罪背負いし影   作:砂利道

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出来上がりはそこそこ…?


第十二撃

 始まって約三十分、俺、キリトは田園エリアにいるのだが…

 

「いくらなんでもこの仕打ちは無いだろおぉぉぉぉぉ!!」

 

現在二人のプレイヤーに集中砲火されてます。どうやら俺とシンの様に二人一組になって参加者を削るようである。

 

ー弾は切れないことも無いけど二方向はきつい!

 

丁度俺を挟むように位置しているのでどっちかに集中することも出来ない。予選の映像で研究されたようだ。

 

「へっへっへ、悪いがここで脱落してもらうぜキリトちゃんよ」

 

「お前さんの代わりに優勝してやるからよ」

 

ー余裕そうですねそちらは!絶対吠え面かかす!

 

俺はこの大会初めてファイブセブンを抜き片方の男に三発撃つ。二発は大きく外れたが一発が運よく頭に当たる。しかしヘルメットがあったので削り切るには至らなかったようだ。だが

 

「うお!」

 

銃撃が片方止む。

 

「今だ!」

 

俺は現在撃ち続けている方に特攻する。もちろん見せつける様に弾丸を切り裂くのも忘れずに。

 

「う、うそーーーーー!?」

 

ーわはははは!驚け戦慄(おのの)けひれ伏せーーーーーー!!

 

容赦なく胴を一刀両断。

 

「グボッ!」

 

DEADタグが付く。その時もう片方が立ち上がる。

 

「え?あれ?…ひっ!!」

 

俺は幽鬼の如く振り返り断末魔も許さず速攻で切り捨てる。

 

「あぁ~…疲れた…」

 

まだ始まったばっかと言うのにこの疲労感、先が思いやられる。

 

「とにかく探しに行かなきゃな」

 

俺は一歩踏み出した、その時

 

「!!?」

 

体に凄まじい悪寒を感じた。同時に確信する。

 

ー俺は…これを知っている!

 

いつだ?いつこの悪寒を感じた!?俺は記憶野を最大限動かし記憶を探る。だがいくら探っても思い出せない。いや、()()()()()()()()のか?

 

「く!!」

 

俺は周囲を素早く見渡す。田園エリアに障害物は少ない。なのに何も無い。どこにもその悪寒の痕跡が見つからないのだ。

 

「…畜生」

 

俺はその場から全力で離脱した。悪寒を振り切るように。そして自覚していた。トラウマの蓋が開きかけている事に。

 

 

 

 

 

 

 

 っち、あの野郎逃げやがったか。勘の良い奴め。まぁいい。このあとじっくりと殺してやるからよぉ…ヒヒヒ、ヒハハハハハハハハハハ!!

 

 

 

 

 

 

 

 「ねぇシン、あなたどうやってスキャンを回避したのよ?」

 

俺とシノンはそれぞれの直感に従い俺のスタート地点であった都市廃墟に向かっていた時唐突にシノンが聞いてきた。

 

「ん?ああ、あそこから少し離れた所に実はでかい木の洞があったんだよ。試しに潜ったら端末が開けなかったから多分俺も写ってないんだろと思ってな。予想通りだったよ」

 

「…今回が初参加よね?」

 

「もちろん、どうして?」

 

「いや、あなたの幸運って底知らずだなぁって思って…」

 

まぁ確かに初参加で何の情報も無かったスキャン回避スポットを見付けたのは幸運以外のなにものでも無いな。

 

「その運が現実にもあればなぁ…」

 

そうすれば古参プレイヤーなのに大会初参加って事は無かったのに…

 

「…どんまい」

 

「その優しさが身に染みるよっと、着いたな」

 

目の前にはそびえ立ついくつものビルに似た空っぽの塔。それがこのエリアに寒々しさを醸し出している。俺は地形的には得意だが個人的にはあまり好きではない。

 

ー同族嫌悪…いや、違うのか?

 

割とどうでもいいことに頭を捻っていると

 

「それで、どうする?」

 

「え?」

 

「いやだから、どうするの?この先にいるプレイヤーは銃士X。私とあなたの直感が正しければ死銃はこっちに来ていてここにはその銃士Xしかいない。ならやる事は一つしかないと思うけど?」

 

「あ、ああ。そうだな。じゃあ俺が…」

 

「突っ込んで倒すと?」

 

「え?うっ…」

 

やばい、言おうとしたことを先回りで言われた挙句目が据わってる…

 

「ねぇ、そんなに私が信用できない?」

 

「い、いや。そんなわけないだろ」

 

「じゃあ少しは私を頼ってよ」

 

一転、シノンの目が悲しげになる。

 

「出会ってから隣であなたを見てきたけど、頼りにしてるって言っても結局最後はあなたがやってる。本当に心の底から人を頼ってないのよ」

 

シノンの言葉に耳を疑う。俺はあの日、キリトに助けてもらった時から人を信じられるようになったと思っていた。それが違う?

