転生したら兎で仮面ライダーだった件   作:盈月さん

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05話 炎の魔人イフリート

ジュラの大森林の隣にある国、ブルムンド王国。

そこにある自由組合(ギルド)にて、自由組合支部長(ギルドマスター)フューズと3名の冒険者がソファに座り対面していた。

 

「今日から3日間休暇をやる、その後もう一度森の調査に行ってもらうからな…では、行っていいぞ」

 

資料を見ながらフューズは3人にそう話した。

それを聞いた3人の冒険者はそれぞれ嫌そうな顔をして、部屋を出ていき泊まっている宿に向かい始める。

 

「行っていいぞ、じゃねーよ!!」

「それをギルマスの目の前で言って欲しいでやす」

「……」

 

1人の冒険者がフューズに対する文句を叫んだが、もう1人にギルマスの前で言って欲しいと言われると、フューズが怖いのか黙り込んでしまった。

 

「3日間にはまたあの森か〜」

「短い休暇でやすね…」

「言うな、お前ら…」

 

森に行きたくない3人が、とぼとぼと宿に戻ろうとした時

 

「失礼、キミ達もしかしてジュラの大森林に向かうつもりか?」

 

3人の後ろから仮面をつけた1人の女性が、3人に話しかけてきた。

 

「私の名はシズ…もし迷惑ではなかったら同行させて貰えないかな?」

 

────────────

 

数日後、新天地に着いた俺達は開拓を始めていた。

開拓の指示はカイジン達に任せてあるため、俺らは今のうちにスキルについて色々と調べることにしていたのだが…

 

「…なんか居るな」

「嗚呼、どうする?」

「やるしかないでしょ」

「だな」

 

いざスキルについて調べようとしたら、魔力感知に大量の魔物とそれに追われる男女4人組が居るのに気づいた。

リムルと魔物を倒すと決め、俺はビルドドライバーを作り出し腰に装着させた。

 

ラビット!ターンク…ベストマッチ!

「変身!」

ハガネノムーンサルト! ラビット!ターンク…イェーイ!

 

ラビットとタンクのフルボトルをそれぞれ刺し込み、レバーを回した。

仮面ライダービルドに変身しては、リルムを抱えてラビットと兎人族(ラビットマン)の脚力を使って空高く舞い上がり、魔物達の方へと向かった。

俺らが着いた頃には1人の女性によって巨大妖蟻(ジャイアントアント)の殆どは倒されていたが、生き残った2匹の巨大妖蟻(ジャイアントアント)が女性の隙を着いて襲いかかろうとしていた。

 

「リムル、頼むぞ!」

「嗚呼!」

 

片方の巨大妖蟻(ジャイアントアント)をリムルに任せ、もう片方を片付けるために俺はレバーを回した。

 

Rady go! ボルテックフィニッシュ! イェーイ!

「はぁーー!!」

 

俺はライダーキックを巨大妖蟻(ジャイアントアント)に向けて放ち爆散させ、リムルは黒い稲妻を放ち巨大妖蟻(ジャイアントアント)を跡形もなく吹き飛ばした。

 

「手加減したのにこれかよ…これも封印決定だな」

 

黒い稲妻を放ったリムルは、使ったスキルが協力故に封印することにしたようだ。

一方の俺は変身を解除し、土煙が辺りに立ちこめる中リルムの元に向かった。

 

「す、スライムと…兎人族(ラビットマン)?」

 

俺らの姿を見た冒険者らしき男性は呟くように俺らの種族を言い、それを聞いリルムは

 

「スライムで悪いか?」

「あ、いや…」

 

圧をかけながら男性を軽く睨み、男性は困惑しながら答えた。

 

「ほら、この仮面そこのお姉さんのやつだろ?」

 

そういい、リムルは自身の上に乗っていた仮面を女性に渡した。

 

「助かったよ、ありがとう」

 

女性はリムルから仮面を受け取り礼を言った。

 

「はあぁぁあ…」

 

気が抜けたのか、男性はその場に座り込みため息を吐いた。

 

「怪我でもしてるのか?」

「いや…あっしら3日間も巨大妖蟻(ジャイアントアント)に追われていたので…精神的な疲労でやす」

 

俺が座り込んだ男性に怪我でもあるのかと聞くと、もう1人の冒険者らしき男性が理由を話してくれた。

 

「「「荷物は落とすわ、振り切ったと思って休めば寝込みを襲われるわ、装備は壊れるしぃくたくただし、お腹ぺこだしぃ」」」

 

3人には次から次へと愚痴を述べ、それを聞いたリルムはあることを提案した。

 

「それなら俺らの所にくるか?最近引っ越してきたばかりで町もまだ作っている途中だが、簡単な食事をご馳走するよ」

「魔物が町!?」

「怪しいけど…」

「悪いスライムじゃなそうだし、友好な兎人族(ラビットマン)も居るでやす」

 

助けたとはいえ魔物のためリルムは相当警戒されているようだ。

 

「…俺はリムル、そしてこっちはリュウト……悪いスライムと兎人族(ラビットマン)じゃないよ!」

「ぶ!」

 

