これは、ハジメと猛とユエがオルクス大迷宮の最深部に着いて真実を知った後、色々準備している時の話…。
「うぅ…うーん…」
「…ユエ?」
猛のスパルタ訓練を終えたハジメとユエはベッドで寝ていると、突然ユエが苦しむような声を上げた。どうやらうなされているようだった。
「うぅ…お義兄様…、お義兄様ぁ…!」
「ユエ!どうしたんだユエ!」
「…はっ…!」
ハジメの声にユエは目を覚ました。彼女の目には涙が流れていた。
「大丈夫か?ユエ」
「ん…、大丈夫…。ちょっと嫌な夢を見ただけ…」
「そうか…。ユエ、お前、兄がいたのか?さっき寝言で呟いてたが…」
「ん、正確には義兄。吸血鬼族の中でも結構変わった人だった。今思えばハジメと少し特徴が似ている。髪が白かったりとか」
「お、おう」
「お義兄様は優しくてかっこいい人だった。女だけじゃなく、男からもモテていた」
「男からもモテるって…(汗)」
「私が封印されそうになった時も、最後まで私の味方をしてくれた」
◇
『はぁ、はぁ…!』
ユエは必死に走っていた。何故なら彼女は強い力持っており、さらにはそう簡単に死なないという特性も持っていた。その為、封印すると言われ、必死で逃げていた。
『こっちだ!』
声のした方を向くと、1人の男が彼女を手招きしていた。ユエは男を見ると安心したかのように笑みを浮かべる。
『お義兄様!』
ユエは男に駆け寄ると、彼に抱きつく。
『お義兄様…!私…!』
『大丈夫、僕が着いている。一緒に遠くに逃げよう』
『そうはさせんぞ!』
兵士達が現れ、男とユエを取り囲む。
『やれやれ、女の子1人を寄ってたかっていじめるとは、感心しないね!ズッキュン♡』
『『『はうあ!///』』』
すると、兵士達は目がハートになり、その場に倒れた。
『さあ、いこう!』
『行く宛はあるの?』
『ある。僕には100体の仲間がいてね、その一部がいる場所に向う。そこに行けば、ひとまず安心と言っていい』
『100?お義兄様ってそんなに知り合いがいたの?』
ユエは男の知り合いの多さに目を丸くする。そして男はユエを抱き上げると、背中からコウモリのような翼を広げ、飛び上がった。
『しっかり掴まってるんだよ』
『ん!』
男が飛び上がった瞬間、地上から複数の魔法が飛んでくる。
『ぐ…!流石に多いな…!』
すると一発の魔法が翼を撃ち抜いた。
『しまっ…!?』
『お義兄様!?』
男はこのまま飛んでいれば危ないと判断したのか地上に降りた。すると、兵士達が2人を取り囲み、ユエの叔父である王がやってきた。
『随分と余計な手間をかけさせてくれるじゃないか』
『叔父様…!』
『何故だ…。何故彼女にこんなことができる!?ディンリード!!』
男は王であるディンリードに向かって叫ぶが彼はそれに答える気はなかった。
『お前には関係ない。これ以上抵抗される前に始末させてもらう』
『…!!それは!?』
ディンリードはアーティファクトを取り出す。それを見た男は血の気が引く。するとそのアーティファクトから光線が放たれた。
『ティア!!』
『お義兄様!?』
男はユエ突き飛ばした。そして光線が男に当たると、男は苦しみ出した。
『がああああああああああ!!』
『お義兄様!!』
『来るな…!逃げろ…!ティアアアアアアアアアアア!!!』
男は光球に変わると、アーティファクトに吸い込まれていった。
『パイアお義兄様あああああああああああ!!!』
◇
「あれからお義兄様はどうなったのかは分からない。もしかしたら…もう…、ひぐ…うぅ…、お義兄様…」
「ユエ…」
ハジメはユエに辛いことを思い出させてしまったかと少し申し訳ない気持ちになる。ハジメはユエが泣き止むまで、彼女を優しく抱きしめていた。
「落ち着いたか?」
「ん…」
「なんつーか、悪かったな。辛いこと思い出させちまって」
「大丈夫、今はハジメがいるから」
「…そうか」
「だから、今日も寂しさを埋めて」
「…またやるのか?」
「ん…、きて、ハジメ」
◇
翌日、ハジメとユエは正座させられていた。2人の頭には大きなたんこぶが出ており、そして2人の目の前にはバッファ モンスターフォームが腕を組みながら立っていた。
「いやね?別にお前らの関係に口出しするつもりはねえんだよ。でもな、ここにいるのはお前ら2人だけじゃねえんだよ!毎晩毎晩盛りやがって!それをいつも聞かされるこっちの身にもなれ!!」
「「はい、すみませんでした」」
「というわけで今日の訓練は、よりハードでいくぞ。覚悟はいいな?(ꐦ ´͈ ᗨ `͈ )」
「「あ、終わった…\(^o^)/」」
その後、ハジメは猛の訓練が少しトラウマになったそうな…。
お義兄様
ユエの義兄で、男女問わずにモテるという魅力の持ち主。ユエ曰く、かなり変わった人。だが、彼がただの吸血鬼ではないことを彼女は知らない。