俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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本気のバトル(1)

 

 

 約束の一週間後。

 俺がともっこプラザへと足を踏み入れると、たくさんのギャラリーで広場はいっぱいになっていた。

 ゼイユとスグリのお爺さんお婆さんに、そのご近所さん達。

 公民館の管理人さんに住職さん、さらには祭りで見かけた顔の人もちらほらといて、おそらく俺達のバトルを見る為に村中から人が集まっているのだろう。

 そんな中、こちらを正面から鋭く見つめる目があった。

 言うまでもなく、ゼイユとスグリの二人だ。

 オーガポンはお爺さんとお婆さんの側にいて、二人を見守っている。

 俺がゆっくりとボールを構えると、それまでガヤガヤとしていた場の空気がシンッと静まりかえっていく。

 

「約束を、果たしにきた」

 

 俺がそう言うと、二人もボールを構えてこちらへ向き合う。

 

「……絶対負けない!」

「……修行の成果、にーちゃんに見せてやる!」

 

 どうやら、気合いも準備もバッチリの様だ。

 そうこなくっちゃ……! 

 

 第三者の住職さんに審判の代わりをお願いして、俺達は広場の中に開けられたバトルフィールド代わりのスペースで、お互いに向かい合う。

 

「それではこれより、テンゴ対ゼイユ・スグリペアのバトルを始める! 使用ポケモンは互いに合計六体! 相手のポケモンを先に全て倒した方の勝ち! ……で、合ってたかな?」

「そうですね。なんて言うか……流石、田舎の情報網だな……」

 

 どうやら、バトルのルールまで知られていたみたいだ。

 

「ふふふ……それでは、互いにポケモンをお出しなさい!」

 

「いくのよ! ハハコモリ!」「やるぞ……! アップリュー!」

「……頼むぞ! オトシドリ! メレシー!」

 

 本気の本気、マジでガチのバトルが始まった。

 この一週間の修行期間で捕まえたオトシドリや、二人がお見舞いにと捕まえてきてくれたメレシーも遠慮なく使っている。

 二人はハハコモリにアップリューか……さて、最初はどうくる? 

 

「ハハコモリ『ねばねばネット』!」 「アップリュー『りゅうのまい』!」 

 

 ゼイユは交代したポケモンの素早さを下げる技で俺への妨害を、スグリは素直に自分の能力ランクを上げてきたか……。

 だが、関係ないね! 

 

「オトシドリはハハコモリに『とんぼがえり』!」「メレシー『トリックルーム』!」

 

 効果抜群の『とんぼがえり』がハハコモリにヒットすると、オトシドリはそのままモンスターボールへと帰っていく。

 そしてバトルフィールドと化した広場には、摩訶不思議な空間が広がっていった。

 

「交代だ! キラフロル!」

「フロシチウ!」

 

 交代したキラフロルは『ねばねばネット』の影響で素早さが一段階下がるが、このタイミングにおいてはむしろ好都合! 

『トリックルーム』展開中は素早さがあべこべとなり、鈍いポケモンから先に行動出来る様になる。

 つまり、岩タイプなんかの後手に回りがちなポケモンが、先手を取れる状況って事だ! 

 

「撹乱しろ! メレシー『ステルスロック』! キラフロル『すなあらし』!」

 

 フィールドに無数の岩がばらまかれ、視界を遮る砂嵐が吹き荒れる。

 この砂嵐には、鋼・地面・岩タイプ以外のポケモンに定期的に最大体力の1/16のダメージを与える効果があり、さらに岩タイプのポケモンは特防が1.5倍に上がると言う岩タイプに嬉しい要素が満載な技だ。

 

「このっ! ハハコモリ! 慌てないで『リーフブレード』でキラフロルを狙って!」

「アップリュー! 『ドラゴンダイブ』でキラフロルを攻撃するんだ!」

「……キラフロル『とける』で両方とも受け止めろ」

 

 二匹の物理技を『とける』で防御ランクを二つ上げながら受け止める。

 流石にキラフロルも苦しそうだが……計画通り。

『どくげしょう』はフィールドにばら撒かれた。

 

「よくやったキラフロル、最後まで攻めるぞ! メレシーも頼むぞ!」

「キラリ……」「メレー」

「メレシー『マジカルシャイン』! キラフロルは『アシッドボム』をハハコモリに!」

「躱しながら『つるぎのまい』!」「まけるなアップリュー! メレシーに『やどりきのたね』だべ!」

 

 躱す事を選んだゼイユのハハコモリは紙一重で『マジカルシャイン』を躱し『つるぎのまい』によって自身の攻撃ランクを二つ上げていく。

 対するスグリのアップリューは砂嵐によるダメージも考慮して、全体攻撃とは言え耐えられないと思ったのだろう。

 後ろに繋げる為に『やどりきのたね』を選択した。

 この技は、当てた相手の最大体力を1/8ずつを自らに還元する技だ。

 しかも当てた相手が戦闘不能じゃない限り、その恩恵を後からでる味方が受ける事ができる。

 ……まいったな。

 

「アップリュー、戦闘不能!」

 

 アップリューの戦闘不能が宣言され、スグリは悔しそうにアップリューを戻す。

 でも、すぐにキリッと顔を切り替えて、次のポケモンを出してきた。

 

 

 罠だらけのフィールドに。

 

 

「いけ! タルップル! ……ええ!?」

「どうしたのスグ? 早くタルップルに指示をって……ええ?!」

 

 そりゃあ驚くよな。

 フィールドに出したばかりの自分のポケモンが、ステルスロックによる最大体力の1/8ダメージだけじゃあなく、身に覚えのない猛毒の状態異常にまでなっていたら。

 

 さっそく、上手くいってくれてよかった。

 まぁ簡単な話、キラフロルの特性『どくげしょう』が猛毒クラスまで発動する様に、防御を上げて物理受けしただけなんだけどな。

 キラフロルの特性『どくげしょう』は、物理技でダメージを受けた時に相手の足下に毒状態にするトラップが散らばるってもの。

 しかもこの毒のトラップはもう一度重ねて使った後に発動したら、くらうダメージ量が増えていく猛毒状態に大変身。

 ハハコモリとアップリューって物理アタッカーを確認してからオトシドリに『とんぼがえり』を指示したのも、企みがバレない様に砂嵐を起こしてフィールドの見通しを悪くしたのも、ぜーんぶこの仕込みの為。

 まぁ、バトル中にペラペラ声に出す様な三下みたいな事はしないけど。

 幼い子供の知識不足を突いていくなんて心苦しくてたまらないけど、生憎これは「本気」のバトルだから。

 利用できる物は、何と言われようと利用してやる。

 それがポケモントレーナーとしての、俺の二人に対する精一杯の誠意だ。

 

「さあ、まだまだ行くぞ。ちびっ子共」

 




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