Rozen Maiden  ―Alice in Desire Grand Prix―   作:水銀党員

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 『一週間前に起きたアフリカの……鉱山地帯での殺人事件の足取りは未だに掴めておりません』



 海外での殺人事件のニュースが淡々と流れていたが、真紅を組み立てる事に無我夢中のジュンにその情報は入らなかった。


帰還Ⅰ:復活の第五ドール

 

 

 自宅に戻って来たジュンは真紅に新たに命を吹き込むべくローゼンより授かりし力で彼女を組み立てていた。

 あれから早一週間が経過しようとしている。

 

 

 「頼む‥‥。また動いてくれ真紅」

 

 

 

 アフリカで見つけた鉱石を彼女の胴体に入れ新たに真紅を組み立てていく。

 あれ依頼中学から帰って来たらこの繰り返しだ。

 睡眠時間も自ずと短くなっている。

 この間に悠に五十はくだらない程彼女を造って命を吹き込んだが彼女は動かない。

 ローザミスティカの大きさ的にもこれが恐らくラストチャンスだろう

 

 

 「よしっ」

 

 

 外見もパーツも完璧、真紅の赤い服も着せた。

 彼女の胴体に両手を添える。

 伝説の人形師ローゼンの力を用いてまた真紅を甦らせる為に‥‥‥‥。

 

 

 

 「今回も駄目か‥‥」

 

 

 うんともすんとも動かない真紅にジュンは肩を落とす。

 

 

 「ジュン!。あんまり無茶しちゃ駄目ですよ。今翠星石がエナジードリンク持って来るから少し休むです」

 

 

 「ありがとう翠星石」

 

 

 「ほら!。蒼星石!、雛苺!、雪華綺晶!。ちゃんとマスターであるジュンを労うです!」

 

 

 翠星石は最初に比べればだいぶ性格が丸くなったな。とジュンは思い笑った。

 

 

 「変わったなあいつ」

 

 「ふふ。そうだね。ところで本当に大丈夫、マスター?」

 

 

 「大丈夫じゃないけどお前ら見てたらまたやる気が出てきた。本当にお前らは僕の支えだな」

 

 

 「ジュンにそう言って貰えてヒナ!うれしいの〜!」

 

 

 

 雛苺はジュンに抱きつきとても嬉しそうな笑みを浮かべている。

 最初怖がりだった雛苺に何処か自分と似てる所があったのを思い出す。

 今じゃ彼女はそんな事を感じさせない程強くなった。

 

 

 「僕もお前達に会えて嬉しい」

 

 

 

 

 「マスターがいなければ私は悪い子のままでしたわ」

 

 

 「そんな事ない。雪華綺晶。最終的に改心したのは君の力だ」

 

 

 「マスター‥‥!」

 

 

 雪華綺晶もジュンに駆け寄り雛苺と一緒に抱っこされた。

 

 

 

 

 「真紅が見てたら鬱陶しいわって言いそうだね」

 

 

 「あぁ」

 

 

 

 

 「えぇ。騒がしくて鬱陶しいわ」

 

 

 

 

 その声を聞いた瞬間、場は静寂に包まれた。

 声を出した当人はそれを狙ったのかのように口角を上げ柔和な笑みを浮かべている。

 

 

 

 

 「‥‥真紅」

 

 

 

 「久しぶりねジュン‥‥皆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ローゼンメイデン第五ドール真紅が甦った。

 

 

 

 

 

 「お帰り真紅‥‥」

 

 

 

 

 「ただいまジュン。ありがとう。戻してくれて」

 

 

 

 

 

 

 

 ジュンの涙を真紅は優しく拭い。彼の頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「真紅ちゃん。もう動いて大丈夫なの?」

 

 

 「えぇ。のり。迷惑掛けたわね」

 

 

 「甦ってまだ一日も立ってないのに姉妹達でお茶会か」

 

 

 「そうよ。悪い?」

 

 

 「いやお前らしいよ。真紅」

 

 

 日常が戻ったとジュンは感じる。

 そんな愉しそうにやり取りする二人を見て他の姉妹達の顔も綻ぶ。

 

 

 

 「やっと眠り姫が目覚めたわけねぇ。世話を焼かせるんだから」

 

 

 

 「あら、貴女にそう言って貰えるなんて光栄なのだわ水銀燈」

 

 

 「皮肉が通じるくらい元気で良かったわ……本当に」

 

 

 「水銀燈ったら泣いてるかしらぁ…!。カナもだけどぉ!」

 

 

 

 「な、泣いてないわよ!」

 

 

 

 「プププ、二人共無様ですねぇ。翠星石達は昨日大泣きしたからこうして笑顔で真紅を迎えて……水銀燈!金糸雀!翼とヴァイオリンをしまうです〜!」

 

 

 

 「煩い!愚妹!」

 

 

 「許さないかしら!」

 

 

 ドッと笑いが巻き起こる。

 

 

 「え~ん。ジュン怖いですぅ!」

 

 

 

 いかにも猫被りしてジュンの後ろに隠れるがそれで姉二人の機嫌が良くなるわけもなく……。

 

 

 

 「なぁにカマトトぶってるかしら翠星石。お姉ちゃん達と話し合いするかしら」

 

 

 「全くだわぁ。姉二人で礼儀を教えて上げても良くてよ」

 

 

 

 

 小声でジュンは蒼星石に「意外と水銀燈と金糸雀も似てる所があるんだな」と聞くと、「姉妹では一番付き合いが長いから」と軽く答えた。

 第一ドールと第二ドールしか知り得ないこともあるんだろう。

 

 

 

 「ジュンそこをどくかしら」

 

 

 「私達でその子を矯正するからどいて頂戴。他の子達には迷惑掛けないから」

 

 

 

 完全に目に殺気が籠もっている。

 対して翠星石は本気で萎縮していた。

 

 

 「水銀燈、金糸雀、お願いだ僕と真紅に免じて翠星石を許してくれ。楽しい舞台にしたい。ほら翠星石。お前も謝らなきゃ」

 

 

 「ご、ごめんなさい。水銀燈、金糸雀…」

 

 

 

 「何で呼び捨てなのぉ?」

 

 

 

 「お姉様を付けるかしら」

 

 

 

 

 

 「ぐっ!……ごめんなさい。水銀燈お姉様。金糸雀お姉様…」

 

 

 

 

 

 

 「「宜しい」」

 

 

 

 

 

 これが姉の威光かと場にいる全員が思い知らされた。

 

 

 

 「さぁ、皆楽しむかしら♪」

 

 

 「せっかく真紅が甦ったんだから」

 

 

 

 斯くしてまた賑やかなお茶会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜田家でお茶会が開かれてるのと同時刻、とある木々が生い茂ったガーデンで眼鏡を掛けた男性は異型の化け物から報告を受けていた。

 

 

 

 「そうか!。喋る人形達を見つけたか!」

 

 

 「ジャ!」

 

 

 

 「よしよし慌てるなよ。アフリカでやったように人形意外皆殺しにして捉えろ。私の可愛いジャマト(息子)達よ!ギロリなんて気にするな!」

 

 

 

 

 「「「「ジャ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぁははは、ねぇケケラ。喋る人形なんて面白そうね」

 

 

 

 

 「あぁベロバ。俺達はオーディエンスなんだからこの時代の色んな事を楽しまないとな」

 

 

 

 

 若き女と中年の男は嗜虐に染まる笑みをこぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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