気づいたらメカゴジラ転生して20年経ってた   作:よよよーよ・だーだだ

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26、ゴジラのテーマ ~『ゴジラVSメカゴジラ』より~

「……いったい、どうなったの?」

 

 メカゴジラ機龍とメカキングギドラ、二大怪獣を中心とした凄まじい大爆発が収まり、再び外の指揮所へと這い出たわたしたち機龍隊。

 勝ったのは果たして機龍か、それともメカキングギドラか。残されたわたしたち人間が懸命に目を凝らすうち、一帯に立ち込めた濃厚な黒煙が晴れ、やがて様相が見えてくる。

 そこに立っていたのは……

 

「メカキングギドラ……!?」

 

 ゼロ距離からしがみつかれた状態による機龍の自爆、メカキングギドラはその直撃を耐え抜いていた。

 かつては絶世の美しさすら帯びていたメカキングギドラの姿。それが今や白銀の装甲が弾け飛び、片翼と頭がもげ、胴体までもが抉れて半ば融解している。先程までの機龍による猛攻撃、そしてゼロ距離からの自爆。重ねたダメージは決して軽くないはずだ。

 けれど、その脅威は未だ健在だった。禍々しい複眼には相変わらず赤い眼光が灯っていて、しかも2本の脚で大地にしっかりと立っている。

 

「………………。」

 

 一方、機龍はというと、ボロボロの状態でその場に横たわっていた。

 つい先ほどまでの戦いの最中においては、頼もしすぎるくらいの暴威を振るっていたはずのメカゴジラ機龍。

 それが限界を超えた結果、今や腕も脚も胴も尻尾も爆発四散、今の機龍にはもはや上半身しか残っていなかった。銀色の装甲も完全に焼け焦げ、真っ黒に炭化している。

 いつもの優しげな目の光だけはまだ途絶えていなかったものの、それも“辛うじて”というところ。今にでも消えてしまいそうだ。

 そんな瀕死の機龍を、メカキングギドラは見下ろしていた。最初は恐る恐るの塩梅で様子を窺っていたが、やがて今の機龍には反撃する力もないことを察知したらしい。

 

「イヒヒッ、イヒヒヒヒッ……!」

 

 自身の勝利を確信したメカキングギドラは満足げに笑みを浮かべながら、凶悪な()()()で機龍の機体を咥えて吊るし上げた。

 

「ピロピロケタケタ、イーヒヒヒッ!!」

 

 やがて、メカキングギドラの口腔に虹色の光が灯り始める。わたしの隣で、ハヤマが呟いた。

 

「あいつ、引力光線を撃つ気だ……!」

 

 怪獣をも焼き殺す強力無比の必殺ビーム、引力光線。メカキングギドラはあれで機龍にトドメを刺すつもりなのだ。そして機龍には抵抗する力も無く、ただ好き放題されるがままである。

 

「機龍っ!」

 

 思わずわたしは飛び出そうとしたけれど、周りの隊員たち総出で押し留められてしまった。

 

「今出たらヤバいって!」

「危険です!」

「落ち着いて、隊長!」

「でも、機龍が、機龍が……!」

 

 わたしたち人間がどうすることも出来ないうちに、引力光線の発射準備を整えてゆくメカキングギドラ。

 機龍VSメカキングギドラ、機械仕掛けのゴジラとギドラの最終決戦はギドラが勝者になるのか。その場にいる誰もが、そう思ったときである。

 

 沖合から、青い閃光が駆け抜けた。

 

 機龍との激闘と自爆で大ダメージを受けていたメカキングギドラ、青い光線はその胴体と四肢を一瞬で焼き切った。

 

「ピギャアアアァ――――ッッ……!」

 

 不意を突かれたメカキングギドラは、バリアーで防ぐ猶予すら与えられなかった。青い光に背後から撃ち抜かれたメカキングギドラは、悲鳴を上げながら八つ裂きにされ、そのまま積み木を崩すかのようにバラバラと崩れ落ちてしまった。

 

「な、なにが……!?」

 

 青い閃光、放射熱線だ。

 それが放たれた方角、つまり海の方へと目線を移したとき、わたしたちはそこに『いるはずのないもの』を目にしてしまった。

 

「まさか、アイツが……ッ!?」

 

