エンターテイルズ   作:セカラボ

28 / 35
第4章 因縁?の相手

「お待たせしたでござる」

 

そう窓から声がしたので振り向くと、ジョートがいた。

 

「少し遅れてしまったでござるか。申し訳ない」

「いや、別にいいけど」

 

俺は単純にこいつが何してたのか気になったから聞いてみた。

 

「お前、15分で何してたんだ?」

「あぁ、実は道具を作ってたのでござる。ナガレ殿の分だけしか作れないことに気付いて、拙者用にも作ってたら遅くなってしまったでござる」

「道具?」

「うむ、『転移道具』でござる。先程見た遊園地に瞬時に転移できるものでござるよ」

「……まじ?」

「マジでござる。では早速」

 

ポチっと装置のボタンを押すと、忽ち俺達の足元に白い魔法陣が展開され、体はそこから発せられる白い光に包まれる。

 

「うおぉ!?何だこれ!!」

「ナガレ殿、あんまり拙者から離れないで欲しいでござる!」

 

光が強くなり、あまりの眩しさに目の前を腕で覆い隠す様に持ってくる。その眩さが徐々に和らぎ、隣からジョートの声が聞こえてくる。

 

「着いたでござるよ、ナガレ殿。目を開けるでござる」

「ほ、本当に着いちまった」

「よし、ナガレ殿!行きましょう!」

 

俺は唖然とした。目の前には大きく胡桃エンターランズと描かれた門が俺たちを迎え入れるように建っている。呆気に取られている俺の手を取り、ジョートと共に段差の低い階段を登り切り、受付へと足を運ぶ。

 

「おはようございます!何名様でご来園でしょうか?」

「あ、1人です」

「はい、承知いたしました!入場券を発行いたしますので少々お待ちください!」

「お待たせいたしました!右手にある入り口へお進みくださいませ!」

「……ありがとうございます」

 

入場券を確認し、入り口前の人が道を開ける。そこを通ると

 

「おぉ!すごいでござるな!」

「とりあえず一周するか」

「そうでござるな。では拙者はあちらから回ってくる故」

「何言ってんだ。一緒に来い」

「へ?」

俺がそう提案すると、ジョートはなぜ?という仕草をする。

 

「ラミィってやつがどんなやつかは見たが、はっきりした特徴とかは知らねぇんだ。だから一緒に見て回れ。その方が良いだろ」

「そう言う事でござるか、承知したでござる」

「いざとなれば、俺がぶっ飛ばしてやっから」

「感謝するでござる」

 

園内の案内板に従いどこからラミィを探すか検討する。それを見ると、遊具は沢山ありそうだが、そもそも園内をどうやって回れば良いのかすら分からない。

 

「まずは何処から探すか?」

「拙者にお任せあれ!やはり、人の出入りが多いところから探すべきでござる!」

「確かにそうだな」

「ではこちらに行くでござる!」

 

そう言ってジョートが耳の部分?で指差したのは、ショーが開かれる会場、大広場と書かれた場所だった。

 

「ここから行くでござる。ここなら人も多いでござる。他の人にも聞き込みができそうでござるよ!」

「よしっ、まずはそこだな」

「いざ、参らんでござる~!」

 

俺たちは園内を歩いていく。あまり他人とは話したくねぇんだけど。歩いているとジョートが話しかけてくる。

 

「そう言えばナガレ殿」

「ん?」

「何故、ラミィ姉を探すのに協力してくれるのでござる?正直拙者、見ず知らずの者にここまでされるとは思ってなかった故」

「別に。強いて言うなら……」

「言うなら?」

「……何かの縁だから?」

「縁、でござるか」

「だな」

「そうか、縁でござるか」

そう言いながらジョートはどこか嬉しそうな雰囲気を醸し出している。そんな話をしながら会場に着くや否や、ジョートが俺に慌てた様子で話しかける。

 

「ナガレ殿!あいつだ!あいつが姉ちゃんを……!」

「は?え?」

「あの黒髪に、あのバッグ!姉ちゃんをバッグに入れてた張本人でござる!!あいつが姉ちゃんを攫った奴に間違いないでござる!」

「……あいつか」

 

まさか本当にいるとは思わなかったし、こんな早くに見つかるとは思っても見なかった。だが、面倒事が早々に片付くのは良い事だ。俺は気配を殺し、奴に殴りかかる。

 

ドゴォッ!!

 

すかさず俺は拳を叩き込む。

「うわっと!!? あ、危ないじゃないか!君!!僕じゃなかったら再起不能になってるよ!?」

 

奇襲を仕掛けたはずなのに、当たっていなかった。

(かわされた……!?)

ブンッ!!

すかさず拳を叩き込む。が、当たりもしなければ擦りもしない。

 

「ちょ、ちょっと待って!?何だい、君!?」

「ちょこまかと動きやがって。お前と話すことなんてねぇ。さっさとラミィを出してくたばりやがれ!」

「な、なんだあれ?」

「喧嘩か……?」

 

騒ぎを聞きつけた人が俺らの周りに集まってくる。ある者は動画を撮ったり、またある者は係を呼びに何処かへ走っている人が見える。

(チッ、面倒だ……どうするか考えてなかったな)

こいつさえやれば面倒な事が全て片付く。そう思って動いたが、その後のことを考えてなかった。思考を巡らせ、沈黙が辺りを包む。その沈黙を破ったのは相手の方だった。

 

「ラ、ラミィだって?」

「……あぁん?そう言っただろ」

「フフフ、そうか、そう言うことか」

 

どう言うことだ?なぜ笑っている?一頻り笑った後、俺に向かって、いや、全体に聞こえるような大声で話しかける。

 

「フフフ!バレてしまっては仕方がないな!そうさ!僕が君の友達、ラミィを連れ去った張本人、『怪人ネメア』!!さぁ、青帽子に導かれし青髪の勇者よ!僕を倒してみせるがいい!!」

「ろ、路上パフォーマンスか!」

「喧嘩じゃなかったのね……」

 

何がどうなってんだ?奴の発言で俺たちの周りに集まった人々はこれを路上パフォーマンスと思い込んでいる。あいつこそ、ジョートの言ってた『言葉を司るアンチエンター』なのではないか?そう思った俺は、奴に飛び掛かるように攻撃を開始する。だが、悉く避けられる。

 

「どうした?その程度かい?」

「姉ちゃんを返すでござる!」

「言ったであろう!僕を倒せれば返してやろう、とねぇ!」

「チッ……全然当たらねぇ!どうなってんだ!?」

ブンッ!!

ブンッ!

俺の拳からは空を切る音のみが聞こえる。飛ぶように大きく避けながら移動するネメア。どこかに誘導しようとしているのか、奴は細い路地へと入って行く。そこは、行き止まりの場所だった。自分で不利な状況を作り出した奴に俺は勝利を確信する。

 

「もう逃げ場はねぇぞ」

「諦めるでござる!!」

「……そのようだね」

 

そう言うネメアの表情は余裕とも取れる顔をしている。だが、これで面倒事とはさよならだ。

 

「オラァッ!!」

「描画、送還っ!」

ネメアの口からそう聞こえた瞬間、ここに来た時と同じような光に包まれる。そこで俺は気を失った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。