俺と初めて会った時に言ったネタを冒険者に言うと、仮面を付け直した女性が吹き出した。

 

「どうしやしたシズさん?」

「いや、なんでもない…それよりもこの子達の町にお邪魔しようよ、この子達はきっと信頼出来る」

 

リムルのネタが伝わっていない冒険者達を置いて、シズさんと呼ばれた女性はリルムを持ち上げて俺らの町に行こうと他のメンバーを誘った。

 

「自分で歩けるんだが…」

 

持ち上げられているリルムはシズさんにそう言うも、シズさんは離してくれる様子は無かった。

 

「ねぇ、スライムさんと兎くん…さっきのゲームのセリフだよね?」

 

シズさんのその言葉を聞き、俺と恐らくリムルもピンッと来た。

 

「私はあまり知らないけど、同郷の子から聞いたことがある」

「同郷…」

 

シズさんが言う限り、他にも日本から来た人が居るようだ。

 

「2人の故郷はどこ?」

「「日本だよ」」

「やっぱり!そうだと思った…私と同じだね、会えて嬉しいよ」

 

シズさんに故郷をついて聞かれた俺達は、顔を見合せ口を揃えて日本と答えた。

それを聞いたシズさんは、仮面を少し外し嬉しそうな笑みを浮かべてくれた。

 

────────────

 

町に着いた俺達は、リグルドに頼んで焼肉の用意をして貰い、仮設置されているテントの中で早速食べることにした。

シズさん以外の冒険者3名。盗賊(シーフ)のギド、法術士(ソーサラー)のエレン、重戦士(ファイター)のカバルは肉が焼けるのを今か今かと、鉄板を凝視して待っていた。

 

「あーーっ!それ、私のお肉!!」

「食卓とは戦場なんですよ、エレンの姉さん」

「いいよぅ、カバルから貰うから」

「ギャーーー!俺が育てた肉がーーー!!」

「賑やかなだな…」

 

騒ぎながら肉の取り合いをしている3人を見ながらリルムはボソッと呟いた。

 

「…スライムさんスライムさん、焼けた鉄板に触れてるよ?」

「うわっ!」

 

知らぬ間に鉄板に触れていたリルムは、驚いて鉄板から離れた。

…熱く感じてない上に、大したダメージを受けてなさそうだから、リルムの奴熱変動耐性を持っているんだろうな……俺も昔、知らず知らず熱した鍋に触っていて、両親を慌てさせたことがあったな…

 

「そう言えば、シズさんのさっきの炎もなんかのスキルなのか?」

「…いいえ、違うよ……あの炎は私にとって呪いのようなもの」

 

俺はシズさんがさっき出していた炎が気になり、どんなスキルを使ったのか聞いたが、シズさんは呪いだと答えた。

 

「どういうことだ?」

 

リムルの質問に、シズさんは仮面を外して話し始めてくれた。

 

「私が元いた世界で見たのは…辺り一面の炎、とても怖い音が鳴り響く中、住み慣れた町は紅蓮色に染っていた」

「…もしして空襲?」

「うん、日本出身の私の教え子から聞いたんだけど、東京大空襲って言うんでしょ?」

 

シズさんは第二次世界大戦の時、アメリカ軍が東京を襲った大規模な空襲の被害者なのか…あれ?若くね?

 

「そうか、それで死んでこっちに……」

「あっ、私は死んでないよ…ある男に召喚されたの」

 

異世界召喚されたとしても、明らか若すぎる気がする…それこそスキルか何かか?

シズさんが若い理由を考えながら、シズさんの話を俺らは真剣に聞いた。

 

「でもその男が召喚したかったのは別の人だったみたいで、とても落胆した様子だった……だから私に興味はなくなったようだけど、ふとした気まぐれで、彼は私に炎の上位精霊を憑依させた…それは炎を操る力をくれたと同時に呪いであったの……私は炎せいで………大切な人達失ってしまったから…だから人と仲良くするのが怖かったんだけど………やっぱり仲間っていいね、最後の旅で楽しい人達と会えたもの…彼はお互い信頼しているし、遠慮なくケンカもする……いい冒険者だよ」

 

カバル達が肉の取り合いをしている中、シズさんは朗らかな笑顔を見せてくれた。

戦争を体験し、間違えられて召喚された上にこっちに飛んできて呪いを与えられ、おっちょこちょいの仲間をフォローして……苦労人なんだけどシズさんはいい人だ。

 

「そうだシズさん、腹ごなしとして散歩にでも行かない?」

「そうだね、行こうか…兎さんも来る?」

「いいや俺は残っとくよ、2人で行ってらっしゃい」

「おう!」

「分かった」

 

最後の肉をエレンに盗られて落ち込んでいるギド、カバルにリグルドが新しいお肉を持って来る中、腹ごなしとしてリルムとシズさんはランガに乗って散歩をしに行った。

 

「さてと、俺は…」

 

2人をテントの外で見送っくた後、俺は町の出来具合を見るためにカイジン達の元に向かった。

 

