俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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家出してシンオウ地方
旅立ちと出会い


 

 

 

 その後、何とか無事にゼイユと日の出を見終わった俺は、寝坊助さんのスグリの朝の準備を手伝ったりしながら、特に問題なく旅立つまでの時間を過ごした。

 あんな心臓止まりかける体験は、そう何度もしたくはない。

 たまに廊下なんかですれ違うゼイユが俺を見る度にご機嫌な笑顔を向けてくる事以外は、至って平和であった。

 クソ、可愛いな! 

 ちなみに旅の間オーガポンをどうするか三人で話し合った結果、手持ちに空きがあるスグリのポケモンと言う体にして、三人のパートナーと言う形に落ち着いた。

 今はボールから出て、お婆さんの作った朝ごはんを運ぶのを手伝っている。

 

 無事に朝ごはんを食べ終えた俺達は、いよいよシンオウ地方へ旅立つ時がやってきた。

 ゼイユとスグリがお爺さんお婆さんとの別れを済ませていると、たくさんのキタカミの里の人達が見送りに駆け付けてくれた。

 どうやら、俺達がフーディンのテレポートで旅立つと言う事を、それぞれ別の誰かから聞いたらしい。

 さすが田舎の情報網、これにはSNSも真っ青である。

 

「オーガポンさま、いってらっしゃいませー!」

「ぽにおー!」

「スグリ、しっかりやれよー!」

「お、おう……! おれ、けっぱる!」

「ゼイユちゃーん! 変な男に引っかかるなよー!」

「大丈夫! だってあたしには、テンゴがいるからー!」

 

 一瞬、空気が止まった。

 そして次の瞬間、割れる様な歓声が響いた。

 

「うおおー! おめでとうー!」

「今夜はお赤飯だな! ウチでも作って差し入れるか?!」

「バカ! もうみんな旅に出るんだよ!」

 

 何言ってくれちゃってるのこの子?! 

 ゼイユはそんな歓声を他所に、俺の方を見るとウインクしながら投げキッスをかましてしやがった。

 クソ! 十年早いわ! ……あと可愛いな! 

 思わずお爺さんとお婆さんの方に顔を向けると、満面の笑みでこちらを見つめている。

 

「『……いつかあたしを、テンゴのお嫁さんにしてください』」

「『…………俺とゼイユが大人になった時、ゼイユにまだその気持ちがあったら、また伝えてほしい……待ってるから』」

「「……若いのう」」

 

 聞かれてたー! 

 あー恥ずい! めっちゃ恥ずい!! 

 今、絶対に顔が耳まで茹でオクタンみたいな色になってるのが自分で分かる……! 

 ……おいこら! ギャラリーの皆さん、ヒューヒュー! じゃないんだよ! 

 

「ね、ねーちゃんとにーちゃん、結婚するのか……! お、おめでとう……!」

「ぽにおー!」

「……将来的にもしかしたら、な」

 

 さて、いい加減グダグダやってても仕方ないので、もうサクッとフーディンのテレポートで旅立ちと行こう。

 あと、俺の羞恥心がいよいよ限界だ。

 

 各々別れを済ませ終わった俺達は、フーディンにしがみついた。

 

「じゃあキタカミの皆さん! 今日まで本当にお世話になりました!」

「「「いってきます!」」」

「ぽにおー!」

 

 ○

 

 以前にも誰かに説明したと思うが、念のためもう一度。

 移動に使うテレポートは技の特性上、技を発動するポケモンかトレーナーが行った事のある場所にしか遠距離のテレポートはできない。

 今回のシンオウ地方への遠距離テレポートも、以前別のトレーナーの元にいたフーディンの記憶を頼りに行ってもらう。

 

 今回、フーディンのテレポートで着いた先は……。

 

「トバリシティ。険しい山を切り崩して作られたため、他の土地とはあまり交流を持たない街……か」

 

 確かゲームだと、ポケモンジムとかデパートとかゲームコーナーがあった様な気がする。

 ……あれ? リメイク版はやってないけど、ゲームコーナーって別のになったんだっけ? 

