罪背負いし影   作:砂利道

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さて、今回から本格的に始まりました。自分でもこれなら楽しんで頂けるのではという出来です。いやーよく書けた、俺!

それと前回の捕捉、ALO編では改、目覚めてません。須郷の実験台にされてました。キリトはアスナちゃんを助けると同時に改も救っていたのです!スゴいね、流石だよ!


GGO編
第一撃


おいおい聞いたかよ、今度のBobあの"シャドウ"がでるらしいぜ!

 

お前それマジか!?というか存在したんだな、てっきり噂の産物かと思ってたぜ。

 

俺もついこの間までそう思ってたさ、でもな実は俺……見ちゃったんだよ"シャドウ"を!

 

!?どこでだ教えろ!

 

落ち着けよ、見たのは総督府のBobのエントリー受付だよ。フード被ってて分かりづらかったけどチラリと見えた顔から噂の容姿とピタリと合ったよ。

 

…どうだった?

 

…正直この世の美貌とは思えなかった…

 

ズリーぞ!!

 

………

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか見られていたとは…不覚」

 

明かりのついた少し狭いアパートの一室で少し長めの髪の青年は呟いた。全体的に細身だが弱々しさは感じない程度に体は鍛えられていて背もパッと見180はありそうだ。今青年は自前のパソコンの前でVRMMO"ガンゲイル・オンライン"の誰でも見れるコミュニティサイトを見ていた。そこには青年が操るアバターの目撃情報が書かれていた。青年が操るアバター"シン"はこのゲームの中では1つの都市伝説にまでなっていた。曰く誰も視界に捉える事は出来ない、曰くいつ殺られたのか気付かない程の早業、曰く1度も被弾したことは無い、等々真偽を疑うようなものばかりだ。

 

ーまっ、あながち間違っちゃないが。

 

恐ろしいのは噂のほとんどが事実ということだ。彼、閑田改はかつてデスゲーム“ソードアート・オンライン”で最前線に()()()()立ちその攻略に貢献していた。その時あった親友が付けた二つ名は“夜叉”。口では否定していたが内心気に入っていた。その二つ名通り彼は対モンスター戦、及び対人戦において圧倒的な強さと恐怖を持っていた。まさに悪鬼。その彼が忌避していた現実世界に戻り、リハビリを続け新たに始めたのがアルブヘイム・オンライン、そしてガンゲイル・オンラインだ。最初は親友に誘われ以前のアバターを再取得しやっていた。しかしこのアバターは初めての親友を手に入れたアバターではあったが同時に罪に汚れたアバターでもあった。だから改は新しいきれいなアバター“カイ”をALOに残しこの“シン”をGGOに移したのだった。その後この世界で暴れた結果都市伝説にまで昇華されたのだった。

 

「よし、今日も行くか」

 

改はパソコンを閉じアミュスフィアを被り合言葉を唱える。

 

「リンクスタート!」

 

その意識は銃声と硝煙の世界へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意識が低すぎるのではないか、私、朝田詩乃/シノンは今参加しているスコードロンに対して思っている。作戦前というのに緊張感のない会話、装備の点検すらしていない。元々次のBobの有力候補であるダインについて情報を得るために潜り込んだのだが徒労だったかもしれない。

 

「おい、来たぞ」

 

「ようやくお出ましかい、貸せ」

 

私は愛銃へカートⅡのスコープを覗いた。

 

「確かにあいつらだが以前より一人多いな、補給兵か?まぁいい、全員配置に着け」

 

ダインの言葉でメンバーが動き始める。

 

「シノン、動き始めたら俺達には奴等が見えなくなる、状況に変化があったら知らせろ。狙撃のタイミングは指示する」

 

「了解」

 

私はスコープに右目を当て移動中の七人を視界に入れる。

 

「にしてもあのマント野郎もしかして噂の≪デスガン≫じゃあ無いのか?」

 

メンバーの一人が微かに緊張の声で呟いた。

 

「ハッ、まさか。実在するかよ。第一死銃ってのは小柄のギリースーツ何だろ?あいつはどう見ても二メートルはありそうだ。バカ言ってないでさっさと配置につけ」

 

うーすと軽い返事が聞こえる。私はそれを意識から外した。集中力を高めながらダイン達が配置に着くのを待っていたその時、

 

「えっ?」

 

突然ターゲットの一人が身体をポリゴン片に姿を変えた。

 

「ッ!?ダイン緊急事態!ターゲットの一人が消滅、別のスコードロンがいる可能性あり!」

 

「何だと!?現在の状況は!」

 

「全員が呆けているように見える、あっ!またやられた、今度は二人!」

 

「狙撃か?射線は見えたか?」

 

「ダメ、見えない。でも…」

 

「でも何だ?」

 

「一瞬やられた二人の後ろに何か影のようなものが横切った気が…」

 

「影?……まさか!?」

 

「間違いねぇ、アイツだ!総員撤退!今すぐ離脱しろ!」

 

「は?何でグワッ!!」

 

「おい、ギンロウ!?くそ、もう見付かったか!」

 

「ちょっとダインどういう事!?」

 

「聞いたこと位あるだろう"シャドウ"だよ!こっちから見えないがとっくにターゲットは全滅してるだろ!!」

 