────────────

 

「よぅ、カイジン」

「リュウトの旦那」

 

設計図を見ながら、カイジンはホブゴブリン達に指揮をしており、そこに俺は話しかけた。

 

「どう?開拓の進捗は?」

「いい感じに進んでるぜ、リュウトの旦那が予め材料を用意してくれたおかげで、思っていたより早く進んでる」

「それは良かった」

 

カイジンと開拓の様子を見ながら話していると、ふとカイジンは何かを思い出したのか、俺に聞いてきた。

 

「そういえば、リュウトの旦那は兎人族(ラビットマン)だったよな?」

「嗚呼、そうじゃなかったらこんな耳と尻尾なんて付けないよ」

 

頭に着いている兎耳と尻尾をカイジンに見せて自分が兎人族(ラビットマン)という事を証明した。

 

「昔に族長……いや、年月的にはもう長老か? そいつが部下を引き連れて俺の所にやってきてな…里を守る武器が欲しいと言って来たんだ……その武器は役に立ってるか?」

「…は?」

 

カイジンから聞いた衝撃的な事実に俺は耳を疑った。

 

「…どんな武器を作ったんだ?」

「確か…盾と槍が30個ぐらいで、弓が10個くらいだったか?」

「…」

 

カイジンから作った武器の量を聞いてから俺は頭を抱えた。いや、正しくは怒りが湧き出てきた。

豚頭族(オーク)が襲撃して来た時、大人達が持っていた武器は狩りとかで使う石器道具が大半だった。カイジンが作ってくれた物だがら、たかが数十年で壊れるはずは無い…何より武器の数が里全体を守るにしては少ない……つまり、長老は自身の親族である垂れ耳の兎人族(ラビットマン)だけに用意した武器を渡して居たのだろう。つくづく腹が立つクソジジイだよ、長老は…

今、怒ってもどうしようがないため、俺は深呼吸をして怒りを抑えた後、帰ってから問い詰めようと固く決意をした。

 

「それじゃあ、そろそろ俺は戻るよ」

「そうだ、リュウトの旦那、今度リュウトの旦那用の武器を作らせてくれねぇーか?」

「おっ、頼んでもいいか《警告。》

 

俺とカイジンが話し合っていると、助言者さんが警告と言ってきて、魔力感知で感じる物凄い魔力の方に俺は顔を向けた。

視線の方向には火柱が上がっており、その近くにはリムルの反応があった。

 

「カイジン、悪いが一応皆を避難させリグルドに報告してくれ」

「嗚呼、分かった!」

 

カイジンに皆の避難などを任せ、俺は火柱が見えた方向へとジャンプで素早く移動しながら向かった。

火柱が起きただろう場所に着くと、そこにはシズさんが炎を周りに発生させ、リムルを殺気の目付きで睨んでいた。

 

「おおい、リムルの旦那! リュウトの旦那!」

 

そして、俺の少しあとに火柱を見ただろうカバル達がやって来た。

 

「どうなってるんだよ…あれ…」

 

シズさんの今の姿を見たカバルやエレンは唖然としていたが、ギドは顎に手を当てて何やら考えていた。

 

「シズ…シズエ?シズエ・イザワ?……ま、まさか…あの…??」

 

ギドが考えて居る中、シズさんは右手の人差し指を少し上げた。すると、俺らの目の前に地面から激しい火柱が地面を抉りながら出てきた。

 

「間違いありやせん…シズさん……いえ、彼女はシズエ・イザワ…イフリートを宿す最強の精霊使役者(エレメントタラー)、爆炎の支配者でやす…!!」

 

ギドはシズさんの正体を言いながら身構え直した。

 

「イフリート!?滅茶苦茶上位の精霊じゃねーか!」

「冗談でしょ!?伝説的英雄じゃない!!?」

 

俺らが警戒している中、ギャーギャーと騒ぐカバル達にうるせぇと思いながら、俺はビルドドライバーを腰に装着した。

 

「ニ……ゲ、テ…………コレイジョウハ…オサエキレ……ナイ…………」

 

抑えきれない?助言者さん、詳しく調べることが出来るか?

 

《了。個体名シズエ・イザワと同化しているイフリートが、身体の主導権を奪おうと暴走しているようです。》

 

なるほど、シズさんを助けるためにはイフリートを何とかするしかないということか……

助言者と話しながら、

 

「カバル達は早く避難を「そんな訳にはいかねぇよ」

 

俺はカバル達に早く避難するように伝えたが、3人共逃げるつもりはないようで、それぞれで武器を構えていた。

 

「シズさんがピンチを」

「仲間であるあっしらが」

「ほっとけないわよ」

 

シズさんの言う通り、カバル達はいい仲間のようだ。

 

「シズさん、あんたが言う呪いは俺達が解いてやる……だから、任せろ」

「………オ…ネガ……イ」

 

リムルはランガの上に移動した後、胸を張ってシズさんにそう宣言し、リムルの言葉を信じてシズさんは炎の中ゆっくりと気を失って行った。

シズさんどうする?

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