俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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四樹(しき)さん ID:440268、禍津大明神(まがつだいみょうじん)さん ID:234673、ストーリー作成協力ありがとうございました!


乙女心とパルデアの空(3)

 

 目が覚めると、俺はとても不思議な夢の中にいた。

 

 突然の事なのに何故、これがいきなり夢だと分かったか。

 それは今の俺の身なりを見れば一目瞭然だったからだ。

 

 夢の中の今の俺は何故か結婚式で新郎が着る様な白くてかっこいい衣装を着ていて、姿見の前に立っている。

 顔や身体付きだって今よりずっとガッシリして、目線もずっと高くなっていた。

 これが夢じゃなくて、なんだと言うのか。

 

 キョロキョロと周りを見回してみても、どこかテラスタルをモチーフにした少しキラキラした明るい部屋だと言うくらいしかわからないし、いつも腰につけてたモンスターボールも見当たらない。

 

 とりあえず部屋を出てみようと思ってドアに近づいていくと、その前にガチャリとドアが開いた。

 

「テーンゴ♪ どう? このドレス! すっごく良いと思わない?!」

「……ゼイユ?」

 

 そこにはゲーム時空よりも大人になって、ずっと綺麗になったゼイユがウェディングドレスを着てそこにいた。

 白を基調に、ピンク色の結晶やダイヤの様なデザインがあしらわれた、高貴で美しいお姫様の様な見事なドレス。

 おそらく、メガディアンシーか何かをイメージしたドレスなんだろう。

 

 そんな見事なドレスを、ただでさえ綺麗な大人になったゼイユが着ているんだ。

 その魅力は世界一だと、胸を張って言える。

 

「んー? なになに? テンゴってば、そんな穴が開くほど見つめちゃって、あたしのドレス姿がそんなに気に入っちゃったの〜?」

 

 得意げな顔で近寄ってくる美しいゼイユに我慢なんてできる訳もなく、こっちからも駆け寄りありったけの想いを込めて抱きしめる。

 

「ゼイユ……」

「あ、テンゴ……テンゴの気持ち、すごく伝わってくるよ……。でも、テンゴからの言葉もほしい。言葉にして、伝えて?」

「ああ……綺麗だ。世界で一番、他の誰よりも何よりも、ゼイユは綺麗だ。ドレスも、良く似合ってる」

「……ふふ、まぁ合格♡」

 

 ゼイユがほっぺにキスをしてくる。

 俺も同じ様に返して、少し離れる。

 不思議だ。夢の中の筈なのに、ゼイユと触れ合っているだけで心がこんなに暖かい。

 

「ねぇテンゴ、みんなの前でやる前にやりたいって言ってた二人だけの結婚式、さっそく始めましょう?」

「……ああ、そうだな」

 

 ここは夢の中だ。だから、何でもありだ。

 

「「誓いの言葉」」

 

「病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻としてゼイユを愛し続ける事を誓います」

「病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫としてテンゴを愛し続ける事を誓います」

 

 見つめ合う二人の視線は徐々に近づき、やがてお互いの唇の距離はゼロに………………。

 

 

 

 

 

 

「……んあ?」

 

 目が覚めると、知らない天井だった。

 …………いや、そうか。昨日はゼイユの部屋に泊まったんだったな。

 

「ふあぁぁ〜っ」

 

 大欠伸をして少し伸びをした後、隣で寝ていたゼイユを起こさない様にベッドから出ようとしたが、もう既にゼイユは起きてこっちを見つめていた。

 うーん……昨日の今日で、若干気まずい。

 とりあえず、もう隣で起きてたゼイユに「おはよう」からかな。

 

「……病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫としてテンゴを愛し続ける事を誓います」

「……へ?」

「『病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻としてゼイユを愛し続ける事を誓います』」

「………………もしかして俺、寝言とか言ってた?」

 

「言質、とったから♡」

 

