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指摘や誤字報告も、いつも本当にありがとうございます!
四樹(しき)さん、ストーリー作成協力ありがとうございました! ID:440268
クラベル校長からグラウンドの使用許可がおりた事は、スター団全体の士気に大きな影響をもたらした。
それまではアカデミーから迷惑がられていた自分達が、今日初めて認められたからだ。
当然、「スターライト大作戦」の準備にも熱が入る。
段取りの設定、必要な機材の用意、当日必要になるであろう物の買い出しなどなど。
前生徒会長でまとめ役のピーニャの指示の元、人海戦術を最大限効率良く運用しながら、急ピッチで準備が進められていく。
しかし、イベント事の準備にはアクシデントやトラブルが付きものだ。
だが、スター団何でも屋のメロコが間に入ったりしながら対応したりする事で、多少強引だか問題を解決にもっていく。
また、イベント事にはそれを象徴するマークやコスチュームも欠かせない。
となれば、スター団服飾担当のシュウメイの出番だ。
手先の器用な団員達をまとめ上げて服飾部隊を指揮する彼は、当日の団員の役割に応じた衣装を次々と完成させていった。
スター団メカニック担当のオルティガは、機械に強いメンツと当日必要になる機材の調整を行っていた。
なんと、あの「スターモービル」も作戦の為に再利用するらしい。
パワーの有り余るビワは、もっぱら物資の運搬を担当し右へ左へと忙しなく動き回っていた。
でも、ただ肉体労働をするだけじゃあなく、大変そうな団員に声を掛けて回ったりフォローに入ったりと、彼女なりに準備が無事に進行する様に動いていた。
一方、俺やスグリはと言うと、ポケモン達の力を借りながらあちこちの作業を手伝っていた。
「フーディン! 『サイコキネシス』でその荷物の移動が終わったら『テレポート』で買い出し班に付き合ってやってくれ! ……買い出し班! 俺の奨学金やら団員のポケットマネーも無限じゃない、値段交渉を怠るなよ! プテラ、オトシドリ! お前達は他のアジトで作業してる団員への空輸を引き続き頼む! 疲れたら必ず休憩しながら飛ぶ事! わかったな! ……なんだ、どうした! あ? 人手が足りない? なら俺とスグリがカバーに入る! ガチゴラス、ゴローニャ、イワークはこの場で必要に応じた手伝いを継続、安全第一で頼むぞ! スグリ、行くぞ!」
「う、うん! オーガポンはおれと一緒、グライオンは『おいかぜ』をしながら空輸について行ってくれ! アップリューも頼むぞ! ニョロボンは買い出しのサポートを! ダイノーズ、アーケオスはみんなのお手伝い、よろしく頼むべ!」
「ぽにおー!!」
前世の職場のエゲツない修羅場な時に比べたら、この程度の修羅場なんてどうって事ないわ!
この「スターライト大作戦」絶対に成功させてみせる!
「ここからが作戦成功の正念場だ! お前らには頼もしいボス達と、この『星狩の巌窟王』がついてる! 気合い入れてけー!!!」
『おー!!!』
「……にーちゃん。その呼ばれ方、気に入ってたんか?」
「まぁ……ちょっとだけな。でも、星狩の部分はもう必要なさそうだ。さ、行くぞスグリ!」
「おう! ボタンさんの為にも、けっぱるべ!」
◯
そして迎えた作戦決行日の夜。
天候にも恵まれてくれたおかげで、雲一つない綺麗な星空が広がっていた。
そして集まってもらえるか一番不安だったが、グラウンドにはなんと、アカデミーのほぼ全生徒と言える人数が集まっていて、その中には先生達の姿もちゃんとあった。
ボタンが生徒のSNSをハッキングした情報によると、クラベル校長や他の先生達の声掛けもあって、生徒達は集まってくれたらしい。
……おそらく、俺が申請書類を持ってくる為に校長室から出ていったタイミングで、残ってたイヌガヤさんが何か話してくれたのだろう。
元にハッキングした生徒のSNSの情報には、送られてきた招待状の事を先生に確認すると決まって「夜のグラウンドで、何か素敵な事が行われる様ですよ?」と返されたらしい。
まったく……イヌガヤさん様々だな。
さぁ、そろそろ時間だ。
スターライト大作戦の幕開けだ!
