罪背負いし影   作:砂利道

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歴代を更新する低クオリティ…

序盤の説明は完全な自分の妄想と聞きかじりです。どこで聞いたんだっけなぁ…


第十七撃

 人と言う生き物は理性的な生き物だ。全生物の中で明確に意思を持ち高い知性を持ち言葉をもって意思を伝える事が出来る。そしてその理性に子は親から真っ先に教わる事がある。それは日本人やその他の平和な国なら当然の様に教わる事、“人を殺してはいけない”それは一種の洗脳や呪縛の様に一生植えつけられ、縛る。人は時としてそれを破るがその縛りは人に“躊躇”を与える。どんなに殺すことに馴れようとその一瞬の躊躇は完全に消し去る事は出来ない。躊躇いの無い人と言うのはその躊躇の時間が極端に短いのだ。そしてそれは心に起因する。噛み砕いて言えば心と言う物が殺しを躊躇わせる、という事だ。それは日本人であるザザも例外ではない。

 また、人の意識は0.5秒遅れてくるとも言われている。動き出してから知覚するまでに0.5秒の空白があると言うものだ。人はその間は完全な無防備になる。大抵対人戦のスポーツなどで上手い人と言うのはその空白を察するのが上手い。

 そして殺し合いにおいて熟練者は視覚情報、聴覚情報、感覚情報に頼らずとも危機を察知出来る事がある。開戦前のキリトやシンの感じた嫌な感じはまさにそれだ。それは俗に殺気と言われる類のものを感知している。これは命がけの戦いに身を投じていれば自然と身につくものだろう。特に笑う棺桶(ラフィン・コフィン)の幹部はそのエキスパートだ。常に異常者(Poh)と言う存在の密度の濃い殺気を感じていたのだから。殺気による感知、それこそがシステム外スキル“超感覚(ハイパーセンス)”だ。

 ではなぜいきなりこんな話をしたのか、簡単な事だ。

 

「ぐあっ!」

 

ザザが右ふくらはぎを斬られる。反応しようとしても動き出すことが出来ない。動きの合間にある絶対に動けない硬直の時間、そこを的確に狙い攻撃されている。

 

ーどういうことだ!何故反応が出来ない!

 

ザザは内心かなり動転していた。反応を反射にまで昇華させた自分が一切の行動を封じられさっきよりも圧倒的な差でやられていることに。

 

「……」

 

対してシンは何も無かった。先ほどの激情も無く機械の様な面持ちで淡々とザザを捌き続ける。その度に全身のポリゴンがぶれる。一息に殺さないのは苦しみを与えるためなのか、はたまたただの気まぐれかは分からない。既に一分、その間にシンはザザに60ほど攻撃を与えている。ザザは一発も与えられず、まさに蹂躙されていた。これだけのダメージならもう終わってもいい筈だがザザは自動回復スキル(バトルヒーリング)カンストのおかげで首の皮1枚で繋がっている状態だ。

 

ー察知が出来ない…こいつ、あの殺気をどこにやった!

 

今シンには殺気と言うものは存在しない。それどころか敵意も、怒気も、闘気も、憎悪も、侮蔑も、嫌悪も、ありとあらゆる全ての感情と意思が欠落している。それを人と呼んでいいのかは定かではない。ザザはマスク越しにシンの顔を見て得体の知れない恐怖に包まれる。虚ろで空っぽな昏い目、そこに人の輝きは無く、良く出来た人形を思わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンとラフィン・コフィンのギルドマスターであるPohの出会いは初期ではまだ珍しかったMPKによる罠だった。言うまでも無くシンが被害者だ。Pohはただの検証実験のつもりでシンはたまたま目に入ったターゲットでしかなかった。どう考えてもニュービーな装備、まだ完全にソードスキルを使いこなせてないのだろう動き、検証には持って来いだった。だが結果はPohの予想を覆した。Pohがトレインしたモンスターは十体、初期の攻略組ですら個人ではとてもではないが対処しきれない。だがシンはまるで全身に目が付いているのではないかと言う精度で全方位からの攻撃を避け続けた。十体を倒す時間はそこそこかかったものの被弾はたったの二回、この時すでに異常性を発揮していた。そこでPohは確信した。“この先こいつは邪魔になる”Pohの判断は早く、即座にダガーで殺そうとした。この時は全プレイヤーがステータスが低く個人の技量で生きている状態だった。Pohはこの段階のおいて自分より技量が優れているプレイヤーはそうそういないと思っていた。余裕を持ち、だが慢心はしない、理想的なコンディションで殺しにかかった。だが結果はPohにとって最悪なものだった。三分。たった三分で死の淵に追いやられたのだ。モンスター相手とは比べ物にならない速度、精度、どれもが桁違いだった。何より先が読めない、これがPohにとって悪夢だった。感情が無く、意思が無く、意義が無く、言葉も無く、ただひたすらに他者を殺そうとする。Pohにとって初めてのタイプだった。ゆえに行動が出来ない。当然だ。人の脳を積んだ機械を相手にしているようなもの、アルゴリズムも無ければ感情を揺さぶることも出来ない。Pohは殺される寸前に三分で何とか探し当てた言葉を紡いだ。

