罪背負いし影   作:砂利道

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約束守れたかは微妙にアウト!理由は簡単!



風邪引いたぜーーーーーーーー!

おかしいな、毎日青汁飲んでたのに…
ちなみに砂利道は現在道後温泉で有名松山にいます。夏目漱石よ我に力をーーーーー!


あ、温泉気持ち良かったです。



第六撃

 唐突だが俺、閑田改は読心術ができる。これは相手の仕草や視線の動きなどで相手の内心を知る為の技術だ。この特技から俺は相手の癖を意識的に覚えるようにしている。そして現在俺の後ろをついて来ている水色の髪のスナイパーの少女、シノンはどうもリアルの知り合いと同一人物にしか思えないのだ。

 

ーまさかだよな…銃が怖いって言ってたし。でももし本人ならなんちゅう荒療治を…人の事言えんが

 

俺もあの事件から朝田さん程ではないが刃物に対して苦手意識を持っていた。それもあの世界に飛び込んでからはほとんどそういう意識は無くなったが。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

「どうした?」

 

「どうしたじゃないわよ!あんたどういう神経してるわけ!?そこらの中ボスクラスのmobがうようよいる所に突っ込んでいくなんて!しかもサバイバルナイフと体術とピックで全部倒してるし!」

 

「欲をいえばナイフはもう少し長いのが良いんだけどな、それに君も倒したじゃないか」

 

「一体だけね!その間にあんたは何体倒したのよ!」

 

「六体だが?」

 

「かわいらしく首傾げんなーーーーー!!」

 

ー…同一人物、なのかな?不安になってきた。てかかわいい言うな、俺は男だぞ

 

「それより大声は控えろ、他のmobが来るかもしれないしプレイヤーがいないとは限らないんだからな」

 

そう言うと彼女は慌てて口を塞いだ。その耳が赤い。スナイパーとしての鉄則である隠密行動を堂々と破ったからだろう。ちなみに俺達は現在“怒りの戦艦”の入り口付近の最初の大空間にいる。このダンジョンは巨大な戦艦の残骸であり内部は二百近い小部屋と二つの大空間、そして最奥の“機械化生体兵器実験室”に大きく分かれている。小部屋にはかつて船員の物だったであろう無数のアイテムや大空間にいる中ボスの情報がある。最初の大空間には七体の狼型のモンスターがいる。俺達が今戦っていたのはこいつらだ。このモンスターの特徴は“視覚共有”である。小部屋にあった情報によると普通の狼型モンスターの脳の視覚野に通信装置を埋め込まれていて更に薬品で身体強化されている。視覚を共有してるため死角がほぼ存在しない、が、共有しているのは視覚のみである。ならば簡単、潰せばいい。俺は七匹のうち五匹の目をピックとPC356で全て潰し、二匹の口の中にグレネードを突っ込み頭を吹き飛ばし、一匹は足の腱を全て切り行動力を奪った状態で猛毒のピックを五本突き刺しじわじわと殺し、残りの三匹はサバイバルナイフと体術で倒した。この間およそ三分。彼女の方も三分半で中ボスクラスを倒したのだから大したものだろう。

 

「ほら、次行くぞ。ここから少し入り組んでいるからな、離れるとすぐ迷う」

 

「…さっきから思ってたけどまるで何回も潜った事のあるような言い方ね」

 

「既に二回潜ったぞ。マップ踏破率は99%だな、ボスを倒せば完全踏破だ」

 

「……もう驚くことに疲れたわ…」

 

すごく遠い目をしてるな、うん。そこまで驚く事かな、一回で三時間潜ってれば誰だってできる…よな?

