俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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本気のバトル(3)

 

 

 メレシーが張っていた『ひかりのかべ』が切れた事を合図に、お互いに最後のポケモンを繰り出す。

 

「お願い、ヤバソチャ!」

「頼むぞ、ウソッキー!」

 

 お互いにフィールドに仕掛けられたものに苦しめられながらも、互いのポケモン達は戦意充分と言わんばかりに向き合っている。

 

 さて、相手のフィールドで厄介なのは、今はやはりカミッチュか……? 

『みがわり』を使用中だし、『みがわり』の使用に消費された最大体力の1/4はさっきの『じこさいせい』で完全に回復している。

 となれば、これ以上どうこうされるのは、得策じゃあない。なら……。

 

「オトシドリ、カミッチュに『ちょうはつ』!」

「いい加減地べたに降りてきてもらうわ! ヤバソチャ、オトシドリに『しびれごな』! そのまま『たたりめ』!」

「ストオオオクッ!?」

 

『ちょうはつ』でカミッチュの変化技を封じたものの、代わりに『しびれごな』でオトシドリの起動力を封じられた上に『たたりめ』で大ダメージをもらってしまった。

 おそらく、もう高度からの『いわなだれ』での攻めは難しいだろう。

 だが、好都合だ。

 

「オトシドリ、まだ行けるな?」

「……ストオオオクッ!」

「させない! カミッチュ! 『みずあめボム』!」

「『ダブルウイング』で相殺しろ! ウソッキーは『ものまね』で『たたりめ』をコピー!」

「ウッソー!」

 

 嘘じゃない。

 

 きた! これでゴーストタイプのヤバソチャに、有効打を与えられる技が揃った! 

 しかも相手は『どくげしょう』の影響で猛毒状態。

 これなら『たたりめ』の効果で、普段より倍のダメージが与えられる! 

 問題はウソッキーの特攻の低さだけど……まあ、今は良いだろう! 

 

「この! ヤバソチャ、ウソッキーに連発で『シャカシャカほう』!」

「的を絞らせるな! 動き回って『たたりめ』! オトシドリは動ける様になったらカミッチュに『ダブルウイング』!」

「その前に水飴まみれにしてやるべ! カミッチュ! オトシドリに連続で『みずあめボム』!」

 

 耐えてくれよ、オトシドリ……! 

 ヤバソチャに効果抜群のダメージは与え続けているけど、最後の一押しがまだ足りない! お前の力が必要だ……! 

 まだ、まだ、まだ………………今だ! 

 

「ウソッキー! オトシドリの後ろへ!」

「逃げても無駄よ! ヤバソチャ! オトシドリごと『シャカシャカほう』!」

「! ねーちゃんダメだ! 水飴に熱いのをかけたら……!」

「…………いけ、オトシドリ! ヤバソチャに『ダブルウイング』だ!」

 

 熱いお茶の『シャカシャカほう』を受ける事で、水飴塗れだった身体がある程度自由になったオトシドリは、一気に飛び上がると『ダブルウイング』で翼をヤバソチャに叩きつけた! 

 

「! ヤバソチャ!?」

「……ヤバソチャ、戦闘不能!」

 

 よし! これであとは、スグリのカミッチュだけだ! 

 

「オトシドリ! 最後のひと頑張り頼むぞ! そのまま『ダブルウイング』!」

「負けらんねえ……絶対負けらんねえ! カミッチュ『みずあめボム』! オトシドリを堕とせえ!」

 

 最早執念と言って差し支えない叫びと共に、オトシドリが撃墜される。

 

「……オトシドリ、戦闘不能!」

「よっし! これで、にーちゃんのポケモンは……」

「ウソッキー『すてみタックル』」

「……へ?」

 

『みがわり』は解除出来た、あとは……。

 

「ウソッキー、カミッチュを掴んで離すな。連続で『もろはのずつき』」

「ウ、ソッキー!」

 

 ドーン、ドーンと凄まじい衝撃音が辺りの物音をねじ伏せる。

 そして……。

 

「………………カミッチュ、戦闘不能」

 

 残酷にも、審判は下される。

 

「勝者は…………テンゴ君です」

 

 バトルを見にきたギャラリーもみーんな黙ってしまっている。

 まぁ、最後の最後にあんなエゲツないコンボ決めたから、当然と言えば当然か。

 

「ウソッキー、お疲れ様」

 

 最後まで戦ってくれたウソッキーを労いながら、ゼイユとスグリの方まで歩いていく。

 やっぱり、バトルが終わったら握手でしょ。

 もっとも、そんな和気藹々とスッキリとした感じじゃなくて、二人ともお通夜みたいなどんよりした雰囲気だけど。

 いや、ここは年長者として場の空気を多少でも良いから和ませなければ! 

 

「おつかれー! いやー! ギリギリの良いバトルだったねー! 二人ともすっごく強くて、俺負けちゃうかと思ったよー!」

「「………………」」

 

 や、やばい。全力でミスった……! 

 これじゃあ、勝者が敗者を煽ってるセリフにしか聞こえない……! 下手こいた……! 

 

「……なぁ、にーちゃん」

「ん…。ん? どうした、スグリ?」

 

「最後のウソッキー、何であんなに強かったんだ? 反動のある筈の『すてみタックル』や『もろはのずつき』を使ってもピンピンしてたし……」

「ああ……それは『いしあたま』って、ウソッキーの特性だよ」

「『いしあたま』……?」

「そう。この特性を持つポケモンは『すてみタックル』とか『もろはのずつき』みたいな反動を受ける技を使っても、その反動を受けないんだ」

「じゃあ、さっきのは……」

「カミッチュは草タイプを持ってるからね。下手に動かれない内に、ウソッキーの持つゴリゴリの高火力技で一気に倒し切りたかったんだ」

「……そっか」

「そうだ、俺から二人にアドバイス。二人はポケモンの技とか扱いは問題ないレベルだがら、ポケモンの特性とかを改めて学んで見ると、さらに強くなれるかもよ?」

「……ん」「う、うん……」

「……よかったら、俺が教えるし」

「……ん?」「う、うん……?」

 

 ………………は? 

 いや……俺は今、何を口走った……!? 

 

「テンゴ……?」「にーちゃん……?」「ぽに……?」

 

 いつの間にかオーガポンまで……! 

 あ、くそ! 逃げ道を封鎖された……! 

 

「テンゴ! 今のどう言う意味!?」「にーちゃん! どう言う事だ!?」「ぽにー!?」

 

 あーもう! 村中のギャラリーとかいるのに! 

 

「テンゴ!」「にーちゃん!」「ぽにおー!」

「………………お前達と一緒がいい!」

 

 もう、恥もクソもあるか! 

 

「俺は、お前達の事が大好きだ! 離ればなれになんかなりたくない! ほんとは村にずっといたいけど、諸々の事情で旅に出なくちゃならない! ……でも、一人はもう嫌だ! だから!」

「俺と……一緒にきてほしい、です」

 

 言ってる内に、涙が溢れて出して止められなかった。

 本当は、コイツらと旅が出来たらどんなに楽しいだろうって、何度も夢に思っていた。

 

「……一緒に、行っていいの?」

「むしろ、俺からお願いしたいくらいだ」

「……迷惑とか、かけちまうかもしれねえよ?」

「むしろ迷惑くらい、いくらでもかけてほしい」

「……ぽに、ぽにおー?」

「おう、もちろんオーガポンもな」

 

 

「お願いします。俺と一緒に、旅をして下さい」

 

 

 こうして情け無い俺に、大切な旅の仲間達が出来たのだった。

 




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