 

 まぁ、その辺りはいいや。

 

「フーディン、何度もありがとう。ゆっくり休んでくれ」

 

 今回も長距離のテレポートをしてくれたフーディンを、モンスターボールに戻す。

 ゼイユとスグリとオーガポンの様子を見てみると、初めてきたキタカミの里以外の場所に興味深々のご様子だ。

 

「に、にーちゃん! あそこはなんだ?!」

「あそこは……ゲームコーナーだな。お金を払ってゲームが遊べる場所だよ」

「ねぇテンゴ! あっちのビル達は、何かの施設かなんかかしら?!」

「あそこは……あっちはギン……会社かなんかのビルで、あっちはデパートだな」

「デパート?! あの伝説の?!!」

「伝説? ……伝説か?」

「「都会……すごい……」」

「ぽにぃ……!」

 

 二人は完全にお上りさん状態だし、オーガポンもテンション高めの様子だ。

 

 ……そう言えば、都会となれば人目も気をつけて行かないとだな。

 オーガポンは括りで言うと珍しい伝説のポケモンだし、俺の連れてきたイワークだって珍しい状態だし……。

 この世界の治安までは完全に把握しきれてないけど、アニメや映画版ではポケモンハンターなんて密猟者みたいな奴らもいた筈だ。

 用心するに越した事はない。

 

「おい」

 

 やっぱり街中では、オーガポンはモンスターボールに入れておいた方が無難なのかな? 

 パッと見、お面をした子供には見えるからよほどの事がない限りは大丈夫だと思うけど……。

 

「おい、そこのお前ら」

 

 でもな〜。

 街に来てこんなに嬉しいそうに楽しんでるところに、わざわざ水を差すのもな〜。

 あ、街と言えば、早くポケモン博士……シンオウだとナナカマド博士だっけ? ナナカマド博士のいる街まで行きたいけど、どうしようか? 

 確かトバリシティって、ゲームで言うポケモン博士のいる街から結構離れてたと思うし……。

 

「おい! お前ら!」

「んおっ!」「うわ!」「ひっ!」「ぽにっ!」

 

 うわ、びっくりしたー! 

 いきなりなんだコイツ?! ちびっ子達が怯えてるじゃねえか! 

 

「いきなりなんだよ! ちびっ子達をびっくりさせるんじゃねえ!」

「いきなりじゃない! 何度も話しかけていた!」

「……へ? そうなの?」

「ああ、そうだ! だいたい、こんな道の真ん中に突っ立っていたら通行の邪魔だろうが!」

 

 周りを見ると、確かに俺達が広がっていたせいで他の人達の通行を阻害していた。

 こりゃいかんと、慌てて道の端の方による。

 

「……悪かった。教えてくれてありがとう」

「ふん……こちらも大声で話しかけて驚かせた事は謝る。ただ、子供やポケモンを連れているなら、相応の配慮をするべきだ」

「ごめん、君の言う通りだよ。俺ら田舎から出て来たお上りさんってやつでさ、ついボーッとしてて……いや待って。君、この子がポケモンだって分かるの?!」

「ああ、俺もポケモントレーナーだからな。お面を着けている様だが、見分けくらいはつく」

「ぽにぃ……?」

「だが、見た事のないポケモンだ。よその地方から来たのか?」

「そうだよ、キタカミの里って所からきたんだ。んで、この子はオーガポンって言うんだ」

「ぽにぃ……」

 

 あらら、大声出されてちょっと怯えちゃったか。

 

「オーガポン……初めて聞くポケモンだ……。なあ、そのポケモンとバトルさせてくれないか?」

「え? バトル?」

「俺の実家がこの街の郊外にある。バトルが出来るスペースだってある」

「へぇ〜そうなんだ! ……オーガポン、バトルだって。大丈夫そう?」

「……ぽにっ!」

 

 お、やる気出してくれたみたいだ。

 

「……大丈夫だってさ」

「なら決まりだな。付いてきてくれ」

 

 この人、バトル好きなんだな〜。

 いや……ん? 初対面の筈なのに、何か見た事ある様な気がする。

 

「あ、自己紹介して良い? 俺はテンゴ。こっちの二人はゼイユとスグリ。君は?」

「……シンジだ」

 

 

 ………………博士の前に、アニポケキャラと会っちゃった。

 




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