スター団員それぞれに大切な役割が割り振られているが、俺とスグリの役割は真っ暗なグラウンドに一人で佇むボタンに、スポットライトの光を当ててやる事。
それが「スターライト大作戦」の始まりの合図だ。
校舎からグラウンドが一望できるポジションで、スグリと二人がかりで大きなスポットライトを操作して光を照射。
真っ暗闇にいたボタンを、夜の星に負けないくらいに照らし出す。
「ボタンさん……綺麗だ……」
スグリの呟きが聞こえた。
ボタンはいつものパーカー姿ではなく、イーブイをモチーフにして、所々にイーブイの進化系をイメージした意匠があしらわれた綺麗なドレスをきていた。
このユニークな仕事っぷり、もしかしなくてもシュウメイの仕業だな?
アイツ、あんなに忙しかったのにボタンのコスチュームまで作ってたのか……。
でも、その仕事は大成功みたいだ。
だって、あんなにボタンさんボタンさん言ってたスグリの目を、黙って釘付けにしているんだから。
そしてドレスに合わせてアレンジされたボタンの髪が、さらにそれらの魅力を引き立てている。
「み、皆さん初めて。うち……わたしは、スター団のボタンと言います。今夜は、わたし達の宝探しの成果を見に来て下さり、本当にありがとうございます」
ボタンがマイクを両手で持ちながら話し始めた。
「でもまずは、わたし達スター団の団員がアカデミーを始めとした様々な場所で、皆さんにご迷惑をおかけした事を謝らせてください。わたしの作ったスター団が皆さんにご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げるボタン。
ここからその表情はわからないけど、きっと色んな想いの詰まった謝罪なんだろう。
「わたしの作った」と言う部分で騒めきが起こるが、ボタンはその騒めきが収まるのを待ってから、再び話し始めた。
「スター団は最初、わたしと五人のボスのみんなによって結成されました。その理由は、自分一人ではどうにもできなかったイジメに打ち勝つ為です。一年以上前、わたし達はイジメられていました」
イジメと言うセンシティブなワードが飛び出した事で、今度はさっきより大きな騒めきが起こる。
しかし、それを収める音が鳴り響いた。
クラベル校長の数回の拍手だ。
ボタンはペコリと頭を下げてから、話を続けた。
「一年以上前にアカデミーに在籍していた生徒の皆さんなら、覚えている人もいるでしょう。イジメっ子をグラウンドに呼び出した、スター団の『スター大作戦を』」
「……もちろん! イジメられっ子だった僕達が今アカデミーに通えているのは、スター団が頑張ってくれた、あの大作戦のおかげ!」
ん? あれは……それに、このセリフ……ゲームにも出てきたシュウメイの同胞君か!
彼の言葉が伝播する様に、心当たりがある生徒達が声を上げていく。
「……ありがとう。でも、逆に今ではスター団がイジメをしているだとか、アカデミーを襲う計画を立てているなどと悪評が立つ様になってしまいました。でも本当のわたし達は招待状に書いた通り、そんなことを望んではいません」
再び、グラウンドが静まり返る。
「スター団はわたし達にとって大事な宝物です。でも、今はアカデミーの皆さんにご迷惑をかけてしまっています。ですのでお詫びの気持ちとして、今夜皆さんに楽しい夜をお届けしたいと考えています。そしてもう一度、本当のわたし達の姿を見ていただきたいです」
そこまで言ったところで、スポットライトが照らす人数が次々と追加されていく。
まず最初に光の先にいるのはボスの一人、ピーニャだ。
「みんなー! 今夜はとびっきり楽しんでもらうから、そこんとこヨロシクー!」
「……た、楽しめや! コラァ!」
「メロコ殿、最早それは脅しでござるよ……」
「まぁ絶対楽しんでもらうんだし、間違いじゃないんじゃない?」
「ちょっとみんな? それよりも先に言わなきゃいけない事があるでしょ!」
「はい、せーのっ」
『今までスター団が迷惑をかけてごめんなさい!』
ボス達だけじゃない。
その場にいたスター団全員が、頭を下げて謝っていた。
静寂なグラウンドを支配する。
……そんな静寂を破ったのは、指を鳴らすパチンと言う一つの音だった。
その瞬間、スピーカーから流れてくるのは流行りの曲がMIXされたアゲアゲなBGM。
ピーニャは出番がきたとばかりに、頭を上げてDJモードに突入した。
