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鬼が山の山頂のてらす池を目指して進むキタカミ探検隊。
鬼が山の麓から地獄谷へと抜け、山頂に続くと言う山道を少しずつ休みながら歩く。
イワンコがまひるのルガルガンに進化すると言う嬉しい場面もあったものの、それでも山道の険しさは変わらない。
そして朝日もすっかり空に昇って、身体が暑いくらいになってきたところで、ようやく俺達の目的地に無事にたどり着く事ができた。
「つ、ついたべ! てらす池!」
てらす池に向かう階段を登りきったスグリはさすがに疲れたのか、力が抜ける様にその場に腰を下ろしている。
ここまでの山道は、決して登りやすい平坦な道ばかりではなかった。
むしろ、こんなちびっ子達がこんな長い山道を、よく登りきったもんだ。
「ちょ、ちょっとスグ……だらしない……わよ……。本番は……まだ……先……なんだ……から……」
「いやいや、その本番の前にしっかり休んでおこう。野生ポケモンだっているんだろうし、何が起こっても良いようにね」
息切れしているゼイユのプライドを刺激しない様に、やんわりとスグリと同じ様に休ませる。
オーガポンの事で出来るだけ急ぎたい気持ちはあるだろうけど、ここは休憩のタイミングだ。
急がば回れと言う言葉もある様に、焦る時こそ落ちて物事を進める事が大切と言う事だ。
ちなみに前世の俺の教訓。
焦って躓いて頭打って死んだからね、俺。
さらに前世の記憶に頼るなら、ここはこの二人に頑張ってもらわないといけない場面だ。
何故なら、イベントバトルで結構強いミロカロスが出てくる場所だったからだ。
俺の手持ちは岩タイプばっかりで、現在水タイプに有利に出れるポケモンがいない。
逆にゼイユとスグリには、チャデスやりんご三兄弟などの草タイプで、ミロカロスに対してタイプ相性で有利に出れる。
だからこそ、ここでしっかりと回復しておいてほしい。
「……そおい!」
「マグッ?!」「キラッ?!」
二人が休んでいる間に、将来的に岩タイプが追加されるポケモンのマグマッグと岩・毒タイプのキラーメをヒスイ式投擲術でちゃっかりと捕獲していく。
だが、そんな時間稼ぎが効いたのか、二人とも体力は無事に戻った様だ。
ゆっくり休んで回復したゼイユとスグリはいよいよ本命のてらす池に近づいていこうとするが、それを俺がやんわりと引き留める。
さあ、作戦会議の時間だ。
「二人とも、よく聞いてくれ。多分、俺はここで強いポケモンとのバトルがあった場合、クソの役にも立たない」
「えっ? ……あ、そう言えばにーちゃんのポケモンって……」
「ほぼ岩タイプね。なら、水タイプの強いやつとか出てきたらダメダメじゃない!」
「そうだ。だからもしもの時は、そんなダメダメの俺に代わって二人でバトルをしてほしいんだ」
「はぁ……了解よ! ダメダメなしゃてー……友達は、指を咥えてあたし達の活躍を観てれば良いわ!」
「大丈夫だよ、にーちゃん! 俺とねーちゃん、二人でけっぱるから!」
ああコイツら、いつの間にかこんなに頼もしくなりやがて……!
タケシ兄さんも、俺や下の兄弟達にこんな気分だったのかな……?
「……ありがとう二人共! 応援してる!」
「みろろろろろ!!」
「出てきた! 強い水ポケモン……ミロカロスね!」
『けっしょうのかけら』を入手しようと池に近づいた時、地面の震えと共にミロカロスが池から飛び出してきた!
おそらくコイツが、今この池で力のある主ってところか……!
「ゼイユ! スグリ! 頼んだ!」
「オッケー! いくわよヤバソチャ!」
「けっぱれ! カミッチュ!」
二人がポケモンを……って、ヤバソチャ?! いつの間に!?
驚いてゼイユを見ると、フフンと可愛らしいドヤ顔を浮かべていた。
……多分、俺を驚かせる為に隠してたな。
「ヤバソチャ! 『しびれごな』!」
「カミッチュ! 『みずあめボム』!」
え、えぐぅ……。
コイツら、ミロカロスを完全に封殺するつもりだ……。
ミロカロスは状態異常の時、防御力が1.5倍になる『ふしぎなうろこ』を持ってるけど、二人のポケモンの技は特殊技。防御は関係ない。
「ヤバソチャ! 『シャカシャカほう』!」
「カミッチュ! 『みずあめボム』!」
それに『みずあめボム』でみずあめまみれになっているせいで、ミロカロスは思う様な身動きが出来ていない。
「みろぉ……みろお!!」
ん? この攻撃はなんだ? 『ハイパーボイス』?
いや『チャームボイス』か!
ドラゴンタイプのカミッチュとゴーストタイプのヤバソチャがダメージを受けてる……!
やばいぞ!
「ヤバソチャ! 『メガドレイン』!」
「カミッチュ! 『じこさいせい』!」
いやいやいや、流石にエグいて。
ミロカロス涙目になってますやん。
「これでおしまい! ヤバソチャ! 『シャカシャカほう』!」
「決めろ、カミッチュ! 『みずあめボム』!」
「み……ろ……ろ……」
うわ、す、すげぇ……!
ミロカロス、ほぼ何もさせずに倒しちゃったよ……!
「テンゴ観てた? これがあたしの実力よ!」
「に、にーちゃん! お、おれもけっぱったよ!」
「う、うん! ちゃんと観てたよ。二人共、すごく強くなったな!」
とりあえず駆け寄ってきた二人の頭を撫でて、いっぱい褒めてやる。
……二人共、そろって嬉しそうだ。
そうだ、ミロカロスがいたところを確認しないと。
前世のゲーム情報通りなら、近くに『けっしょうのかけら』が落ちてる筈だし。
二人を引き連れてミロカロスがいた周りを確認すると、何か落ちていた。ビンゴッ!
手で拾い上げてみると……結晶と言うより鱗の様な見た目だ。
「……『きれいなうろこ』?」
……さーて、ダイビングのお時間だ。
○
「お待たせ〜! 『けっしょうのかけら』ゲットできたよ〜!」
「にーちゃん、おかえり〜! これがお面の素材? すっごいきれーだべ!」
スグリに見せると良い反応を返してくれる。
うんうん、頑張って潜ってきた甲斐があった。
ゼイユはと言うと……なぜか、そっぽを向いてしまっている。
「……レディの前で半裸になるなんて、マナーがなってないわね」
「いや、濡れるんだからパンツ以外脱ぐでしょ」
……あ〜なるほど、恥ずかしがってるのか。まったく、おませさんめ。
まぁ、それはそれとして……。
「ゼイユ、これプレゼント」
「……モンスターボール?」
「そ、中にはヒンバスってポケモンが入ってる。さっき拾った『きれいなうろこ』を持たせて通信交換すると、さっきのミロカロスに進化するよ」
「……なんで急にプレゼント?」
「前に俺に勝った報酬、スグリに譲ってたでしょ? お姉さんしてたから、そのご褒美的な?」
「ふっ、何それ……」
「あとは俺が持ってても宝の持ち腐れだしね。それに、将来綺麗になるゼイユの方が、ミロカロスも映えると思ってさ」
「……へ?」
「ん? どした?」
「………………なんでもない」
「……顔赤くない? ちょっと疲れた?」
「い、いいから早く! スイリョクタウンに戻るわよ!」
そんなゼイユの様子にスグリと二人で首を傾げながら、俺達は鬼が山を下山するのだった。
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