ライネルに転生、尚、ハイラルでは無い模様   作:山吹色ノ大妖精

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直感の赴く先

「その姿はライドウ!?それよりもいいもタイミングで帰ってきた!」

 

「・・・・・・フェルズ、何があった?」

 

 

 帰ってきてみれば、隠れ里が騒がしいと感じた。皆んなが自分の見た目が変化したところを気にしない辺りに火急の事があると察した。

 

 

「同胞が襲撃された!助けに行く準備だ!」

 

「待て!襲撃されたのは上の16階層だ。そして今は早朝、中間のリヴィラの冒険者が行動を起こす頃合いだ!大人数では目立ってしまう!」

 

「では見捨てろというのか!?」

 

「・・・・・・状況は把握した、俺だけで行こう」

 

 

 グロスの怒鳴り声にフェルズが反論した事で、現状を理解した私は、単騎で出撃する事を申し出る。

 

 

「救援に行くなら、俺の脚が一番速い。フェルズは迎え入れる準備をしてくれ。返答は無用だ、先に行く」

 

「何!?待て、ライドウ!?」

 

 

 フェルズの反論も引き止めの言葉も許さないで、隠れ里を飛び出した私は、運良く誰とも会わずに中間部分の18階層を目指して疾走する。隠れ里で待機していた時に聞いた話では、リヴィラという町は人間側の安全地帯(セーフティポイント)であり、多くの冒険者が滞在しているとのことだ。

 

 

「今は冒険者が行動を起こす頃合いだとフェルズが言っていたが、かち合わない事を願う!」

 

 

 初めてフェルズと共に隠れ里に向かう時に通った道を走る。運良く誰とも会わずに18階層に出た瞬間、町から離れた横の森に迂回する。頼りになる直感に従い、中型モンスターの獣道を走る──ッ!?

 

 

「こっちか!?」

 

 

 進行方向をリヴィラの東南方面の端まで全力疾走する。辿り着いたそこには、自分がこの世界で初めて見る人間と、檻に入れられ拘束された同胞たちであった。

 人間は自分を見てかなり驚いているようで、その隙を突いて、地に手をつけて頭の角を向けて突進した。予備操作に気づいた一人の男は回避したが、他の人間は列になっていたので列の土手っ腹に突進が刺さった。

 

 

「うわあああ!?」

 

「何だこのモンスターは!?」

 

 

 生き残った人間がパニックになっている間に檻に近づく。そこに先ほど回避した男が横から攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「シッ!」

 

 

 男の手には紅い槍、直感が警鐘を鳴らす。

 

 

「ヌンッ!」

 

「ガアッ!?」

 

 

 必殺を狙おうとしたのか、顔に向かった槍を首を傾けて回避したところで、ラリアットを喰らわせた。咄嗟の攻撃で力は入ってないので、倒れた男はおそらく気絶に留まった。

 邪魔者がいなくなったので、檻をこじ開ける。そこから拘束された同胞たちの拘束具を力でねじ切り、全員で脱出した。敵の追撃が来なかったのは、先程の男がリーダー格だったからだろう。

 

 

「急ごう。町が騒がしく感じる」

 

 

 小さな同胞が先行して19階層へ向かう。自分が殿軍で前を走っている同胞を見届ける。19階層の入り口は運良く手薄で、入ったところでフェルズと合流できた。フェルズは開口一番で──

 

 

「皆んな!早くこれを被るんだ!」

 

 

 と言って気配を消すローブを渡してくれた。流石に自分に合うローブは無かったが、フェルズからは隠れ里への道は確保できていると言われたため、一番目立つであろう私は先に隠れ里へ帰った。

 

 

「先に戻ったぞ」

 

「ど、同胞は無事なのか?」

 

 

 リドが今いる隠れ里を代表して震えた声で尋ねてきたので、私は力強く返答する。

 

 

「同胞は無事だ、フェルズが今連れてきている」

 

『・・・・・・よかったー!』

 

 

 無事が伝わったため、この場にいる同胞たちは歓声を上げた。そうしているうちに同胞たちとフェルズが帰ってきて、解放された同胞たちは待機していた同胞たちと一緒に生き残ったことを分かち合って笑った。

