さて、長々と話しましたが待ちきれませんよね?(願望)そんな皆様のために挨拶もここまでとしまして…それでは、再出発の最新話をどうぞ!
welcome to ALO!! 上
死銃事件からはや一月、俺、閑田 改には再び平和な時間が訪れていた。今日は土曜日、いつもの習慣で朝早くに目が覚め、ぼうっとした思考の中朝食の準備をしようとした。
「…あ、しなくていいのか」
だが俺の日常は以前と少しだけ変わった。それも決して悪い方向ではない。むしろ最高です。俺はいそいそと寝間着を着替えて朝の身仕度を済ました。男の身仕度なんぞ着替えて髭剃って寝癖直すくらいだ。そして彼女が来るまでに部屋の掃除をぱぱっとする。大方片付いたところでインターホンがなった。俺は玄関まで行きチェーンとロックを外す。戸締まりはきちんとしましょう。
「はいはい…おはよう、詩乃」
「ええ、おはよう、改」
扉を開けた先にはあの事件で恋人となり、今ではご飯を作ってきてくれる俺の彼女、朝田 詩乃が立っていた。
小さな食卓を二人で囲む。食卓には詩乃の作ったありがたい朝食が並んでいる。
「いただきます」
「どうぞ」
口に運びよく咀嚼し、味わう。こうして詩乃が食事を作るようになったのはあの事件からそう経っていない時だった。詩乃が過去の事をある程度清算した祝いとして俺が彼女に料理を振る舞ったのだが、どうやらその時に彼女以前に女として負けたと思ったらしく、すぐに打ち解けた明日奈に料理を教わり、週に2回俺に朝食と夕食を振る舞うようになった。ちなみに食費は俺が意地を通して割り勘にさせた。
「…どう?」
「ほんとに上達したよな。良い嫁さんになりそうだ」
「誰の嫁かはもう決めてるからね。目標があると精進のしがいがあるわ」
変化は俺の日常だけでなく詩乃自身にもあった。今まで一人で過去と向き合っていたせいか、人に甘えるということが苦手な彼女であったが、清算してからは吹っ切れたのか二人きりの時は臆面もなくこう言うことを言ってくる。それも微笑付きで。心臓に悪いです。もちろん良い意味で。だから負けじと俺も言う。
「なら俺は誇れる旦那になろうかね」
「っ…」
"誰"、と濁すことで羞恥心から逃れていた詩乃であったが俺が明確にしてやることで思考の逃げ場を無くし、顔を赤く染める。いやー、
「眼福眼福」
「ちょ!改ぁ!」
俺は笑い、詩乃は恥ずかしさで俯いてしまう。そんな賑やかしくも暖かな朝の一時だった。
「ALO?」
「そ、詩乃もやんねぇか?」
朝食を食べさせてもらった礼として俺は洗い物をしていた。その最中にふと学校で和人と明日奈が詩乃をALOに誘いたいと言っていたことを思い出し、話題を振ってみた。
「うーん、それ、明日奈にも誘われたのよね」
「なんだ、もう勧誘されてたのか」
「ええ。でも、こう…」
「GGOと違ってヌルそう、か?」
「正直に言っちゃえばね」
確かに、ゲーム内の金をリアルマネーに還元できるGGOはそれを生活費にしている猛者もいるためVRMMOの中では屈指の激戦区になっている。始めからそこに身を置いていた詩乃としてはそう見えてしまっても仕方ないかもしれない。だがしかし、
「詩乃よ、それは甘いぞ」
「?どうして?」
「確かにALOはGGOに比べて平和的なゲームだ。だが実際はPK推奨、アイテム争奪戦と殺伐とした物もある。更に銃という現実的な武器とは違い魔法という奇っ怪なものもある。戦略だけならGGOより遥かに多彩だぞ」
説明途中から詩乃の目が山猫染みてきた気がする。詩乃って若干バトルジャンキーが入ってるよな。
「それに」
俺はそこで一旦洗い物の手を止めて詩乃を見る。詩乃はキョトンとして俺を見ていた。可愛い、じゃなくて、
「俺さ、あっちでプレイヤーホーム持ってるから一緒に暮らさない?現実じゃ世間の目が厳しいがあっちなら同居が可能です」
「やるわ」
まさかの即決ぅ!
