後々仲間になる敵キャラを目指したところ、主人公パーティにボコボコにされまして   作:底無ノどろ沼

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邂逅の一幕

 

目標が見つかり、俺は数年間のブランクを取り戻すためにダンジョンに潜った。

ボスを倒し、久々の戦いでも身体が動いたことに喜ぶ。

 

そこにスカベンジャー共、簡単に言えばダンジョン内の賊に襲われた。

ダンジョン内で疲れた冒険者を襲うことでダンジョンの宝と冒険者の持ち物を手に入れるゴミ共だ。

 

ボスとの戦闘で疲労している俺は格好の獲物に見えたのだろう。

返り討ちにしたが

 

倒れたゴミ共の身ぐるみを剥ごうとしたとき、足音が聞こえた。

スカベンジャー共の増援かはたまた別の冒険者達か

 

振り返るとそこには主人公パーティがいた。

主人公と騎士、聖女に魔法使い。

目があった途端に武器を構えられる。

 

戦うのはまだ早いと思ったが、出口を塞ぐように主人公パーティは陣取っている。

尚早だが戦おうと俺も剣を構えた。

 

身体が予想より動いたからか、俺は調子に乗っていたのだろう。

 

ゆっくりと歩いて近づき、後十mほどで一気に加速し剣を振るう。

主人公にバックラーで逸らされ、その隙を狙った騎士の突きが頬を掠る。

 

蹴りで騎士と距離を作ると魔法使いが火球を放った。

一回切りの炎に対する完全耐性を自身にエンチャントする。

完全耐性だというのに僅かに腕が焦げついたその威力に驚く。

 

また魔法を放たれては敵わんと魔弾を放つことで牽制する。

しかし魔弾は主人公によって防がれた。

 

魔法を食らえば一撃KOがありえるため、魔法使いを優先したい。

聖女も後衛でバフを掛けているのか前衛の主人公と騎士の守りが硬い。

 

前衛をいなして後衛のどちらかをもっていく、そう決めまた攻めるが前衛の二人に隙が見当たらない。

 

いつの間にか攻守が逆転し二人の連撃をなんとか防いでいく。

だが主人公が剣を大きく振りかぶった隙を狙い、魔法使いに襲い掛かろうとしたとき脳が揺れ意識が一瞬遠退いた。

 

主人公の拳が俺の顎を撃ち抜いたのだ。

戦いで気を一瞬でも失う致命的な隙を見逃すはずがなく、魔法使いが上級魔法を放つ。

 

 大爆発

 

上級魔法をまともに食らった。

全身が痛い。額を切ったらしく血が垂れてくる。

 

だがこんな簡単に倒れては駄目だ。

気合で立ち上がる。

 

調子に乗っていた自分に笑いが込み上げてくる。

もう充分な強さをもっていると自惚れていた。

 

だがただの雑魚だと思われるのは癪だ。

俺が目指すのは強キャラなのだ。一撃KOで終わるのは駄目だろう。

 

負けるとしても最後まで足掻いて記憶に刻みこむような戦いにしなければならない。

 

主人公パーティに向かって走る。

主人公と鍔迫り合いになるが力任せに吹き飛ばす。

 

これが俺と主人公パーティとの初めての戦いだった。

 

 


 

 

どうやら気を失っていたらしい。

 

懐かしい夢を見た。

主人公パーティとの初邂逅と戦闘。

 

今思うと俺は良くまた立ち向かうと思ったのか。

あのときもすでにリンチだったじゃないか。

結局武器が壊れたタイミングで尻尾巻いて逃げたし。

 

最悪の目覚めだ。

そして状況も最悪だ。

 

探索中、地上の戦闘の余波で地下の大部分が崩落で瓦礫に沈んだ。

俺は崩落に巻き込まれなかったが閉じ込められてしまったのだ。

 

ポーションも見つけたはいいが下級のモノばかりで気休め程度しか回復しない。

状況が詰んでいる。

 

もうどうにでもなれと現実逃避をしたいが痛みで現実に戻される。

壁にもたれて痛みに耐えていると小さな呻き声が聞こえる。

 

施設防衛のために全て開放されていると思っていたが、ワイバーンが一頭だけ檻の中で鎖に繋がれていた。

 

実験の影響か弱っており、力なく地面に横たわっている。

ダメ元だが余ったポーションを使って回復してやる。

 