 ……大量の海水を撒き散らしながら立ち上がったのは身長50メートル、体重1万トンを超える黒い巨体。手足は太く強く力強く、背中に並ぶ三列の背鰭はまるで神聖な王冠のように神々しい。

 

 

 怪獣王、ゴジラ登場。

 破壊の化身の、堂々たる参戦だ。

 

 

 どォーん……どォーん……。

 一歩踏むたびに凄まじい地響きを鳴らしながら悠々と、東京の街へ上陸してくるゴジラ。

 その足元で這いずっているのは、機龍と同じく上半身だけにされたメカキングギドラだ。

 

「ピロピロ……ケタケタケタッ……!」

 

 ゴジラの放射熱線、その直撃で胴を袈裟懸けに両断されたメカキングギドラ。しかしそれでもなんとか逃げ延びようと、辛うじて残った片翼をくねらせて必死に這っている。

 その鼻先に、巨大な足がブチ込まれた。

 

「ンぶぎャアァーッッ!?」

 

 顔面を蹴り潰され、メカキングギドラの金属質な悲鳴が響き渡る。

 メカキングギドラを蹴り飛ばしたのは、ゴジラの足だ。ゴジラのメガトンキックによって仰向けに引っ繰り返ったメカキングギドラを、ゴジラはすかさず踏みつけて抑え込む。

 

 ドオオォォ――――――――――ンッッ!!

 

 ゴジラのメガトン級ストンピング、ナノメタル合金製のメカキングギドラのボディが大きくひしゃげて地面へめり込むほどの強烈な一撃。粉塵が舞い、大地が縦に揺れた。

 

「ぴぎゃぁっ!?」

 

 世界を揺るがすその一撃、まともに喰らったメカキングギドラは、ひどく間の抜けた呻き声と共に、陥没したクレーターと瓦礫の山へと埋もれてしまった。ゴジラの足の下に踏み躙られながら、メカキングギドラはなおもギャーギャー暴れていたが、ゴジラが繰り出す体重1万トンの超重量に抑えつけられてしまっては到底逃げられない。

 こうしてメカキングギドラを押さえつけたゴジラ。浮かべた表情は憤怒の形相、牙の隙間からは地鳴りのような唸り声が漏れ出ている。

 やがて、である。

 

 ――バチッ、バチバチッ、バチッ……!!

 

 ゴジラの背鰭が、稲光を伴って青く輝き始めた。

 空気が激しくはじける音と共に、ゴジラの背後で駆け巡る強烈な幕放電。まるで巨大な雷雲を背負っているかのようだ。

 ゴジラの体内から雷轟が迸り、核エネルギーの光が溢れ出る。ゴジラのエネルギーは果てしなく高まっていった、ゴジラ自身さえも抑えきれないほどに。

 そんなゴジラを目の当たりにして、わたしたち人間はすぐさま動き出した。

 

「退避! 退避しろッ!!」

 

 指揮官であるわたしはそう叫んだけれど、もはや指揮官のわたしが命令するまでもなかった。とにかく外にいたら間違いなくヤバイ、誰もがそう直感した。

 生命の危機を本能で感じたわたしたち人間は、一斉に身の安全を確保した。外にいる者は屋内に、乗り物に乗ったものは全速力で距離をとり、身を守るために最善の行動をとった。

 

 ――ジジジッ、バチバチバチッ……!!

 

 わたしたち人間が逃げ惑う中、ゴジラによるエネルギーチャージはなおも止まらない。

 ゴジラから起こった憤怒の雷霆(いかずち)、その後光の色合いが青から紫、赤へと変わってゆき、発光する範囲も背鰭から背中、胴体、そして全身へと広がってゆく。

 ゴジラの放つ地獄の炎熱。大気に火が着いて燃え上がり、廃墟のコンクリートや鉄骨がバタークリームのようにどろどろと融けてゆく。

 焦熱地獄の中心で、顕れたのは紅蓮の破壊王。

 

 

 バーニング=ゴジラ。

 

 

「ぴ、ぴぎぃ……!?」

 

 ゴジラの総身が眩いほどの劫火に隈無く染め上げられて、足元で見上げていたメカキングギドラが恐怖と絶望で竦み上がったそのとき、ゴジラが全力全開の放射熱線を解き放った。

 バーニング放射熱線。

 ゴジラが放つ渾身の放射熱線。渦巻きながら迸る核エネルギーの溶岩流。一帯に響き渡る激烈な衝撃波と爆音。まるで地球を裏側まで貫通させようとしているかのごとき勢いだった。

 

 まさに怒涛の破壊力!

