「ふわぁ、良く寝た。おはよう。ラミィ、マナ、目覚まし君。ってまだ2人とも寝てるな」
それもそうだ、現在の時刻は朝の5時。僕はいつも起きてる時間ではあるけど、目覚まし君はまだこの時間帯は寝てるんだな。
(ふふふ、良い事を知れたぞ。)
暗闇にも目が慣れ、2人の寝顔が鮮明に写る。きっと、昨日もユウの本探しの手伝いをしていたんだろう。
(お疲れ様だ。)
そう思いながら、隣で寝息を立てているラミィにも気付かれないよう、音と気配を消しながらベットから出る。這い出るような形にはなるがまぁ、これが音を立てない最善策ではないだろうか。
部屋から出てキッチンまで着いた。さて、朝食は何にしようか。冷蔵庫の中身を確認する。
やはり、定番のベーコンエッグだろうか?僕は卵が食べられないけど。目覚まし君はよくエッグサンドを食べてる印象がある。
マナは、どうだろう。魔法界の食べ物って現世の物でも代用できたりするのだろうか?昨日の焼きそばは美味しいと言ってくれてたしそれなりには出来そうではあるけど。
こうやって他人のために色々考えている時間が、僕にとって楽しいんだよね。自分よりも他人の為に考えて何かを為せる、そんな人に僕はなりたい。
「うん、いろいろ考えても何だし。出来るものは何でもやるか!」
だが、結局はこうなる。出来る事は勿論、出来そうな事にも手を出そうとする。これが、僕の強みなのだろうか。実はラミィと会ったあの日、僕の脳内にずっと渦巻く言葉がある。
それがいつか、どこかかはわからない。けど、確かに僕に向かって誰かが言った。
「強くありなさい」
と。
強くあれ、なんて何を以て強いと称するのか。ただ、一つ言えることは、僕は肉体的にも精神的にも強くないと言うことだ。何でもしようとするが、失敗するのは怖い臆病者。ハム子の圧倒的な力を見て、比較し、落ち込んでは何もしない怠け者。外側だけ取り繕うだけのー
おっと、いけないいけない。僕の悪い癖だ。考えすぎて自分を貶し始める。さて、考えを変えよう。冷蔵庫からある程度の材料を取り出し、テレビを付け、それを尻目に料理を始める。
「今朝のニュースです。〇〇町付近で遺体が発見されました。死因は不明です。昨日の〇〇市〇〇の殺人事件との関連性があると見て、警察は捜査を続けています。
続きまして、次のニュースです。株式会社アビルディの取締役社長が新作の記者会見を開きーーー」
男のアナウンサーがツラツラとニュースを話している。
「そう言えば、アンチエンターは娯楽を奪うんだったよな。だとすると、殺人事件がアンチエンターのものだった場合、あの子。危なくないか?」
あの子、古筆諷香さん。あの子は漫画家志望の子だったはず。漫画なんて娯楽中の娯楽、奴らの格好の餌食ではないか。
「今日はあの子の所に行くか?でもどこにいるか分からない。いや、そう言えば来ていた制服は大学近くの中学校の制服だったはず。その付近を散策してれば見つけられるはずか」
って、僕はストーカーかよ。でも、この間のことも気になる。あの、赤い空間にいた緑髪の少女。あれはーー
「ん……。マターさん起きてたんですか?」
「おや、起きたかい? おはようだ、目覚まし君」
「あんたがテレビつけるからその音で目が覚めたんですよ」
「ふふふ、良い目覚ましになるかなって」
「……確かにこのくらいに起きようと思ってたんで良いですけど」
寝起きは少し不機嫌なのか、目覚まし君は不貞腐れている様な表情をして布団から出てくる。
「何してんすか?」
「何って、朝ご飯を作ろうかと。そして今日は古筆さんを探しに行こうかなって考えてて」
「……ストーカーすか」
「違うよ。アンチエンターの事もあるし、彼女漫画家志望だろう? 奴らの格好の餌食じゃないか」
「確かに」
「そうなる前に、僕が守ろうと思ってね」
「でも、どうやって会うんですか?」
「1つだけ、心当たりがある。ただ……いや、何でもない。今日は目覚まし君は学校だろう? 講義が終わったら僕に教えてくれ。大学まで向かうから」
「? はい、分かりました。」
僕の作った朝ご飯をたいらげ、部屋着から洋服へと着替えた目覚まし君は足早に学校へと向かっていった。さて、後はマナが起きてくれれば僕も早速出かけるとするかな。それまでは自由時間としよう。
「んぅ。ん~」
タイミングを見計っていたかのようにマナが起きてきた。伸びを一つして寝ぼけ眼でこちらを見る。
「おはよう、マナ」
「……あぁ、おはよう」
「朝食にホットケーキを作っておいたんだ。よかったら食べてくれ。」
「ありがとう。ーー」
「ん? 今なんて?」
「……はっ! 今のは違うんだ! あ、ありがたくいただくよ!」
今何と言ったか聞き取れなかったがおそらく……いや、詮索するのはナシだな。こういう話は首を突っ込まないほうが良いと僕の勘がそう言っている。
「さて、マナ。今日は何か予定はあるかい?」
「……そうだな。そろそろ姉さんも考えを改めてくれただろうし、姉さんのとこに戻ろうかな。マターは何かあるのか?」
「そうかい。僕は古筆さんを探しに行こうと思ってね。早速行こうと思ってるんだけど」
「そうなのか。じゃあ私も準備しなきゃな」
「あ、急がなくても良いよ。僕も準備があるからね」
マナが朝食を食べている間に、僕は出かける用意を始める。バッグに必要なものを入れ、洗顔をし、メイクを施す。これだけだけど、意外と時間がかかるんだよね。
「マター、ご馳走様。皿は水に付けておくよ」
「あぁ、ありがとう。後で洗っておくよ」
「私も今から急いで準備するから待っててくれ」
「あ、そうだ。マナ。今日の夕方は空いてるかい?良かったら、ハム子も連れて大学近くに来て欲しいんだけど」
「今日の夕方?多分、姉さんも空いてると思うし大丈夫だと思う。けど学校の近くか。私は行ったことないけど、姉さんは行ったことあるのか?」
「うん、それは大丈だよ。んじゃあ僕から連絡するから、それから来てくれたら嬉しいな」
「分かった」
よし、全員分約束は取り付けたし、揃いそうだな。僕たちRAMICAのメンバーが。そう言えば、目覚まし君にこれ否定されたんだっけ。もっと良いのがあるみたいな感じで。本人が言わないから僕が勝手に名付けてるけど、何て名前を考えてるんだろ?今度聞いてみようかな。
「よし、私は準備終わったぞ。マターはどうだ?」
「あ、僕もそろそろ終わるよ。ラミィ、出かけるぞ~」
「ミィ! お出かけするミィ!!」
「よし、今日も元気みたいだな。では行くとしようか」
家から出て、僕たちはそれぞれ目的地へと向かう。僕はバス停へ、マナは箒に跨ってユウ邸へと飛んでいった。