俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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星々の輝きの後で

 

 

「スターライト大作戦」の次の日。

 

 俺達は各々朝食を済ませてから、校長室へと集合していた。

 メンバーは、事情を知る俺・スグリ・イヌガヤさん、そしてスター団のボス達五人にボタンだ。

 

「では、改めてお話を聞かせてもらえませんか? 貴方達の事を、スター団の事を」

「……はい」

 

 まずはボタンから、自身とスター団について語られた。

 

 一年以上前、アカデミーでイジメを受けていた事、それが発端となり引き篭もりになっていた事。

 引き篭もっている間にハッキングの技術を身に付け、やがて同じ境遇の大切な仲間に巡り合えた事。

 そして、そんな六人でイジメに立ち向かう為に結成したのがスター団だった事。

 

「スター大作戦」ではイジメっ子達をグラウンドに呼び出し全面対決をし、恐れをなしたイジメっ子は全面降伏しポケモンバトルさえ行わない無血の勝利をおさめた事。

 しかし、そのイジメっ子達が一人残らずアカデミーを辞めていった事で、問題が大きくなりすぎてしまった事。

 そのケジメをつける為に当時校長だったイヌガヤさんに話を持っていって、留学と言う形で一人で責任を背負い込んでアカデミーを去った事。

 

 ……いやぁ、前世のゲームでこの辺りの事情を知った時は、本当に胸が痛かった。

 ボタンは自分にできた大事な宝物の為に、自分自身を犠牲にする事で宝物を守ったんだ。

 

 その後、イヌガヤさんから語られたのはアカデミーとしてのかつての汚点。

 本来ならば残されていないといけない「スター大作戦」に関係する事件の記録が、当時の教頭によってサーバーから消去され隠蔽されてしまった事。

 責任から逃れようとした教頭には然るべき対処を行い、責任をとる為にイヌガヤさんは校長を辞職し、問題を止められなかった先生達も全員一緒に辞めてもらった事。

 

 これが、スター団の真実だった。

 ゲームで見るよりずっと生々しくて、苦しくて、悲しい話だった。

 

「……なるほど。よく分かりましたボタンさん、並びにイヌガヤ前校長。そして、スター団ボスの皆さん……本当に申し訳ありませんでした」

 

 クラベル校長は姿勢を正すと、最敬礼で頭を下げて謝罪を行った。

 同じく、イヌガヤ前校長もそれに続いて頭を下げた。

 

「アカデミー現校長クラベル、一生の不覚です……私が見ていたイジメのないアカデミーの姿は、あなた方の悲しみと怒り……勇気が勝ち取っていたと言う事を、痛感致しました」

 

 いやまぁ、イヌガヤ前校長が頭を下げるのはわかる。

 でも、ここで今まで何も知りようがなかったクラベル校長が頭を下げられるのは、きっとこの人自身の人徳によるものなんだろうなぁ。

 

「……結論から言います」

 

 校長室が、不思議な緊張感に包まれる。

 ゴクリと、誰かが喉を鳴らす音が聞こえる。

 

「スター団への解散要望及び、ボスの皆さんへの退学勧告は……直ちに撤回致します!」

『………………やったぁ!!』

 

 俺も含めて嬉しさから、みんながボタンのところに集まっていく。

 

「「「「ボタン!」」」」「ボタン殿!」「ボタンちゃん!」「ボタンさん!」

「み、みんな……よかった……」

「諸々の学則違反の件については、後日アカデミーの清掃等の美化活動などの処分を考えています。なにぶん前例のない規模のものですからね、ひとまず解散しましょうか……団ではなく、この場を!」

 

 ◯

 

 それから数日後。

 

「いやぁ、よかったよかった! スター団は継続、学則違反の山も最終的には許してもらえそうだし、大団円ってやつだな!」

「んだな! ボタンさんもボスの皆さんも、本当に嬉しそうだった……ところでにーちゃん。最近一緒に探しては抜いてるこの杭って、一体なんなんだべ?」

「ん? まぁ俺の宝探しに関係ある物、とだけ言っておく……よっと!」

 

 よし! これがラストの一本だ! 

 あとは祠でチオンジェンを解放して捕獲するだけ! 

 うーん……と言う事は、俺の気分転換の名目でこれ以上スグリに付いてきてもらう訳にはいかないな……。

 

「ところでスグリ、あれからボタンとはどうなのよ? デートくらいしたか?」

「に、にーちゃん?! 何言ってんだ?! ボタンさんとで、でで、デートなんて、畏れ多いべ!」

「いや、あれだけグイグイ行っておいて、何を今更言ってんだよ……」

 

 俺に言わせりゃドレス姿を「世界一可愛い」って言って悪い反応がない以上、脈しかないと思うんだがなぁ。

 ……今はスグリ共々、スター団ボス達とボタンだけで過ごせる様に気を遣ってるけど、そろそろスグリなんかなら話に行っても良いだろうよ。

 

《ロトロトロトロトロト》

 

 ん? 着信……ピーニャから? 

 

《もしもしピーニャです。テンゴさんの連絡先でお間違いありませんか?》

《おう、おれおれ〜、ピーニャどうした〜?》

《君は最初っからフランクだなぁ……ボタンの話なんだけど、近くにスグリ君はいるかい?》

《おう、いるぞ。……もしかして、デートのお誘いとか?》

《お、良い勘してる! もしかして君ってエスパータイプ?!》

《生憎と専門は岩タイプだ。ちょうどこっちもそんな話しててさ〜、でもスグリが超恥ずかしがってて、ボタンを誘えなそうなんだよね》

《それならちょうど良い! ボタンがサンドウィッチ作りに挑戦したみたいだから、ぜひスグリ君に味見をお願いしたくてね》

《そりゃあ良い! 俺は用事があるから無理だけど、見守りをよろしく頼むわ! ちなみに集合場所と時間は?》

《今日のお昼にグラウンドのベンチだよ、そっちの用事も頑張って》

《サンキュー、すぐスグリに伝えるわ。んじゃな〜》

 

 さーて、面白くなってきたー! 

 

「スグリー! なんかボタンがサンドウィッチの試食頼みたいらしいから、今日のお昼にグラウンドのベンチに来てほしいってさー!」

「……うぇぇ?! ボタンさんのサンドウィッチ?! おれが?!」

「おう、ご指名だぞ。ピーニャから連絡あってな」

「そ、そんな……お、おれ……どうしたら……!」

 

 ……それっぽい事でも言っておくか。

 

「……スグリのボタンに対する気持ちを、いつも通りボタンにぶつけてこい。それだけで良い」

「………………わかった。にーちゃん、俺行ってくる!」

「おう! 行ってこい! ボタンにお前の漢を見せてこい! 気張っていけー!」

 

 よっしゃー! とアカデミーに向かって走り去っていくスグリ。

 うーん、青春だねぇ。

 

 さ、俺も負けずに気張っていくとするか! 

 待ってろよ、朽木の祠! チオンジェン! 

 

 




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