 

 その直撃を浴びせられてしまっては、さしものメカキングギドラもひとたまりもなかった。苛烈な怪獣プロレスや核爆弾並みの自爆にさえ耐え得る頑強な装甲も、骨格フレームも、そして空っぽの内部動力機関部さえも、何もかもがあっという間に焼き尽くされてゆく。

 

「ピロピロケタケタイヒヒぴぎャアアァー……ッッ!!」

 

 響き渡るメカキングギドラの断末魔の絶叫と共に、炸裂する壮絶な大爆発。

 ……立ち上っていたキノコ雲が晴れた後。そこには真っ黒に焼け焦げたメカキングギドラの黒髑髏だけが残っていた。

 

「ピロピロ……ケタケタ……」

 

 焼け残ったメカキングギドラの生首はなおも動き出そうとヒクヒク蠢いていたけれど、ゴジラは決して見逃さない。すかさずゴジラは超ド級の一歩を踏み出し、その巨大すぎる足でメカキングギドラの頭を脳天から容赦なく踏み砕く。

 

 グシャッ、バキバキッ……

 

 絶対に、許さん。

 そう言わんばかりに憎々しげな形相を浮かべたゴジラは、メカキングギドラの残骸を力いっぱい踏みにじり、そして完膚なきまでに磨り潰してしまった。

 一仕事を終えた成果を見下ろしながら、ゴジラは心の底から胸糞悪そうに力強く鼻息を鳴らす。

 

「……ふんっ」

 

 その勢いで、消し炭と化したメカキングギドラの残骸はいとも容易く吹き飛ばされ、朝焼けの光の中へと溶けてゆく。メカゴジラたちを利用して地球侵略を目論んだ恐るべき高次元怪獣メカキングギドラ、その狂った野望は遂にトドメを刺されたのだ。

 かくしてメカキングギドラを完全滅殺したゴジラは、続いて巨体を翻し、メカゴジラ機龍の方を見た。

 

「…………。」

 

 激戦の果てに、僅かなパーツだけ残してボロボロになってしまったメカゴジラ機龍。その無惨な姿を、ゴジラはただ黙ってじっと見つめている。

 そんな光景を見ながら、機龍隊のキサラギがぽつりと一言。

 

「……ゴジラの奴、機龍を助けに来たの?」

 

 そんなはずはない、とわたしは思った。

 ゴジラはかつて機龍と交戦している。キングギドラとの『怪獣大戦争』やデスギドラのときは共闘したこともあるが、そんなのはたまさかの利害の一致で一時的に背中を預け合っただけのことに過ぎない。ゴジラが進んで機龍を助けに来る、そんなことは有り得ないはずだ。

 わたしたち人間がただ唖然とするしかない中、ゴジラが雄叫びを轟かせた。

 

「――――――――――――……ッ!!!!」

 

 世にも恐ろしい、ゴジラの咆哮。いつものとおり、全世界を揺るがしそうな猛々しい大迫力だ。

 だけどわたしにはそれが、普段と少し違って聞こえた。

 

「ゴジラが、泣いてる……?」

 

 それは、ゴジラの慟哭。

 無論、わかりやすく涙を流したわけでもないし、悲しげな声色を出したわけでもない。ただ、その痛ましい姿は胸が詰まるほどに辛そうで、ともするとわたしたち人間が悲しみで胸が張り裂けそうになるように、ゴジラもまた悲痛に泣き叫んでいるかのようにわたしには思えたのだ。

 ……まあ、本当に泣いているのかどうかはさておいて、ゴジラはそうやってひとしきり遠吠えを響かせたあと、今度はわたしたち人間の方へギロリと振り返った。

 

 ――…………ッ!!