「は、早いな…」
「え?私答えてたの?」
「無意識かつ反射かよ!?」
詩乃よ、お前どこまで…
「ま、まぁやるってことで良いんだな?」
「ええ。でも私、どんな種族があるのか何も知らないんだけど…」
「あ、ならちょっと待ってろ」
俺は洗い物を片付けて机の上のパソコンを起動させる。最近のパソコンは立ち上がりが非常に早くて助かる。
「サイト?」
「そ、一旦それで見てみ」
俺は詩乃を椅子に座らせて使ってもらう。俺は詩乃の後ろから覗き込むようにする。すると必然的に距離が近くなって詩乃の髪から良い匂いが…って胸元から下着が!しかも黒だと!?
「へぇ、結構あるのね。改はどの種族なの?」
「え?あ、ああ。俺は
詩乃はALOの公式サイトの種族紹介ページを開き尋ねてきた。
──危ねぇ…トリップするところだった…
「
「それはまちまちだぞ。俺は現実の体に近いアバターになったからそれはラッキーだったな」
「へぇ…えーと、他には…」
「
「どれが人気なの?」
「一位は
「どうして?」
「
「あ、
「そ、んでそれを知った野郎共があやかろうと一時期こぞって
「当然でしょ、あいつと同じ種族を選んだからって同じ様になれるわけ無いのに」
「至極もっともだな。だが逞しい事にほぼ全員が
「大富豪?なんで?」
「元々トレジャーハントを得意とする種族だからな。誰よりも早くお宝見付けてウハウハだ」
「なるほど、ほんとに逞しいわね…ねぇ改、私はどの種族が向いてるのかしら?」
「んー…プレイスタイルによるけど…
「特徴は?」
「そのサイトにも書いてあるんだが、
「
「他の種族より得る情報が多い。特に眼。他の種族の索敵圏外からでも普通に見ることが出来るらしい」
「そう…悩むわね」
「ま、そこは好きずきだな。別にアバターを2つ取っても良いんだし。俺は
「うーん…改、選んで」
「え!?俺が決めんの?」
「ええ」
「いやいやいや、自分がプレイするんだから自分で決めないと」
「改なら私にピッタリなもの選んでくれるでしょ?こないだ二人で出掛けたときも良いもの選んでくれたし」
確かに、先週は詩乃が冬物の服が欲しいと言っていたので俺から買いに行こうかと誘って出掛けた。その時に詩乃は俺に冬らしい服と俺好みの服を選ばせたのだ。そこまでセンスに自信は無かったのだが彼女に頼まれた以上応えたくなるのが彼氏、無い知恵絞って冬物を選んだ。結果中々に好評価を頂いたので調子に乗って俺の好み全開の服を選んだのだが…そこで失敗したと思った。俺は黒やアースカラーと言った地味な色が好きでクールな詩乃に美しさを引き立てる為に黒を基調とした物を選んだのだが、選び終わった後にちょっと必死すぎたかと後悔した。まぁどうやら詩乃は俺の選んだ服にご満悦になっていたが。詩乃の趣味に合ったのかはたまた俺の好みが知れて嬉しかったのかは分からん。分かっていることは俺の選んだ服は衣装タンスとは別枠に収納されている事だけだ。詩乃さんや、いくらなんでも衣装カバーを掛けて部屋に飾るのはどうかと…
「うーん…あれは本当に俺の趣味全開にしちまったから割りと黒歴史なんだが…」
「あら、私は嬉しかったわよ?改の趣味が分かったし次出掛けるときの参考にもなったわ」
「さいで…」
「…着てきてあげよっか?」
「嬉しい誘いだが襲いたくなるから止めて。着るなら次のデートで」
「了解。それで?どれがいいのかしら?」
「そうだなぁ…詩乃は遠距離戦が良いよな?」
「ええ」
「魔法と弓、どっちが良い?」
「…弓かしら」
「弓だと
決して俺が猫耳シノンを見たかった訳じゃ無いからな?
