『…!!シオオオオオン!!』
「どうしたのリク?」
リリアーナが自室でお茶を飲んでいるとリクシオンが騒ぎだす。リクシオンはまるで急ぐかのように部屋を出ていった。
「リク!?ちょっと待って!」
リリアーナはリクシオンの後を追っていくと訓練所に入っていき、リリアーナも入る。するとそこには、光輝が空に向って斬撃を飛ばしていた。上を見上げるとゲキオコプターがおり、光輝が放った斬撃を避けていた。
「何者だお前は!?魔物か!?」
「オコオコ…!」
ゲキオコプターは敵ではないと示していると同時に目に見えてイライラしていた。どうやら光輝がわかってくれなくて今にもキレそうな感じだった。
「もしかして、リクの仲間なの?」
『シオオオオオン』
リクシオンは頷き、リリアーナは光輝に声をかける。
「光輝さん!待ってください!あの子に敵意はありません!ケミーです!」
「何!?ケミーだと!?だったらなおさら近づけさせるわけにはいかない!こんな武装だらけな奴など!」
「オコ…!!」
リリアーナが説得してもケミーを危険視する光輝は聞く耳を持たない。すると突如光輝の足元の近くが銃撃され、怯む。
「お前、いい加減にしないか!!」
そこにはレンチスがヴァルバラッシャーを構えていた。
「レンチスさん!」
「リリアーナ王女、ここは俺が」
レンチスは光輝に近づき、胸ぐらを掴む。
「ケミー関しては何度も話しただろう!何故わからんのだ!」
「ケミーという生き物は人と融合してマルガムになるからでしょう!?」
「それは悪意のある人間だけだと何度言えばわかる!?」
「じゃあなんで檜山は何度もマルガムになりかけるんだ!?」
「あいつは根っからの悪党だ!猛とハジメを奈落に突き落としたことをちっとも反省していない!それどころか猛に対して逆恨みさえしている!悪意の塊だ!」
「違う!檜山はそんな奴じゃ…!!」
光輝とレンチスが言い争っているのをよそに、リリアーナはゲキオコプターに話しかける。
「あの、ごめんなさい!光輝さんが迷惑をかけてしまって…、でも彼は悪い人じゃないんです。もう大丈夫なので降りてきてもいいですよ」
ゲキオコプターは少し黙り込んだ後、訓練所の真ん中に着陸した。するとゲキオコプターのプロペラの音を聞きつけたメルドや生徒達も集まってきた。
◇
生徒達はゲキオコプターが連れてきたケミー達やリクシオンに釘付けだった。
「レベルナンバー10!?そんなケミーがハイリヒ城にいたのかよ!?」
「まさに灯台下暗しってやつね…」
「まさかリリィと一緒にいたなんて…」
「はい、リクとは初めての友達でもあるんです」
『リクシオオン!』
するとレンチスが叫び出す。
「ジャマトが襲撃してきた!全員身構えろ!」
レンチスのその一言で緊迫した空気になる。
ガキン! MADWHEEL! ゴキン!
「鉄鋼!」
ヴァルバラッシュ!
TUNE UP! MADWHEEL!
「来い!」
「オコオコ!」
ヴァルバラドはブランクカードをかざすとゲキオコプターがブランクカードに入る。
ガキン! GEKIOCOPTER! ゴキン!
ヴァルバラッシュ!
TUNE UP! GEKIOCOPTER!
ヴァルバラドはゲキオコプターカスタムとなり、空からジャマトの様子を見る。
「数はあるがポーンジャマトだけか…。だが油断は禁物だ」
ヴァルバラドは兵士や生徒達に状況を伝え、ジャマトを迎え撃つ準備をする。
「リリィ!下がってろ。」
「は、はい!」
猛はリリアーナを下がらせ、バッファ ゾンビフォームへと変身する。
「変身!」
ZOMBIE
READY FIGHT
「いくぞおおおおお!!!」
バッファはゾンビブレイカーを振るい、ジャマトを攻撃し、ヴァルバラドは上空から援護射撃を行う。生徒達も多少苦戦しつつも、バッファやヴァルバラドの援護もあって対抗できていた。
「いける!勝てるぞ!吾妻とレンチスさんがいれば百人力だ!」
生徒達はバッファとヴァルバラドの援護に士気が高まる。しかし、光輝だけは面白くなさそうだった。自分より、バッファとヴァルバラドが頼られているのが。
「うおおおおおおお!!」
その苛立ちをぶつけるかのようにジャマトに向って聖剣を振るう。
「ジャー!」
聖剣の一撃を受けたジャマトは膝をつく。そして、光輝がとどめを刺そうとした瞬間だった。
「ヤ、ヤメテ…!シニタクナイ…!」
ジャマトが怯えて命乞いをしだしたのだ。光輝は驚き、剣が止まる。
「タスケテ…!コワイヨ…!」
(まさか、ジャマトも無理矢理戦わされているのか…?)