 

『待て、俺ならお前に殺しをさせずに済む』

 

この言葉でシンはようやく止まる。

 

『…それはホントか?』

 

『約束しよう、だから俺の作るギルドに入れ。そうすればお前は殺しをせずに済む』

 

『…分かった』

 

この時ほどPohは大博打に勝てた覚えはない。少しでも選択肢をミスしていれば自分は早々にこの世界と現実世界から退場していた。シンはこの時世紀の大犯罪ギルド、笑う棺桶(ラフィン・コフィン)の初のギルドメンバーとなった。シンはPohからの殺気に馴れろと言うお達しを貰いギルドの実態を知っても残り続けた。確かに殺気に衝動的な殺人は無くなった。だが心は擦り減っていき疲れ果てていた。後はシンが語った通りだ。この話はキリトでさえ知らない。まさにシンとPohだけの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗い、昏い。深い、不快な海の底。自分と言う存在がどこまでも沈んでいく感覚。俺はこの感覚を知っている。二年前まで俺はずっとここにいた。光も差さない真っ暗な世界。ここは俺の本質の世界。この世界こそが本来の俺。どこにも明かりなど無い。希望はすべて絶望によって塗りつぶされている。そんな中漠然と頭には外の光景が写っている。景色は流れ続けている。超高速で動いているのだろう。

 

「ばーか、そんな動き三分が良いとこだ。そのままじゃ死ぬぞ、『俺』」

 

ーそれがどうした?『俺』に生きている価値があると?すでに五人…いや、見殺しを数えればそれ以上の人を殺している俺に?

 

真っ暗な世界に同じ声が二つ響く。丁度視界では地面が目の前に来ていた。脳が動くことを拒否し始めたのだ。

 

「…そう、だな。俺なんかが生きていい訳無いよな」

 

ーそうだ。だがタダで死ぬのもつまらないからな、道連れぐらいにはしてやるさ。俺も『俺』も嫌いなアイツをよ

 

手の中にはグレネードが握られている。ピンを抜けばすぐにでも爆発するだろう。

 

ああ、つまんねぇ人生だった。はは、最後に浮かぶのが殺した奴らの死に顔かよ。

 

両親の顔、俺をバカにして死んだことに気付かず逝った三人の呆けた面、ジョニーに殺された人形殺人の犯人、クラディール、今まで俺に関わって死んだ奴らの顔が脳裏をよぎる。

 

「これで終わりかよ…」

 

ああ、折角好きな奴が出来たのになぁ…シノン…いや、

 

「いい訳無いだろ…ようやくだぞ」

 

ーなんだ?ッ!?お前まさか!

 

「ははは!そうだよ、何諦めてんだ俺!自分で言ったじゃねぇか、生き残る事を考えろって」

 

ー生きる価値は無いんじゃなかったのか?