 

「あなたの過去に何があったのかは聞かない。でも今ぐらいは信じてよ。あなたを隣で見てきた私を信じてよ」

 

俺は信じ切れてなかったのか?頼れてなかったのか?俺の中で何かにヒビが入っていく気がした。

 

「ねぇシン?」

 

俺は顔を上げてシノンを見る。その顔が重なる。俺を怖がり、嫌悪し、侮蔑の目を向けてきたかつての同級生や大人の顔が。

 

「…ぁ……」

 

「どうしたの?」

 

「…何でもない、それじゃあまず俺が偵察して死銃だったら合図をする。そしたら容赦なくその銃で撃ってくれ」

 

「りょーかい!」

 

シノンは笑顔で狙撃ポイントに移動する。対して俺は心に一つの疑念を抱えながらシノンに背を向け銃士Xの元に向かった。願わくばそれがザザであって早く終わってくれることを願って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わってここはALOのイグドラシルシティにあるキリトとアスナの部屋(愛の巣)。ここには現在家主であるアスナとその娘のユイ以外に鍛冶屋リズベット、竜使いシリカ、キリトの妹でもあるリーファ、ギルド〈風林火山〉のギルマスで自称兄貴分(笑)クラインがいた。

 

「俺の扱いひどくねぇ!?」

 

「いきなりどうしたのよ」

 

「いや、なぜか理不尽な紹介された気がしてよう」

 

「なにそれ」

 

「にしてもお兄ちゃんとカイさん出ませんねぇ」

 

「そうね、キリト君とシ…カイさんなら開始早々暴れると思ったんだけどなぁ」

 

「そうです!パパなら背後から不意打ちしまくりですよ!」

 

そう言ってユイはアスナの肩の上でシャドーボクシングをする。なんとも微笑ましい光景だ。

 

「それもFPSなのに剣と小刀でね」

 

小刀とはシンがALOでカイとしてプレイする際に使っている武器で長さは短剣以上刀以下と言う微妙な長さである。更に出現条件は刀と短剣をやりこまないと出てこないという何とも割に合わない武器なのだ。しかしシンはこれを手足の様に使いこなすので誰も何も言えないのである。

 

「さすがにそれはない…と思うなぁ」

 

アスナが言葉を濁す。その時何枚かあるスクリーンの一つに動きがあった。

 

「うわ、あいつすごいわね。身のこなしが軽いわ」

 

「「そう?/か?」」

 

アスナとクラインの声が重なる。二人はこれ以上に身軽なシンをSAOの時から見ているのでどんな人を見ても見劣りしてしまうのだ。

 

「キリトさんとカイさんと比べたらだめだと思いますよ…」

 

シリカの突っ込みは至極真っ当である。

 

「あ、あはは…」

 

リーファは二人の反則的なスピードを知っているので何とも言えない。

 

「あ、決まったみたいですよ」

 

再び画面に視線を移すとカウボーイの格好をしたプレイヤーが地に沈みDEADタグを付けていた。とどめを刺したライダースーツにフルフェイスヘルメットのプレイヤーが立ち去ろうとした時

 

「あっ」

 

誰が発したかは分からないがスクリーンの中ではさっきのプレイヤーが狙撃されたようで横に倒されていた。腕には一本の細いピックのようなものがスパークしていた。

 

「まるでサンダーウェブみたい…」

 

リーファがそう漏らす。その瞬間スクリーンが一瞬動いた時にまるで幽霊のようなボロマントのプレイヤーが立っていた。

 

「いつの間に…」

 

アスナは素直な感想を口に出す。ボロマントは手に構えていたスナイパーライフルをしまい腰のホルスターから拳銃を取り出す。

 

「なんかちゃちくね?」

 

「それを言ったら終わりよ」

 

その時一つの閃光がボロマントを撃ち抜かんと通るがボロマントは体を逸らし躱す。

 

「あいつ強い…」

 

リーファはその技術の高さに舌を巻く。だがアスナは難しい顔をしていた。うなじの後ろあたりにチリチリとした嫌な予感がよぎっていたのだ。ボロマントは体の前でキリシタンの様に十字を切る。そして

 

パァン

 

乾いた銃声が一つ。直後に倒れていたプレイヤーは起き上がりボロマントにショットガンを押し当てるが何時までたっても銃声は響かない。そして

 

ドサッ  ジジジジ…

 

撃たれたプレイヤーは再び倒れ消滅した。

 

「なんですか、今の…」

 

スクリーンの中のプレイヤーは拳銃をカメラに向けて言い放つ。

 

『これが、俺の、死銃の、力だ。俺は、再び、お前らの、前に、現れる。また、始まる。イッツ、ショウ、タイム』

 

