俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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大胆な告白は女の子の特権

 

 

 村中のギャラリーの中でゼイユとスグリとオーガポンにも旅に付いてきてほしいとぶちまけた後、俺はお爺さんとお婆さんに改めて旅に出る挨拶をする事にした。

 何せ、大切なお孫さんを預かるんだ。

 俺はクソ両親から生まれたクソ男だけど、そう言う筋はしっかり通していきたいと思っている。

 

「と言う訳で、ゼイユとスグリとオーガポンと一緒に旅に出る事を許して頂きたいです」

「ああ、もちろんだ。こちらこそ、大切な孫達と鬼さまをよろしくお願いします」

「もちろん、帰ってくるのも大歓迎だからね? ここはもう、テンゴちゃんの家でもあるんだから」

「……はいっ」

 

 二人を両脇に、一匹を背中側にとなんとも締まらない構図だが、無事にお爺さんお婆さんから旅の許可を得る事ができた。

 そしてそんなやり取りが終わった後、結局もう何泊かはこの家にお世話になる事になった。

 理由は、改めて旅に出ると決まったゼイユとスグリの旅支度と、バトルによって疲労したポケモン達の回復だ。

 そんな訳で今夜からはキャンプではなく、すっかりなれた俺用の寝床で久しぶりに寝ようとしたのだが……。

 

「なぁゼイユ・スグリ、二人ともそろそろ手ぇ離してくれない? 俺も寝たいし、お前らは自分達の寝室があるだろ? オーガポンも、いつまでも引っ付いてないで……」

「……いや。今日はこのまま寝る」

「……んだ。にーちゃんの布団で寝る」

「……ぽにぃ」

「いや、流石に布団一枚に三人と一匹は狭くないか……?」

「はいはあい、ゼイユとスグリのお布団持ってきましたよー。二人とも、布団ひくの手伝ってちょうだーい」

 

 ちょっとお婆さん!? 

 ここ俺用の寝室なんですけど?! 

 驚いていると、お婆さんが耳元でこっそりと囁いた。

 

「あの二人、貴方において行かれないようにずーっと頑張ってたんですよ? オーガポンちゃんにバトルの練習に付き合ってもらったりしながら……ちょっとくらい、ご褒美があってもよろしいじゃないですか?」

「……仰る通りですね」

 

 そんな訳で、三人と一匹で一緒に寝る事になった。

 両手にゼイユとスグリ。胴体付近にオーガポンと言った具合だ。

 

 ただまぁ、色々と問題は発生した。

 

 スグリはよかった。寝相も良いしイビキもかかない。スヤスヤと静かに寝てくれる。

 オーガポン、お前さんは寝相がだいぶダイナミックだな。あと力が強いわ。胴に抱きつかれて、中身が飛び出るかと思ったわ。

 最後にゼイユ。シンプルに心臓に悪い。

 胸を押し付けてくるわ、手足を絡めてくるわ……なんか、色々ダメだと思います。耳元で「テンゴォ、テンゴォ……」は、まずいです! 色んな意味で! 

 そんな彼女達に翻弄されながら、夜はふけていったのだった……。

 

 

 さて、結局連日そんな調子なので若干寝不足気味な俺ではあるが、旅の準備そのものはつつがなく進行していった。

 ゼイユとスグリの旅支度も思いの外スムーズに進んだし、ポケモン達の体調も良好だ。

 移動の要となるフーディンや身体がテラスタルの結晶と化したイワークの方も大きな問題は無し。

 

 しかし、何故か謎の習慣もできた。

 用事のない時はゼイユかスグリ、或いはその両方がピッタリと。

 ゼイユとスグリが俺から離れないといけない時は、オーガポンが俺にピッタリとくっついている事が多くなった。

 理由を聞くと「いつの間にかいなくなってない様に」だそうだ。

 まぁ黙ってキタカミを出て行こうとした前科があるし、それについては反論は出来ない。

 ただゼイユさん? 手を繋ぐのは百歩譲って良いとしても、指を絡めてくるのはどうかと思うよ。

 

 いくら俺よりちびっ子だとしても、女の子なんだから軽々しくやったらいけないよと注意すると、少しの沈黙の後プイとそっぽを向いてしまった。

 うーん……難しいところだけど、ゼイユには相応しい人がちゃんと見つかる筈だから、そう言う事に対して慎重になってほしい兄貴心みたいな……流石にキモ過ぎか? 

 

 

 さて、そんなこんなで色々有りつつも、今夜がこの家で過ごす最後の夜だ。

 夜にはお婆さんが旅立ちの前と言う事で、腕によりをかけて豪華な食事を作ってくれた。

 それらを全て平らげた後は、風呂の時間だ。

 今日はスグリと一緒に入って洗いっこしたり、色んな話をしながら湯船に浸かって風呂の時間を楽しんだ。

 そして、寝る時はもうお馴染みとなってしまったポジションに各々ついて、みんな揃って眠りについた。

 

 

 何となく、いつもよりずっと早く目が覚めてしまった。

 時計を見ると深夜から早朝くらいの時間で、どうやら日の出よりも早く起きてしまったらしい。窓の外はまだ薄暗い。

 まぁせっかくだからこの時間を堪能しようと、上着を持って外に出る。

 軒下の腰掛けに座って日の出でも見てみるかと思っていると、俺以外の足音が聞こえてきた。

 あまりに早い時間だったから、お爺さんかお婆さんのどちらかと思っていたら、寝癖も直さずに眠い目を擦っている、寝起きのゼイユだった。

 

「どうしたゼイユ、ずいぶん早起きだな」

「それはテンゴもでしょ? 旅が楽しみで眠れなかったの?」

「まぁ……そんなところかな? 俺って遠足の前日とか眠れなくなるタイプだし」

「何それ、子供ねぇ」

「まあね。そんで、日の出でも見てみようかと思ってさ。ほら、もうすぐっぽいし」

「ふーん。じゃあ、あたしも見る」

「いいけど肌寒いぞ、上着持ってきな」

「いや。日の出、見逃したくない」

「……しょーがねぇな」

 

 俺の上着は、隣に座ったゼイユに貸してあげる事にした。

 その事に気付くと、ゼイユは二ヘラっと笑ってくれた。

 最近ずっと難しい顔をしていたから、久しぶりに見るゼイユの笑顔だった。

 

 

「あたしやっぱり、テンゴのそう言うとこ好き」

「……へ?」

「優しいところ。強いところ。割とダメダメなところもあるけど、それに負けないくらい優しくて強くてかっこいいテンゴの事が大好き」

「……は?」

「……いつかあたしを、テンゴのお嫁さんにしてください」

 

 ………………マジかよ。

 

「……ありがとう、ゼイユにそう思ってもらえて嬉しいよ」

 

 いやいやいやいやいや!! お礼言ってる場合じゃないでしょ!! 

 こう言う時ってどう答えるのが正解なの?!! 

 受け入れる……? ロリコンじゃねえか! 

 断る……? でも、ゼイユの気持ちは? 

 ………………もう、こうなったら! 

 

「…………俺とゼイユが大人になった時、ゼイユにまだその気持ちがあったら、また伝えてほしい……待ってるから」

「! うん……うん! もっともーっと良い女になって、また好きって言ってやるから覚悟しておきなさい!」

 

 そう言って笑うゼイユの顔はどんな朝日よりも綺麗で、眩しかった。

 

 

 今は、これが精一杯ってね。

 




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