軽い…!魔力が…苦しくない…!」
なんと魔力を込めても負担が軽くなっていたのだ。デザイアドライバーで変身したおかげかは分からないが、シローは剣を構える。
「ビ、ビリラオズキョチャー…!」
ルークジャマトはシローを見て、少し後ずさる。すると次の瞬間、シローはルークジャマトの後ろにいた。
「ジャ…!?」
すると、ルークジャマトの首が落ち、消滅した。
「たった一振りで…」
七陰達は一瞬でルークジャマトを葬ったシローの戦闘力に唖然としていた。
「なるほどね、あれは魔力の制御装置といったところか」
シドがそんな考察をしていると、シローは変身を解除する。すると頭に被っていた紙袋が風で飛ばされてしまい、シェロは即座に手で顔を隠す。
「シェロ」
アルファがシェロの腕を掴み、顔から手を離そうとする。
「やめろ…!」
「大丈夫」
アルファが優しく声をかけ、シェロはついに顔から手が離れた。そこにはシドと瓜二つの顔をしたシェロの姿があった。アルファは微笑みながら両手でシェロの頬を触る。
「あなたは醜くない。私達が思っていたよりもずっとかっこいいわ」
「ボスにそっくりなのです!」
シェロは少し恥ずかしくなり、顔を赤くする。するとスパイダーフォンが鳴り出し、シローはメッセージを確認する。
『おめでとうございます。今日からあなたは仮面ライダーです』
SHERO KAGENO
KAMEN RIDER SHIROWE
「そうか…、俺は今日からシロー…。仮面ライダーシローだ!!」
「シロー…」
「シロー様…」
七陰達は仮面ライダーシローの誕生を祝福するかのように、シローの前で跪いた。そう遠くない未来、ディアボロス教団にとって脅威となる存在、シャドウガーデンと仮面ライダーシローが立ちはだかるだろう。
シローニキの回、意外と書くの難しかった。
シローニキ
前世から自分の顔がコンプレックスだったが、今は克服。でもやっぱり顔を隠しちゃう。また自分の魔力が強力過ぎて体を壊してしまう体質で悩んでいたが、デザイアドライバーが制御装置のような役割を果たし、自由にコントロールできるようになった。だが、彼の魔力はまだまだ未知なところが多いようだ。
シド
シローニキの双子の兄。前世のシローニキの死因の張本人。そのことに関しては申し訳ないと思っており、シローニキとアルファの恋を密かに応援している。アーティファクトやドーピングで強くなることにはあまり快く思わないが、シローニキの場合はこうでもしないと体が持たないので仕方ないと割り切っている。