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「まずは自己紹介からしてもらおうか。名前は?」
「上野暁ですけど。つか此処は何処?」
こんにちは、皆さん―――皆さんって誰なのかは分からないけれど―――故人の上野暁です。
はい、間違ってないですよ。故人です故人。お亡くなりになられた人ですね、はい。
かなり複雑な訳があって、私こと上野暁は死にました。それはもう、不幸だと同情されるくらいの死因で。
人に刺された挙げ句、車に跳ねられたんですね、俺。自分で言ってても、かなり凄い死因だと思う。
でもまぁ、最も驚くべきなのは、その両方が俺の所為という、まさしく因果応報かつ自業自得であるという事なのだ。
いや、決して悪人ではないのですよ? こんな極悪人がする様な死に方をしてしまったけれど、俺は別に極悪人の様な存在ではなかったのよ?
普通…ではなかったかもしれないけれど、それでも異常ではなかった。
周囲から変に思われはしたものの、それども充分に人間だった。蔑まれる様な歪を、決して抱えてはいなかった。
人に刺されたけれど、それは友人で。その理由も、俺がその友人に恨まれる様な事をしてしまったからで。
死にたくなかったから、説得でもしようとしたんだけど、それをしたら友人が泣いて道路に出ようとして。
無我夢中で動いた時には、既に体は宙を舞っていた。意識があったのはそこまでだ。
で…気が付けば、めっちゃ眩しい場所に居るし、何なら眼の前には形容し難い自称神様が居るしで、困惑してます、はい。
「簡単に言えば神界だよ。その中でも、高位の神々が住まう領域であり、此処はその病院さ」
「神様の世界にも病院とかあるんすか…」
「まぁね。と言っても、基本的に怪我を治療する訳ではないけど」
「それ本当に病院すか…? で、貴方は此処の…院長さん?」
「おぉ、よく分かったね。その通り、私は此処の院長―――そして、最高神お抱えの医者でもある」
「めっちゃ偉い人じゃないすか!? あ、人じゃなくて神か」
「ま、神は人のまがい物った言うしね」
「神様がそれ言っちゃうんすか?」
「これでも医者なのでね。知識は詰め込んでるのさ」
なんだろ…めっちゃ人間っぽいんだけど、この神様。
神様と話してる筈なのに、全然神様と話してる気がしない。文字通り、病院の先生と雑談してる感覚だ。
って、そうじゃない。俺が言いたいのは、聞きたい事はそういう事ではないのだ。
「えっと…何故、俺はそんな貴方の前に居られるので?」
「―――単純さ。実に単純で、珍しく、そして恐ろしく、あまりにも酷な事だ」
「え…何すか、俺もしかして地獄に落ちるんすか?」
「地獄に落ちた方がマシだったかもしれないね!」
「すっごい笑顔でエグい事言ってるよ、この神様」
「まぁ、何も難しい事はない。単に、君が最高神に目を付けられたというだけの話しさ」
「えぇ…?」
何そのなろう系主人公みたいな出来事。俺って、そんな偉い事しましたっけ?
最高神というと、あれですか。世間一般で言う所のゼウスとかオーディンとか、そこらの神様みたいなもんですか。
「あぁ、あの田舎者共ね。いやいや、彼をあんな奴らと一緒にしてしまってはダメだよ。あれらは最高神の面汚しだ」
「ひっどい言い様だなぁ…じゃあ、世界を7日間で創ったと言われるあの神様ですか?」
「あれは単なる同類だよ。或いは同僚と言うべきか。まぁとにかく、君が知る神話の神よりも上の神だ。それが君を気に入ってしまってね」
「…ちなみに何でっすか?」
「面白かったからさ。自らを刺した男を庇い、変わりに自分が死んだ。後悔はあるのに恨みはなく、呪いも残さない。人間らしからぬソレを抱えているのに、自らが他人と変わらぬ凡人であると思い込んで生きてきた様。それがお気に召したのだろうね」
「…褒められてます?」
「一応。最高神に認められるなんて、人生を何億繰り返しても滅多に得られない幸運だよ」
「じゃあ素直に喜んどきます。やったー」
「受け入れるのが早いね、君…いや、切り替えが早い人間なんて、それこそ細胞の数だけ居るか」
「まぁ、受け入れ切れないと生き難い人生だったので。まぁ、それはそれとして…俺はこれからどうなるので?」
最高神とかいう御偉い様に認められたは良いけれど、それはそれとしてどうなるのだろうか。
あれか、転生でもするのか。チートでも貰って。
「間違いはないよ。だが、よく言うだろう?
大いなる力には、大いなる代償が伴うと」
「―――ですよねー」
ただでバカみたいな力が貰える訳ないかー。
「悪い言い方をすると、君は神様の玩具になるんだよ。君の体は、君のものであって君のモノではなくなる」
「…と言いますと?」
「『神々の義体』。私が自らの腕を以て、脳から肉体の隅々まで創り上げた最高の義体が、これから君の体となるんだ」
「……あのー、もしかして何ですけど、お知り合いに眼科の先生が居たり?」
「居るよ。神々の義眼と呼ばれる眼を創った、優秀な後輩がね。知っているのかい?」
「まぁ、はい…一応」
「なら話しは早い。君は神々の玩具として、異世界へと転生する。そして、そのまま異世界で生きて欲しいんだ」
「はぁ…なるほど。つまりあれですか、ドローン的な感じで生きろと」
「おぉ、上手い例えだ。そうだね、言うなれば自律型のドローンだ。とはいえ、意思も意識も君のものだ。自分の物として、充分に私の作品を振るってくれたまえ」
緊張するんだけども。というか異世界は異世界でもどこの世界なんだろ。
なろう系の世界とかだったら、多分あんまり役立たないと思うですけど。
まぁ、態々体を作ってもらってる訳だし、頑張ります。
ハロー、母さん。今日も私は元気です。