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四樹(しき)さん、ストーリー作成協力ありがとうございました! ID:440268
「あたしね、テンゴがあたしの側からいなくなっちゃうのが、すっごく怖いの」
「……いなくなる? 俺はゼイユを置いて、どこにも行ったりしないよ」
少しでもリラックスしたまま話し続けてくれる様に、抱き合った腕を移動させてゼイユの頭を撫でる。
まぁ四六時中一緒って訳じゃないけど、いなくなるってどう言う事だ?
「でも、最初キタカミの里から旅に出る前は黙って出て行こうとしてた……」
「うっ……」
そうでした。
結局、ゼイユやスグリやオーガポンと一緒にキタカミの里から旅に出たけど、最初は何も言わずにみんなを置いていくつもりだったわ。
いやー、バトルまでしておいて結局は泣きながら離ればなれはいやだとか、我ながら黒歴史だなぁ。
「ともっこ達との戦いだって、テンゴ一人でいる時に怪我してたし……」
「それは……そうだったな、うん」
キタカミのお医者さん曰く「当たり所が少しでもズレていたら、君の命は無かった。あの状況で骨折すらせずに、切り傷や打撲レベルの負傷ですんでいる事自体が奇跡だ」って言われたっけなぁ、なんか懐かしいわ。
「スター団の事だってそう、勘違いしちゃってたみたいだけど、不良グループって言われてた人達なんでしょう?」
「あの夜にゼイユもきてくれてたのか。俺、あれの運営手伝ってたんだぜ」
「……本当はテンゴと一緒に楽しみたかった」
「……それは、悪かった」
でも、ちゃんと誤解が解けて本当によかった……。
……そう言えば、あれからスグリとボタンどうなった?!
サンドウィッチが結んだ二人のラブストーリーは?!
「あと……宝探しの事も」
「……あー、そう言う事か」
なるほど、何となくわかってきた。
ゼイユは、俺が不慮の事態でいなくなる事が怖いんだ。
確かに今回のチオンジェンの捕獲だって、生半可な事じゃなかった。
ミライドンに助けてもらってなかったら、大怪我じゃ済まない事態だって実際にあった。
こんなのが後三回もあるなんて伝えられたら、そりゃ心配もするよなぁ。
「テンゴがアカデミーの特待生として、宝探し頑張らないといけないって考えてるのはよくわかった。あたしも同じ状況なら、宝探し頑張らないとって思う筈だもの。でも災いの宝って言われるポケモン達って、とっても危ないんでしょう?」
「まぁ……そうだな。そう言うテーマを、俺は選んだんだ」
「……出しゃばっちゃってごめんなんて言ったけど、本当はテンゴに危ない事してほしくない。万が一何かあったらって思うとあたし、すごく不安になるの。今すぐテンゴが危なくない様に、この部屋にずっと閉じ込めてしまいたくなる気持ちが止められなかったの」
……そっか、そう言う事だったのか。
ゼイユはただシンプルに、俺の事を心配してくれていたのか。
「ごめんなさい……困らせる様な事ばっかり言って……こんなあたしじゃあ、未来のお嫁さんなんて失格だよね……」
「……そんな事ない」
そう言って、ゼイユの頭を俺の胸に優しく抱きしめる。
さぁ、こっからだぞテンゴ。
何としてでも、ゼイユの不安を取り除くんだ!
「ごめんな、ゼイユ。本当にごめん」
「……なんで、テンゴが謝るの?」
「ゼイユに『未来のお嫁さんなんて失格』だなんて言わせてしまったから。あとは、気持ちが止められなくなるまでゼイユに心配かけたから」
「……うん」
そう言ってゼイユの息が苦しくない様に注意しながら、ほんの少し抱きしめる力を強める。
「……あのね、テンゴ」
「うん? どうした?」
「あたし、テンゴがいなくなっちゃうのが怖いって言ったけど、それだけじゃないの。あたしの気持ちが悪い方に向かった時に、それを抑えられなくなるのがすごく怖くて不安なの」
「……悪い方? 例えば?」
「……あたしってテンゴの未来のお嫁さんとしてどうなんだろう……とか? アカデミーにきてから、あたしの周りには色んな人がいるの。綺麗な人とか、可愛い人とか、テンゴが話してたレホール先生だって……」
「うんうん」
「そんな時思ったの、あたしはどんな人なんだろうって。バトルが強い人? でも、あたしはチャンピオンランクじゃない。綺麗な人や可愛い人? ううん、あたしより綺麗な人や可愛い人なんてアカデミーにいっぱいいた。井の中のニョロトノって言葉があるけど、それがあたしだったんだって」
なるほど……あんまり人のいないキタカミの里から出てきたから、ゼイユは周りと自分との差みたいなものの影響で不安定になっているのかもしれないな。
実際、ゼイユはキタカミの里の中で一番可愛かったし(俺の独断と偏見)
「アカデミーって素敵な人がすっごく多いの。テンゴが話してたレホール先生だってその一人。……あたしみたいな子供とはぜんぜん違う、大人の女性……」
「まぁ、否定はしないぞ。レホール先生も含めて、素敵な人は多いからな」
「……うん。それに比べてあたしは、何にもない。先生達みたいな頭の良さも、見た目も、バトルの強さも、他の人と比べたら何にもない」
そんな事はないと思うけど……って言葉にするのは、きっと無粋なんだろうなぁ。
「ペパーのスパイス探しを手伝おうと思ったのだって、結局は自分の為だもん。テンゴにあたしを見てもらいたくって……だから宝探しに『愛妻弁当』なんて選んだの」
「……そうだったのか」
「ごめんなさい……迷惑だよね? あたしみたいな子供に好きだなんて言われても。だってテンゴってば、あたしが気持ちを伝えると戸惑ってるのがわかるんだもん。あたしの事、せいぜい懐いてくる妹くらいにしか……」
それ以上、言わせる訳にはいかなかった。
胸に抱いたゼイユの頭ごと強く抱きしめて、言葉を中断させる。
「……テンゴ?」
「……なぁゼイユ、耳に俺の胸が当たってるだろ? 俺の心臓の音、聴こえるか?」
「え? ……うん、すごいバクバクいってる……」
「……ゼイユだけなんだ、俺の心臓がそうなるのは」
「……え?」
「これが、俺のゼイユへの気持ちなんだ」
ゼイユにドキドキして仕方なかった。
ゼイユの事が頭から離れる日なんてなかった。
ゼイユの事をスグリみたいに、ただの兄妹分みたいに思えなかった。
ああ認めてやるよ、俺はただのロリコンでシスコン野郎さ。
でもその気持ちを見ない様にした。
ゼイユからの告白への返事を、都合の良い免罪符にして。
最低の変態野郎さ、俺なんて。
「……テンゴ、心臓うるさい」
「うっせ。今はこれで勘弁してくれ」
「ふふ、だーめ♪ ちゃんとこっち向いて?」
観念してゼイユの方を向くと意地悪そうに、ゼイユは笑っていた。
そしてその目には、パルデアにあるどんな結晶よりも綺麗な光が宿っていた。
「愛してます。あたしの未来の旦那さま」
「…………愛してる。俺の未来のお嫁さん」
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