俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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生意気ロリの泣き顔が見たかった

 

 

 

「使用ポケモンは三体! 交代はあり! 先に相手のポケモン全部を戦闘不能にした方が勝ち! これがルールよ!」

「オーケー。俺が勝ったら、お家に泊めてもらうからね?」

「あたしが勝ったら、よそ者は村から出て行ってもらうわ!」

 

 さて、なんちゃって田舎に宿泊しようぜ番組の真似事をしていたら、なんとDLCキャラのゼイユ(ロリの姿)とバトルをする事になってしまった。

 甚平姿でやる気満々って感じがとてもキュートで微笑ましいけど、実況プレイ動画で見たキャラの印象的に負けたら普通にマジで村から蹴り出してきそうなんだよなー。

 

「スグ! ねーちゃんの強さ、しっかり観ときなさい!」

「う、うん……ねーちゃん、けっぱれー!」

 

 ええー、ちょっとこれ……アウェー過ぎませんか? この状況。

 て言うか、DLCキャラの弟のスグリ君も出てきちゃったよ。

 スグリ君ちっちゃ! めちゃくちゃ可愛いな! おい! 

 いやでも、生意気なロリっ子をわからせてやろうとは思っていたけど、純真無垢なショタまでわからせる鬼畜趣味とか俺にはないんだけど……。

 スグリ君と観戦体制のお爺さんとお婆さんにヘルプの視線を送ってみたけど、普通に「どっちも頑張れー!」と応援されてしまった。

 くそぅ、ありがとうございます! 

 

 まずい……これはまずい。

 これ状況的に、勝っても負けてもそれまでのバトルの行程によって評価がまるっと変わるヤツだ。

 ゼイユに勝っても、舐めプしたりあまりにボコボコにしすぎたりしたら、孫にバトルでトラウマを負わせた不埒者って判定を保護者の二人から下される危険性がある。

 もしそうなったら気まず過ぎて、泊まる泊まらないどころの話じゃないぞ……。

 そんな事になったら、むしろ逆にこっちから野宿しに行くわ。

 

「いつでも良いわよ。キタカミの土の味、味あわせてあげる!」

「あははー、こっちもいつでも大丈夫だよー」

「……いくわよ! ポチエナ!」

「ガウ!」

 

 まずい。色々考え過ぎて愛想笑いしか出てこなくなってきた。

 ……ええい、ままよ! 

 

「イワーク、頼んだ!」

「イワー!」

 

 もうこうなったら全力でのバトルと手加減で……なんか良い感じに上手い事やるしかない! 

 がんばれ、俺! 

 

「ポチエナ! 『とおぼえ』」

 

 まずゼイユはポチエナに『とおぼえ』を指示して攻撃力を上げてきたか……なら! 

 

「イワーク、ばら撒け『ステルスロック』!」

 

 こっちもイワークのやる事をやらせてもらう。

 交代ありのルールなら、ステロは鬱陶しいぞ〜。

 確か実況プレイ動画で観たゼイユの初バトルの手持ちはポチエナ、ロコン、チャデスだった筈。

 これで岩タイプが二倍弱点の炎タイプのロコンは、出てきた段階で四分の一の体力を失うと言う事だ。

 これは中々大きな影響な筈だ。

 

「ポチエナ! もう一回『とおぼえ』!」

 

 お、そうきたか。なら……

 

「イワーク、戻れ」

「なんですって?!」

「そんで行け、ストライク!」

「シャァ!」

 

 家出前にトキワの森で岩タイプ無双しながら修行している時に出会った、珍しいポケモンその二体目。

 かなり好戦的な個体だったから、気に入ってゲットした。

 ちなみにゲット方法は、ヒスイ式投擲術とイシツブテ合戦とを組み合わせたハイブリッド戦法。

 背後からからこっそり近づいて、イシツブテをぶん投げて奇襲をかけて一気に捕獲した。

 

 ……ん? 卑怯? 結果が全てです。

 

 さて、そんな今回のバトルだけど、俺には達成しなければならないミッションが二つある。

 一つは『ゼイユと良い感じのバトルを繰り広げながら、ちゃんと勝つ事』

 もう一つは『フィールドとして使わせてもらってる庭を、必要以上に荒らさないバトルをする事』

 

 俺の手持ちは、ストライク以外はもれなく岩タイプが入っている。

 そして岩タイプや地面タイプのポケモンや技は、フィールドに影響を与えるものが非常に多い。

 普通のバトルフィールドならまだしも他人の家の庭を借りてのバトルだと、正直めちゃくちゃ使いづらい。

 仮に無事に勝てたとしても、他所様の家の庭をめちゃくちゃにした後で泊まるとか、普通に気まず過ぎる。

 ただでさえ家出中の身なのに、心労で胃に穴が空くわ! 