 

 ゴジラが、来る。

 いつもどおり力強く唸りながら、大地を揺らす歩みでわたしたち人間へと迫るゴジラ。怒りで歪んだその目つきに浮かんでいるのはいつもどおりの凶暴さ、いやそれ以上の激情、底無しの怒り、憎しみ。そしてそれらすべてが向けられているのは、他ならぬわたしたち人間だった。

 わたしは直感した。

 

「ゴジラのやつ、仲間を傷つけられて怒ってるんだ……」

 

 ……それは本当だったら、考えるまでもないことだったのだろう。

 友達か、親兄弟か、はたまた恋人か。メカゴジラ機龍の基になった骨の持ち主、いわゆる『初代ゴジラ』が今のゴジラにとっていったい何だったのか、それはわたしにはわからない。きっとわたしたち人間には誰もわからない。ともすると人間風情には想像もつかないような、怪獣にだけ理解できるような関係だったのかもしれない。

 そんな、ゴジラにとって大切な仲間の骨を勝手に20年以上も使い潰され続けた挙句、ついにはこんなボロボロにされてしまった。そんな有り様を目の当たりにしたときに、当のゴジラが果たして何を思うか。

 ゴジラが再び咆哮を轟かせた。

 

「――――――――――ッ……!!!!」

 

 ゴジラは、相変わらず泣いていた。

 ……ごめんね、ゴジラ。

 わたしたち人間があなたから憎まれるのも、当然だ。わたしたち人間は、本当に愚かだった。いくら『怪獣黙示録』の苛酷な時代で追い詰められていたとはいえ、そんな簡単なことにすら思い至らなかったなんて。

 ゴジラが迫ってくる最中、機龍隊のアキバがぽつりと呟いた。

 

「エイペックス=タイタン、メカゴジラ=シティ、メカキングギドラ……そして今度はゴジラが相手かよ……!」

 

 ……結局、わたしたち人間の戦いなんてものは無意味で無駄、わたしたち人間はどうあれ滅んでしまう()()()だったのかもしれない。

 ゴジラの骨を基に造ったメカゴジラ機龍、人知を超えた怪獣の力。いいや、怪獣だけじゃない、そんなゴジラたち怪獣を産み出した環境破壊、行き過ぎた科学、戦争や核兵器だってそうだろう。

 たかだかちっぽけなムシケラの分際でそんな分不相応な力を乞い願い、手を伸ばし、縋りついてしまった時点で、わたしたち人間は破滅するように運命づけられてしまったのかもしれない。

 

 だけど、それでも、だとしても。

 

 わたしたち人間が救い様が無かったとしても、だからってそんな「はいそーですか」で素直に滅ぼされてやるわけにはいかない。やはり人間は愚か、だけど、それでも、だとしても、わたしたちには守りたい明日があるんだ。

 わたしは歯を食い縛りながら号令を発した。

 

「……行くよ、機龍隊、Gフォース!」

 

 そうしてわたしたち人間は、なおも諦めずに立ち向かう。

 挑む相手は絶望の向こう側、史上最強最悪の怪獣王ゴジラだ。

 

◆    ◆    ◆    ◆

 

 ……やあ、ゴジラ。

 君とは初戦で引き分けて、幾度か共闘して以来だね。

 今のぼくはこのとおりボロボロのスクラップだけれど、君はどうだい。いや、君はいつだって元気に決まってるか。でなければこんな風に暴れたりしないもんな……なんて、ぼくが心の中でそんなふうに皮肉っても君は聞いてはくれないと思うけれど。

 

 度重なる激戦の末に廃墟と化したメカゴジラ=シティ。その中心で暴れまくるゴジラと、最後の死力を振り絞って立ち向かうGフォースの皆。その激闘の片隅でぼく:メカゴジラ機龍は打ち捨てられて、凄惨な状況をただ黙って見守ることしか出来ないでいた。

 ……そして貴女たちは、いつかこうなることがわかっていたんだね。ぼくがそう訊ねると、傍らに舞い降りていたモスラと小美人たちが悲しげに頷いた。

 

「……ええ、そうです、初代ゴジラ……いいや、メカゴジラ機龍」

「けれど、真実を伝えればあなたは苦しみ、悩むことになったでしょう……メカゴジラ機龍へと転生を遂げたあなたは、人間たちを心から慕っていましたから」

 

 それはモスラたちなりの気遣い、あるいは“優しさ”だったんだろう。真実がいつも優しいものだとは限らないから。

 そして結局、あの高次元怪獣が言っていた通りだった。このぼく、メカゴジラ機龍の心は人間に近づきすぎた。その行き着いた果てでこんな破綻が起こってしまうであろうことを、モスラと小美人たちはずっと危惧していたのだ。

 ……ねえ、小美人さん。あのゴジラにとってかつてのぼく、初代ゴジラはいったいどんな存在だったんだい? 

