私は諷香。古筆 諷香。何の取り柄もない、平凡な中学生。のはずだった。
私はM@んガが好きだ。でも親は、家族はそれを許してくれなかった。
「そんな物に固執するなんて、我が家の恥だ」
「我が家は代々医師の家系よ? お前も良い加減、そんな物なんて捨てて勉強したら?」
今でもその言葉が脳内を駆け巡る。
でも、それでも私は
漫画が好きなんだ。
そんなルールに縛られるのなんて、そんなの
ゴメンだ。
だけど、そんな事も言い出せずにここまで来てしまった。
これはきっと、私の中に巣食う怠惰なんだろう。
何も言えない、何も出来ない。
でも、忘れられたくない。
(その声、聞き届けた)
認めてくれる人がいる。それだけで幸せなんだ。
光も届かないような暗い部屋で、その少女は1人静かに嗤っていた。
何も見えない。
私は、何かにぶつかった?
鉄の様な硬い物にぶつかった気がする。
そのせいか、頭がふらつく。
「もう、探したよ。風花! こんなとこに居たのね。」
「……」
栗毛色の髪をした少女の声とその足音がが聞こえてくる。私の、命を救ってくれた恩人。一ノ瀬瑠花だ。
「1人で勝手に飛び出してっちゃうから私も爺やも大丈夫か心配で……ってどうしたの、その傷!?」
「分からない」
「分からない、じゃなくて! あぁ、もう!帰りますわよ。使用人たちも皆、貴女の帰りを待ってるわ。」
「……ちょっと、待って。」
「? どうしたの?」
ガサガサッ
辺りを見渡す。
「……あった」
「何か、探していまして?」
「うん、これ」
瑠花に拾った物を見せる。私の能力で砕けなかった、白い花。
「これは?」
「瑠花に似合うと思う。付けて」
「え? えぇ、分かりましたわ」
そう言って瑠花は髪に白い花を巻き付ける。思った通り、やっぱり似合う。瑠花は何を付けても、何をしても可愛い。
「やっぱり可愛いね、瑠花」
「な、何を急に言うのです、風花姉様!?」
顔を赤らめてあたふたする瑠花。こんなにも可愛い、妹の幸せを踏み躙る奴は、許さない。
「でも、見えない。反応もない。逃げた?奴らは、今、どこに?」
「逃げた?奴ら?何を言ってるんですの?」
「私は、倒さなくちゃいけない。その為に」
「頭を打って記憶が曖昧になったのかしら……? ともかく、ほら帰りますわよ。せっかくのお着物が汚れてしまってますわ。」
反応が消えた。『異能』の弊害で周囲が見えなくなる、音が聞こえなくなる私にとって、これは大変な事だ。せっかく『異能者』を見つけたと言うのに、また振り出しに戻された。仕留め損なったのは些か腑に落ちないが、まぁ良い。どんな奴かは知れた。
「異能者。瑠花の敵。どんな奴も、ぶっ壊してやる」
帯の間に挟んである物を無造作に取り出し、私はそれに微笑みかける。これがあれば、異能者は割り出せるんだ。次こそ、息の根を止めてやる。
この、ペンの様な杖を頼りに。