 

「と言う訳でストライク、お前が頼りだ!」

「シャァァ!」

「悪タイプに虫タイプ……タイプ相性で攻めてきたわね」

 

「ストライク『れんぞくぎり』!」

「ポチエナ『かみつく』!」

 

 ストライクには適度にヒット&アウェイを指示しながら、良い感じに戦ってもらえる様に指示を出す。

 向こうのポチエナも『かみつく』で応戦してくるが、そっちの口が一つなのに対して、こっちは鎌が二本だ。

 いくら攻撃ランクが二つ上がっていたとしても、手数と相性の問題でこっちに分がある。

 ニ体とも、中々粘ってくれたけど……。

 

「ああ! ポチエナ!」

 

 

 よっし! 無事にポチエナも倒せたし、中々良いバトルのやり取りを演出できたんじゃないか? 

 庭の方にも目立った損壊はない、ヨシ! 

 

「中々やるわね! でも、この仔ならどう?!」

 

 そう言ってゼイユはロコンを繰り出してきた。

 その瞬間ステルスロックが発動して、ロコンの体力の四分の一を削る。

 

「この、やったわね! ロコン『ひのこ』!」

 

 ストライクには炎技に気をつけてもらいながら、引き続き『れんぞくぎり』の同じ様な作戦でロコンを攻め立ててもらう。

 炎タイプに虫タイプの技が効果はいまひとつだとしても、俺のストライクの特性は『テクニシャン』だ。

 おまけに連続の『れんぞくぎり』の効果で、威力もかなりのものになっている筈だ。

 

 

 …………ん? ストライクの『れんぞくぎり』が止まった? 

 

「今よ、ロコン! 連続で『ひのこ』!」

 

 なに?! なんだ? 何が起こった!? 

 いや、今はそんな事より指示を……! 

 

「ストライク! 『でんこうせっか』!」

「ロコン! 『でんこうせっか』!」

 

 お互いの『でんこうせっか』がぶつかり合う。

 おそらく『ひのこ』によってやけどになったのか、ストライクは思うように力が出せていない様で、パワーは互角だ。

 でも、素早さはこっちの方が上の筈! 

 もう一度『でんこうせっか』で……

 

「ロコン! 『かなしばり』!」

 

 うわ、マジかこのロリっ子!? 

『かなしばり』で『でんこうせっか』を封じやがった! 

 えーと、それなら! 

 

「ストライク! 『つばさでうつ』!」

「おそいわ! ロコン! 『でんこうせっか』」

 

 ストライクが吹き飛ばされて戦闘不能になる。

 ボールにストライクを戻しながらも、あの時ストライクの『れんぞくぎり』が不自然に止まった理由を考えてみるが、なぜだか全く分からなかった。

 

「フフンッ! トレーナーとしてまだまだみじゅくの様ね! そんなんでこの村に入ろうなんて、かたはら痛いわ!」

 

 難しい言葉、使ってみたくなるお年頃なのかな? 

 ただ、トレーナーとしてまだまだなのは紛れもない事実なので、ゼイユの言葉を黙って聞く。

 

「さっきのはロコンの『うらみ』! ポチエナの時から、いっぱい『れんぞくぎり』を使ってたからね、こっそりPPを削らせてもらったのよ!」

「……な、なんだってー!」

 

 いや、マジか。そうきたか。

 そう言えば、パワーポイントって概念すっかり忘れてたわ。

 トキワの森の修行中はイシツブテが技出せなくなったら、イシツブテ合戦の要領で野生ポケモン倒してたし……。

 

 くそ、こんなロリっ子にいいようにやられるなんて……。

 

 

 いやいや、最高に楽しいじゃねえか……! 

 今までは、賞金目当てのポケモンバトルで勝つ事しか頭になかった。

 けど、前世でも今世でもポケモンバトルってものは、めちゃくちゃ楽しいものなんだな……! 

 

 あぁ不思議だ。

 ようやく、このポケットモンスターの世界に生まれられた様な気がする。

 なら、あれこれ考えるのは、もうやめだ。

 こんなに楽しいバトルなんだ! 思いっきりやらせてもらうぞ! 

 

「ありがとうゼイユ! 改めて、めちゃくちゃ楽しいバトルにしよう!」

「! 上等よ! かかってきなさい!」

 

 

 手持ちポケモンは共にニ体。

 勝負は、まだまだこれからだ。

 




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