 

 

「よーし!皆んな!宴をやるぞ!」

 

『オーッ!』

 

「ていうかライドウ、お前その姿どうしたんだ!?色が変わっているぞ!?」

 

 

 そしてそのままのノリで宴会が始まった。ついでに今更な私の進化を祝うのも含めて皆んなでお祭り騒ぎで楽しんだ。

 その翌日には、フェルズに新しい武器を頼むと一緒に自分の推奨冒険者レベルを握力だけで測ってもらった。

 

 

「・・・・・・ふむ、力だけなら、レベル6には入っているな」

 

「本当か!?それでは俺は現オラリオの最強クラスに入ったということか!?」

 

「そうなるな」

 

 

 ククク・・・・・・闘志の熱が上がっていくのを感じる。私のそれを察知したのか、フェルズはため息を吐きながら話す。

 

 

「このレベルならギリギリ深層でも行けるだろう。それにどうせ止めても行くんだろう?」

 

「当たり前だ、そろそろ強敵との戦いが欲しいと思ったところだ」

 

「ならば、37階層の階層主のウダイオスが丁度いいだろう。しかし、入念な準備をしておけよ」

 

「承知の上さ。その上で相談だ、フェルズ」

 

「・・・・・・何だ?」

 

 

 新しい武器の準備もそうだが、そろそろ盾も欲しくなってきたところだ。しかし、自分たち異端児勢力には技術者がいない。だから確立する必要がある。

 

 

「私たち異端児たちの手で武器防具を作る、その手伝いを頼む」

 

「何だと・・・・・・?」

 

「何も熱い鉄を打ちはしないさ。言ってしまえば、『鋳型』を作るだけだからな」

 

 

 そう言って私はフェルズに必要な材料を開示する。そしてフェルズは得心を得たように頷いた。

 

 

「必要な物はわかった。暫く待っていてくれ」

 

 

 そうしてフェルズが材料を持ってくるまでは、また同胞たちと会話を交えて親睦を深めていた。それと自分たちで武器を作ることを伝えたら、楽しそうと言っていたので、フェルズが往復して材料を持ち運びしている間は、チョークで地面に絵を描いてどんな物を作るかを話し合った。

 フェルズ曰く、異端児の初めてのモノづくりなので、皆んなかなりのやる気に満ちている。

 

 

「よし・・・・・・始めるぞ!」

 

『オーッ!』

 

 

 こうして揃った材料を前世の齧った知識で試作品の鋳型を作った。初めは軽い力でもぽっくり折れてしまい、失敗作だった。

 

 

「そうだな、鋳型を武具のパーツごとに作って分けてみたらどうだ?」

 

 

 フェルズも楽しそうな雰囲気でアドバイスをくれた。同胞たちも、自分の知識とフェルズの補足を聞いてそれぞれのグループで試行錯誤して鋳型を作った。

 自分たちは時間を忘れて楽しい工作をした。そして経過時間は四日が経って、ようやく実用的な武器が二つ完成した。試しに数回素振りを行う。

 

 

『おぉ・・・・・・!』

 

 

 この武器の銘は『獣王の剣』と『獣王の盾』、ブレスオブザワイルドやティアーズオブザキングダムの今の自分(ライネル)が使用する武器と盾である。実際に使ってないために耐久値は不明だが最初の失敗作と比べると十二分に頑丈な出来になっている。

 

 

「完成だな!」

 

『ヤッター!』

 

 

 こうして異端児の初めてのモノづくりは多くの失敗を乗り越えて成功に終わった。この後もそれぞれが自分に合う武器や防具を作った。

 一方で自分は追加でライネルの腰当てを作り、ようやくゲームの劇中に出てくるライネルになってきたのだった。




武器作成の補足?として鋳型で作った部品はライドウ含む異端児の炎の高熱ブレスで溶かして溶接したりしました。切れ味に関しては砥石で研いでいます。

『時を渡る道化師』を入れてアーディ生存イイっすか?(あくまでも参考程度に)

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