私は慌ててスコープを覗いた。目に写ったのはターゲットが持っていた銃やアイテムのみだった。

 

「うそ…」

 

「ちくしょう何でこんな時に…」

 

強すぎる、たったの1分で全滅させてしまった。しかも遠距離から全体が見渡せる私でも姿を捉えられなかった。しかも銃声も聴こえなかった。サプレッサーを着けているのかも知れないがそれでも一撃でHPを全損させるなんてどう考えても思い付かない。

 

「シャドウってマジかよ…姿を捉えられないんじゃどうしようもないぞ!」

 

「だから逃げんだよ!」

 

「少しは戦おうと思わない訳?」

 

「戦う戦わないなんて問題じゃねぇ!どうすれば少しでも長く生きられるかって問題なんだ!」

 

私はその言葉に腹が立った。いくら相手が圧倒的だからって少しも抗おうとしないことに。

 

「じゃあどうせ死ぬんだったら少しでも抗って意地見せてから死にやがれ!!」

 

私の鬼気迫る声に無線の向こうから息を飲む音がした。

 

「ダイン達は周囲に弾丸ばら蒔いてシャドウの行動範囲を狭めて、私が必ず捉える」

 

「お、おう了解…」

 

残りのメンバーも口々に了解と返してきた。既にこっちは私を含めて四人、三人はほぼ正三角形の陣形で待機している。一人一人の間隔はおよそ100メートル、ダインの撤退指示のあとすぐに動いたのだろう。おそらくシャドウは三人から等間隔の位置、つまり三角形の中心にいるはず。本来なら袋叩きの位置だがさっきの感じからして常に相手のど真ん中に立つようにしているのだろう。ならば…

 

「全員自分を中心に円を描くように撃て!!」

 

直後三人が立ち上がり時計回りに弾丸をばら蒔く。その瞬間予想した位置から1つのスタングレネードと2発の弾丸が三人を襲った。異常な命中精度だ。正確に二人の頭を貫いていた。あっちからは死角で見ることは出来なかっただろうが私からはかろうじて場所が読めた。私はその瓦礫の向こうにいるはずのシャドウに必殺の弾丸を放った。強烈な反動、稲光のようなマズルフラッシュ、そして音速を超える弾丸は寸分違わず狙った場所に大穴を空けた。

 

「どうだ!?」

 

だがいくら待ってもアバターの四散する様子が見えない。

 

ーまさか外した?

 

私はスコープから目を離し顔を上げる。その瞬間私の目の前には一本のピックが迫っていた。

 

ーどこから!?

 

ピックは頭を貫いた。人が投げたとは思えない威力だ。だがやはり銃には劣る。HPは数ドット残し止まった。私は慌てて体を起こそうとするが体が動かない。ステータスを見ると

 

ー麻痺!?そんなのを使うプレイヤーがいるの!?

 

この世界では敵の行動を縛るにはスタングレネードか電磁スタン弾が主流だ。その際のバッドステータスはスタン、回復手立ては時間経過による解除しかないのでよく使われている。しかし麻痺は近接系の武器、ナイフなどでしか付随しないので使う人はほとんどいない。今見たいにピックや投げナイフなどもあるがそれを使う前に銃で撃った方が圧倒的に早いのでこれも使う人はほとんどいない。

 

「ちく…しょう」

 

ポーチに念のためと解毒薬は入れてあるが手がノロノロとしか動かない。手を必死に動かしていると目の前に足が見えた。目だけでその人物の顔を見る。パーカーのような服で隠されているがその顔は

 

 

 

 

 

この世のものとは思えないような美少女だった。

 

 

 

 

 

 

シノンは半ば放心した。凛々しい顔立ちだがそのどこか守ってあげたくなるような愛嬌を感じる。十人いれば十人が美少女と言うだろう。その美少女はおもむろに手を出し中指と親指で輪っかを作り力を込めた。そしてそのまま"デコピン"をした。ビシッ!と音が鳴り残り数ドットだったHPを削りきった。

 

ー私の最期がデコピンって…

 

シノンはそのままアバターを四散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーイヤー、危なかったわ。

 

つい先ほどスコードロン2つを被弾しないで壊滅させたシンは一人心で呟いた。

 

ーまさか居場所がこうも簡単に割れるとは、キリト以来だな。

 

おそらく最後の銃撃戦で指示を出していたのはさっきの少女だろう。この位置で場所を予測しなければさっきのような作戦は立てられない。実際あの瞬間俺は焦って止まった状態で攻撃をしてしまった。直後に殺気を感じて体を仰け反らしたのだ。一瞬遅れていたら今頃SBCグロッケンで蘇生していただろう。あのあとすぐに移動して姿が見えたから麻痺毒付きのピックを放って追撃を防いだ。

 

ー着いたら女の子で驚いたよ。とりあえずナイフで止めは可哀想だったからデコピンで終わらせたけどまさかライフルがドロップしてしまうとは。何かすごく大事そうにしてたな。あっちで会ったら返すか。今回中々良いのがドロップしたから満足だし。にしてもあの子気になるな。あの目…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで昔の俺だ。




ちなみに改の顔の作りは『さくら荘のペットな彼女』の神田空太を黒髪にして目を少しきつくした感じです。

えっ?名前が似てるって?たまたまだよ、たまたま…
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