協力するっつったけど、具体的に何すれば良いんだ?とりあえず、アンチエンターって奴をぶっ飛ばせば良い事は分かっているがその他がさっぱりわからねぇ。
「なぁ、マター」
「ん?どうしたんだい?ナガレ」
「協力するって言った端からわりぃんだが、俺は具体的に何すりゃ良いんだ?」
「そうだねぇ。僕たちに敵対するアンチエンターを倒して欲しいってさっきも言ったけど……奴らも奴らで厄介な者達だからね」
「厄介?」
「うん、奴らも能力や手下みたいな奴、影精を使役して戦ってくるんだ」
「例えばどんなのがいたんだ?」
「そうだね。今まで戦ってきたのだと、色んな武器を搭載した機械と、妄想を形にする能力を持つ女の子がいたね」
「……それに勝ったのか?」
「そうだね、皆のおかげで勝てたよ」
話を聞く限りまぁ、機械は何とかなるだろうが、妄想を形にする奴はどうして買ったんだ?そんなの、地球が滅ぶ妄想をしてしまえば全て終わるだろうに。
「でもその両方とも、能力にデメリットが付いてる様に思えたんだよね。それも恐らく勝利に繋がったと思うよ」
「そうなのか」
「そうだね。例えばこの、僕の持つ本とペン。僕はこの2つを使って描いた物を現実に出す能力だ。僕はこの能力をラミィから渡されて得たんだよね」
「そうだミィ!この道具はマター君に渡したんだミィ」
「これは僕の推測なんだけど。恐らく奴ら、何者かから強制的に能力を埋め込まれたんじゃないか。そう思ってる」
「そ、そうなのでござるか!?」
先程まで話を聞いていたジョートが口を開く。
「うん。あくまでも推測の域だけどね。っと、少し話がズレたね。彼らの持つ能力を特定出来れば戦闘を有利に進められると思うよ」
「どうやってその、奴らの能力を特定するんだ?」
「え、戦いながらだったけど?」
「……」
適応力が高いと言うのか、無策のまま飛び込んでたと言うのか。そんな危なっかしい事をしてよくここまでしてきたもんだ、と感心してしまう自分がいる。
「まぁ、本当は事前に分かれば良いんだけど……それを知れる道具が前に話した杖なんだ」
「あぁ、こいつらを元の世界に返せるって杖か」
「そうそう、ラミィもその杖を辿ってこの世界に来たそうだからね。でもその杖がないとなれば、戦いながら様子を見るしかないと言う結論が出たんだよね」
「姉ちゃん、そう言うところあるでござるよな」
「うっ、返す言葉もないミィ……」
「お前も大概だぞ、ジョート」
「へっ、ナガレ殿!?」
「テメェも最初俺の話を聞かずにアンチエンターだとか決めつけてたよなぁ?」
「……そうなのかミィ?」
「そそ、それはそのぅ、こっちに来たばかりで混乱してたかもしれないでござるぅ……」
「ふふふ。まぁまぁ、過去の事は水に流そうじゃないか。無いものは無いし、過ぎた事を気にしても仕方がないよ。次に同じ様な事をしなければ良いだけさ」
「マター君……!」
「マター殿……!」
確かにそうだが、俺の隣でピョンピョンと飛び跳ねるこいつらに次なんて事はあるんだろうか?再び今と同じ様な状況になって、同じ様な事になるとは到底思えないが。まぁ、それこそ気にしても仕方がないか。
「さて、じゃあこれからなんだけど」
一息置いてマターが再び口を開く。
「再びあの遊園地に行くぞ」
「行くミィ!」
「は?何でさ。そんな頻繁に行く様なとこでもないだろうし、
第一、前の事もあるだろ。目をつけられてるんじゃないか?」
「実はねナガレ。僕があの遊園地にいた理由は前に行った秘策の他にもう一つあるんだ」
「そうなのでござるか?」
「うん。それはね、あそこの遊園地。従業員もかなり異質なのだけど、来乗客が特に不気味なんだ」
「……異質?どこがだ?」
来乗客が異質とはどう言う事なのだろうか。そう思った俺は素直にマターに問いただす。
「ここ最近出来た遊園地、まだ出来て半年も経ってないあの場所。僕が来る度来ている客に目を見るんだけど、ほとんど同じ人、それもほぼ子連れの家族なんだ」
「それは、家が近くだからとかじゃねぇのか?」
「そして、良くない噂もあってね。あそこ、人形劇場があって
いるんだけど。そこに入り込んだ子供は洗脳されたかの様に再
びその場に行きたがるみたいなんだ」
「そりゃあ、そこに子供しか楽しめないやつがあるんじゃ」
「そこ、引っかからないかい?」
「?何がだ?」
引っかかる。マターの発言に俺は頭を捻る。確かに同じ奴が同じ場所に行きたがるってのは好みの問題もあるだろうが、そうそう珍しいものでもないのではないかと思ってしまう。フッとマターの方に俯いて顔を上げると、俺の顔を見つめていた時と
同じ、透き通った瞳をしていた。
「ほぼ同じ人が来場し、子供が所定の場所に行きたがる。それも、異常なほどそこに執着する」
「……」
「だけど、そこは子供だけしか入れないんだ。何が行われているか調べる必要があるけど……しっかり対策されているみたい
だ」
「じゃあどうすんだ?」
「策は考えてある。ラミィ、ジョート。頼めるかい?」
「勿論大丈夫だミィ!」
「拙者も大丈夫でござる!」
「うん、じゃあよろしく頼むよ」
俺が寝ていた間に1人と2匹はいろいろと話していたらしい。策とは何だろうか?俺は彼らの様子を窺いながら、着いて行くことにする。
今回はあの転移装置は使わず、バスで行くみたいだ。
(俺に出来ることは何だろうか)
行き道で不意に俺はそんな事を考える。今まで破壊する事しかできなかった俺に、こいつらの為にやれる事。そんなの決まりきっている。アンチエンターをぶっ倒して、ラミィとジョートを元の世界に戻す事、そうだったろ。マターは、マターに対し
てできる事は……。
出来る、事は……
(ウッ……!?)
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「ここに居ては危険でしょう。私の力で現世へと行きなさい」
「そんな……あの、◾◾◾はどうするの?」
「◾◾◾。あの子に罪はありません。私がこの国で育てます」
「……じゃあ、✖✖✖はどうするの?」
「……ハァ、……ッ、ハァ……」
「この子は、いえ、✖✖✖も貴女と同じく現世に送ります。ですが」
「ですが、あの子は私の子、私の生命同然。貴女も私の家族同然ですが……。私の秘術、現世転移には、デメリットがあるのです」
「デメリット……?」
「良くないこと、ですね。私の行う転移では1人までは安全に送る事が出来るのです。ですが、次からは⚫⚫が消えてしまう可能性があるのです」
「⚫⚫……?じゃあ、ここに居た事も……?」
「そう、ですね」
「じゃあ、私が後で良いよ!最初に✖✖✖を送ってあげてよ!私、✖✖✖が私の事忘れちゃうの、嫌だよ……私、✖✖✖にいっぱい助けられたのに、何も、してあげれてないもん」
「▲▲▲……」
「……ありがとう、では、✖✖✖の体調が落ち着き次第始めますね」
手から何かが離れるような感覚がしたと同時に、身体を眩いほどの光が包み込んだ。
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