美味しい食事と風呂を頂き、夜もとっぷりくれた頃。
俺と話し続けてる内にようやく眠気が出てきたのか、ウトウトし始めたゼイユとスグリをまた明日と寝床の布団までつれていく。
その後、老夫婦お二人の晩酌に付き合う事になった俺は、乾杯しながらこれまでの俺の経緯をかいつまんで話していた。(ノンアルコール)
両親が自分達の都合しか考えないクソで、タケシ兄さんがジムリーダーをしながら俺達下の兄弟の面倒を見てきた事。
そんなタケシ兄さんの負担になるのが嫌で、旅に出た事などなど。
「うう……なんと言う……苦労をしてきたんだなぁ……!」
「ええ……本当に……若いのに大変だったのねぇ……!」
話した結果アルコールの作用もあってか、めちゃくちゃ同情されて泣かれてしまった。
心なしか、お二人の俺を見る視線が二、三割くらい優しくなった気がする。
まあ、今の俺の状況って「クソ親に育児放置された家族の面倒を見る兄の負担を少しでも減らす為に、自ら口減らしで家を出た次男」って感じだからな。
心情的にも同情心が湧いてくるんだろうよ。
「時にテンゴ君、君はこのキタカミの里にはどれくらい滞在する予定かな?」
「そうですね、シンオウ地方にまた長距離テレポートするのに力を借りるフーディンの回復を待ちつつ、この辺りのポケモンも気になるので……大体一週間前後って感じですかね」
「なら、その間はぜひウチに泊まっていきなさい。家族みんなで歓迎するとも! のう、ばあさんや」
「はあい、もちろんです。自分の家だと思って、ゆっくり寛いでいってくださいな」
「いやそんな! すごくありがたいですけど、流石にご迷惑じゃあ……」
「迷惑なものか! 家族の為に家を出て旅する若者を、放っておける訳ないじゃろう!」
いや、良い人って言うか、ここの人らお人好し過ぎないか?
嬉しいけど、マジでお世話になって大丈夫なのか?
「ふふ、テンゴちゃんとゼイユちゃんのポケモン勝負に、みーんな胸を打たれたんですよ。だから、心配しなくても大丈夫ですよ」
「……分かりました。では短い間ですが、お世話になります」
○
「と言う訳で、しばらくこの家でお世話になるテンゴです。よろしくお願いします」
「やったー! 流石あたしのしゃてーね! これでもっと里の外の話が聞けるわ! ……そうだ! キタカミの里も、このあたしが案内してあげる!」
「ね、ねーちゃんだけずるい! おれだってテンゴと一緒がいい!」
「あー、とりあえず大人しく朝ごはん食べようなー」
いやー、モテ期きてるわー。ちびっ子にだけど。
さて、とりあえず今後の予定としては、朝飯が済み次第キタカミの探索にでも行ってくるか。
この家にフーディンを預けて休ませてもらうとして……あと、この地域でやっておきたい事とかって何かあるかな?
手持ちの強化はマストとして……碧の仮面のストーリーには、下手に関わらない方が良いか?
触らぬ鬼に祟りなしってね。
そうと決まれば、探索あるのみか。
出来れば俺との親和性的に岩タイプのポケモンがいるエリアがありがたい。
とりあえず、ごちそうさまでした。
「んで、今日の案内のご予定はいかほどでしょうか? お嬢さま、お坊ちゃま」
「フフン、案内は全てあたし達にまっかせなさーい! テンゴが村にいる間に、キタカミの里をばっちり案内してみせるわ!」
「お、おれも……けっぱる!」
「ああうん、期待してる。それで、今日はどこを案内してくれるの?」
「良くぞ聞いてくれました! このキタカミの里には、有名な昔話があるの」
……ん?
「その昔話が書かれた看板が三つあってね? そこを案内してあげる!」
「へ、へぇ〜。なんだか、ものすごーく面白そうだね〜」
「でしょう?! さ、モタモタしてられないわ! 時間はゆーげんなんだもの! 『キタカミ探検隊』しゅっぱーつ!」
「ま、まってよ、ねーちゃん! あと探検じゃなくて案内でしょー!」
いやストーリールートやないかい!
……まぁ良い。
大事なのは、過程ではなく結果。
どんな道筋であれ、目的の岩ポケモンの強化や捕獲が出来るならそれで良い。
それにこんな田舎ならタケシ兄さんも、まず追っては来れまい。
何せジムリーダーとしての仕事や、下の兄弟達の面倒も見ないといけないだろうしな。
それなら家出少年としての諸々は忘れて、ゆっくり歩いて散策するのだって悪くないのかもしれない。
……そうだ。
「ゼイユ、スグリ。キタカミ案内してくれるお礼に、何かポケモン捕まえてプレゼントでもしようか?」
「えっ! いいの?!」「わ、わぁ! いいのかなぁ?!」
「おう! 案内してくれる『キタカミ探検隊』への、正当な報酬って事でな。良さそうな奴がいたらゲットしてやるから教えてくれ」
そう言うと二人はきゃいきゃいはしゃぎながら、ポケモンを探し始めた。
うんうん。スグリはもちろん、ゼイユも年相応に可愛いところあるじゃん。
「あたし、あのクルミルがいい!」「おれは……カジッチュ! あそこのやつがいい!」
「アイツとあそこの奴ね。よしよし、位置も向きも問題なさそうだ」
「ねぇ! ポケモンバトルするんでしょう? テンゴは今日どんなポケモンでバトルするの?!」
「? いや、バトルはしないぞ」
「「え?」」
「…………そおら!」
スパーンと良い音なって、まずはクルミルがモンスターボールに吸い込まれる。
「…………もぅいっちょ!」
スパーンと良い音なって、今度はカジッチュがモンスターボールに吸い込まれる。
そして二つのボールから、捕獲完了のポンッと音がした。
「ほい、ゲットっと。モンスターボール、取ってきなー」
二人がボールを持って来たのを確認、先を行こうとする。
「「ちょっと待って! 今のどうやったの?!」」
二人に詰め寄られたからヒスイ式投擲術を軽くレクチャーしてやったら残りの時間は実践も交えて教える事になった為、無事にその日のタイムリミットを迎えた。
たくさんの方に読んでいただけて嬉しいです!
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