「レディース&ジェントルメーン! さぁさぁさぁ、ここからはパーティーのスタンバイ! エブリバディ、準備は良いかい?!」
それを合図にする様に、グラウンドの隅に控えていた団員達が丸テーブルを置いたり飾り付けを素早く行っていく。
「……僕らの宝は言葉だけでは証明できない。だから、今夜はありったけ楽しんでもらうよ! スターモービル、オープン!」
巨大な黒い布で覆われていたのは、かつて「スター大作戦」の為に作られたスターモービルだった。
しかし、オルティガによる更なる改造によって、五台のスターモービルにはピカピカと光が灯り、備え付けられたミラーボールのおかげでグラウンドはキラキラなパーティ会場へと、その姿を変えていた。
「イッツ、ショータイム! オルティガ、セッション行けるかい?!」
「はっ! 当ったり前じゃん!」
ピーニャはギターを、オルティガはキーボードでBGMに合わせてノリノリでセッションを始めた。
「ボウジロウ、オレ達も行くぞ!」
「ボウボウ!」
メロコはボウジロウと手作りのランタンに火を灯して行き、それが終わるとボウジロウとコータスの炎技で花火を打ち上げていた。
「ささ、こちらを一つ。そちらの方もお一ついかがでござるか?」
シュウメイは手袋、マフラー、帽子、タオル、リストバンドと、お手製のグッズを今夜の記念にと、あちこち配って回っていた。
「やあ! はあ! ウオォォォォ!」
ビワは最初、飲み物やお菓子なんかを手持ちのポケモンと配っていたが、やがてリアル『いわくだき』やリアル『かわらわり』などのパフォーマンスにシフトしていった。
あぁくそ、楽しそうだなぁ!
「あの……よかったら、変わりましょうか?」
「え、マジで?! いいの?!」
「えっと、タナカさん……でしたよね? 本当に良いんですか?」
「えぇ、それにここからなら楽しそうなビワちゃんが良く見えるもの」
なるほど、そう言う事か。なら、ここはお言葉に甘えて……。
「スグリ! 行くぞ!」
「あ、にーちゃんずるっこ! 待ってよー!」
「よし! 到着! さーて、どう楽しませてやろうか……?」
「にーちゃん! はぁっ、やっと追いついたべ……」
「ぽにおー!」
「ん? スグリ、オーガポン出てきてるぞ?」
「あれ? オーガポン? どうしたんだ?」
「ぽに! ぽに! ぽにおー!」
おお! オーガポンのお面テラスタル……いや違う! 連続変面テラスタルだとぉ?!
オーガポンお前、そんな芸ができたのか!
すげぇよ、周りの生徒とか大盛り上がりじゃん!
「がお、ぽにおー♪」
「ふふ、すごいね……オーガポン……」
ん? ボタン……はっこの展開は!!
「いけ、スグリ!」
「うぇ?! にーちゃん?!」
さりげなく、スグリの身体をボタンの方にそっと押す。
頼む、ラブコメの神様! どうかスグリに力を……!
「あ、あの……ボタンさん!」
「ん? なに?」
「その……その服……」
「あ……これ、シュウメイがせっかくだからって作ってくれたん……変、かな?」
「か、」
「か?」
「か、可愛いと……思います……! 世界で、一番……!」
「………………ふぇぇ?!!」
……いよっしゃぁー!!!!!
よく言ったスグリ!
二人して顔真っ赤にして黙りこんでるのも、芸術点プラス100!
「頼むぞ、ガチゴラス、イワーク!」
こりゃあ、祝いの花火を打ち上げないとなぁ!
「ガチゴラス! 『りゅうせいぐん』! そんで全部撃ち落とせ、イワーク! 『マジカルシャイン』!」
ふははは! これが夜空の花火と言うものよ! たーまやー!
◯
そして、結局パーティは就寝時間近くになるまで続き、誰も彼もが笑顔になって終わる事ができた。
ボタンがクラベル校長に、手作りランタンを渡しながら言う。
「あの、本日はありがとうございました……それと、本当にごめんなさい」
「これが、本当のあなた達の姿……星は、瞬かなければ見る事ができないのですね……。そして、見ようとしなかった側や輝きを奪った側にも責任があります。明日、またお話をさせてください。今夜は楽しませてくれて、ありがとうございました」
「みんな……お、おつかれさまでスター!」
『おつかれさまでスター!』
ちなみに俺は、あれはやりすぎだとタイム先生にお叱りを受けていた。
解せぬ……。
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