その瞬間部屋にガラスの割れる音が響きわたる。クラインが高価なプレイヤーメイドのグラスを落とし立ち上がっていた。その顔は驚愕に満ちている。

 

「ちょっとアンタ何やってんのよ」

 

「嘘だろ…あいつは…」

 

「クラインさんあいつが誰か知ってるの!?」

 

「い、いや名前までは…でもこれだけは言える。あいつは元ラフコフのプレイヤーだ、それもPohに近い幹部クラスの…」

 

その言葉にリーファ以外の全員が凍りつく。

 

「あの、ラフコフって…」

 

ラフコフがどのような組織か分からないリーファが尋ねる。その言葉に中層で暮らしていたシリカがその恐ろしさを説明する。情報なら最前線が最も集まるのだが何時も被害は中層で起きていた。シリカの説明を聞きリーファは俯く。

 

「多分お兄ちゃん知ってたんだと思います、そのラフコフの生き残りがその大会にいる事を」

 

「え!?」

 

「どういうこと?」

 

「お兄ちゃん昨日帰ってきた時怖い顔してたんです」

 

「そう、だったの…」

 

「なぁ、アスナさん。キリトが知ってるってことはシンの奴…」

 

「ええ、知ってるでしょうね」

 

「あのバカ…!自分から傷口広げに行くようなもんじゃねぇか!!」

 

「シン?」

 

「カイさんのSAO時代のキャラネームって聞いてます。あっちで直接会ってるのがキリトさんにアスナさん、それにリズさんとクラインさんなので私は詳しく知らないんですけど…」

 

「私はキリトに紹介してもらっただけなんだけどね。でもクライン、傷口を広げるってどういうこと?」

 

「う…それは、その…」

 

「なに、そんな言いにくい事なの?」

 

「カイさん…ううん、シンさんには悪いけど知ってもらった方が良いかもしれないわね」

 

「…かもな、関係を大切にしたいって言ってるけどいい加減前に踏み出させてやるか」

 

クラインはため息交じりに言う。

 

「シンの奴はな元々、ラフコフの最古参のプレイヤーなんだ」

 

「「「「!!?」」」」

 

ユイも初耳だったのか目を見開いている。

 

「それは本当なんですか、ママ」

 

「うん、そうよユイちゃん。でもみんな勘違いしないでね、シンさんはあんな奴らとは違うから」

 

「そんなの知ってるわよ」

 

「そうですよ!」

 

リズベットとシリカは即答で返す。

 

「でもあいつがなんであんなギルドに入ってるのよ?」

 

「明確に聞いてるのはキリト君だけなんだけど、昔こう言ってたわ。『あそこは俺に相応しいところだ』って。一応それ以前の事も聞いてるけどそれはさすがに話せないかな」

 

「アスナさんそれ以前ってなんすか?」

 

「シンさんがSAOを始めたきっかけです。私が話すには重すぎるので…」

 

「そうすか…」

 

「でもさ、元ラフコフってことはもしかしてあいつ…」

 

「…うん。三人って」

 

「それって…」

 

「でもその三人は違うのよ」

 

「え?」

 

「どういうこと?」

 

「シンさんが殺してしまった三人っていうのはね、私を殺そうとした人たちなのよ」

 

「な…」

 

「ちょっとアスナ!なんでそのこと言わなかったのよ!」

 

「い、色々あって…」

 

「色々じゃない!まったく、今になって心配させるんじゃないわよ…」

 

「ご、ごめん…」

 

「あの、それで…」

 

「あ、うん。迷宮攻略してた時にね、トラップに引っかかって一人はぐれちゃったの。レベル的には平気だったんだけどそこでラフコフのプレイヤーに遭遇しちゃったんだ」

 

「そんな…」

 

「え?でもということは…」

 

「うん、その時私はデュエルでしか人に剣を向けた事なくて表面上は気丈に保ってたんだけど内心竦んじゃっててね。動けなかったのよ。でもその時一瞬で三人の首が飛んだの。急所を確実に、正確に、全てを一瞬でやって三人のHPをゼロにしたの。今思えばプレイヤースキルなら団長に並ぶかも」

 

「マジかよ…」

 

「あいつそこまで強かったのね…」

 

「それでシンさんが殺しをしたのはあれが最初で最後。少なくとも私は聞いてない」

 

「そうなんですか?」

 

「うん。そのあと討伐戦とかあって大変だったんだけどキリト君の手伝いもあってお礼と和解できたんだけどね」

 

「ほんとキリトの奴天然で人の縁を結ぶの得意ね」

 

「本当にそうですね」

 

場にかすかな笑いが広がる。その中でアスナは助けてもらった時の事を思い出していた。

 

ーでもあの時ほど恐怖を覚えたことはなかった。シンさんのあの…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虚ろで空っぽな目に見られた時ほど




もうちょい構成練った方がいいかな?
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