ニセコイにオリ主をぶち込んだ話(仮)   作:凡夫は俺だ

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初投稿。


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「なあなあ、きいて!!」

 

 

どこかぼんやりした視界の中で、2人の男の子が向き合っていた。

 

2人とも黒髪で似たような背丈だが、その雰囲気は全く違うように見える。

 

話しかけられた男の子は俯いていて、【僕】の位置からその表情は見えなかった。

 

 

「それでさ!【その子】とつぎにあったらけっこ……あき、どうしたの?」

 

 

余程嬉しいことがあったのか、興奮して話しかける男の子は、相手の様子が普通じゃないことに今気付いたようだ。

 

そして僕もようやく、これが過去の出来事をそのまま映し出した夢だと気づく。

 

 

「あのね、らくくん」

 

 

…この時の自分は、どんな表情だったのだろう。

 

 

 

 

「早いな、明喜」

 

 

おはようと挨拶してきた兄のこちらを見る顔には呆れが浮かんでいる。

 

 

「おい、今日のメシ当番はオレだろ」

 

「早く起き過ぎて暇だったんだよね」

 

「こないだもそう言ってただろ、ったく…お人好しも大概にしろよな」

 

 

お人好し代表の楽には言われたくない。

 

 

「楽、みんなのこと呼んできて。ご飯だよって」

 

「あいあい〜」

 

 

"集英組"と言われるヤクザはこの辺りでは有名で、僕たち兄弟はその組長の息子である。

 

今、組の仲間たちを鬱陶しそうに相手しているのが、僕の同い年の兄である【一条楽】。

 

夢は公務員…ヤクザの息子が何を言ってるんだと思われるだろうが、この家に生まれてまともな感性を持っているのは奇跡としか言いようがない。

 

 

「そうだ坊ちゃんたち、実ぁ最近見慣れねぇギャング共がウチの島ぁ荒らし始めてやしてねぇ…坊ちゃんたちも気ぃつけて下せぇ」

 

「は?ギャング」

 

「まさか皆んな、手出してないよね?」

 

「実ぁ昨日もドンパチやったばっかりで…」

 

「もう、不用意に手を出さないでっていつも言ってるよね?必要のない争いは嫌いなんだけど、僕」

 

「す、すいやせん、アキ坊ちゃん」

 

「…てか明喜がそれ言うのかよ。この前だってオレに絡んできたチンピラ脅してただろ。お前」

 

「いや、楽が危ないのにほっとく訳無いでしょ」

 

「なら逃げるだけでいいだろうが」

 

「逃した敵は何するか分かんないんだよ、楽。」

 

「優しい筈の弟がヤクザに染まっている…」

 

 

失礼な、寧ろ物騒なことは苦手である。僕だって、好きで血生臭いことをしているわけじゃないのだ。

 

けれど、家族や仲間を傷つける存在はそれ以上に嫌なだけで。

 

心配してくれるのは嬉しいが、楽のような生き方を僕は選べない。

 

反省の色が見えない僕に対しえため息を吐く楽を横目に荷物を持つ。 

 

 

「僕、今日は日直だから早めに行くね」

 

「おう。オレも遅刻しないように準備しねぇと…」

 

 

父は、楽だけではなく僕も高校に通わせてくれている。理由を聞くと、笑って誤魔化されるけれど…

 

それでも、『頭を継ぐつもりがある以上、呼んだ時は来い』というスタンスである。

 

 

学校へ続く道を歩きながら、考えるのは竜が言っていた【ビーハイブ】について。

 

ビーハイブは僕でも知っている有名なギャング組織であり、腕の立つ構成員も多い厄介な相手だ。

 

 

「あのー…すみません」

 

 

敵に回すと双方の被害は目に見えている…のだが、ウチの仲間は既に手を出してしまったらしい。

 

近い内に戦争になる可能性は非常に高い。

 

出来ることならそれは避けたいところなんだけど…

 

 

「あの!おーい!聞こえてる?」

 

 

まだ戦争になると決まったわけでは無い。帰ったら父に今後の方針について相談してみよう。

 

ブンブンと首を振り、不安を払う。

 

 

「ねえってば!!!」

 

「え!?…君は?」

 

 

突然後ろから呼び止められ、振り返る。

 

金色の長髪に頭のリボン…ウチの学校の制服だけど、こんな目立つ容姿の人は知り合いに居ない筈だ。

 

 

「さっきから呼んでたんですけど!?」

 

 

頬を膨らます彼女を見て、自分が無視していたことを悟る。

 

 

「あーごめん、考え事してて気づかなかったんだ」

 

「…ならしょうがないか、急に話しかけたのもこっちだし」

 

 

コホン、と咳払いをしてこちらを向き直す彼女は、今度はパシッと両手を前に合わせて頼み事のポーズ。活発な少女ということが見て取れる。

 

 

「私、今日から学校なんだけど…その、道を忘れちゃったのよね。」

 

「そういうことね。なら案内するよ」

 

「わー!ありがとー!危うく初日から遅刻するとこだった…」

 

 

安心した様に息を吐く彼女を見るに、相当焦っていたのだろう。そして勇気を出して話した相手には無視されかけたと…ほんとにごめん。

 

 

「私、桐崎千棘。あなたは?」

 

「一条明喜。よろしくね、桐崎さん」

 

 

 

「ここが職員室?」

 

 

学校までの道中、桐崎さんは初日の不安からか緊張していたようだった。

 

桐崎さんはどうやら、僕たちのクラスに転入して来るらしい。

 

学校のことを中心に話題を振ると会話も弾んだし、桐崎さん自身のことも多少知ることができた。なぜか、家のことについては笑って誤魔化されたけれど。

 

 

「そうだよ。教室の鍵貰わないとだから、一緒に入ろっか」

 

 

桐崎さんが頷き、2人で職員室に入る。

 

 

「先生おはようございます、鍵貰いに来ました」

 

「おー、一条弟…と桐崎じゃないか。なんだ、2人知り合いか?」

 

「いえ、初対面です」

 

「もう友達を作ったのか?前に会った時は不安そうにしてた割にやるじゃないか、桐崎」

 

「ちょ…せ、先生!?」

 

「友人一号として教えておくと、この人はこういう人だよ。桐崎さん。」

 

「そ、そうなのね」

 

「ハハ!すまんすまん」

 

 

カラカラと笑いながら教室の鍵を放り投げるキョーコ先生。全くこの人は…

 

 

「じゃあ、また後で。桐崎さん」

 

「あ…うん」

 

 




千棘が遅刻した理由を捏造
跳び蹴りなんて無かった
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