(このダンジョンそこそこ広い上にかなり入り組んでいます。しかも途中には常に怒り状態のmobがうようよ)

 

「それで次のボスだが今度は九割機械だ」

 

「今の逆って事?」

 

「そう、巨大な植物のようにも見えるんだが移動する上に光彩歪曲迷彩ももってやがる。果実に見立てたグレネードに蔓のようなワイヤーと多彩だ。そして極めつけは広範囲のスモッグだ。唯でさえ光彩歪曲迷彩で見えないのに広範囲にレベル10クラスの猛毒でHPガリガリ削られる。俺でも苦戦したよ」

 

「もうゲームバランス完全無視の設定ね、しかもそれに二人で挑もうとするとかもう無謀」

 

「そうでもないさ、今回俺は誘導と囮に専念する。もちろん攻撃はするけどメインは君だ」

 

「え?…いやいや無理でしょ、貴方でさえ苦戦したのを私がメインでやるなんて」

 

うーむ強さがなんたらとか言ってるくせに退け腰だな、…焚き付けるか。

 

「そうか架空のモンスターすら倒せないというなら強さを知るなど永遠に無理だな、一生止まっていろ」

 

これでどうだ?大分きついことを言ったが大丈夫だろうか?

 

………………………ブチッ!!

 

「ぶ、ぶち?」

 

おかしいな、ここは仮想世界のはずだよな?まるで血管が切れた様な音が目の前の少女から聞こえたような……

 

「へーそう。この程度は出来なければあんたみたいに強さは手に入らない訳か」

 

「え?いや、別に俺は強さが手に入るとは言ってないんだが…」

 

やばい、やりすぎたかもしれない。仮想世界なのに背中が冷や汗でびっしょりだ。シノンの顔が笑ってない、無表情なのに後ろに般若が見える。

 

「なにしてるのさっさと行くわよ」

 

「あ、ちょっと待てよ!て言うか俺まだどっち行くか言ってなかったよな?何で道分かんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 私は先ほどシンに言われたことに体中を冷やされた。“一生止まっていろ”それはつまりあの過去に怯えながら生きていろという事だ。そんな事私には絶対に出来ない、私は絶対にこの世界で強さを手に入れてあの過去に打ち勝つんだ!

 

「お、おい。着いたぞ」

 

「そう…」

 

「…あのーシノンさん?」

 

「…なに?」

 

「作戦の程は如何に…?」

 

「さっきあなたが言った通りで。と言うかあなたがこの作戦を言ったんでしょ。私は狙撃ポイント捜して来るから。見つけたら合図する」

 

「マム、イエスマム!」

 

私は二階に続いているだろう階段を駆け上がり狙撃ポイントを探す。すると丁度大空間の二階の通路に出た。いい狙撃ポイントを見つけた。ボスも確認する。名前は“death prant”死の植物。安直だが名に違わない威圧感だ。

 

「着いたわ」

 

無線でシンに報告する。

 

『了解、3カウントで行く…2、1、GO!!』

 

入り口からシンが超高速で入ってくる、そのまま動いていた二十本近くあるワイヤーのうち五本をサバイバルナイフで切り落とす。

 

ギュオオオオオオオオオ!!

 

モーターの駆動音の様な声が響き渡る。“death prant”はシンに向けて残りのワイヤーをその場に放つ。しかし既にその場にシンはいない。姿が霞む速度で攻撃位置から反対側に移動したのだ。

 

『シノン、俺が装甲の隙間にピックを刺すからそこに正確に打ち抜いてくれ』

 

分かっているのだろうか?動いていて更に直径一センチに満たないピックを正確に打ち抜くなど神業でしかない。それでもシンの声に“やれるか?”と言う思いは混じっていなかった。それはつまり私ならやれるという事だ。だったらやってやる!

 

「了解!」

 

シンがワイヤーを掻い潜り肉薄する。そして両の拳を打ち付ける。スコープで確認すると装甲の隙間に二か所ピックが刺さっている。拳の中にピックを隠していたのだろう。

 

ーこれシューティングゲームよね?

 

どうもシンは銃を滅多に使わないらしい。常にサバイバルナイフを腰に差しどこに仕込んであるのか分からないピックで動きを封じる、そんな戦い方だ。次の瞬間シンが合図をする。

 

ー集中しろ、相手はポリゴンの塊。生きている人間が操作しているわけでもない。それにこの距離ならゴミ箱の真上から紙くずを落とすより簡単だ。そう、

 

 

 

 

 

 

 

 

アノトキニクラベレバ

 