 そう言ってクスクスと笑うゼイユが、堪らなく愛おしく思えた。

 

 目が覚めると、俺はとても幸せな今を見た。

 

 ◯

 

「ゼイユ……」

「テンゴ……」

 

 あれから数十分、俺達はベッドから抜け出せずにいた。

 理由は簡単で、お互いがお互いを好き過ぎて愛情表現に終わりがないからだ。

 相手を抱きしめれば相手から抱きしめ返され、手を繋げば指と指を絡めながらお互いの名前を呼び合ったり……そんな無限ループが続いていた。

 

 しかし、朝起きてそのままな訳だから、当然腹も減ってくる。

 とは言え、この無限ループから抜け出すタイミングがない。

 さて、どうしたものか……。

 

「……ねぇ、テンゴ」

「ん? どうした?」

「今日さ……あたしとデート、してくれないかな?」

「え? それはもちろん嬉しいけど……大丈夫、なのか?」

 

 確かに俺達の気持ちは通じ合った訳だけど、ゼイユの抱えていた不安がすぐに消えてくれるとは思えない。

 あの時「デートなんてしなくていい!! その代わり、今夜はずっとこの部屋にいて!」と言った時の事を思うと、心配するなと言う方が無理な話だ。

 

「あの時テンゴは不安だったあたしのお願いをきいて、ずっと部屋で一緒にいてくれた。だから、今度はあたしがテンゴのお願いを叶える番。……ううん。あたしが、テンゴのお願いを叶えたいの。だから、あたしとデートしてください」

「……それなら、分かった。こちらこそ、デートよろしく頼む」

 

 そう言ってからゼイユを抱きしめる。

 ゼイユがここまで言ってくれたんだ、断る理由がない。

 

「……ありがとう、テンゴ」

 

 そう言ってゼイユも抱きしめ返してくれる。

 こんなに愛しい気持ちで大好きなゼイユとデートできるなんて……俺は世界一の幸せ者だな。

 

「……ね、ねぇテンゴ? さっきはああ言ったけど、あたしデートってした事ないんだけど……結局デートってどうすればどうすれば良いの? 一緒にどこかに出かけるとか?」

「うーん、オーソドックスなデートならそれで大丈夫な気もするけど……」

 

「誓いの言葉」まで実際に言い合って、その後にするのが普通のデートって言うのは、何かもったいない気がする。

 いや、本当ならぜんぜん大丈夫なんだろうけど。

 どうせなら、忘れられない思い出になる様なインパクトのあるデートが相応しい気がする。

 

 ………………そうだ! 

 

「なぁゼイユ、こんなデートはどうだ? 名付けて『一日中デート』!」

「……ネーミングセンス、酷い。で? それは普通のデートと何が違うの?」

「良くぞ聞いてくれた! 普通のデートだと、待ち合わせて、目的の場所行って、帰って、終了って感じだろ?」

「……まぁ、あたしの中のデートのイメージも、大体そんな感じかしら」

「でも、このデートは違う。このデートはおはようからおやすみまでの一日を一緒に過ごす事で、一日中ずーっとデートができると言う事……つまり、朝を一緒に迎えた俺達にとって、デートはもう既に始まっていると言える!」

「……じゃあ、今から朝の準備をするのもデート?」

「おう! もちろんだ!」

「朝ごはん食べるのも?」

「おう!」

「お昼ごはんまでの予定も?!」

「もちろん! さらに昼飯から夕飯まで、そしてその後のおやすみまで、ぜーんぶデートだ!!」

 

 そこまで言うとゼイユが思いっきり抱きついてきた。

 どうやら、俺の提案したデートプランはお気に召してもらえた様だ。

 

 しばらくそうしていると、二人揃って腹の虫が盛大に鳴いた。

 

「…………ふふ、じゃあさっそく朝ごはんを食べに行きましょう! デート再開ね!」

「おうよ!」

 

 




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