まぁそんなグダグダスタートですが1つよろしくお願いいたします。
世界はいつでも理不尽だ。
小学六年、12才の時俺は既にその考えを持っていた。同い年の子のように互いにゲームの話で盛り上がったり、バカやって大人に怒られたりは無かった。いや、怒られることは常にあった。やれ帰りが遅い、やれ夕飯が遅い、やれ無駄遣いするな。こんな少し躾が厳しい家なら当然なお叱りだがこの家では意味が違った。
まず帰りが遅い、皆ならどれぐらいと考えるだろうか?小学六年ならおそらくは七時ぐらいだろう。しかしこの家は“四時”だ。学校が終わって帰路に着けばこの位は当然掛かるだろう。だがそれですら俺の親は遅いと罵った。
次に夕飯が遅い、これはおそらく食卓に着くのが遅いと考えるだろう。だが違う。この意味は夕飯を“作るの”が遅いだ。ここの親は一切の料理をしないのだ。
最後に無駄遣いするな、これに至ってはまさしく理不尽だと思う。何故なら夕飯の材料を買ってこいと言われ買って来れば一瞥してそう叫び散らすのだ。
そして上記三つに共通すること、それは“暴力”だ。それも巧妙に表面上には無傷に見えるように服で隠れる場所にのみだ。殴る蹴るは当たり前、火の付いた煙草を押し付けたり、時にはナイフで薄く切られた事もある。
その中で周りの奴に家族の自慢を聞かされる度に思う。
“この世界はなんてどこまでも平等では無く理不尽なのか”
その日もいつもと変わらない日のはずだった。玄関の前でため息一つ、いつものように身構えながら扉を開ける。だけどいつまで待っても両親の怒号は聞こえなかった。おかしいと思いながら奥へと進んでいく。両親は向かい合うように座っていた。そして真ん中には二本の注射器が転がっていた。すると父親がこちらを向いた。
ー違う…
その目は瞳孔が開き切りいつも以上に危険な気配がした。俺は後ずさりしてしまった。奇声を上げながら父親が首を絞めにきた。母親は相変わらず何の反応も示さない。いや横目でこっちを見て薄く笑っている。相手はやせ細っているが大人の男だ。なす術もなく俺は首を絞められた。俺はその時、死への恐怖や諦めではなく両親に対する猛烈な殺意を持った。視界が赤く染まるほどに殺したいと思った。がむしゃらに手を動かし子供ではありえない腕力で父親を突き飛ばした。俺はそばに落ちていた果物ナイフを手に握った。そこからの記憶は俺にはない。
四年後、高校一年になり一人暮らしを始めた。里親の名義で部屋を借りバイトを始めた。あるゲームが欲しかったのだ。こことは違うもう一つの現実となりうる世界へ行きたくて。そのゲームの名は…
ソードアート・オンライン
後に悪魔のゲームやリアルデスゲームと言われるようになるソフトだ。俺はその世界に飛び込み、囚われた。ただ俺は歓喜した。あのくそったれた現実と切り離され本当の意味で現実となったのだから。だが俺はここでも罪を重ねた。俺はあるギルドに所属していた。名は
そんなある日、フィールドから帰る途中索敵スキルがプレイヤー反応を捉えた。数は四、何の気まぐれか様子を見に行った。そこでは一人の白と赤の団服に身を包んだ少女が三人のレッドに囲まれていた。少女は気丈に振る舞っていたがその細剣を人に向けるのを怖がっていた。三人は嬲り殺すぞと言い合っていた。俺はその三人を見たことがあった。最初期のメンバーでありながら一度も殺しをしていない俺をバカにしていた奴らだ。対して強くもなくギルドの名に守られているだけの奴らだ、日頃から腹が立っていた。なにより何の罪の無い少女が目の前で殺されるのが気に食わなかった。だから俺は罪を重ねた。仮にも最前線で戦えるようなレベルに達しているのだ、三人をポリゴン片に変えるのは容易だった。俺は少女を一瞥するとその場から立ち去った。