 そんなぼくの問いにも、小美人たちは正直に答えてくれた。

 

「……初代ゴジラ、あなたはあのキングオブモンスターの同族、肉親、家族。いいや、それ以上の存在でした」

「かの破壊の権能を統べる者、あのゴジラにとって生前のあなたは掛け替えのない、代わりなどいない、とても大切な存在だったのです……」

 

 そこまで言われても、ぼくはゴジラがいったい何者なのかさっぱり思い出せなかった。

 タイゴ、ミレイ、エメ、レジェ、カマチ、アース、ギュラ……あのベビーゴジラたちの誰かなのだろうということは想像がつくのだけれど、恐るべき水爆大怪獣に成り果ててしまった今のゴジラの姿からは、もはやかつて誰だったのかまったくわからない。

 そしてそんな自分の薄情さが、ぼくはひどく嫌だった。申し訳ないを通り越して、自分に対して怒りすら覚える。本当にごめんよゴジラ、君はこんなにまでぼくを想ってくれていたというのに、ぼくはメカゴジラ機龍へ生まれ変わった拍子に君のことをすっかり忘れてしまったらしい。

 皮肉な争い、泥沼の三角関係だ。

 ゴジラはぼくを慕いながら人間たちを憎み、人間たちはそれでも大切な人たちの住む街を踏み潰されまいと一生懸命に抵抗しようとする。そしてぼくはというと相変わらず人間のことが好きだったし、かといって事情を知った今はゴジラを憎むことも出来なくなってしまった。

 ……なにか、ぼくに出来ることは無いか。なんでもいい、この目の前の争いを止めたいんだ。

 ぼくは縋るように小美人とモスラに訊ねたけれど、小美人たちは首を振るだけだった。

 

「もはや……」

「手遅れです……」

 

 ゴジラと人間の争いはより激しさを増してゆく。

 思いきり背鰭を光らせたゴジラは放射熱線を撃ちまくり、力一杯に暴れまくって、せっかくメカキングギドラの侵略から救われたばかりの東京の街をまたしても瓦礫の山へと変えていった。

 

「撃てェェーッ!!」

 

 そして人間たちはというと、相次いだ激戦の連続でもはや抵抗する余力も無いはずなのに、それでも街を守ろうと懸命にゴジラへ抵抗しつづけていた。

 廃墟と化した東京に響き渡る、銃砲火の激しい轟音。効くわけでもないのに歩兵からは射撃、戦車からは砲撃、航空機からは絶え間ない空爆をありったけ撃ち込んで、暴れるゴジラの猛威を少しでも押し返し、ひいては海の方へと追い返そうとする。

 

「――――――――――ッ!!!!」

 

 それらをまともに喰らったゴジラはますます怒り、雄叫びを挙げながら長い尻尾を振り回しての強烈なカウンターパンチをぶち込んだ。

 思いきりブン回された尻尾のフルスイングによって繰り出される真空の刃、プラズマカッターの一撃。その波状にある建物はことごとく突き崩され、戦車隊は木の葉のように舞い上がり、航空機は羽虫のように叩き落とされて、それらすべてが炎の海へと沈んでゆく。

 そうやって踏み躙られても蹴り潰されても、それでもなお人間たちは諦めずに抵抗を続けていた。

 

「一歩も引くなッ、機龍隊、Gフォース!」

 

 地獄の怪獣黙示録、その戦場の真っ只中でGフォースを率いる機龍隊指揮官、ヤシロ=ハルカが必死に指揮を執っているのが聞こえてくる。

 

「ここでわたしたちが諦めたら東京は終わりだッ、諦めればこの戦いのすべてがウソになるっ! 砕け散るまで戦い抜くんだ……ッ!!」

 

 そうやって機龍隊やGフォースの皆は、かつてメカゴジラ=シティの軍団相手を打ち倒したときと変わらぬ勇猛果敢さで、恐るべき大怪獣ゴジラへ立ち向かっていくのだった。

 

 人間とゴジラ、両者が繰り広げる血みどろの死闘。

 そこにはもはや“正しさ”なんてものはどこにも見当たらなかった。

 

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  • キラアクくんちゃん
  • ノジマ=トモカ
  • Li11-E
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