俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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 一人こっそりと家に帰ってきた俺は、旅に向けての準備を始める事にした。

 と言ってもここを発つと決めた時から、今まで少しずつ旅に出る準備は進めてきた。

 主に食料などの旅に必要になる物の調達をしたり、手持ち六匹以外のポケモンを公民館の施設を使わせてもらい預かりシステムに預けたりもした。

 

 部屋に着いた俺は借りてた甚平を大切に脱いでからできるだけ綺麗に畳んで、使わせてもらっていた布団の上に置く。

 また、オーガポンからオモテ祭りの為に借りていた『いしずえのお面』も、布団の上にそっと置く。

 本当ならオーガポンに直接返すのが筋なんだろうけど、会ったら引き留められるだろうし……多分、俺はそれを拒めない。

 ここに永住しても良いと思えるくらい、俺はこの村に愛着を持ってしまっている。

 服を着る前にオーガポンのお面を指でそっと撫でると、これまでのキタカミでの色んな思い出が蘇ってくる。

 

 ゼイユによそ者呼ばわりされてバトルする事になった事。

 生まれて初めて、全力でバトルした事。

 キタカミ探検隊として看板巡りをした事。

 ゼイユとスグリのダブルバトルで負けた事。

 スグリが「にーちゃん」って呼んでくれた事。

 スグリが自分のアイデアでカジッチュの進化先の三匹を揃えた事。

 オーガポンと会った事。

 本当の歴史を知って、みんなでお面を返そうと頑張った事。

 村の人にも理解されて、全部のお面をオーガポンに返せた事。

 復活して暴れるともっこを、みんなでやっつけた事。

 最後にみんなで……オモテ祭りを目一杯楽しんだ事。

 

 ………………涙が止められなかった。

 自分勝手な家出から始まった旅だったけど、俺はキタカミの里でこんなにもたくさんの大切なモノをもらっていたんだ。

 

「……にー、ちゃん?」

「ぽにぃ……?」

「……よう、おちびさん達。祭りはどうしたんだ? まだやってるんだろ?」

「にーちゃんがいなくなったのに気付いて戻ってきたんだ。そしたらにーちゃん……泣いてんのか?」

 

 慌てて顔を隠すが、もう遅い。

 ……ああ、一番バレたくなかったヤツらにバレてしまった。

 仕方がない。全部説明して、来た時みたいにフーディンの『テレポート』で……ってか。

 

「そう言えば、ゼイユは一緒じゃないのか? さっきから声が聞こえないけど……」

「え? ねーちゃんならそこに……あれ? ねーちゃん?」

「………………きゅう///」

「んお?! どうしたゼイユ! 大丈夫か!?」

「あ、あんた、服! ……服!」

「服? ……あ」

 

 そう言えば甚平脱いでから、ずっとパンツ一丁だったわ。

 やはりゼイユには、少々刺激的な格好だったらしい。

 

 ○

 

「そう言う訳で、俺はこの村を出発しないといけない」

 

 ゼイユの回復を待ってる内にお爺さんお婆さんも帰ってきたので、結局俺はちびっ子達を含めて全員に全ての事情を話していた。

 本当はこのキタカミの里にずっといたいと思っている事。

 だけど、イワークの変異の原因を調べる為にはポケモン博士がいる様な所……そしておそらく最終的には、テラスタルの本場のパルデア地方に行かなくてはならない事などを、全て包み隠さずに伝えた。

 以外だったのはちびっ子達が、俺が最後まで話し終えるまで口を挟んだり泣いたりしなかった事だ。

 

 そしてこれまた以外にも、最初に口を開いたのはスグリだった。

 

「にーちゃん、俺達も旅に連れて行ってほしいべ」

「いや……それは、ダメだ。だって、お前達はまだ小さいし……」

「まだちびっ子なあたし達だけど、もうポケモンを扱って良くて旅に出ても大丈夫な歳よ。つまり、なんの問題ないわ」

「いや……でも……」

「……そう言えば、テンゴ君もそんな事をご家族に言ってから家出してきたと、最初の頃に聞きましたな。のう、婆さんや」

「ええ、お爺さん。私もちゃあんと聞いてましたよ」

「ちょっ、お二人共?!」

 

 え、何この流れ。

 もしかして散々原作ブレイクしたから、原作に起こり得ない事が起こってる!? 

 

「お願いテンゴ! あたし、あんたから離れたくない! 絶対迷惑はかけないから、一緒に連れて行って! お願い!!」

「おれも! 迷惑さ、絶対かけねえ! にーちゃんと一緒が良い! 連れてってほしい!!」

「ぽに! ぽに! ぽにおー!!」

 

 いや……そうきたかー。

 そしてオーガポン、やっぱりお前もか。

 お爺さんとお婆さんの方を見ると、割と乗り気なのかウンウンと頷いている。

 くそぅ、逃げ道がない! 外堀を完全に埋められている! 

 

 ならば、各なる上は……! 

 

「二人とオーガポンの気持ちは分かった。保護者のお二人からの反対もないみたいだし、そこは理解した……それを踏まえて一つ、俺が旅に連れて行く条件がある」

「「条件?」」「ぽに?」

「簡単だ。本気のバトルで俺に勝つ事、これが条件だ」

 

 コイツらに納得してもらうには、もうこれしかない……! 

 

「準備期間はそうだな……一週間だ。その間、俺は一度この家を出てキタカミでキャンプをしながら修行をする。実際のジムリーダーの家族をこの目で見てきた、本気ポケモンバトルの修行だ」

「ポケモンジムのリーダー格の、本気の修行……」

「ぽ、ぽにぃ……」

「ルールはこの前と同じダブルバトルだ。ただし、6vs3・3……俺が六匹、お前らは三匹ずつの変則ルールだ。場所は……まぁともっこプラザで良いか?」

「……ええ! テンゴ、返り討ちにしてあげるわ!」

「んだ! 絶対負けねえぞ、にーちゃん!」

「がおお! ぽにおー!」

 

 

「よし、じゃあみんな。一週間後、ともっこプラザで」

 

 




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