 

「ああ、ねぇな。だから今作ったんだよ。俺はなぁ…シノンの、朝田詩乃の為に生きる!約束をそう簡単に捨てる訳にいかねぇだろ!」

 

ー…そうかよ、なら勝手にしろ。精々醜く足掻いてろ

 

「そうさせてもらうさ『俺』」

 

ーもう来るんじゃねぇぞ、俺は一人が好きなんだよ

 

そう言って俺は浮かび上がっていく。送り出した声はどこか笑っている様に感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ…ようやく、終わったか」

 

ザザの足元にはシンが横たわっている。攻撃の最中に突然倒れたのだ。ザザのHPは残り数ドット。だがそれも自動回復スキルで回復していく。シンは仰向けに倒れ右手は心臓の上に置かれている。ナイフは幾度もの攻撃で耐久値を減らし砕けた。だがその後もシンは素手で無双していた。恐ろしいまでの適応力だ。その目に未だ光は戻っていない。

 

「これで、終わりだ、臆病者」

 

ザザは耐久値ギリギリとなったエストックをシンの心臓を右手ごと突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時を遡りシンが堕ちる前ぐらい。

 

「シン…」

 

スナイパーシノンはザザとの狙撃戦において銃を大破することが出来た。だが代償にスコープを失ってしまっていた。いくらシノンがスナイパーとして鷹の目(ホークアイ)スキルを持っていたとしてもこの距離では豆粒ほどしか映らなかった。だがそれでも聞こえていたシンの怒号。地を砕かんとするその怒号に体が竦んでしまう。シンの手から三つの線が放たれる。おそらくピックだろう。ピックは恐ろしい速度でザザに向かって行く。しかし、

 

「あれは…キリト!?」

 

キリトが蹴り上げられてザザの盾にされてしまった。だが一本は通ったのだろう。僅かに姿勢が傾ぐ。キリトはそのまま倒れてしまった。

 

「…ナイスファイト、キリト」

 

倒れたままのキリトにDEADタグが付くのを確認する。寸前の盾にされたのでやられたのだろう。シノンはキリトに労いの言葉を掛ける。その時シンの様子が変わっていることに気付く。

 

「シン、どうしたの…?」

 

その瞬間、

 

「え?」

 

シンの姿が消える。視界を広げると真逆の場所に立っていた。

 

「うそ…いくらなんでも早すぎるわよ!」

 

それはそうだ。その時のシンの神経伝達速度は通常の数倍にまで跳ね上がっていた。感情と言うものを削ぎ落とすことによって別の情報処理能力を飛躍的に高めている。結果、アミュスフィアではポリゴン生成が追いつかない速度での移動をしていた。ではなぜシンはポリゴンを保っていられるのか?答えは簡単、()()()()()を使っているからだ。ナーブギアの出力はアミュスフィアの三倍以上、更にアミュスフィアはナーブギアの下位互換なのでソフトを使うことができる。キリトの反射速度、シンの加速神経はナーブギアでなければ十全に発揮することは出来ない。シンはそう判断して菊岡に交渉して残してもらっておいたナーブギアに手を出した。それは並大抵の覚悟ではない。少なくともこれはシンにとってトラウマの塊であるからだ。だがそれを堪えて被った。それほどまでにシンはこの戦いに賭けていた。それを事情をなにも知らないとは言えシノンは感じ取っていた。

 

ー助けになりたい、でもスコープは壊されて狙う事が出来ない…弾もあと一発…

 

その時、今まで圧倒していたシンが突然倒れた。脳が限界を迎えたのだ。

 

「シン!」

 

シノンの視界の先ではザザがボロボロの体を引き摺りながらシンの所へ歩いていきエストックを高く振り上げていた。

 

「お願い、神様…!」

 

シノンは手の中のアイテムを握りしめた。

 

ーあれ?私は今何を握っている?

 

シノンはゆっくりと手を開く。

 

「そっか、これよ。これなら!」

 

シノンの手の中にはシンを救うためのものがあった。シンから貰ったアイテムが。

 

 

 

 

そしてシンも、

 

ーまだだ、まだ、死ねない。シノンを…守る!

 

シノンから貰ったアイテムに希望を託していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いにあげたアイテムは絶体絶命のシンを救う希望となった。ここが運命の分岐点、戦いは佳境だ。




わぁーーと考えてうおりゃーーと書くとロクな事になりませんね!要反省です…
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