最後はワイバーンと生き埋めか。

痛みの中、目を閉じる。

 

「疲れたな…」

 


 

 

襲い掛かるキメラ達を倒し切り一息つく。

彼の後も追いたいがここに来た理由はこの施設の破壊だ。

 

「私の実験場にようこそ、"銀翼"の諸君。私はそうだな、シュタインと名乗っておこう」

 

杖をついた白衣の痩せこけた男が現れる。

 

「貴方がこのキメラを作ったの?」

「ああ、私が造った」

 

シュタインは誇るような口調で自分の罪を認めた。

 

「大人しく投降しろ。逃げ場はないぞ」

 

シュタインは肩をすくめため息をつく。

 

「むしろ逃げ惑うのはお前らのほうだよ」

 

鼻を不快げに鳴らし私達を見下してきた。

 

「キメラ投入から6分32秒、想定以下だ」

「何が想定以下だ。キメラ共は全部倒したぞ!」

「ほう、本当に倒したのか?」

 

嘲るような言葉とともに杖が地面を叩く。

倒したキメラ達の身体が蠢き立ち上がった。

 

「死霊術…!?」

「第2ラウンドといこうかとも思ったが気が変わった」

 

懐から暗い色をした球体を取り出しそれを投げた。

球体はキメラを吸収していく。

 

球体の直径が5mほどになり、そこから長い手足が八本生える。

遠くからならば巨大な蜘蛛のように見えるだろう。

 

さらに瓦礫をも取り込み体積を増やし、鎧のように纏っていく。

瓦礫の鎧の合間から数多の眼と口が開かれる。

 

「屍塊四鎧のゴーレム、私の傑作の一つだ。」

 

数多の口が呪文の詠唱を開始する。

 

「傑作をじっくりと味わえ」

 

大規模魔法が瞬時に完成し、放たれた。

 

結界を張ることで威力を半減させたが、少なくないダメージを負う。

瞬時に回復するも彼との戦闘とキメラ戦で皆の限界が近い。

 

そこにまた蜘蛛の呪文詠唱が始まった。

 

「周りをうろちょろしてる騎士団もお前らも全部取り込んでやるよ」

 

再び放たれる大規模魔法に私達は呑み込まれた。

 

 


 

 

蜘蛛との戦闘でどれだけ経ったのか。

 

何度も何度も倒れては立ち上がり蜘蛛と戦い続ける。

だが当然のように限界はくる。

 

最初に聖女のセシリアに限界がきた。

ずっと全力で戦えるのは回復魔法と支援魔法をセシリアが全員に掛け続けていたからだ。

 

彼との戦闘の時点で魔力の八割以上を消費し、それからの戦闘で魔力をほぼ使い果たしたのだ。

ほとんど無い魔力を必死に絞り出し、滝のような汗をかいて荒くなった呼吸を頑張って整えようとしている。

 

他の皆も息が上がってきた。

それも蜘蛛の再生能力が高く、攻撃してもすぐに再生してしまい長期戦となってしまったからだ。

 

だけど全員諦めてはいない。

 

彼の攻撃はこんなに甘くない。

彼の動きの方が何百倍も速い。

彼の方が何千倍も強くて怖い。

 

蜘蛛の頭上に高密度の魔力が集まる。

トドメのつもりなのだろう。

 

アレが放たれる前に決着を着ける。

私達が覚悟を決め、一歩踏み出したそのとき

 

魔力の濁流が地面から蜘蛛の中央を丸ごと飲み込むように空まで伸びる。

 

どれだけ攻撃しても再生し続けた蜘蛛がその一撃で倒れた。

地面に空いた穴から何かが飛び出る。

 

それは一匹のワイバーンと一人の男、──彼だ。

 

ワイバーンはそのまま飛び立ち、彼は私達とシュタインの間に降り立った。

 

まるで私達を守るように。

 




Tips
"銀翼" 通称 主人公パーティ
多くの人々を救ってきた現代の英雄達。
4つしかない最高位のSランク冒険者パーティの一つ。
現在11人だが、満場一致で入って欲しい人材がいるらしい。

"屍塊四鎧のゴーレム" 通称 蜘蛛
魔導技術と死霊術を組み合わせて造られた異端反理生命体。
周囲の死体を自身の身体とし、取り込んだ物質を鎧のように纏う。
Sランク相当の戦闘力をもつが…
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