「みんな!攻撃をやめろ!これ以上ジャマト達を傷つけるな!」
「「「えぇ!?」」」
光輝の言葉に生徒達は驚く。すると雫が光輝の元にやってくる。
「光輝!どういうつもりなの!?」
「ジャマト達も望んで戦いに来ているわけじゃなかったんだ!このジャマトは酷く怯えている!どうにかして話し合えば、ジャマトと分かり合えるかもしれない!」
「何言ってるの!?今はそれどころじゃ…っ!?」
するとさっきまで怯えていたジャマトが立ち上がり、剣で光輝を後ろから刺そうとしていた。雫はそれにいち早く気付く。
「光輝!」
雫は光輝を突き飛ばした。
「ピアーブ!!」
ドスッ
「あがっ…!」
ジャマトの剣が雫の体に深く刺さった。光輝は何が起きたのか一瞬分からなかった。
「し…雫ー!!」
ジャマトは雫から剣を引き抜き、光輝を斬りつけた。
「ぐああああ…!!な…なんで…」
「ジャージャッジャッジャッジャ…」
ジャマトは光輝を嘲笑うかのように剣を向け、とどめを刺そうとした時だった。
TACTICAL BLAKE
「オラアアアアア!!」
「ジャー!!」
ドォオオオオオオン!!
バッファがゾンビブレイカーでジャマトを真っ二つに切り裂き、ジャマトを倒したことで光輝はとどめを刺されずに済んだ。
「吾妻…」
バッファは光輝を一瞬睨みつけると雫に駆け寄る。
「おい!しっかりしろ!」
「う…うぅ…」
雫は傷が深く出血が止まらない状況だった。
「治癒師!誰か治癒師いないのか!?」
バッファは治癒師の人がいるか叫ぶがジャマトの相手でそれどころではなさそうだった。
「ケア~!」
「お前は…!」
やってきたのはオカルトケミーレベルナンバー1のケアリーだった。ケアリーは自分が持つ救急箱を開けると、そこから綿のような光球が溢れ出し、雫の傷に優しく触れる。すると傷がみるみるうちに癒えていった。
「すまねえ、助かった!」
「ケアリ~」
すると、ヴァルバラドが降りてきた。
「レンチス!」
「お前は彼女を見ていろ。後は俺が一気に片付ける」
SCRAP
「伏せろー!!」
ヴァルバラドがそう叫ぶと兵士や生徒達が身を低くした。
ヴァルバラブレイク!
ゲキオコプターカスタムから放たれた銃撃の嵐でジャマトは全滅した。生徒達は一安心し、身体を楽にした瞬間だった。
「このクソ野郎があああああああ!!!」
怒りに満ちたバッファが光輝を思いっきり殴り飛ばした。
「ぐあああああ!」
「てめえは何してくれてんだ!えぇ!?どっちの味方してんだよこのクソ勇者が!!」
「違う…!俺はただ無理矢理戦場に立たされているのだと思って…!」
「その結果がこれだ!!てめえがそうしたせいで雫が死にかけたんじゃねえか!!大迷宮の時といい、余計なことしかできねえのか!!」
バッファは拳を振り上げ、もう一度殴ろうとしたその時だった。
「猛!そこまでにして!」
止めたのは雫だった。雫はバッファの手を優しく握る。
「猛、悪意に飲まれないで…」
その時バッファは自分の体から黒い悪意のオーラが出ており、ケミーを取り込もうとしていた。それに気づいたバッファは気を鎮め、悪意のオーラは消える。すると、ヴァルバラドがやってくる。
「天之河、ジャマト側に寝返るつもりか?」
「違います!俺はただ怯えていたのが可哀想で…」
「それは相手を油断させるための演技だ。お前はただ罠に引っかかっただけということだ」
「なっ…!」
「戦線離脱しろ。はっきり言ってお前は足手まといだ」
「そんな!俺は勇者です!この力は世界に必要で──」
「勇者などただの強い天職に過ぎない。その気になればどんな天職でも勇者を超える」
光輝はその場から動けずにいるとケアリーがやってくる。ケアリーはさっき雫にやったやり方で光輝の傷を癒した。
「ケア~」
「これ以上近づかないでくれないか」
「ケ、ケア…」
「ちょっと光輝!せっかく傷を治してもらったのに礼ぐらい言ったらどうなの!?」
光輝は雫の言葉を無視してその場を立ち去った。
「ごめんなさいねケアリー、それとさっきはありがとう」
「ケアリ~」
「…ったくあの野郎は…っ!?」
バッファは何かしらの気配を感じ、振り向くがそこには兵士や生徒達しかいない。
「気のせい…か…?」
バッファはなにかモヤモヤするがとりあえず気にしないで置くことにした。
ケミーを危険視するのにジャマトは優しくしようとする勇者(笑)。次はスレ民のライダーになった回でも書こうかな。
ケアリー
オカルトのレベルナンバー1のケミー。優秀な軍医で怪我の手当てはお任せあれ。光輝に塩対応された。