一瞬で安定しなかったバレットサークルが収縮した。輪の中にはピックしかない、引き金を引く。強烈な反動とマズルフラッシュ、轟音が私の五感を支配する。でもそれを振り払いもはや体に染みついている動きで次弾を装填する。さっきと同じように極限まで収縮させ…発射。結果は二回とも命中、装甲の一部が剥がされた。

 

『ナイスショット!』

 

「どうも」

 

私は素っ気なく返したが内心バクバクだった。少しでもずれればシンに当たるのだ。成功した一時の安心感、何より私の強さの目標にナイスショットと言わせたのだ、私にとってこれは大きな自信だ。私は次の合図が来るまでの間この気持ちを噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とんでもない命中精度だ。この大空間はコート二面分の体育館より大きいのだ、それを端から端の距離からおよそ七ミリのピックに寸分違わず二回とも命中させたのだ。

 

ーこりゃ方向性が違うだけで技術ならSAOのトッププレイヤーと並ぶな

 

それはつまりこの世界において頂点に立てる実力を持っているのだ。それでも未だに強さを求め強者に挑み続ける。聞こえは良いかもしれないが危なっかしいのだ。いつか足を踏み外し、挫け、心が折れて立ち直れなくなる。そんな気がしてならない。

 

ー俺は折れてそのまま腐っていったからな、あいつらに遭わなかったらと思ったゾッとする。

 

俺が止めてみせる。そう考えていて気が逸れていた。

 

『シン!』

 

「ん?やべ!?」

 

目の前にワイヤーが迫っていた。慌てて上体を逸らしそのままバク転で後退する、直後“death prant”が体を回転させる。

 

「全方位グレネード攻撃か!」

 

グレネードがこっちに二つ飛んでくる。

 

ー隠しておきたかったけどしょうがねぇ!

 

「暗殺術体術系カウンタースキル、"流水"」

 

俺の所で爆発するはずだったグレネードは軌道を変え"death prant"に直撃する。運よく弱点に当たったようで装甲が一枚剥がれ落ちた。

 

『ちょっと!?今の何!?』

 

「終わったら説明する!次行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺がピックを突き刺し、寸分違わずそこをシノンが狙撃する、約二十分ほどそれが続いた。

 

「装甲が全部落ちた!シノンここから気を付けろよ、そこも安全圏にならないからな」

 

『えっ、ここかなり離れてるけど』

 

「始まる前に言ったろ、広範囲の…」

 

そう言った直後“death prant”の姿がブレ消える。同時にシューと音がする。

 

「くそ!言ったそばから!シノン今すぐ上がってきた階段まで下がれ!スモッグが来る!」

 

無線の向こうで慌てて片す音がする。かくいう俺も全速力で入り口までダッシュする。仮想の空気が顔を叩く、なんか毎回全力で走ると最初に横向きの傘雲出来る。名前なんだっけ?

 

ギュオオオオオオオオオオオ!!

 

「間に合えーーーーー!」

 

背後から仮想の異臭が匂ってくる。駆け込み……ぎり成功。スライディングで入り口にゴール。

 

「あぶねぇ…」

 

「あんたは人間砲弾か!奥からここまで何メートルあると思ってんの!?ほぼ瞬間移動だったわよ!?」

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

「問題しか無いわよ!!!ベイパーコーン作るとかあんたは戦闘機か!!!」

 

ー人間砲弾なのか戦闘機なのかハッキリしといて欲しいな、それとベイパーコーンだ、思い出した思い出した。てかよく知ってたな。

 

俺はそう考えながら早業でアイテムストレージから暗視スコープを取り出す。

 

「シノン、俺が奴を探すから君が機関部を打ち抜いてくれ」

 

「…もう何も言わないわ、分かった。指示頂戴」

 

俺は空間が乱れる所をさがす。…あった。

 

「一時の方向、上に二十、二秒後に…」

 

俺の指示にシノンは正確に従う。

 

「撃て!」

 

直後轟音が響く。弾丸はスモッグを吹き飛ばしながら一見何もないところを撃ち抜く。

 

バガァァァァァァァァァン!!

 

空間を乱して"death prant"がその姿を表す。それは中心部の装甲の下にあった機関部を見事に大穴を開けていた。"death prant"は機能を停止してそのままその体を崩していった。




シン=チート
シノン=微チート

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