「そう、ならそうするわ」
「わあ即決。理由聞かないの?」
「改の事だしちゃんとした理由で選んでくれたでしょ?ならそれが全てよ」
この子本当に男殺しだよ。普段つっけんどんな態度を見せられてたからギャップが凄すぎる。心なしか付き合う前よりなんか色気が出てるし。
「じゃあ買いに行きましょ?早くやってみたいわ」
「ほんと決めたら行動が早いな…」
「スナイパーは早さと正確さを尊ぶのよ。それに…」
詩乃は俺の耳元に口を寄せて囁いた。
「早速あなたの好きな姿が見れるのよ?」
…しまった、これデートになるから約束が発動する。
「着替えて来るわ、改も着替えといてよ?」
詩乃はそそくさと俺の部屋から出ていった。その時に見えた耳が赤くなっているのは気のせいでは無いだろう。
「俺、理性保つかな…」
毎日運動しているのは鍛えているだけではありません。
部屋の鍵を開けて体を中に滑り込ませる。そのあとしっかりと鍵を掛けた。すぐに出ると言っても戸締まりはちゃんとするようにしている。私は若干震えている脚を必死に動かして何とかベッドまで辿り着く。そこで私は限界を迎えた。
「あああああ…恥ずかしい…」
少しでも改に女として見てほしくて必死に料理を覚えたり、わざと意識させるような事を言ってきたけど私の内心は普段のクールさをかなぐり捨てて荒ぶっていた。
「これ、ばれて無いわよね…?改、そういうとこ鈍いし…大丈夫、大丈夫よ…」
そう、いつでもそういうことが起きても大丈夫な様にちょっと(いやかなり)大人っぽい下着を着けてることもきっとバレてない。
「…着替えなきゃ」
私はひとしきり悶えたあと、衣装タンスの横に掛けてある衣装カバーを手に取った。前回、改が訪れて来たとき内心慌てててタンスの中にしまうのを忘れていたのだ。普段は常に目に入るようにして意識して服を選ぶ様にしていたのが裏目に出た瞬間だった。改が帰ったあとはそれは悶えた。
「うう、恥ずかしい…」
思い出して顔が熱くなる。けどこれを着ると改に包まれている様な気がして実はこっそりと何回も着ていたりする。
「私、ほんと重症ね…」
我ながらに重い女だと思う。きっと別れを告げられたら即座に首を括るだろう。それだけ私の中は改一色に染まっている。それでもなお彼の色に染まりたいと思っている。従属欲が強すぎだ。
「…いつか、この事も話さないとね」
彼はどう思うだろうか。…いや、考えても仕方がない。それよりも今は、
「着替えてメイクしないと…」
私は行動を始めた。
詩乃から近所の公園に行っててくれとメールを頂いた。集合は11時だから俺は30分前に着くようにする。女の子を待たせてはいけません。ちなみに俺の服装はカーキのズボンに藍色のパーカーだ。あとユ○クロのダウン。野郎の服なんてそんなもんだ。和人なんて黒一色だしマシな方だろう。
「寒いぃ…冬真っ盛りだな、俺も冬物買っときゃ良かったな」
その時は詩乃に選んで貰うか。そう思いつつ腕時計を見る。
「10時55分、そろそろかな…あ、そうだ」
俺は携帯端末を少しいじった。
「これでよしっと…」
そう呟いた所で足音が聞こえた。
「おまたせ、改」
俺は一つ深呼吸をしてゆっくりと振り返った。ガツンと頭を殴られるような感覚を得る。俺の好み盛り合わせを完璧に着こなす最愛の彼女、それだけでノックアウトです。
「…どうしたの?黙っちゃって?」
「ちょっと煩悩を抑えるのに忙しいだけです」
既に円周率は百桁を超えました。詩乃は俺の言葉にきょとんとするがすぐににやっと笑う。
「そう、別に抑えなくても良いのよ?私はあなたの彼女なんだから」
「朝の恥じらいはどうしたよ」
「自分で言うぶんには良いのよ」
マジで勘弁してくれ…
「さ、行きましょ?早く買ってお昼も済ませておきたいわね。あ、それとも…」
詩乃は下から俺を覗き込む様にして微笑を浮かべる。
「もっと見てたい?」
そんな蠱惑的な顔をするな!マジで理性がヤバくなる!
「い、行くぞ!」
俺は詩乃の手を取って少し早歩きで進む。もちろん詩乃が余裕で追い付けるような速度だ。
「ん」
「…詩乃さんや」
「なに?」
「今日は積極的ですね」
腕絡めて密着されました。逃げ場がありません。
「この服着てると気持ちが昂るのよ。いい気分だわ」
マジで煩悩との戦いになりそうです…
詩乃の内心
あああああ!やり過ぎた!どうしよう!ここから離れるのは不自然過ぎるしおかしいわよね!?というより離れたくないし…それより私これの前になんて言った?抑えなくて良い?それ絶対に誘っちゃってるじゃない!どうしよう、痴女に思われてないわよね?しかも見てたい?って何それ!確かに見られてたいけど!恥ずかしすぎるわ…助けて明日奈ぁ…
「くしゅん!」
「大丈夫か?風邪か?」
「うーん、体調管理はしっかりしてるんだけどなぁ…あ、あそこの雑貨店可愛い!行こ!キリト君!」
「はいはい、了解ですよお姫様」
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