それから一週間後にギルドの奴が攻略組がラフコフの討伐に乗り切ったと報告があった。Pohの奴は逆に返り討ちにしろとかなんとか言ってたな。俺は一度も殺しをしない奴は殺さない、そうザザとジョニーに伝え、俺はその場から立ち去った。殺しに来るかと思ったが如何せん実力差があるのでやめたようだ。それに俺には初めてこの世界で殺しをした際スキル欄に新しいスキルが出ていたのに気付いた。スキル名『暗殺術』、つくづく俺にぴったりと思った。俺の戦い方は卑怯に姿を見せず相手の死角に入り続け麻痺や毒のピックを使い弱らせ、一撃で決めるスタイル。相性が良すぎる。けど人相手には使わない。殺人者ではあるが殺人鬼にはなりたくなかった。
ラフコフ討伐戦当日、俺は奴らが潜むダンジョンの入り口で待っていた。やがて攻略組の面々が来た。先頭にはこの間助けた少女がいた。少女は目に見えて緊張していた。俺はこう伝えた。“ばれている、気を付けろ”それだけ言って俺は立ち去った。
一か月後、俺の元に一人の少年が来た。あったと言った方が正しいか。たまたまボス部屋の前であったのだ。少年は何を考えているのか俺にお礼を述べやがった。何でもあの時教えてくれなければ攻略組の被害はもっと大きかったと。俺はその場から逃げるようにその場から立ち去った。これが後に親友となる“キリト”との初めての対面だった。
俺はそのあと何の神の悪戯か何度もキリトとあった。その度にあいつは話しかけてきた。時にはあの時の少女、kobのアスナともあった。お礼がしたいと何度も言ってきた。その度に突き放した。ある日この三人があった時アスナが訪ねてきた。“何故避けるのか”と。俺はこう答えた。“俺は人殺しだ、お前らみたいな綺麗な奴らといる事はできない”するとキリトは“それは俺もだ”と言った。耳を疑った、どうやらあの討伐戦で仲間を助ける為に二人を殺したらしい。本来ならここで優しい言葉をかけるべきなのかもしれない。だが性根腐った俺が言ったのは"それで殺したとかぬかすな"だった。我ながら嫌気が差した。キリトは目を剥いた。それから顔が怒りに変わっていく。そこからは互いに怒鳴りあいだ。俺はそんな中で自分の過去と心を吐き出した。気付いたら涙を流していた。今まで溜め込んでいた全てを吐き出した。途中からは俺一人がしゃべっていた。
目が覚めた。どうやらあの後疲れて眠ってしまったらしい。子供かよと思った、恥ずかしい。周りを見渡すとキリトとアスナがいた。二人は俺に気づくとおはようと言ってくれた。初めて言われたと思った。キリトはあの後俺を安全地帯へと運んでくれたらしい。何でそんなことをしたのかと聞くと、"友達だから"と言った。俺は呆然としてしまった。"お互い本音を言い合ったんだ、心を晒したんだったらもう友達だ"俺は泣いた。今までで一番泣いた。二人は俺が泣き止むまでずっと側にいてくれた。
あれから俺はキリトと共に行動をした。相性は正直とても良かった。キリトが引き付ける間に俺は敵の弱点を正確に攻撃していった。キリトの前では普通に『暗殺術』を使っている。驚いたのはキリトもユニークスキルを持っていたことだ。『二刀流』は派手なのでからかったりもした。俺は意外と人をからかうのが好きなようだ。特にアスナの事でからかうと顔を真っ赤にするので面白い。
そんななかキリトとアスナが結婚したようだ。そこそこに長く二人を見てきた身としてはようやくかと言ったところだ。結婚祝いには溜めてたSランクの食材を3つあげた。二人とも口を半開きしたまま固まってしまった。ちなみにこっそりと写真を撮ってある。あとアスナの料理は三ツ星レストラン以上だと思う。料理出来る身からするとなんか悔しい。
俺は最前線では戦うが攻略には参加していない。人が多すぎる所は苦手だ。いつものように雑貨屋で冷やかしをしていると突然NPCが消えた。何事かと周りを見渡すと空が赤く染まった。始まりの日を思い出す。そしてアナウンスが
ゲームはクリアされました…
アインクラッドが揺れた。天に手を掲げ喜んでいる。俺は即座に悟った。キリトがやったと。今の最前線は75層つまりまだまだあるはずなのだ。無茶無謀なアイツらしい。俺は現実世界でもあいつらに会えることを願いながら大切なものを見つけた世界から消滅した。
そして俺は今硝煙の匂い立ち込める世界に立っている。同じ罪を背負う、水色の髪のスナイパーの少女と肩を並べて…
感想等の注意点は鬼魔女と同じです。結構重要です(真顔)