私は大学生で、家族に負担をかけないためにコンビニでバイトをしている。毎週金曜日の午後11時から朝7時までの夜勤だ。
なぜか時給が良いのだが、その代わりに客はほとんど来ないし、店長も見かけない。店内は静かで暗くて、時々冷蔵庫の音やレジの音が響くだけだ。
最初は楽だと思っていたが、次第に不気味なことが起こり始めた。
バイト中に誰かに話しかけられるのだが、返事をして振り返ると誰もいない。最初は自分の耳がおかしいのかと思ったが、声は明らかに人間のものだった。男性の声だったり女性の声だったり、老人の声だったり子供の声だったりする。内容もさまざまで、「おはよう」と挨拶したり、「ありがとう」と礼を言ったり、「助けて」と悲鳴を上げたりする。
私は恐怖に震えながらも、バイトを続けた。時給が良いからという理由もあったが、それ以上に何かに引き寄せられるような感覚があった。
誰かに見られている気配が強くなっていく。店内に隠れている人間がいるのではないかと疑心暗鬼になった。しかし、どこを探しても見つからなかった。
ある日、ついに限界に達した。午前3時頃だったと思う。私はレジで本を読んでいた。すると、突然後ろから「お前は誰だ?」という低くて怒った声が聞こえた。私は驚いて振り返ったが、やはり誰もいなかった。
その時、レジの画面に映っている自分の姿に気づいた。私は目を疑った。自分の後ろに、白くて透明な人影が立っているではないか。それは私を睨んでいるようだった。
私は悲鳴を上げて店から飛び出した。そのままバイトを辞めた。二度とあの店に近づきたくなかった。
後で知ったことだが、あの店は以前火事で全焼したことがあるらしい。その時に何人かの死者が出たという話だ。私は彼らの声を聞いていたのだろうか。そして彼らは私を何者だと思っていたのだろうか。
あのままバイトを続けていたらどうなっていたか・・・考えただけでも恐ろしい。
その夜以来、私は夢に悩まされるようになった。夢ではあの店に閉じ込められて、白い人影に追われる。彼らは私に何かを訴えようとしているようだが、私は彼らの言葉を理解できない。彼らは私を殺そうとしているのではなく、助けを求めているのではないかと思うこともある。
でも、それは夢だから関係ないと自分に言い聞かせる。私はもうあの店には関わりたくない。私はあの店のことを忘れようとする。でも、忘れられない。
ある日、私は友人と街を歩いていた。すると、ふと目に入った看板に驚いた。あの店の名前が書かれているではないか。しかも、私が辞めたあとしばらくしたら空きテナントになっていたが、新装オープンという文字が添えられている。
私は信じられなかった。あの店が再び営業を始めるというのか。
私は好奇心に負けて、友人を誘ってあの店に入ってみた。店内は明るくて清潔で、商品も豊富だった。店員も笑顔で接客していた。まるで別の店のようだった。
私はレジに近づいてみた。レジの画面には自分の姿が映っていた。私は後ろを振り返った。誰もいなかった。
すると、レジの画面に映っている自分の姿が変わった。私は白くて透明になっていた。そして、自分の後ろには、生きている人間が立っていた。
私は悲鳴を上げようとしたが、声が出なかった。私は気づいた。私は死んでいるのだ。
私はあの夜、店から飛び出した時に事故に遭って死んでしまったのだ。そして、私の魂はあの店に縛られてしまったのだ。
私は泣きながらレジの画面を見つめた。すると、画面に映っている生きている人間が私に話しかけた。
「お前は誰だ?」